当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。当行の連結財務諸表と個別財務諸表の差は僅少であるため、経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容の一部については、当行単体のものを記載しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当行グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする新たな中期経営計画をスタートしました。経営環境が大きく変化するなか、「社会と地域の発展に貢献する」というパーパス(社会的存在意義)と、「最も身近で信頼される銀行を目指す」という経営理念に立ち返り、当行グループが果たすべき3つのミッション(社会的使命)を明確化しました。
当行グループは、約24,000の郵便局ネットワークを通じて、幅広いお客さまに、各種金融サービスをあまねく提供しており、3つのミッションには、SDGsの基本理念でもある「誰一人取り残さない」という考えが貫かれています。
当行グループのパーパス・経営理念・ミッション
中期経営計画では、3つのミッションを果たすため、「信頼を深め、金融革新に挑戦」というスローガンの下、ビジネスモデルを変革するとともに、事業のサステナビリティを強化し、企業価値向上と社会課題解決の両立を図る経営(ESG経営)を目指しています。ESG経営推進に向け、5つの重点戦略を策定しており、2021年度はこれらの戦略に基づく諸施策を着実に推進しました。
また、過年度に発生したキャッシュレス決済サービスにおける不正利用事案等を受け、内部統制システムの改善に向けた取組みを進めました。お客さまにより安心・安全にサービスをご利用いただけるよう、「お客さま本位の業務運営」に一層努めてまいります。
なお、当行は、株式会社東京証券取引所の市場区分見直しに関して、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を2021年11月に提出し、経過措置適用の上(流通株式比率について基準未達成)、2022年4月よりプライム市場へ移行しました。
中期経営計画(2021年度~2025年度)の基本方針と5つの重点戦略
(リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革)
○デジタルサービス戦略の展開
安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスの拡充に努めました。
スマートフォンを使っていつでも現在高や入出金明細を確認できる「ゆうちょ通帳アプリ」について、より便利にサービスをご利用いただけるよう、投資信託の取引や口座の住所変更、送金等の機能を追加しました。通帳アプリの登録口座数は2022年3月末時点で481万口座となり、順調に利用を拡大しております。
また、「ゆうちょ通帳アプリ」をはじめ、「ゆうちょダイレクト(インターネットバンキングサービス)」や、「ゆうちょPay(スマートフォン向け決済サービス)」の本人確認機能としてご利用いただける「ゆうちょ認証アプリ」について、eKYC機能(注1)を追加するなど、セキュリティ強化に取り組みました。
(注) 1.Electric Know Your Customerの略。オンラインによる本人確認
○資産形成サポートビジネスの推進
お客さま本位の業務運営の下、対面チャネルとデジタルチャネルの双方でお客さまニーズに応じたサービスの充実に努めました。
対面チャネルにおいて、お客さま一人ひとりにあった資産形成のご相談に応じるべく、社員の更なる育成に努めたほか、スマートフォンやパソコンを使って、ご自宅等にいながら当行直営店社員に相談いただける「オンライン相談」を開始しました。
また、大和証券グループとの間で協業の検討を進めていた「投資一任サービス(注2)」について、サービス開始に向け郵政民営化法に基づく認可申請を行い、2022年3月に認可を取得しました。
デジタルチャネルにおいては、これまで以上に資産形成を行いやすい環境をご提供するため、2022年1月からデジタルチャネルでのすべての投資信託の購入時手数料を無料としました。
(注) 2.投資一任契約に基づき、投資運用業者がお客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービス
○新規ビジネスの推進
お客さまの長い人生をサポートする新サービスや、利便性をより高める新サービスを展開しました。
具体的には、2021年5月より、お客さまの急な出費や一時的な資金ニーズに対応する口座貸越サービスや、個人向け住宅融資業務(フラット35)の取扱いを開始したほか、2021年12月より、楽天カード株式会社と連携し、「楽天カードゆうちょ銀行デザイン」の取扱いを開始しました。
(デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上)
通帳繰越機能付ATMの配備推進や、一部の直営店での窓口タブレット先行導入、通帳アプリの機能拡充等、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化に取り組みました。
また、貯金事務センターにおいては、行政機関からの預貯金等照会業務の電子化の開始や、一部の貯金事務センターでのBPMS(注3)の先行導入等、業務の自動化を推進しました。
更に、電話照会事務を行うパートナーセンターにおいて、電話応対に係るAIシステムを導入し、事務効率化を図りました。
これらの取組みを通じ、直営店や貯金事務センター等の業務量を削減する一方、強化分野へ人員をシフトし、生産性の向上を図りました。
(注) 3.Business Process Management Systemの略。RPAを自動で起動し、人による確認作業等を要求するなど、業務フローをシステム的に制御し、自動的に工程管理を行うシステム
(多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化)
お客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環するため、地域活性化ファンドへの参加を新たに7件(累計39件)行いました。また、連結子会社のJPインベストメント株式会社を通じて、地域活性化やSDGsへの貢献を目的とした新たなファンドの設立に向けて準備を進めました。
更に、再生可能エネルギーファンドの設立や事業運営を行う「Zエナジー株式会社」及び当該会社が設立した「カーボンニュートラルファンド1号」に出資を行いました。
また、地域金融機関とのATM連携や、税公金取りまとめ事務の共同化を推進する等、「地域の金融プラットフォーム」として各地域の実情に応じた金融ニーズに応える取組みを行いました。
(ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化)
国内の低金利環境が継続する等、厳しい運用環境の中、リスク対比リターンやストレス耐性の強化を意識しつつ、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を2022年3月末時点で94.9兆円まで拡大しました。リスク性資産のうち、戦略投資領域(注4)については、優良な案件への選別的な投資に努め、残高を6.4兆円まで積み上げました。
また、ストレス・テストの高度化やモニタリングの強化を着実に推進し、リスク管理の一層の深化を図りました。
更に、中期経営計画において、自己資本比率(国内基準)に加え、CET1比率(国際統一基準)の平時に最低限確保すべき水準を設定しました。
(注) 4.プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域
(一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化)
○組織風土改革
お客さま本位の業務運営の更なる浸透に向け、直営店の業績評価等にお客さま本位の営業プロセスを反映させる仕組みを新たに導入しました。
また、社員の声(意見・要望等)が直接、代表執行役社長に届き、当該社員へ回答を開示する「社長直通意見箱」を一層活用し、社員の声を各種改善に活かす取組みを推進しました。
○内部管理態勢の強化
郵便局長等による部内犯罪や郵便局におけるお客さま情報の漏洩・紛失事案が発生している事態を深刻に受け止めており、日本郵便株式会社及び日本郵政株式会社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の策定・実行等、コンプライアンスの徹底・強化に取り組んでいます。
国際的な責務であるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策については、お客さま情報の取得の推進や新システム構築に向けた準備など態勢強化に取り組みました。
加えて、「リスク管理委員会」の下部組織として、新商品・サービスの導入時や導入後の審査態勢の強化を目的とした「新商品・サービス検討小委員会」や、システムセキュリティやシステムリスクについて関係部で議論・共有する「システムリスク小委員会」を新たに設置・運営する等、リスクマネジメント態勢の強化を図りました。
更に、複雑・巧妙化するサイバー攻撃への対応として、国際基準に則り策定したアクションプランを着実に実行し、サイバーセキュリティ態勢の強化を図りました。
(ESG経営の推進)
人口減少、超高齢化社会の進行、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、コロナ禍を受けた新しい生活様式の浸透、気候変動問題の深刻化など、社会環境・社会課題は大きく変化しています。
当行グループは、企業価値向上と社会課題解決の両立を通じてサステナブルな(持続性のある)経営の実現を目指す「ESG経営」の推進を、経営の最重要施策の1つと位置づけております。ステークホルダーにとっての重要性と、事業活動によるインパクトの2つの側面から、社会課題のうち特に取り組むべき重点課題(マテリアリティ)を4つ設定しており、持続可能な社会の実現に向け、その解決に取り組んでいます。
当行グループが定めた4つのマテリアリティ
4つの重点課題のうち、「日本全国あまねく誰にでも「安心・安全」な金融サービスを提供」と「地域経済発展への貢献」については、前述のとおり、リアルとデジタルの相互補完によるリテールサービスの充実や、多様な枠組みによる地域への資金循環等の取組みを推進しました。
「環境の負荷低減」に係る取組みとしては、使用電力の再生可能エネルギー化等に取り組むとともに、ESGテーマ型投資(注5)残高の積上げや、投資先との建設的な対話等、社会全体の環境負荷低減にも努めました。2022年3月には、2050年までに当行グループ及び投融資先のGHG(温室効果ガス)排出量のネットゼロ達成を目指す「ゆうちょ銀行 GHG排出量ネットゼロ宣言」を発表しました。
また、「働き方改革・ガバナンス高度化の推進」については、女性管理職比率の向上、男性育児休業取得率100%達成等によるダイバーシティ・マネジメントの推進、キャリアチャレンジ制度(社内公募)の募集コース拡大等による社員の自発的なキャリア形成促進、デジタルサービスや市場運用業務等の強化・成長分野での人材育成を推進しました。更に、テレワーク環境やフレックスタイム制の更なる推進等による職場環境整備にも取り組みました。
加えて、独立社外取締役が独立した客観的な立場に基づき、当行グループの経営上重要な課題及びガバナンスに関する重要な事項について、情報交換・認識共有することを目的とした「独立社外取締役会議」を設置する等、ガバナンスの高度化に取り組みました。
(注) 5.ESG債(グリーン債、ソーシャル債(パンデミック債含む。)、サステナビリティ債)、再生可能エネルギーセクター向け与信、地域活性化ファンド等
(中期経営計画の財務目標における当連結会計年度の実績)
中期経営計画において、財務目標として掲げている項目の当連結会計年度の実績は、下表のとおりとなりました。
(注) 6.ROE(株主資本ベース)は、連結当期純利益(当行帰属分)÷((当期首株主資本+当期末株主資本)÷2)で算出しております。
7.OHRは、経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出しております。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む。)です。なお、当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定しております。
8.自己資本比率(国内基準)は、自己資本の額÷リスク・アセット等で算出しております(なお、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載の自己資本比率とは、算出方法が異なります。)。
9.CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)は、国際統一基準(バーゼルⅢ)に従い、CET1資本÷リスク・アセット等で算出しております(ただし、一部計算項目を簡便的に算出しております。)。なお、CET1資本とは、最も損失吸収力の高い資本である普通株式等Tier1(普通株式、内部留保等)をいい、リスク・アセット等とは、資産の各項目にそれぞれのリスク・ウェイトを乗じて得た額の合計額(信用リスク)、資産の市場変動リスク相当額(マーケット・リスク)及び種々の事故リスク相当額(オペレーショナル・リスク)の和をいいます。当行は国内基準行であるものの、国際分散投資拡大に伴う、国際金融システム上の重要性の増加等を踏まえ、国際統一基準であるCET1比率(その他有価証券評価益除くベース)も目標項目として設定しております。
当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比271億円減少の1兆2,920億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加を主因に、前連結会計年度比1,854億円の増加となりました。外債投資信託の収益増加は、海外のクレジットスプレッドが概ね第3四半期までの間は低位で推移する中、収益認識できない特別分配金の減少、投資信託の解約益の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の増加、外貨調達コストの減少等によるものです。プライベートエクイティファンドの収益増加は、一部の投資先企業の企業価値が向上し、その売却が進展したこと等によるものです。役務取引等利益は、投資信託関連手数料が減少した一方、ATM関連手数料が増加したこと等により、前連結会計年度比5億円の増加となりました。その他業務利益は、外国債券の償還時為替差益の減少を主因に、前連結会計年度比2,131億円の減少となりました。
経費は、日本郵便株式会社への委託手数料の減少や、支払消費税の計算方法見直しに伴う税金の減少等により、前連結会計年度比282億円減少の9,832億円となりました。
連結業務純益は、前連結会計年度比10億円増加の3,087億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドに係る収益の増加等により、前連結会計年度比 955億円増加 の 1,821億円 となりました。
経常利益は、前連結会計年度比966億円増加の4,908億円となりました。通期業績予想の経常利益4,850億円に対し、達成率は101.2%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、3,550億円と前連結会計年度比749億円の増益となり、通期業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益3,500億円に対する達成率は101.4%となりました。
なお、「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(注) 1.連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、連結損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております(非支配株主に帰属する当期純損失を除く。)。
① 損益の概要(単体)
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比281億円減少の1兆2,908億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加を主因に、前事業年度比1,856億円の増加となりました。外債投資信託の収益増加は、海外のクレジットスプレッドが概ね第3四半期までの間は低位で推移する中、収益認識できない特別分配金の減少、投資信託の解約益の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の増加、外貨調達コストの減少等によるものです。プライベートエクイティファンドの収益増加は、一部の投資先企業の企業価値が向上し、その売却が進展したこと等によるものです。役務取引等利益は、ATM関連手数料が増加した一方、投資信託関連手数料の減少や、当事業年度にサービスを開始した口座貸越サービス関連費用の計上等により、前事業年度比5億円の減少となりました。その他業務利益は、外国債券の償還時為替差益の減少を主因に、前事業年度比2,132億円の減少となりました。
経費は、日本郵便株式会社への委託手数料の減少や、支払消費税の計算方法見直しに伴う税金の減少等により、前事業年度比292億円減少の9,809億円となりました。
業務純益は、前事業年度比10億円増加の3,099億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドに係る収益の増加等により、前事業年度比 960億円増加 の 1,815億円 となりました。
経常利益は、前事業年度比971億円増加の4,914億円となりました。
この結果、当期純利益は3,549億円、前事業年度比751億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
② 国内・国際別の資金利益等(単体)
当行は、銀行業の単一セグメントであり、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は、国内の低金利環境が継続する中、過去に投資した高利回りの日本国債の償還に伴う国債利息の減少を主因に4,022億円に減少、役務取引等利益は1,276億円、その他業務利益は△175億円となりました。
国際業務部門においては、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加等により、外国証券利息が増加し、資金利益は7,452億円、役務取引等利益は△2億円となったほか、その他業務利益は、外国債券の償還時為替差益の減少を主因に334億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は1兆1,475億円、役務取引等利益は1,274億円、その他業務利益は159億円となりました。
イ.国内業務部門
ロ.国際業務部門
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度4,760百万円、当事業年度4,404百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
③ 国内・国際別資金運用/調達の状況(単体)
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は217兆3,611億円、利回りは0.63%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は209兆9,361億円、利回りは0.10%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は211兆3,420億円、利回りは0.21%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は204兆5,294億円、利回りは0.02%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は70兆8,346億円、利回りは1.39%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は70兆2,221億円、利回りは0.35%となりました。
イ.国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度3,107,611百万円、当事業年度2,629,573百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度3,107,611百万円、当事業年度2,629,573百万円)及び利息(前事業年度1,147百万円、当事業年度△967百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度994,585百万円、当事業年度1,531,380百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度994,585百万円、当事業年度1,531,380百万円)及び利息(前事業年度3,613百万円、当事業年度5,372百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度4,102,197百万円、当事業年度4,160,954百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度4,102,197百万円、当事業年度4,160,954百万円)及び利息(前事業年度4,760百万円、当事業年度4,404百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
④ 役務取引等利益の状況(単体)
当事業年度の役務取引等利益は、2022年1月の料金改定の影響等によりATМ関連手数料が増加した一方、投資信託関連手数料の減少や、当事業年度にサービスを開始した口座貸越サービス関連費用の計上等により、前事業年度比5億円減少の1,274億円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、有価証券等の運用資産の増加を主因に、前連結会計年度末比9兆838億円増加の232兆9,544億円となりました。主要勘定については、有価証券は前連結会計年度末比1兆3,731億円増加の139兆5,773億円、貸出金は前連結会計年度末比2,497億円減少の4兆4,419億円となりました。貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前連結会計年度末比3兆8,500億円増加の193兆4,386億円となりました。
株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払により、前連結会計年度末比1,675億円増加しました。その他の包括利益累計額は、第4四半期以降の内外金利の上昇及び海外のクレジットスプレッド拡大等に伴い、前連結会計年度末比1兆2,674億円減少し、純資産は10兆3,022億円となりました。
なお、2021年8月30日開催の取締役会決議に基づき、2021年9月15日付で自己株式750,454,980株を消却したこと等により、資本剰余金は前連結会計年度末比 7,965億円減少 の 3兆5,000億円 、利益剰余金は前連結会計年度末比 3,358億円減少 の 2兆4,143億円、自己株式は前連結会計年度末比1兆2,999億円減少の9億円となっております。
① 預金残高の状況(単体)
当事業年度末の貯金残高は前事業年度末比3兆8,484億円増加の193兆4,419億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)からの預り金のうち、同機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4. 上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (2) 預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
② 資産運用の状況(末残・構成比) (単体)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は49.2兆円、その他の証券は74.1兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
③ 評価損益の状況(末残)(単体)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、第4四半期以降の内外金利の上昇及び海外のクレジットスプレッドの拡大等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から1兆8,257億円減少し、1兆2,230億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
④ 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)(単体)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末340,563百万円、当事業年度末246,483百万円であります。
キャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1兆7,658億円減少の7兆6,653億円、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1兆3,375億円減少の△1兆5,855億円、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1,025億円減少の△1,816億円となりました。その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比5兆8,982億円増加の66兆6,027億円となりました。
当面の設備投資及び株主還元などは自己資金で賄う予定であります。
また、当行グループは、正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理態勢の構築を図っております。有価証券等の運用については、大部分をお客さまからお預かりした貯金にて調達するとともに、必要に応じて外貨建てを中心に、売現先取引や債券貸借取引等による資金調達を行っております。
(参考) ポートフォリオの状況
1.ポートフォリオの概要
当行は、ALM(資産・負債の総合管理)の枠組みとして7つのポートフォリオを設け、当行の内部規程に基づく管理会計により管理しております。上図は、その概要をイメージ図として重要性の観点から簡略化して記載しております。(なお、ALMとは、有価証券等の資産や貯金等の負債の金利・期間を把握し、将来の金利変動等を予測した上で、市場・信用・流動性等のリスクを管理しつつ、収益の確保を図る管理手法です。)
① 円金利ポートフォリオ(日本国債ポートフォリオを含む。)
主に円金利リスクを取得・管理するポートフォリオです。日本国債、政府保証債、短期運用資産等の運用サイドに加え、調達サイド(貯金等)も含めて、円金利リスクを管理します。
② 日本国債ポートフォリオ
円金利ポートフォリオの内、運用サイド(短期運用資産等を除く。)を特に日本国債ポートフォリオと呼びます。
③ クレジット・ポートフォリオ
主に信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には国内外の地方債、社債等が含まれます。
④ 外国国債ポートフォリオ
主に外貨金利リスク、為替変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には外国国債等が含まれます。
⑤ 株式ポートフォリオ
主に株価変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には株式及び株式関連デリバティブ等が含まれます。
⑥ オルタナティブ・ポートフォリオ
主にオルタナティブ資産に係るリスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産にはプライベートエクイティファンド、不動産ファンド等が含まれます。
⑦ ファイナンス・ポートフォリオ
主に貸付に係る信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、地方公共団体向け貸付(郵政管理・支援機構向け貸出金を含む。)、法人向け貸付、地域活性化ファンド等への投資を実施します。
ポートフォリオ間の内部資金取引には、市場金利等をベースにした仕切りレートを、トランスファー・プライス(以下「TP」)として設定しております。
≪ポートフォリオ別資産の概要、期末残高≫ (単位:億円)
(注) 1.円金利ポートフォリオから調達サイド(貯金等)を除いたものとなります。
2.クレジット・ポートフォリオ、外国国債ポートフォリオ、株式ポートフォリオ、オルタナティブ・ポートフォリオ、ファイナンス・ポートフォリオの合計となります。
3.戦略投資領域は、オルタナティブ資産(プライベートエクイティファンド、不動産ファンド(エクイティ)等)、不動産ファンド(デット)、ダイレクトレンディングファンド、インフラデットファンド等であります。
2.ポートフォリオ別平残・損益の概要
(単位:平残/兆円、損益/億円)
(注) ポートフォリオ別平残は、期首残高と期末残高の平均であります。
ポートフォリオ別損益は、以下により算出しており、各ポートフォリオの損益の合計は当行の経常利益に概ね一致します。
損益=資金収支等(資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む))+役務取引等収支(役務取引等収益-役務取引等費用)-経費(損益計算書上の営業経費に相当)
資金収支等は、社外との実際の取引、社内の内部取引(TPを設定)を、各ポートフォリオに帰属させ、その収益・費用を計上しております。例えば、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)には、貯金で調達した資金を同期間の国債で運用した利鞘等を、リスク性資産には、国債レート(TP)の社内取引で調達した資金を同期間の社債等で運用した利鞘(信用スプレッド)等を、計上しております。
役務取引等に係る収益・費用は、大部分が為替・決済業務や投資信託販売手数料などサービス・商品販売に係る手数料とその費用であり、主に円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
経費は、以下により各ポートフォリオに帰属させていますが、そのほとんどは円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。
① 各ポートフォリオに直接帰属させることが可能な経費
ア 特定のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、当該ポートフォリオに賦課
イ 複数のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、業務に従事する社員数等に応じて各ポートフォリオに配賦
② 各ポートフォリオに直接帰属させることができない経費
各ポートフォリオの業務に従事する社員数に応じて配賦
以上により算出したポートフォリオ別損益を概観しますと、国債等の歴史的な低金利の継続を反映して、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)がALM部署から受取るTP収益が低下する一方、貯金調達レートの低下余地は限定的で、当行全体の経費のほとんどが賦課されることから、円金利ポートフォリオの損益は赤字となっております。しかし、国内金利が平常化していく局面では、基本的には収益の回復が期待されます(詳細は、「2 事業等のリスク (2) 市場リスク ① 金利リスク」をご参照ください。)。一方、外国証券等に運用を拡大・多様化してきたリスク性資産の収益は増加してきており、歴史的低金利の下で、ポートフォリオ全体の収益確保に貢献しております。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(1) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(2) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(3) 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(4) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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