文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、法改正を含む外部経営環境の変化に応じたコンプライアンスの徹底を前提として、「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というミッションの具現化と、将来にわたりこれらを継承する人財の育成の両立により、企業価値の中長期的な向上を図ってまいります。
(2) 経営環境
① 事業を行う市場の状況
当社グループの主力事業であるファイナンス事業及び故障保証事業の対象市場である国内中古車マーケットにおいて、中古車の自家用登録台数は横ばい傾向にあります。生活必需品としての色彩が強い自動車は、成熟市場でありながらも、今後もその需要は「底堅く」推移するものと考えております。
特にファイナンス事業は、競争環境の面において、新たに事業を開始するためには多額の資金及びシステム投資が必要であるため、新興企業が容易に参入できる事業ではないものと捉えております。一方、マーケットにおける当社グループのシェアはまだ低い水準にあり、将来におけるファイナンス事業の成長余地を示すものと考えております。
② 当社グループの強みについて
a.独立系であることについて
当社グループは、独立系(注)であることから、オートクレジットの主な取引先である自動車販売店(以下「オート取引先」という。)に対し、オートクレジット以外の複数サービスを提供することが可能です。
こうした複数サービスの提供によって、オート取引先ごとのニーズに応えうる「機会」=「取引の接点」を増やすこと、またサービス間の併用割引による「取引回数や利用頻度の向上」=「取引の深化」を進めることが、オート取引先との関係性をより強く・深く・長く・継続しやすくする重要なポイントであると考えております。
(注)当社グループでは、銀行の子会社や関連会社ではないことを「独立系」と表現しております。
b.ファイナンス事業における強みについて
当社グループにおきまして、オートクレジットの営業担当者(以下「営業担当者」という。)は、オート取引先に特化した営業活動を行っており、これを「オート専業」と表現しております。なお、当社グループはオートクレジット以外のクレジットも取り扱っておりますが、オートクレジット以外の営業担当者が営業活動を行っております。
競合他社によっては、営業担当者はオートクレジット加盟店以外の加盟店(例えば呉服や宝飾品類を取り扱う小売店等)も担当しており、並行的に営業活動を行っております。
一方、当社グループは、オート取引先に対してはオート専業の営業担当者が営業活動を行っております。従って、営業担当者は、オートクレジットやオート取引先の特性のみならず、自動車販売業界及び自動車そのものに対する知識・理解を得やすい環境で日々の営業活動を行うこととなり、そうした環境により培われた自動車販売業界全般への見識のもと、オート取引先のオーナーや従業員と円滑にコミュニケーションを行えるようになります。また、オート取引先の資金繰り状況についても同様に理解・把握することで、立替金の振込だけでなく、中古自動車のオークション開催日を考慮した訪問スケジュールの組立てなど、オート取引先の立場や状況を踏まえた営業活動が可能となると考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響は依然として継続していましたが、ワクチン接種の推進及び感染防止対策を講じながら営業活動を再開させ、Withコロナ体制の事業活動を進めております。また、クレジット契約書や車検証の写し等の各種書類の回収等業務の一部をオンラインに移行し、効率化を図る一方で、オート取引先とのコミュニケーションの回数に留意し、電話でのフォローを行うなど、きめ細やかな対応を継続しております。
このように、自動車販売業界全般への理解と、オート取引先の立場・状況を踏まえた営業活動を通じて、オート取引先との信頼を構築することが、当社グループの強みであると考えております。
また、同じく主要商品である「故障保証」につきましては、競合他社によっては、故障保証専属の営業担当者を配置し、自動車小売店に対して故障保証商品の営業活動を行っております。一方で、当社グループは、オート専業の営業担当者がオート取引先に対し「オートクレジット」や「故障保証」を並行的に販売しており、競合他社と比較して営業コストを抑えられることから、結果として故障保証の収益性を高めることが可能であると考えております。
c.故障保証事業における強みについて
ア.リクルートとの提携
当社グループは、株式会社リクルートホールディングスの100%子会社であり、紙媒体及びWeb媒体において自動車情報を掲載するサービス「カーセンサー」を運営する株式会社リクルートと中古車修理保証制度「カーセンサーアフター保証」の販売促進を図る目的で業務提携しております。
カーセンサーアフター保証は、当社グループにおいて開発した故障保証商品を一部カスタマイズしたOEM商品であり、株式会社リクルートが展開する中古車情報媒体「カーセンサー」に掲載している車両に付保されます。株式会社リクルートが当社グループの提携先に対し販売促進の営業活動を行う一方で、当社グループは故障保証業務(オート取引先とのカーセンサーアフター保証に係る業務提携契約の締結、お客様との保証契約の締結、保証の履行等)を受託しており、当社グループの故障保証取扱件数の増加に寄与しております。
イ.故障車両に係るデータ保有
故障保証は、お客様から金員を頂戴し、故障が発生したお客様に修理を行うスキームであるため、故障車両の走行距離、経過年数及び修理内容といった実績を蓄積し分析することで、より適切な故障保証商品の設計やプライシングが可能となります。その点、当社グループの累計故障保証契約台数は120万台(2010年4月~2022年3月の累計)を超過し、この契約台数を背景とした故障車両に係るデータを有しております。
ウ.修理対応力
当社グループは、お客様に安心してご利用いただけるよう、整備士資格を保有する社員を故障保証の受付・審査を行うコールセンターへ配置し、故障内容や修理範囲の直接確認、FAINES(注)の閲覧等を通じて、不必要な修理を未然に防止し、正確かつ迅速な車両修理対応を行っております。また、合わせて、リサイクル・リビルド部品の活用、当社グループで構築した整備工場ネットワークへの優先入庫の促進、直営の整備工場の保有などにより、修理コストの削減を徹底しております。
(注)FAINESとは、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が整備事業者に対して提供する、整備マニュアルや故障整備事例等の情報データベースをいいます。
d.オートモビリティサービス事業における強みについて
ア.整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築
当社グループは、整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築しております。故障保証事業にて発生した修理車両をこの整備工場ネットワーク及び有料会員組織へ優先入庫することで、修理コストを削減しています。また、整備工場は当社グループのネットワーク及び有料会員組織に加入することで当社グループからお客様を獲得することができるため、双方にメリットのある関係性を構築しております。このことから、整備工場ネットワーク及び有料会員組織は順調に拡大しております。また、これらが拡大してくると、当社グループの自動車部品、車両卸及びソフトウェアの販売先が増えることにもつながり、オートモビリティサービス事業の更なる業容拡大が可能となります。
イ.グループ間での車両の有効活用
当社グループは、ファイナンス事業にて一定期間延滞となったお客様の車を引き揚げて、売却することでお客様の債権残高に充当しております。オートモビリティサービス事業では、その引揚車両を当社グループの有料会員組織に通常の仕入れよりも安い価格で販売することで、当社グループは利益を獲得しながら、有料会員にもメリットのある関係性を構築しております。
ウ.ソフトウェア販売
当社グループは、整備工場向けの業務ソフトウェアの販売を行っております。ソフトウェアの内容は競合他社と遜色ないものではありますが、より安い価格で提供することで、販売の拡大を目指しております。
③主要サービスの内容
a.ファイナンス事業について
当社グループが提供するクレジットは、お客様が商品やサービスを購入しようとするごとに、クレジット会社へ申込みを行い、審査を受けるクレジットであり、割賦販売法第二条第4項に定められる「個別信用購入あっせん」のクレジットに分類され、クレジットカード(割賦販売法第二条第3項第1号に定められる「包括信用購入あっせん」)のように、発行にあたりお客様がクレジット会社へ申込みを行い、審査を受け、発行された後は設定された限度額や有効期限内であれば改めて審査を受けることなく商品やサービスを購入できるクレジットとは異なります。
主要な商品は、自動車の購入に伴うクレジット(オートクレジット)ですが、太陽光発電システム等の購入に伴うクレジット(エコロジークレジット)等も取り扱っております。
(ファイナンス事業における取引の流れ)
当社グループが提供する「個別方式」のクレジットには、「立替払方式」及びその派生形である「提携ローン方式」の二つがございます。当社グループでは、当連結会計年度末におけるクレジット債権残高(注)全体に対し「提携ローン方式」が取扱いの中心となっておりますが、ここでは「立替払方式」、「提携ローン方式」の順で記載させていただきます。
(注)クレジット債権残高とは、開業から各連結会計年度末等のある時点までの累計取扱高(クレジット元本及び分割払手数料の合計)のうち、当該時点において、お客様から返済されていない金額の総額をいいます。
ⅰ)立替払方式
立替払方式とは、加盟店が行うお客様への商品販売等を条件として、当社グループがその代金の全部又は一部に相当する金額を加盟店へ立替払いし、お客様から分割返済を受ける方式をいいます。
なお、立替払方式においては、お客様が支払う分割払手数料の全額から、加盟店に対する販売促進費を控除した金額が営業収益に計上されております。一方、金融機関に支払う調達コストは、通常の運転資金の調達コストと同様に、営業費用に計上されております。つまり、金融機関に支払う調達コストは、営業費用として営業収益から控除され税引前利益が算出されます。従って、営業収益から営業費用を控除した金額で、提携ローン方式と立替払方式との間に差異はありません。また、保険会社へ支払う保険料(注)は、営業費用に計上されております。
(手数料の内訳)
(立替払方式の取引の流れ)
取引の流れは以下のとおりです。
① お客様が加盟店に対して商品購入等を目的としたクレジットを申込み
(その後、加盟店からプレミア㈱にFax又はWebで情報連携)
② プレミア㈱がお客様の信用情報等を審査、承認
③ プレミア㈱が加盟店にクレジット代金及び販売促進費を送金
④ 加盟店がお客様へ車両等、購入商品を引渡し
⑤ お客様がプレミア㈱へクレジット代金を返済(月次返済)
(注)クレジット債権の未回収リスクを低減させるため、当社グループは、複数の損害保険会社と取引信用保険包括契約(立替払方式のクレジット債権を対象とするもの)並びに保証機関型信用保険包括契約(提携ローン方式のクレジット債権を対象とするもの)を締結しております。当該保険契約は、お客様の債務不履行により当社グループが被る損害を回避することを目的とし、お客様が加盟店との間でオートクレジット商品(四輪車、二輪車、パーツ及び整備代金等オート関連商品を含む。)を売買するにあたり、当社グループとお客様との間で締結したクレジット契約に基づき発生したクレジット代金をその対象としております。当該保険契約は、毎月月末の保険対象債権の残高に対し保険料率を乗じ、翌月末日に保険料を支払うサイクルとなっており、また半期に1回、保険金請求手続のうえ、保険金支払いを受けております。なお、保険金請求の対象債権につきましては所定の要件を設けております。
ⅱ)提携ローン方式
提携ローン方式とは、金融機関がお客様に対する資金融資を行う一方で、お客様の審査や加盟店に対する立替金の精算、お客様からの分割返済に係る事務全般を当社グループに委託する方式をいいます。なお、お客様の債務は当社グループが金融機関に対して連帯保証いたします。
具体的には、加盟店が行うお客様への商品販売等を条件として、その代金の全部又は一部に相当する金額を、提携金融機関が当社グループを通じて加盟店へ支払います。資金の融資にあたり、当社グループ所定の審査を実施いたしますが、当該審査につきましては、立替払方式と同等の基準で行っております。また、お客様からの月々の分割返済金も当社グループを通じて提携金融機関へ返済いたします。
なお、提携ローン方式においては、お客様が支払う分割払手数料のうち、最終的に当社の収益(税引前利益)となる信用保証料相当部分のみ営業収益に計上されております。つまり、お客様が支払う分割払手数料のうち、提携金融機関に支払う調達コストや加盟店に対する販売促進費は営業収益には含まれません。また、立替払方式と同様、保険会社へ支払う保険料は営業費用に計上されております。
(手数料の内訳)
(提携ローン方式の取引の流れ)
取引の流れは以下のとおりです。
① お客様が加盟店に対して商品購入等を目的としたクレジットを申込み
(その後、加盟店からプレミア㈱にFax又はWebで情報連携)
② 提携金融機関がお客様の審査を実施、プレミア㈱がお客様の信用情報等の保証審査を実施、承認
③ プレミア㈱が加盟店にクレジット代金及び販売促進費を送金
④ 提携金融機関がプレミア㈱にクレジット代金を送金
⑤ 加盟店がお客様へ車両等、購入商品を引渡し
⑥ お客様がプレミア㈱へクレジット代金を返済(月次返済)
⑦ プレミア㈱が提携金融機関にクレジット代金を返済(月次返済)
b.故障保証事業について
当社グループが提供する故障保証とは、お客様が当社グループの提携先を通じて自動車を購入し、保証サービスの提供を希望される場合、一定の保証料をお支払いただくことで、購入された自動車に故障が発生した際、あらかじめ定めた保証の提供範囲内において、無償で修理が受けられる故障保証サービスです。
当社グループは、提携先の営業戦略や取扱車種、お客様の利便性等を考慮し、提携先のニーズに応じた異なる商品を提供しております。以下に、当社グループが提供する代表的な故障保証商品を記載いたします。
ア.プレミアの故障保証
当社グループにおいて開発した自社ブランドの故障保証商品であり、以下に記載する「カーセンサーアフター保証」や「その他OEM」の開発の基本形となる商品であります。なお、2019年10月に商品改定を行い、「プレミアの故障保証」へ名称変更しております(旧商品名「プライムワランティ」)。
プレミアの故障保証は最大397項目の部位を保証しており、代表的な機構として、エンジン機構、ブレーキ機構、エアコン機構、電装装備品がございます。また、自動ブレーキシステム等の先進機構も保証対象として含まれております。
イ.カーセンサーアフター保証
当社グループにおいて開発した故障保証商品を、株式会社リクルートとの提携先に応じて一部カスタマイズしたOEM商品であります。カーセンサーアフター保証は、株式会社リクルートが展開する中古車情報媒体「カーセンサー」を利用する提携先に対し提供され、カーセンサーに掲載される車両に付保されるものであります。
ウ.その他OEM
当社グループにおいて開発した故障保証商品を、月間30台程度の販売ベースをもつ提携先により一部カスタマイズしたOEM商品であります。提携先の販売する車種構成等に応じ、対応車種や対応保証範囲をカスタマイズすることで、当連結会計年度末においては、基本プラン5類型、約1,000種類のOEM商品を提供しております。
(故障保証事業における取引の流れ)
故障保証事業においては、当社グループが提携先から受領した故障保証代金は、まず「その他の負債」として計上し、保証期間の経過に伴い収益に計上しております。また、当社グループが整備工場等に支払う修理代金が営業費用に計上されております。
取引の流れは以下のとおりです。
① 提携先がお客様へ故障保証を販売
② お客様が提携先へ故障保証代金を支払い
③ 提携先がプレミアワランティサービス㈱に故障保証代金を支払い
④ プレミアワランティサービス㈱からお客様へ保証書を発行
⑤ 故障発生時、お客様から提携先又はプレミアワランティサービス㈱へ入電
⑥ プレミアワランティサービス㈱から整備工場等への車両入庫を誘導
⑦ お客様から整備工場等へ車両を入庫
⑧ プレミアワランティサービス㈱が工場等から修理見積を取得
⑨ プレミアワランティサービス㈱と整備工場等が修理見積内容への審査及び交渉
⑩ 修理後、整備工場等からお客様へ車両を納品
⑪ 整備工場等からの請求に基づき、プレミアワランティサービス㈱から修理代金を支払
c.オートモビリティサービス事業について
当社グループのオートモビリティサービス事業では、当社グループが自動車部品及び車両の仕入れ並びにソフトウェアの開発等を行い、自動車販売店や整備工場等のモビリティ事業者向けに販売を行っております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「第2.事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載の経営環境に加え、自動車業界はCASEやMaaSに代表されるような100年に一度の大変革期を迎えており、この新しい時代に対応するべく、将来、カーシェアやメンテナンスの拠点となり得る自動車販売店や自動車整備工場とのネットワークづくりを進めていくことが、中長期的に重要になると考えております。そのため、2020年2月14日に発表した2023年3月期までの3ヵ年の中期経営計画では、当社グループは「オートクレジット企業」から「オートモビリティ企業」へと変化していくことを基本方針に掲げ、従来の主力事業であるファイナンス分野、故障保証分野を引続き拡充していくことに加え、新たにオートモビリティサービス分野を確立し、複合的に加盟店や個人の皆さまと接点を持ち、自動車ビジネスにおけるプラットフォームになることを目指しております。
なお、当該中期経営計画は、新型コロナウイルス感染症の影響を加味し、主に定量的情報(「経営成績の見通し」)の見直しを行い、2021年5月13日に改めて公表しております。見直し後の、経営上の目標の達成状況を判断するための重視する財務指標は下表のとおりです。
重視する財務指標 |
2022年3月期 (計画値) |
2022年3月期 (実績) |
2023年3月期 (計画最終年度) |
営業収益 |
214億円 |
208億円 |
258億円 |
税引前利益 |
35億円 |
40億円 |
49億円 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
24億円 |
29億円 |
33億円 |
上記の方向性のもと、当社グループにおいて優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① ファイナンス事業の深化
ファイナンス事業の主要サービスであるオートクレジットにおきましては、その取扱高を伸長し、業界内におけるシェア向上を図るため、営業力の拡大や営業エリアの更なる開拓、加盟店の稼働率の向上が重要と考えております。また、収益のみならず、利益の向上を目指し、バックオフィスの効率化にも取り組むほか、国内で培ったノウハウを活用し、東南アジアを中心とした海外展開にも注力してまいります。既に進出しているタイ王国では、現地でファイナンス事業を営むEastern Commercial Leasing p.l.c.の業務支援を行っており、海外展開における布石としてまいります。
② 故障保証事業の拡充
故障保証事業におきましては、その市場自体の拡大が今後の事業伸長において重要であると考えております。そのため、引き続き営業活動の強化と、加盟店・個人のお客様双方のサービス自体の認知度向上に努めてまいります。また、収益のみならず、利益の向上を目指し、故障が発生した修理車両を当社グループに加盟している整備工場ネットワークへ入庫誘導し、当社グループ内で調達した中古部品を修理に利用することで、原価削減も図ってまいります。また、ファイナンス事業と同様に、海外展開にも注力してまいります。既にタイ王国、インドネシア共和国及びフィリピン共和国において事業を開始しており、既存展開先での収益化と新たなニーズの獲得に努めてまいります。
③ オートモビリティサービス事業の拡充
オートモビリティサービス事業におきましては、新しい収益の柱として、早期収益化が重要であると考えております。そのため、既に収益化しているサービスの取引量の伸長に加え、既存事業とシナジー効果のある新しい事業領域への参入に取り組んでおります。展開するサービスラインナップを拡充することで自動車販売店・自動車整備工場などのモビリティ事業者への訴求力を高め、ファイナンス事業や故障保証事業とのクロスセルの促進に努めてまいります。
④カープレミア事業(モビリティ事業者向け会員組織の開拓・推進事業)の確立
カープレミア事業におきましては、モビリティ事業者向け経営サポートサービスの提供により、会員組織を早期に確立させることが重要であると考えております。会員に特化した営業組織や企画運営を行う体制を築くことで、会員個々の満足度向上を図り、より強固な信頼関係を構築し、当社グループのサービスの稼働率の向上や各事業とのシナジーの創造に繋げてまいります。
⑤ 組織力の強化
今後も積極的な新卒・中途採用活動を継続するとともに、人財の多様性が増していく中にあって、従業員個々の経験値の蓄積や組織としての一体感の維持、マネジメント力の更なる強化が必要であると考えております。そのため、知識・実務に係る社内研修及びOJTのみならず、当社グループの行動規範である「バリュー」という概念に基づいた研修を、執行役員を含む従業員層に対し継続的に実施することで、全従業員が各自の職務の中でその役割を体現できる、「高みを目指す」「最後まで諦めない」「既成概念の打破」といった組織風土を醸成してまいります。
⑥ グループ企業の統括
事業拡大に伴いグループ企業が増加している当社グループにおきましては、グループシナジーを創出するために、優れた事業戦略の構築に加え、コンプライアンス強化や適切なリスク管理が重要であると考えております。また、ファイナンスをはじめとした各事業に統括会社を設置し、グループ企業の事業進捗の把握や計数の管理を徹底してまいります。
⑦ ESG・SDGsに対する取り組み
「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」に関する課題に適切に対応するESG経営を推進し、事業活動において策定した持続可能な開発目標(SDGs)を達成することが、企業価値の継続的な向上を図るうえで重要であると考えており、以下の課題に取り組んでまいります。
・E 資源循環型社会への取組み、脱炭素社会への取組み
・S (社会資本)顧客のプライバシー及びデータ保護を徹底、適切な取引・販売プロセスの実施
(人的資本)従業員の働き甲斐の醸成・人財育成、従業員の健康と安全の保護
・G コーポレートガバナンス体制の拡充、コンプライアンス強化・リスク管理
・その他競争力強化に向けた取組み・イノベーション、サプライチェーンマネジメント
また、地球温暖化が事業にもたらすリスクと機会を評価し、シナリオ分析を通じた長期的な経営戦略の策定が急務と認識しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に即した活動推進に努めるとともに、TCFDが推奨する情報開示に向けて積極的に取り組んでまいります。
⑧ 中期経営計画における重点課題に向けた取組み
2023年3月期までの3ヵ年の中期経営計画(2021年5月に見直しを実施)において、設定した重点課題に取り組み、定量目標を達成していくことで、当社グループにおける事業基盤をより盤石なものにしていくとともに、事業領域を拡大できる企業体力を養成し、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
⑨ 新型コロナウイルス感染症への対応及びDXの推進
新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に留めるよう、十分な感染対策を行いながら既存の営業活動を実施していくとともに、取引工程や業務をオンライン化し、安全かつ効率性の高い手法に移行していくことが重要であると考えております。また、オンライン化のみならず、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進により、新たなビジネスモデルを確立し、競争力を強化していくことも重要であると考えております。先般策定した「DX戦略」のとおり、DX推進のため、経営陣を責任者とした専門組織を設置して、事業を横断した取組みを進めており、競争力強化や更なる企業価値の向上を目指してまいります。
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