課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

当社グループは、「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」をグループ経営理念に掲げ、グループの創意を結集し、地域の持続的成長に貢献していく方針です。また、当社グループの長期ビジョン2030において「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿に掲げ、株式会社常陽銀行と株式会社足利銀行が培ってきたお客さま、地域とのリレーション、地域への深い理解を維持・深化しつつ、広域ネットワークを活用した経済交流圏域の広がりの追求、総合金融サービスの規模・範囲の拡大を図り、「地域産業の掘り起し、地域経済の活性化や新たな市場創造」に取り組み、地域とともに持続的成長を目指してまいります。

(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題

①金融経済環境

2021年度のわが国経済は、昨年度に続き、年度を通じて新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」といいます。)の影響を受けながらも持ち直しの動きが見られました。しかしながら、新型コロナの変異株による感染再拡大、原油をはじめとする資源価格や資材価格の高騰、さらにはロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの高まりから、年末から年度末にかけ先行きへの不透明感が増すこととなりました。

当社グループの主要営業地盤である北関東地域においては、年度前半は新型コロナの影響が続いたものの、生産活動に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、年明け以降は新型コロナの感染急拡大から個人消費が弱含んだことに加え、供給制約や資源・資材価格の上昇もあり、景気の先行きへの不確実性が高まりました。

金融市場では、円の対米ドル相場は、年度初めから9月下旬まで1ドル110円前後でのもみ合いが続きましたが、米国の利上げ観測の高まり、資源価格高騰やウクライナ情勢悪化の影響などを受けた円安の動きが進み、年度末は一時、6年ぶりとなる125円台を付けました。日経平均株価は、9月には新内閣発足による経済政策への期待などにより一時30,000円台を回復しましたが、世界的なインフレへの警戒感やロシアによるウクライナ侵攻を受けて乱高下し、3月には一時24,000円台まで下落するなど、年度を通じて値動きの荒い展開となりました。長期金利は、年末までは低位に推移しましたが、年明け以降、米国の金利上昇などを受けて上昇し、年度末には10年国債利回りが一時0.25%水準まで上昇いたしました。

②経営環境

地域金融機関を取り巻く経営環境は、長引く金融緩和政策や競争の激化、少子高齢化、産業・就労構造の変化などによって、預金や貸出金といった伝統的な金融サービス分野では厳しさが増しています。他方、脱炭素・循環型社会への移行などの大きな潮流に加え、新型コロナの世界的な感染拡大を契機としたライフスタイルや社会行動の変化、さらには非金融分野での規制緩和の進展によって、総合金融サービス分野や非金融サービス分野の広がりが期待されます。

③優先的に対処すべき課題

上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、両子銀行が長年培ってきた地域への深い理解やお客さまとのリレーション、経営統合によって生まれた広域ネットワークを最大限に活かし、中長期的な視点での課題にも目を向け、その解決に取り組み、地域とともに持続的成長を実現していく必要があります。また、持続可能な社会の実現や脱炭素化への関心の高まりによって、サステナビリティへの取組みの重要性が高まっております。

こうした課題や経営環境に対処し、地域金融機関としての使命を将来にわたって果たし続けるために、当社グループは、「長期ビジョン2030」を策定しました。また、サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題として認識し、地域の課題解決と持続的な成長とともに、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環の実現を図ることを目的とした「グループサステナビリティ方針」を制定するとともに、①地域経済・地域社会の活性化、②気候変動対応・環境保全、③デジタル化の推進、④高齢化への対応、⑤ダイバーシティの推進を特に重点的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定し、適切に対応してまいります。

(3)中期的な経営戦略

当社グループは、経営環境が大きく変化するなか地域とともに持続的成長を実現していくため、当社グループが目指していく大きな方向性として2030年をターゲットにした「長期ビジョン2030」を策定しました。この「長期ビジョン2030」の実現に向け、2022年4月から2025年3月までの3年間を「持続的成長に向け、進化に挑戦する期間」と位置付けた「第3次グループ中期経営計画」を新たにスタートしました。中期経営計画の推進にあたっては、「地域を支えるビジネスモデルの追求」、「持続可能な経営基盤の構築」、「人材の育成・活躍促進」の3つの基本戦略のもと、伝統的銀行領域の革新と総合金融サービス領域の深化を推し進め、経営体質を強化しつつ、新事業領域に挑戦し、従来の枠組みを超えて地域に貢献してまいります。

また、当社グループの持続的な成長と地域の環境・社会課題の解決の両立(サステナビリティ)への取組みを一層強化するため、地域の課題解決と持続的な成長とともに、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環の実現を図ることを目的として、「グループサステナビリティ方針」を制定し、特に重点的に取り組むべき5つの重要課題(マテリアリティ)を設定いたしました。併せて、「環境」、「人権」および「ダイバーシティ」に関する取組みを明確化すべく、これらの方針を制定し、積極的に取り組んでまいります。

サステナビリティへの取組みにおいては、お客さまへの金融サービスの提供を通じて、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、取組み期間:2021年度~2030年度、金額:3兆円(うち環境分野:2兆円)を目標として、サステナブルファイナンスを推進してまいります。

気候変動への対応においては、2030年度のCO2排出量削減目標を「ネット・ゼロ」に上方修正いたしました。今後、地域社会の持続的発展への貢献や脱炭素社会の実現に向けた取組みを加速させてまいります。

① 地域を支えるビジネスモデルの追求

当社グループが提供する地域・お客さまの課題解決に関するサービスの質を高め、事業領域を拡げていくことで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。また、デジタルサービスによる利便性と対面での高度なサービス・安心感を提供し、地域になくてはならない存在となることを目指してまいります。

伝統的銀行領域においては、デジタル技術や非対面サービスの活用によるお客さまの利便性向上、相談機能の強化や課題解決との一体提供によるサービス価値の向上のほか、有価証券運用・投融資の多様化に取り組んでまいります。総合金融サービス領域においては、コンサルティングやグループ機能を強化し、より多くのお客さまの課題解決への貢献に取り組んでまいります。加えて、新事業領域においては、当社グループの強みや戦略的な投資・提携等を活用した従来の枠組みを超える価値提供に挑戦してまいります。

② 持続可能な経営基盤の構築

デジタル技術の活用等を通して、ビジネスモデルの変革と業務革新に取り組み、新しい価値を創出するとともに経営体質を強化してまいります。

DXを推進し、非対面・リモート手続きの拡充、デジタルチャネルと対面チャネルを活用したデータの蓄積を進めるとともに、蓄積したデータやデジタル技術を活用し、新サービスの提供や従来サービスの高付加価値化に取り組んでまいります。また、伝統的銀行領域における業務革新を加速させることで経営資源を捻出し、コンサルティングなどの付加価値の高い業務や新しい事業領域に投入していくほか、事業領域の拡大に対応した経営管理体制を整備することで、グループ経営の高度化を図ってまいります。

③ 人材の育成・活躍促進

価値創造できる人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と自立性を備える集団を形成し、地域・お客さまに、新しい価値と安心を提供していくことで、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高めてまいります。

価値を創造する人材の育成・確保に向け、総合金融サービス領域の深化や事業領域の拡大に向けた人材の育成に取り組むほか、デジタル化の進展を踏まえたリスキリング機会の拡充などに取り組んでまいります。また、多様な人材の活躍機会の拡大や持続的な成長を支える組織風土の醸成に向け、ダイバーシティの実践や働きがいの充実に取り組んでまいります。

 

 

こうした取り組みを通じて、質の高い総合金融サービスの提供を実践するとともに、当社グループの企業価値の向上を図り、地域とともに持続的な成長を目指してまいります。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、第3次グループ中期経営計画の中で以下の経営指標を目標として利用し、各種施策に取り組んでおります。

目標とする経営指標

算出方法

当該経営指標を利用する理由

連結純利益

親会社株主に帰属する当期純利益

事業の成長性を追求するため

コアOHR(子銀行合算)

経費÷(業務粗利益-国債等債券損益)

(注)経費、業務粗利益、国債等債券損益はいずれも子銀行合算

業務粗利益からは、投信解約損益、日本銀行からの地域金融強化のための特別付利及び新型コロナ対応オペによる付利を除く。

経営の効率性を追求するため

連結ROE(株主資本ベース)

親会社株主に帰属する当期純利益÷((期首株主資本合計+期末株主資本合計)÷2)

経営の効率性を追求するため

 

 

 

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