事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業環境について

① Eコマース普及の可能性について

当社グループは、インターネット上におけるペットヘルスケア商品販売を行うEコマースを主体に事業を展開しております。当社グループの今後の成長を図る上でEコマースのさらなる発展が前提にあると考えております。

国内Eコマース市場は着実に成長を続けており、2020年の消費者向け国内Eコマース市場は19.3兆円(前年比0.4%減)(注)と報告されております。これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってサービス系分野が大きく減少した一方で、当社グループが属する物販系分野は、12.2兆円(前年比21.7%増)(注)と大幅に市場規模が拡大しております。

当社としては、最新の情報を入手し、当該環境に対応した事業方針や戦略策定等の対策検討に努めますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れなど、当社の予期せぬ要因によって、Eコマースの発展が阻害された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(注) 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2021年7月公表)

 

② 犬猫の頭数について

当社グループが取扱うペットヘルスケア商品は、犬猫を対象とした商品となります。近年、犬の飼育頭数は微減、猫の飼育頭数は横ばい傾向で推移しております。当社としては最新の情報を入手し、当該環境に対応した事業方針や戦略策定等の対策検討に努めますが、今後、動物愛護管理法による規制強化や社会環境の変化等により犬猫の飼育頭数に著しい減少が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競争の激化による業績変動について

当社グループの事業領域であるペットヘルスケア用品市場においては、競合他社が複数存在します。当社としては、UI/UXの最適化によるサブスクコマースの強化、自社オンラインサイトのブランド価値の向上及びD2Cブランド製品の強化に努め、特徴のあるサービスを提供することで競争優位性を有していると考えておりますが、競合他社との競争の激化による顧客の流出やコストの増加等が発生した場合には、新規顧客件数や既存顧客件数の減少のほか、販売価格の低下、広告宣伝費の増加等の理由により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制等について

当社グループは「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「製造物責任法」、「特定商取引に関する法律(特商法)」、「不正競争防止法」、「消費者契約法」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「商標法」等による法的規制を受けております。

当社グループでは、これらの法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、コンプライアンス管理体制の整備に努めておりますが、これらの法令に違反する行為が行われた場合、法令等の改正又は新たな法令等の制定により法的規制が強化された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、薬機法の規定により、動物用医薬品を陳列、販売するには、「動物用医薬品販売業」の許可が必要となり、当社は神奈川県にて「動物用医薬品店舗販売業」の許可を得ております。もし何らかの理由によって許可が取消しを受けた場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループの事業の内容について

① 特定のオンラインモールへの依存について

当社グループにおけるペットヘルスケア事業では、楽天グループ株式会社が運営する「楽天市場」、ヤフー株式会社が運営する「Yahoo!ショッピング」、アマゾンジャパン合同会社が運営する「Amazon.co.jp」及びKDDI株式会社が運営する「au PAY マーケット」といった大手オンラインモールに出店しており、各社の規約に従いサービスを提供しております。当社グループの売上全体に占める他社オンラインモールに出店した店舗の売上は約65%となっております(2022年3月期)。

当社グループにおいては、複数のオンラインモールへの出店や自社オンラインサイトの運営などにより、一つのオンラインモールに依存しない運営体制を構築しておりますが、今後、各オンラインモールを取り巻く環境の変化等により、オンラインモールの集客力が変動し、利用する顧客が減少することにより、当社グループの出店店舗の運営に支障が生じた場合、また、今後のオンラインモール運営者の経営方針の変更等により、手数料率の引き上げに伴うオンラインモールへの出店に関する費用が増加した場合、オンラインモール運営者との関係悪化や規約違反による出店契約解消、オンラインモールにおけるシステムトラブル、モール閉鎖等により、当社グループが出店する店舗の運営が継続不能となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定の仕入先への依存について

当社グループの全仕入金額に占める割合が10%以上となる主要仕入先の数及び仕入金額の割合の合計は、2社にて約80%となっております(2022年3月期)。当社グループでは、新たな仕入先の開拓に努めながらも、これら主要仕入先との取引も引き続き拡大していく方針であります。

しかしながら、何らかの事情により、新たな仕入先の開拓がうまく行かず、主要仕入先との取引条件が大きく悪化した場合又は取引額が大幅に減少した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定の製造業者への依存について

当社グループの商品売上のうち、約75%は特定の製造業者2社によるものであります(2022年3月期)。当社グループは、D2Cブランド製品の開発に努めながらも、当該商品の取扱いは継続していく方針であります。

しかしながら、当該製造業者の方針変更等により、当該商品の取扱量が大幅に減少した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 物流機能について

当社グループでは、神奈川県厚木市に自社運営による物流センターを構え、取扱商品の検品・保管・仕分・梱包といった物流関連業務を行っております。当社グループは、商品出荷件数の増加に応じて、業務フローを最適化し安定した出荷ができる環境の整備に努めるとともに、他社の物流拠点も活用を行っていく方針であります。しかしながら、これらを適時に行えず物流関連業務に滞りが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定の配送業者への依存について

当社グループでは、お客様への商品配送の大部分を特定の配送業者に委託しております。当社グループとしては同社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、適正サイズでの商品発送を行って参ります。しかしながら、近年の配送ドライバー不足などの影響を背景に配送料の大幅な値上げや取引関係の縮小などがあった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ D2Cブランドによる製品開発について

当社グループの商品のうち一部は、当社グループの商品開発部門と製造委託企業が共同で商品開発を行い、当社グループの保有するブランド名称の下、製造委託企業にて製造されるD2Cブランド製品であります。これらの製品開発においては、商品開発部門が調査を行い、さらに必要に応じ顧問弁護士に再調査依頼又は相談をするなど、第三者の知的財産権を侵害しないことを確認する体制を構築しております。しかしながら、当社グループによる製品開発に際して、意図せず第三者の知的財産権の侵害が生じた場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や商品販売を制限されることで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが販売したD2Cブランド製品の表示内容については、ペットフード安全法及びペットフード公正競争規約で定められている表示項目の確認を行っておりますが、製品の内容について不具合等が発生した場合には、大規模な返品、製造物責任法に基づく損害賠償や対応費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 需要予測に基づく商品仕入れと価格変動について

当社グループのペットヘルスケア事業において販売する商品の大部分は、需要予測に基づいた仕入れを行っております。しかしながら、実際の受注が需要予測を上回った場合には販売機会を失うこととなり、実際の受注が需要予測を下回った場合には、過剰在庫が発生しキャッシュ・フローの悪化や商品評価損が発生する可能性があります。当社グループでは販売時及び仕入時の社内フローを整備することで、キャッシュ・フローの悪化や商品評価損の発生を防止するとともに、販売機会を失うことがないように対応する方針であります。

また、当社グループのD2Cブランド製品の原材料等の価格変動や海外情勢等の外的な要因により仕入価格が高騰した場合には、代替する原材料への変更等の対応を行いますが、代替する原材料が適時に調達できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ システムトラブルについて

当社グループは、Eコマースの管理を始め、受注、発注、仕入、在庫管理、発送、売上までの多くの業務を当社が開発、運用する業務管理システムに依存しております。これらのシステムでは、それぞれ予備系統や予備データの保有機能等の二重化措置やファイアウォール、ウィルスチェック等、外部からの攻撃を回避するための対策を講じております。しかしながら、地震、台風等の自然災害、事故、停電など予期せぬ事象の発生や想定を超えたアクセスの急激な増加、コンピュータウィルスの侵入、人為的な破壊行為又は構築したアプリケーション内の不具合等、様々な要因によって当社グループのシステムの障害又は通信ネットワークに障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 個人情報の取扱いについて

当社グループは、Eコマース等による商品の販売に際してお客様の氏名、住所等の申し出を受け、多くの個人情報を保有しており、個人情報保護法の適用を受けております。このため、当社グループは、個人情報にかかる取り組みとして、データの暗号化、厳格なアクセスコントロール等に努めているほか、個人情報保護方針、個人情報保護規程及び情報セキュリティ管理規程を制定し、契約社員や派遣社員を含む全社員を対象とした社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。また、2018年3月には、プライバシーマークの付与を受けるなど、情報管理体制の整備強化に努めております。

しかしながら、外部からの不正なアクセスや想定していない事態によって個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 風評被害について

当社グループは、Eコマースによる販売を主体としており、当社グループが取扱う商品や当社グループのサービス内容について、インターネット上での書き込みが発生しやすい状況にあります。当社グループに対する否定的な風評が発生し流布した場合に、それが事実に基づくものであるか否かに関わらず、当社グループの社会的信用に影響を与える場合があります。当社グループでは「カスタマーレビューガイドライン」を公開し、お客様がレビューを投稿する時の参考にしていただくとともに、趣旨にそぐわない内容や当社を陥れるような内容の場合、当該レビューを削除する対応を行っており風評被害リスクの早期発見及び影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 知的財産権について

当社グループは、運営するサイト名称やD2Cブランド製品について商標登録を行い、商標権など知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めておりますが、第三者による当社グループの権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害を招いた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが運営するEコマース上で販売する商品及び掲載する画像については第三者の知的財産権を侵害しないように監視・管理を行っておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 組織体制について

① 代表者への依存について

当社の設立者で事業推進の中心人物でもある代表取締役社長黒澤弘は、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。

当社グループにおいては、同氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲や情報共有を進めておりますが、何らかの理由により同氏の職務遂行が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模組織であることについて

当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社グループは今後の事業拡大に向けた優秀な人材の採用やその後の人材の育成や管理職への登用を行い業務執行体制の充実を図っていく方針であります。また、当社グループは女性の活躍を推進するための就業環境の整備を推進しております。しかしながら、人材の確保が適時適切に行えない場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制の構築について

当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、今後とも業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のために内部管理体制の構築及び適切な運用を徹底して参ります。しかしながら、事業が急速に拡大することにより、内部管理体制が追いつかず、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他

① 有利子負債の依存度について

当社グループは、設備投資や運転資金に必要な資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債が884,233千円(2022年3月末現在)、総資産に対する有利子負債依存度が35.5%(2022年3月末現在)と高い状況にあります。現状は借り換えも含めて順調に資金調達ができておりますが、今後、金利水準が上昇した場合や計画どおりに資金調達ができなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

② 調達資金の使途について

当社は、2022年4月28日に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、公募増資及び第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出し)により新株式を発行し、資金調達を行いました。当該調達資金の使途については、D2Cブランド関連に充当する予定であります。

しかしながら、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくため、当初の計画を変更し、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性もあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新株予約権の行使による1株当たりの株式価値の希薄化について

当社では、当社役員、当社従業員及び外部の協力者に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下「ストック・オプション」)を付与しております。

提出日の前月末現在にて、これらのストック・オプションによる潜在株式数は332,200株であり、発行済株式総数1,840,700株の18.0%に相当しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、新株式が発行され、1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照下さい。

 

④ 配当政策について

当社は、創業以来、経営基盤の強化及び積極的な事業展開に備えるため、内部留保の充実を図り、配当を実施しておりません。株主に対する利益還元については経営の最重要課題の一つとして位置付けておりますが、当面は内部留保の充実に注力する方針であり、事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努める所存であります。

 

⑤ 災害等について

台風、地震、津波等の自然災害、火災、大規模な停電、感染症の拡大が発生した場合、当社グループのサービス運営に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要な拠点においてこれらの災害等が発生した場合には、在庫の損失や配送遅延、サービスの一時停止等といった事態の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、テレワーク勤務体制や他社拠点の活用による物流業務の分散化を行うことで、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じております。

 

⑥ 当社株式の流通株式時価総額について

当社は東京証券取引所グロース市場へ上場しており、本書提出日現在の流通株式時価総額は、同取引所が定める形式要件に近接しております。当社株式の流通株式時価総額は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後においても取引所が定める形式要件を充足し続けるために、当社グループの経営方針・経営戦略に従い、企業価値を継続的に向上させること及び資本政策を検討することで、流通株式時価総額の拡大に努める方針であります。

 

⑦ 新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、原材料や労働力の不足によって商品の供給や流通が制限される可能性がある一方で、当社グループが属するEコマース業界では、在宅での消費活動による需要が期待できるものと考えております。当社グループでは役員及び従業員等の感染を防ぐための対策を行いながら、ペットオーナーの需要に対応できる商品を供給できるように努めております。

 

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