業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業を展開しております。

前第4四半期連結会計期間に開始した蓄電池リースに関連する取引は、従来「小売事業」セグメントとして区分しておりましたが、経営管理区分の変更に伴い、当連結会計年度より「再生可能エネルギー関連事業」セグメントへ区分することに変更しており、当該変更の内容を反映させた組替え後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。

 

当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。また、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。中期ビジョンの進捗の報告については、決算短信や適時開示等で随時行ってまいります。

 

当連結会計年度の経営環境は以下のとおりです。

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症拡大により首都圏や関西圏等を中心に、2度の緊急事態宣言が発出され、その後解除された地域でもまん延防止等重点措置が続く等、一進一退を繰り返してきました。ワクチン接種率が全国的に上昇する中で感染者数が大幅に減少、さらに菅総理(当時)の自民党総裁選への立候補断念を受けて、岸田新総裁及び新内閣への期待が市場で高まり、9月には日経平均株価が終値として31年ぶりの高値となる30,670円をつけました。しかしながら、緊急事態宣言解除や岸田内閣の発足も強材料とはならず、堅調な上昇を続ける米国市場と比べると、力強さに欠ける展開となりました。ロシアによるウクライナ侵攻が開始されると、世界の物価高に拍車がかかる中、米国を中心とする金融引締めによる景気後退懸念と日米金利差の拡大が継続する見込み、日本が輸入に頼っているエネルギー及び資源価格の高騰、産業に必要な原材料の調達への支障懸念等を受けて、円と株が同時に売られる展開となり、2022年3月末の日経平均株価は27,821.43円と前連結会計年度末比4.7%の下落となりました。

 

当連結会計年度のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。

再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2020年度の事業用太陽光発電のFIT価格は12円(税抜)、2021年度は11円(税抜)となり、250kW以上の設備については入札制度適用区分として定められております。また、2022年4月より、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が改正され、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度、再生可能エネルギーポテンシャルを活かす系統増強等が示されました。

 FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しておりますが、前述のようにFIT制度に加え、FIP制度の導入、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」「ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点)」等、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは急速に広がりを見せてきております。我が国においても、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」や「エネルギー基本計画」等において、2050年までの温暖化ガス排出量実質ゼロ、S+3E(エネルギー政策の基本的視点。安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図るもの。)の原則に基づく再生可能エネルギーの主力電源化が政策目標とされています。しかしながら、ウクライナ情勢の影響によるエネルギー価格のさらなる高騰や脱ロシアの動き等により、脱炭素社会に向けた世界的な取り組みは一時的に不透明な展開となっております。

また、国内においては、再生可能エネルギーの増加に伴い、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令される回数が年々増加しており、当連結会計年度における当社グループが保有する熊本県の発電所への発令回数は合計28回に及びました。2022年4月には他の電力管轄内においても出力抑制が発令されており、今後さらに増加する可能性があります。

 

電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等によって市場価格の変動リスクが高まっております。2021年1月には、複数の要因が重なったことによる電力需給のひっ迫により、電力スポット価格は一時200円台まで高騰しました。その後春先から夏にかけての電力価格は安定しましたが、世界的な燃料価格の上昇を受け秋以降は再び高騰し、2022年2月にはウクライナ情勢を受けて一段高となり高値で推移しました。小売電気事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。

 

商品市場においては、原油価格は、ワクチン普及に伴う経済活動の活発化による需要回復と世界的な金融緩和を受けた物価上昇観測により堅調に推移していましたが、ウクライナ情勢を受けて他の資源同様、大幅に上昇しました。貴金属価格は昨年度のような新型コロナウイルス感染症の影響による高騰は終わりましたが、同じくウクライナ情勢を受けて大幅高となっております。

 

電力小売業界では多くの小売電気事業者が参入した結果、顧客獲得に向けた価格競争は激化しており、昨年来業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。その中で2021年1月にかけて起きた前述の電力スポット価格高騰に続き、2021年10月以降もスポット価格は高水準で推移し、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる小売電気事業者へ大きな打撃を与えることとなり、当該事業から撤退する企業や倒産する企業が続出しております。

 

このような市場環境等のもと、当連結会計年度における経営成績は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2021年3月
連結会計年度

2022年3月

連結会計年度

増減

増減率(%)

増減の主要因ほか

営業収益

12,280

12,769

489

4.0

①電力取引関連事業(+1,305)

②再生可能エネルギー関連事業(△766)

③ディーリング事業(△297)

④小売事業(+238)

⑤アセット・マネジメント事業(+14)

営業費用

12,017

12,241

223

1.9

①電力仕入の増加(+903)

②再生可能エネルギー関連事業の外注工事費の減少(△642)

営業利益

262

527

265

101.0

 

経常利益

95

324

229

239.4

①営業利益(+265)

②持分法による投資損失の増加(△40)

特別利益

312

21

△290

△93.1

前連結会計年度は鹿児島県内の太陽光発電設備を譲渡

したことによる特別利益及び国庫補助金による特別利

益を計上

特別損失

137

11

△126

△91.5

前連結会計年度は国庫補助金にかかる固定資産圧縮損として特別損失を計上

税金等調整前

当期純利益

270

334

64

23.9

 

法人税等合計

(※1)

138

206

68

49.4

 

非支配株主に帰属する当期純利益

10

1

△9

△89.3

 

親会社株主に帰属する当期純利益

121

127

6

5.0

 

 

※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。

※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る増加の要因については、セグメント毎の経営成績

     及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>をご参照ください。

 

 

セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。

セグメント利益:電力取引関連事業のセグメント利益は、前年比増加しました。

セグメント損失:再生可能エネルギー関連事業並びに小売事業及びアセット・マネジメント事業のセグメント損失

        は、前年比増加しました。ディーリング事業は、セグメント損失となりました。

 

(セグメント別営業収益・セグメント損益)                          (単位:百万円)

 

 

2021年3月
連結会計年度

2022年3月
連結会計年度

増減

増減率(%)

再生可能エネルギー

関連事業

営業収益

1,376

635

△741

△53.9

セグメント損益

△1

△11

△9

電力取引関連事業

営業収益

10,083

11,502

1,418

14.1

セグメント損益

302

875

572

189.5

小売事業

営業収益

146

391

244

166.9

セグメント損益

△194

△234

△39

アセット・

マネジメント事業

営業収益

133

148

14

11.0

セグメント損益

△115

△159

△43

ディーリング事業

営業収益

641

343

△297

△46.4

セグメント損益

203

△45

△248

その他

営業収益

29

23

△5

△19.9

セグメント損益

△21

△19

1

調整額

営業収益

△131

△275

△144

セグメント損益

△77

△81

△3

連結財務諸表計上額

営業収益

12,280

12,769

489

4.0

セグメント損益

95

324

229

239.4

 

※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。

※2 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益および特別損失は含んでおりません。

 

<1 再生可能エネルギー関連事業>

当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルについて、企業や自治体への展開に取り組んでおります。

 

(太陽光発電事業)

当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。

再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境が引き続き想定されます。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係わるノウハウとネットワークの力を活用して、今後は固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心に取り組んでまいります。また、併行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しつつ、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでまいります。

自社開発(建設中):

① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定

稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。

 

自社開発(運転開始):

当連結会計年度に運転開始した案件はありません。

セカンダリー市場:

新たな案件についても精査を行っております。

ポートフォリオの入替:

当連結会計年度に入替を実施した案件はありません。

維持・運営管理(O&M事業):

当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。

 

(地熱発電事業等)

当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。

宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。

この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業収益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。なお、匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。

その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、第一回匿名組合出資を受けました。なお、損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。

なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。

 

再生可能エネルギー関連事業では、前連結会計年度末に保有する発電所を譲渡したことによる売電収入の減少に加え、前述のとおり規模の大きい熊本県の発電所で合計28回(前年同期間比6回増加)の出力抑制が発せられたことにより営業収益は前年同期間比減少しました。また、当事業では地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は635百万円(前年同期間比741百万円(53.9%)の減少)、11百万円のセグメント損失(前年同期間は1百万円のセグメント損失)となりました。

 

<2 電力取引関連事業>

当事業では、小売電気事業者をサポートするために、電力取引の提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供を行っております。

電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。前連結会計年度は、冬期に電力の需給がひっ迫したことを受け、ヘッジのための電力取引は増加しました。当連結会計年度においても電力取引ニーズは引き続き堅調であり、春夏に続き燃料価格の高騰を受けた秋以降の電力取引についても取引量は増加し、リスクを抑制しながら利益を確保しております。

業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。2022年1月には日鉄ソリューションズ株式会社が販売開始する電力リスク管理システム「エネファロス」の開発にコンサルタントとして加わることを発表、2022年度以降の販売にも携わります。

なお、翌連結会計年度以降に受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3カ月以上の期間のポジションは限月が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済利益344百万円(純額)と、翌連結会計年度以降に限月を迎える電力先物取引の時価評価益82百万円(純額)は、翌連結会計年度以降に受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当連結会計年度の連結損益計算書の営業収益及び電力取引関連事業セグメント利益を押し上げる要因となっております。

以上の結果、電力取引関連事業の当連結会計年度の営業収益は11,502百万円(前年同期間比1,418百万円(14.1%)の増加)となり、セグメント利益は875百万円(前年同期間比572百万円(189.5%)の増加)となりました。

 

<3 小売事業>

当事業は、主に当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。

当社は、当社グループ内における業務効率化を目的として、2021年10月1日付にて、AEKK社を存続会社、アストマックス・エネルギー合同会社(以下、AEGK社)を消滅会社とする、連結子会社間の吸収合併を行いました。AEKK社はAEGK社の行っていた個人を中心とする低圧市場の顧客への電力・ガス販売を継承し、当社は特高・高圧市場の顧客への販売を行っております。
 

(電力小売事業)

AEKK社では「お客様のライフスタイルに合った電力プランが選べます」のキャッチフレーズの下、従来の2プランに加え、第1四半期連結会計期間に基本料金ゼロプラン、ナイトセイバープランの2つの新プランを発売し、これにより基本プランとして4つのプランのラインナップが揃うことになりました。また、第1四半期連結会計期間に実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」をリリースし、各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、AEKK社の電気ブランドを「アストでんき」とし、その知名度を上げるべくSNSでの配信や検索サイトでのリスティング広告を開始しました。さらに、節電機器メーカーとの間で節電機器の販売代理店契約を締結し、低圧電力を利用する法人向けに節電機器とアストでんきの電力プランのセット販売を展開できる体制を整えました。

一方、前述の事業環境のとおり、小売電気事業者から撤退する企業や倒産する企業が続出している中、切替えを希望する顧客も多く、顧客を増加させる好機である一方、現在の市場状況下での新規顧客獲得は電力調達コストが高騰していることから逆ザヤによる採算悪化を避けるため、プランを限定して新規顧客獲得を行わざるを得ない状況となっております。

このような状況の中、2022年3月に受付を開始した新プラン「フリープラン」は市場連動型プランでありながら、市場価格と固定価格を自由に組み合わせることができるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適した、他社との差別化ができる当社独自の商品となります。今後もサービスの拡充と知名度の向上に努め、早期の黒字化を目指して取り組んでまいります。

 

(ガス小売事業)

当事業では、取次店候補である複数の企業と交渉を行っておりましたが、2021年1月からAEKK社を取次店のひとつとしてAEKK社の既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売キャンペーンを継続しております。

 

以上の結果、小売事業の当連結会計年度は、コスト先行が継続しており、営業収益は391百万円(前年同期間比244百万円(166.9%)の増加)となり、234百万円のセグメント損失(前年同期間は194百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

2021年4月に新たに設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としております。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。

当連結会計年度においては、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。 業務代行サービスを提供している既存顧客の電力需要予測、および太陽光発電出力予測に関して、AIによる予測精度向上を確認し、順次、自動システム化に取り組んでおります。また、AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開する、株式会社LiveSmartの「LiveSmart for Business」と連携した、電力小売事業で販売している「フリープラン」向けのシステム開発を行っております。今後は、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池による蓄電事業への展開を検討しております。

 

<4 アセット・マネジメント事業>

アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月以降、新たなファンドの運用業務も受託しております。

PayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)においては、世界的な株式相場の上昇及び円安ドル高の進行局面では、投資家の間で利益確定目的での解約や満期償還に伴う資金流出が見られた他、適格機関投資家向けの新規設定私募投信への資金流入が伸び悩みました。一方、世界的な物価上昇の流れを受けて米国を中心とする金融引締めが加速すると、債券・金利ものを敬遠しての解約と、円安ドル高進行に伴うドル建て投資の私募投信の利益確定目的での解約が見られました。2022年3月末時点の運用資産残高合計は前連結会計年度末比約687億円減少の2,445億円となりました。このため、PPAM社の営業収益は前年同期間比減少を続けており、当社の連結決算上は営業外損益として取り込まれる持分法による投資損益はマイナスとなりました。

一方、AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も増加しております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は148百万円(前年同期間比14百万円(11.0%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、159百万円のセグメント損失(前年同期間は115百万円のセグメント損失)となりました。

PPAM社では、機関投資家向けビジネス、個人投資家向けビジネス共に、拡大に向けた取り組みがこれまでのところ当初計画より大幅に遅れております。しかしながら、機関投資家等の運用成果に貢献すると共に、年金基金等の中長期の投資対象となりうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力しつつ、同時に投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでおります。また、PPAM社ではこれまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家に向けて、ネット取引に加え対面型営業による長期積立型投資信託事業の展開も進めております。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループとの協働をさらに推進してまいります。

 

<5 ディーリング事業>

当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。

当連結会計年度における原油市場の動きは、一時的にマイナス価格をつける等大きく価格変動した前年同期間に比べ堅調に推移し、裁定取引の機会はやや減少しました。貴金属の裁定取引においても、前連結会計年度に乖離が多かった市場間の値差は一部を除き理論値からの乖離が減少し、裁定取引の機会も減少しました。ウクライナ情勢による商品の暴騰時は予期せぬリスクに備え取引を限定しました。市場間の値差が乖離する場面では利益につながる取引を継続したものの、全体としては取引機会の減少の影響が大きくなりました。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は343百万円(前年同期間比297百万円(46.4%)の減少)、セグメント損失は45百万円(前年同期間は203百万円のセグメント利益)となりました。

当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。

 

<6 その他(地方創生ほか)>

当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。

当事業は北海道長万部町の「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しております。当社グループはアグリ社の設立当初より出資しておりましたが、2018年6月にアグリ社の第三者割当増資を引き受け、アグリ社は当社の子会社となりました。

アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しており、2020年2月にはアグリ社の「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が、一般財団法人格付けジャパン研究機構が主催する格付け認証のミニトマト部門における総合評価において「データプレミアムNo1」の認証を取得いたしました。本「データプレミアムNo.1」の認証期限は2024年まで延長され、また、2022年3月には、鈴木北海道知事が農場視察に来訪されました。

アグリ社では継続的に商品販売の機会を確保することを目的として、Eコマースプラットフォームを活用した販路拡大も進めております。これまでの「長万部アグリYahoo!店」等に加え2021年5月には「BASE店」を開店、SNS等を利用した情報発信によっても「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」及びトマトジュースの周知活動を行っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束する中では、百貨店・ホテル・観光関連施設・飲食店等、既存のお客様への販売も再開した他、都内のイタリアンレストラン等の新規顧客も増加しておりますが、全体としては、ビニールハウスを暖める燃料費の高騰もあり、営業費用が営業収益を上回る状態が継続しております。

 

上記、セグメント利益又は損失は当該連結会計年度の経常利益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、 2,648百万円 (前年同期間比 17.9%減 )となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増加による支出(△1,252百万円)等により、 △442百万円 (前年同期は 921百万円 )となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業等に係る有形固定資産の取得による支出(△190百万円)等により、 △269百万円 (前年同期は 1,153百万円 )となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として社債の発行による収入(500百万円)等により、 133百万円 (前年同期は △1,637百万円 )となりました。

 

③ 営業収益の状況

a. 営業収益実績

当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

再生可能エネルギー関連事業

(千円)

562,223

△57.7

電力取引関連事業

(千円)

11,309,842

13.0

小売事業

(千円)

381,862

166.8

アセット・マネジメント事業

(千円)

148,280

11.0

ディーリング事業

(千円)

343,747

△46.4

その他収益

(千円)

23,416

△20.2

 

合 計

(千円)

12,769,372

4.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。

 

b. 運用資産残高の状況[アセット・マネジメント事業]

以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。

 

2021年3月

6月

9月

12月

2022年3月

合計

(百万円)

313,320

291,221

278,552

265,627

244,577

 

 

c. 太陽光発電所発電量実績〔再生可能エネルギー関連事業〕

以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。

 

発電所数

パネル出力(MW)

予想発電量(kWh)

(A)

発電量(kWh)

(B)

差異

(B)-(A)

CO2

削減効果

(kg-CO2)

2021年4月

4

10.9

1,265,852

1,153,585

△ 112,267

634,472

5月

4

10.9

1,223,087

721,919

△ 501,168

397,055

6月

4

10.9

1,153,940

1,266,344

112,404

696,489

7月

4

10.9

1,270,759

1,207,520

△ 63,239

664,136

8月

4

10.9

1,339,355

918,498

△ 420,857

505,174

9月

4

10.9

1,060,690

1,014,384

△ 46,306

557,911

10月

4

10.9

965,745

1,026,839

61,094

564,761

11月

4

10.9

814,819

822,660

7,841

452,463

12月

4

10.9

724,511

755,293

30,782

415,411

2022年1月

4

10.9

748,894

883,048

134,154

485,676

2月

4

10.9

920,979

954,224

33,245

524,823

3月

4

10.9

1,100,054

1,006,004

△ 94,050

553,302

合計

-

-

12,588,685

11,730,318

△ 858,367

6,451,675

 

(注) 1  環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出しています。

      CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は12,769百万円(前期比489百万円の増加)、営業費用は12,241百万円(前期比223百万円の増加)、営業利益は527百万円(前期比265百万円の増加)、経常利益は324百万円(前期は229百万円の増加)となりました。

営業収益の増加は、電力取引関連事業における電力価格の高騰や取引が活発化したことによる増加が、再生可能エネルギー関連事業やディーリング事業の営業収益の減少を上回ったことによります。営業費用の増加は、再生可能エネルギー関連事業の外注工事費は減少したものの、電力取引関連事業の電力の仕入れが増加したことによります。

営業外費用に計上している持分法適用関連会社による損失は増加しましたが、税金等調整前当期純利益は334百万円(前期比64百万円の増加)となりました。法人税等合計は206百万円(前期比68百万円の増加)、非支配株主に帰属する当期純利益は1百万円(前期比9百万円の減少)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は127百万円(前期比6百万円の増加)となりました。

配当後の非支配株主持分を除いた純資産額は2021年3月期末の5,488百万円から5,601百万円と112百万円増加し、純資産は6,170百万円となりました。

 

再生可能エネルギー関連事業では、当連結会計年度は、ポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備の譲渡等は無く、保有する太陽光発電所の売電収入や管理する太陽光発電所の維持運営報酬等が主な収入となり、営業収益は53.9%減となりました。営業費用については、従来より、地熱開発を含む発電所の開発に係るコストを負担しておりますが、当連結会計年度においては、新たな取組みに向けたAI研究や、システム開発関連コストが発生していることもあり、結果として、11百万円のセグメント損失となりました。

2014年度から着手している宮崎県えびの市で進めている地熱発電事業は、4本の調査井の掘削および仮噴気試験が完了しております。2019年5月には今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を実施いたしました。2020年3月にはえびの地熱社の事業損益の10%を分配する匿名組合契約を大和エナジー・インフラ株式会社と、また2021年3月にはJFEエンジニアリング株式会社と締結いたしました。

電力取引関連事業では、電力の需給が逼迫し、電力価格が急騰したこともあり、当連結会計年度は一年を通じて電力需要が減少することなく、電力取引額も増加しました。当社は効果的なポジション構築と適切なリスクコントロールにより収益を確保し、営業収益は前連結会計年度比14.1%増加し、875百万円のセグメント利益となりました。

小売事業では、電力の基本プランを新たに追加、実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給するサービスを開始、「アストでんき」の知名度向上のための施策などを実施しました。その結果として、顧客数は増加し、営業収益は166.9%増加いたしましたが、依然として、現時点においては、顧客獲得のための費用や広告宣伝費、新たな取組みに関するシステム開発等によるコスト先行となっており、セグメント損失は前期比39百万円増加し、234百万円となりました。

アセット・マネジメント事業は、ファンド運用業務の新規受注などにより、営業収益は前連結会計年度比11.0%増加したものの、利益面では持分法適用関連会社による損失が増加し、159百万円のセグメント損失となりました。

ディーリング事業は、主要商品先物銘柄における価格の変動率が低い状態が続いたこと、ロシアによるウクライナ侵攻開始後においては、予期せぬリスクに備えポジションを縮小したこと等から、結果として取引機会が制約されることとなり、営業収益は前連結会計年度比46.4%減少し、45百万円のセグメント損失となりました。

なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。

(再生可能エネルギー関連事業)

引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続しております。FIT制度からFIP制度への移行が進む中で、新しい取り組みとして、電力の自家消費モデルを企業や、自治体へ展開していくことに取り組んでおります。これは、需要家と発電事業者が、長期間の電力購入契約を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入することが可能となるという、ひとつのモデルとして、脱炭素化への貢献につながるものと考えております。

なお、同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

(電力取引関連事業)

同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、業務代行サービスを利用する顧客数及び顧客の取り扱う電力量や需給逼迫等による電力価格の高騰が経営成績に影響を与えることとなります。

(小売事業)

企業買収により小売電気ビジネスに前連結会計年度より本格参入いたしました。小売電気事業のビジネスモデルは、顧客獲得にかかる代理店・取次店等への販売報酬を営業費用として先行して認識し、顧客契約からの収益はその後一定期間をかけて回収するという特性がある為、顧客を継続的に増やしていく成長過程においては、小売電気事業者の損益計算書は費用先行になる傾向がありますが、中長期的には当社の企業価値向上に寄与するものと考えております。

ウクライナ情勢前からのエネルギー価格高騰により、小売電気事業から撤退する企業もでてきている中、契約の切替えを希望するユーザーも増加しております。これは事業を拡大することができる好機である一方、現在の電力調達コストが高騰している市場環境下での新規顧客獲得は、逆ザヤによる採算悪化を強いられることになり、現時点においては、プランを限定して新規顧客獲得を行っております。

(アセット・マネジメント事業)

PPAM社では顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、投資家による利益確定または損失限定のための投資行動などにより解約が一定期間に集中することで、同事業の業績は影響を受ける可能性があります。また、PPAM社における信託報酬率の低下傾向が今後も続くような場合も同事業の業績に影響を与える可能性があります。なお、個人投資家を対象とする長期資産形成の事業は、一定規模の事業規模を達成するためには、時間を要する事業と認識しております。

(ディーリング事業)

ディーリング事業にとって、取引対象銘柄の出来高の大幅な減少や市場変動率の著しい低下(または、その反対に著しく急激な上昇)などの市場環境によって取引機会が減少する場合、同事業の業績は大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年度に貴金属を中心とする銘柄は日本取引所へ移管が完了しましたが、東京商品取引所と大阪取引所の旧東京商品取引所銘柄を合算した日次出来高と取組高は前連結会計年度末の数字を下回っております。市場参加者の増加と流動性の向上は今後も期待されますが、これらは同事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。

当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させるには、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウを生かしつつ新たなビジネスモデルの構築を早急に進めていく必要があります。加えて、当社は持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者になる必要があると考えております。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、人財育成と確保、そして当社の事業展開を補完する事業パートナーの発掘を含め、スピード感をもって事業領域を広げると同時に深めていくことに努めてまいります。その第一歩として、中期ビジョン2025「事業の進化と深化」に沿って、事業を展開してまいります。

また、当社の各市場に関連する事業の成果は、内外の金融商品市場、電力関連市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢の影響を大きく受けるものとなっております。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。

業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(資産、負債及び純資産の状況)

当連結会計年度における総資産は、主にディーリング事業と電力取引関連事業に係る差入保証金の増加( 1,302百万円 )等により、 13,121百万円 (前年同期比 10.1%増 )となりました。

負債は、主に社債の増加( 980百万円 )及び主に短期社債の減少( 500百万円 )等により、 6,950百万円 (前年同期 18.8%増 )となりました。

純資産は、主に利益剰余金の増加( 102百万円 )等により、 6,170百万円 (前年同期比 1.6%増 )となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、 2,648百万円 (前年同期間比 17.9%減 )となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増加による支出(△1,252百万円)等により、 △442百万円 (前年同期は 921百万円 )となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業等に係る有形固定資産の取得による支出(△190百万円)等により、 △269百万円 (前年同期は 1,153百万円 )となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として社債の発行による収入(500百万円)等により、 133百万円 (前年同期は △1,637百万円 )となりました。

再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 (減損の認識)

当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

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