課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社です。デジタルテクノロジーを活用しながら、保険相談、お申し込みから保険金等のお支払いまで、一貫してお客さまの視点に立った商品・サービスの提供を実現するとともに、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

(2) 経営環境

(事業を行う市場の状況)

 当社が直面している経営環境は、競合他社によるインターネットチャネルへの参入の増加等により、競争環境が厳しさを増しております。また、インターネットを取り巻く環境の変化は目覚ましく、インターネットを活用したサービスに対するお客さまの期待値も高まっているものと考えております。

 生命保険の加入チャネルに関する調査*1によると、実際にインターネットを通じて加入した割合は4.0%に留まる一方、今後インターネットを通じて加入したいと回答した割合は17.4%に達しており、当社は、今後の事業環境としてオンライン生保の成長余地は確実に存在し、今後も着実な成長可能性があると考えており、当社がお客さまのニーズに十分にお応えすることで、長期的に大きな成長余地があると見込んでおります。

 

(競合他社との競争優位性)

 当社は、開業以来、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」を「ライフネットの生命保険マニフェスト」に掲げ、徹底してお客さま視点の業務運営を行っております。

 また、従来生命保険業界においては主流の販売チャネルである営業職員等による販売とは一線を画し、当社はインターネットを主な販売チャネルとしております。インターネットを活用することにより、店舗費や人件費等を削減し低廉な保険料を実現し、高い価格競争力を有する商品を販売するとともに、保険相談、お申し込みから契約後の管理、保険金等の支払いまで、スマートフォンを通じた利便性の高いサービスを提供し、お客さまへの保険の新しい価値提供に取り組んでおります。

 さらに、当社は、自社のウェブサイトを通じた販売に加え、オンライン生保の強みを活用しながら、幅広い顧客基盤とブランド力を持つ協業パートナーとともにホワイトレーベル商品の販売を行い、より多くのお客さまに、当社の提供する商品やサービスの価値を提供しております。

 当社は、これらの取組みを開業以来継続してきたことが、競合他社との競争優位性を形成していると認識しております。引き続き、経営方針の重点領域に掲げた「顧客体験の革新」「販売力の強化」に注力し、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

 当社が、経営の柱と位置付けている「ライフネットの生命保険マニフェスト」の全文、主要商品の内容、顧客基盤、販売網等については、第1[企業の概況]3[事業の内容]の(2)マニフェストを基軸とした経営、(3)商品構成、(4)販売チャネルをご参照ください。

 

*1. 生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」

 

(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題

(経営方針)

 当社は、2018年11月に経営方針を策定し、力強い成長を実現してきました。策定当初の経営目標である「EEVの早期の1,000億円到達」が目前となったことから、2021年5月に経営目標を「EEVの早期の2,000億円到達を目指す」ことに変更しました。当社は、経営方針のもと、より一層の成長と中長期における高い収益力の実現を目指します。

 経営方針の骨子は以下のとおりです。

 

○経営方針の骨子

経営理念

正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する

目指す姿

オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニー

重点領域

・顧客体験の革新

 デジタルテクノロジーを活用し、全てのサービスを質的に高め進化させる

・販売力の強化

 積極的プロモーション及び代理店・ホワイトレーベルの拡大により、圧倒的な集客を実現する

経営目標

EEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)を
企業価値を表す重要な経営指標とし、早期の2,000億円到達を目指す

 当社が、目標となる経営指標をEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)と定めた理由は、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容をご参照ください。

 

 なお、事業環境や経営方針を踏まえて、成長投資を加速することから、法定会計上の経常損益の黒字化は、2020年代半ばから繰り下げとなる予定です。当社は、2023年度に国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を目指しており、現時点で確定したものではありませんが、IFRSのもとで適用初年度からの利益計上を見込んでいます。

 

(優先的に対処すべき課題)

① 保有契約業績の持続的な成長

 当社は、重点領域の「顧客体験の革新」と「販売力の強化」に取り組み、保有契約業績の2桁パーセントの成長を目指します。

 「顧客体験の革新」においては、幅広い年代層のお客さまに対して、オンラインでの生命保険加入ニーズが広がっていることを事業機会と捉え、その多様なニーズに応えることで保有契約の拡大を図ります。また、申し込みのフローをはじめとしたウェブサイトの改善やデジタルデータの分析に注力することで、お客さまの各種手続きの利便性を向上し、多様なニーズに応えることのできる顧客体験をお届けしていきます。特に、当社のウェブサイトに来訪してから申し込みに至るまでの体験をストレスフリーにすることに注力します。

 「販売力の強化」においては、インターネットチャネルとホワイトレーベルチャネルの2つの軸で当社の商品価値を提供してまいります。インターネットチャネルにおいては、引き続き積極的に広告宣伝を行うことで認知度の向上を図ります。また、当社の開業以来の主要な顧客層である30代を中心とした若年層の集客を強化するため、プロモーションの多角化等を行うことによってさらなる業績の伸長を目指します。ホワイトレーベルチャネルにおいては、中長期的に成長可能性のあるチャネルとして改めて位置づけ、KDDI株式会社、株式会社マネーフォワードをはじめとする現在のパートナー企業との取組みを強化します。KDDI株式会社においては、KDDIグループアセットを活用して、取組みを両社で推進してまいります。また、株式会社マネーフォワードにおいては、申込率の改善に注力し、お客さまへよりスムーズに商品を提供できる仕組みづくりを進めていきます。引き続き、パートナー企業の持つ高いブランド力と幅広い顧客基盤を活用した取組みを継続し、当社の商品価値の提供を継続してまいります。

 

② 生命保険のインターネット企業への変革

 当社は、オンライン生保市場を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指して、生命保険のインターネット企業への変革を加速させます。当社が開業以来積み重ねてきたオンライン生保としてのノウハウを活用して、お客さまと生命保険サービスをつなぐオンラインの生命保険プラットフォームの構築を目指します。

 その一環として、昨年設立した子会社であるライフネットみらい株式会社において、オンライン上で保険代理店事業を開始し、当社商品を含むオンラインで販売するに相応しい商品を提供しています。今後、生命保険以外の商品の拡充やウェブサイトの改善を重ねるとともに、将来的にはこの子会社を通して、一人ひとりのお客さまに寄り添いながら、お客さまの視点で保険に関わる課題を解決できるプラットフォームとなることを目指します。

 また、生命保険のインターネット企業への変革を実現するために、組織体制の強化も図ります。採用活動を積極化させ、特に顧客体験の革新に向けたシステム分野を中心とした人材の確保を目指します。また、従業員の成長や挑戦を支える育成体系や評価制度を進化させるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い本格的に導入したリモートワークにおける働きやすい職場環境づくりを行うなど、生産性と効率性の向上を実現する体制を一層整備することで、経営目標の達成を目指します。

 

以上の取組みを推進することで、さらなる成長を目指します。

 

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