文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、テクノロジーを駆使し、ペットの健康寿命を最大化していくことがペットのQOL向上につながるものと考えております。
当社グループは、2023年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定し、ビジョンである「ペットのQOL向上」を実現するため、当社の強みであるペットデータの活用、そしてDXプラットフォームを活用し、「マルチコマース」、「サブスクコマース」、「D2Cブランド」をそれぞれ強化することで継続的な成長を目指して参ります。
① マルチコマース戦略
アクティブ購入者数及び累計ユニーク購入者数を拡大し、さらなる市場シェア拡大を図るため、他社オンラインモールへの継続新規出店、広告販促投資の最適化に取り組んでまいります。また、新規出店対応等のマルチコマース推進を実現するためにDXプラットフォームの各種機能開発を行ってまいります。
② サブスクコマース戦略
サブスクコマースの利便性を高め、リカーリング収益(*1)を拡大していくために、定期対象商品の拡充、サブスクコマースの認知度向上に向けた広告販促投資の強化に取り組んでまいります。また、あわせ買いを促進するUI/UXの最適化や支払方法拡充などのスムーズな定期購入体験を実現するためのDXプラットフォームの各種機能開発を行ってまいります。
*1 リカーリング収益:将来的に継続する可能性が高い売上のこと
③ D2Cブランド戦略
当社の強みであるペットデータを活用し、継続的に新商品を上市することによって、D2Cブランドの品揃えを拡充し、粗利率向上に取り組んでまいります。また、認知度向上に向けた広告販促投資を強化し、ブランド価値向上に取り組んでまいります。さらに、品揃え拡大に伴う在庫量に対応する物流スペースの拡大、競合ブランドからD2Cブランドへのスムーズな顧客移行を実現するためのDXプラットフォームの各種機能開発を行ってまいります。
当社グループは、スローガンの実現を目指しながら、中長期的の持続的な成長による企業価値の増大を目指しております。そのための重要な経営指標は、売上高、営業利益、アクティブ購入者数、累計ユニーク購入者数としております。
わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により引き続き厳しい状態となっておりますが、一部の消費活動に持ち直しの基調が見られます。
ペット業界においては、一般社団法人ペットフード協会が2021年12月に発表した「2021年全国犬・猫飼育実態調査」によると、犬の飼育頭数は7,106千頭と昨年の7,341千頭から減少、猫は8,946千頭と昨年の8,628千頭から増加となっております。一方で1年以内新規飼育者の飼育頭数は、犬は397千頭、猫は489千頭と新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して増加傾向にあります。世帯別の飼育率は犬が昨年から0.5%減少の9.7%、猫が昨年から0.2%増加の8.9%となりました。また、平均寿命は犬が14.65歳、猫が15.66歳と引き続き高齢化傾向にあります。また、総務省が2021年2月に発表した「家計調査」によると、総世帯平均のペット関連年間支出額は21,129円(前年20,256円)に拡大しており、ペット関連支出が高くなっております。
ペット市場の規模については、株式会社矢野経済研究所が2021年1月に発刊した「ペットビジネスマーケティング総覧2021年版」によると、2020年度ペット関連総市場規模は小売金額ベースで前年度比3.4%増の1兆6,242億円で推移し、2021年度は前年度比1.9%増の1兆6,543億円と予想されております。この背景には、新型コロナウイルス感染症により、生活様式に変化が生じたことで新規でのペット飼育者が増加したことに加えて、ペットと過ごす時間が増えたことによりペットは大事な家族の一員であるという飼い主の意識がより一層深まっていること、犬猫の食事療法食や動物用医薬品、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品及びペットライフをサポートする医療サービスやペット保険等が普及拡大していること等があげられます。
以上から、犬の飼育頭数が減少傾向、猫の飼育頭数は横ばい傾向でありますが、「新規飼育頭数の増加」、「ペット関連支出の増加」及び「犬猫の平均寿命の伸長」により、ペット市場は今後も堅調に推移していくことが予想されます。
当社グループは引き続き継続成長が期待される国内ペット市場において、ペットのQOL向上に貢献するペットヘルスケア商品の充実を図り、「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド~ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」の実現に向けて邁進して参ります。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① D2Cブランド製品の開発強化
当社グループが販売する犬猫の食事療法食や動物用医薬品等のペットヘルスケア商品の多くは、海外企業によるナショナルブランドが大きな市場シェアを有しており、当社グループの商品売上においても高い依存度となっております。これらの海外企業の経営方針の変更や原材料高騰等により、商品調達価格の値上げ、商品の廃盤欠品、当該ナショナルブランドのブランド力の毀損等の事態の発生により、ペットオーナーの購入価格上昇の可能性や継続的な商品の供給が困難になる可能性があり、ペットライフのQOL向上に大きな支障を与える可能性があります。
そのため、これらの海外ナショナルブランド商品の依存度を下げ、D2Cブランド製品の売上構成比を向上していくことがペットオーナーに対する安定的な商品供給と当社グループの収益性を高めていく上で重要な課題であると認識しております。
当社グループは今後、これら海外企業のナショナルブランドに対する競争力向上を図るため、高品質で付加価値の高い商品の開発、競争力ある価格の実現及び品揃えの拡充による商品ポートフォリオの確立によって、ペットオーナーに支持されるD2Cブランドの構築を行って参ります。
② 自社オンラインサイトの認知度向上
当社グループがペットヘルスケア商品を販売する自社オンラインサイトは、ペットが日常的に使用する物品を販売するチャネルであるため、ペットオーナーにおける認知度が当社グループの業績に与える影響は大きく、今後の継続的な成長のためには、多くのペットオーナーから支持されるブランド価値を構築していくことが重要な課題であると認識しております。ペット市場は今後も拡大し、競争も激化することが予想されます。今後の継続的な事業拡大及び競合企業との差別化を図るためには、ペットオーナーに対する自社オンラインサイトのブランド確立及び認知度の向上が必要不可欠であると考えております。
当社グループは今後も引き続き、ネット広告等を利用した自社オンラインサイトの広告宣伝活動を通じ、ペットオーナーの認知度が高いサイトを目指して参ります。
③ DXプラットフォームの強化
当社グループの事業は、Eコマースでの展開を中心としており、事業運営に係るDXプラットフォームの重要性が極めて高いことから、当該プラットフォームを安定して稼働させることが重要な課題であると認識しております。このため、安定した事業運営を行うにあたっては、新たな機能やサービスの導入等の継続的なシステム開発、アクセス数の増加等を考慮したサーバー管理や負荷分散等の対応及びセキュリティの一層の強化等の安定的なシステム運用が求められております。当社グループでは今後、システムプラットフォーム開発及び安定運用のための人員確保、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や社内エンジニアの教育・研修の実施等に努めて参ります。
④ 物流機能の強化
当社グループの事業であるペットヘルスケア商品販売のEコマースにおいては、今後も継続的な成長が見込めることから、その成長の実現にあたっては、注文件数の増大に対応した物流機能の強化が重要な課題であると認識しております。受注件数の増加に対応するため、当社グループが運営する自社物流センターでは、システムによる入出荷、在庫管理を行っております。しかしながら、突発的な受注増や複雑化する物流業務に対して今後も安定的な運用を維持していくためには、さらなる出荷能力の向上及び業務の効率化が不可欠となっております。そのため、当社グループでは、自社で開発したクラウド型の倉庫管理システムにより入出荷プロセスの最適化に努めること及び外部の物流業者に業務委託を行うことで、出荷能力の拡大及び業務の効率化に取り組んで参ります。
⑤ 人材の育成及び確保
今後の事業拡大及び収益基盤の確立のためには、当社グループ従業員の継続的な能力育成及び成長機会の提供と優秀な人材の確保が重要な課題であると認識しております。そのため、採用面においては、中途採用を中心に優秀な人材の確保に努めて参ります。また、人的基盤を強化するために、研修受講等による採用担当者のスキル向上など採用体制の強化、教育・育成・指導の実施、社員の職位・職務に応じた適切な研修制度の確立及び人事評価制度の高度化等を積極的に推進し、当社グループ従業員の教育・育成を進め、働き甲斐のある職場環境の整備を行って参ります。
⑥ コーポレート・ガバナンス機能の強化
当社グループは、急速な成長段階にあり、業務運用の効率化やリスク管理のための内部管理体制のさらなる強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んで参ります。具体的には、コンプライアンスマニュアルの制定等コンプライアンスを徹底する体制の強化に加え、基幹業務システムの有効活用による業務の効率化、事業部門サイドと管理部門サイドのコミュニケーションの徹底、継続的な内部監査の実施による内部管理体制の強化、監査等委員監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実、定期的なコーポレート・ガバナンスに関する社内教育の実施などを引き続き行って参ります。
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