業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

① 財政状態および経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種の進展や政府の各種政策等から、一時は持ち直しの動きがみられましたが、新たな変異株の出現による感染再拡大により再び経済活動が抑制される等、厳しい状況で推移しました。さらに、上海等におけるロックダウン等の公衆衛生上の措置による影響も国内経済へと波及しましたが、これら内外の感染症の動向に加えて、長期化するロシアのウクライナ侵攻を背景とした資源価格や原油価格の世界的な高騰、先進国を中心としたインフレ高進による経済・物価情勢への影響、さらには日米の金利差拡大等による急激な円安の進行等、先行きは依然として不透明な状態にあります。

海外に目を向けますと、米国経済は、これまで積み上がってきた消費者需要の盛り上がりから、個人消費を中心に景気は回復しました。中国経済も、感染拡大に伴う厳格な公衆衛生上の措置の影響が和らぐもとで、下押しされた状態から持ち直しつつあります。欧州経済は、エネルギー価格上昇等の影響により減速しつつも、経済活動の再開が続くもとで、基調としては回復しています。

 

このようななか、当社が主力とするアフターマーケット事業におきましては、国内市場においては、引き続き堅調な巣ごもり需要に支えられるとともに、新商品の投入効果等もあり、主にマフラー商材やターボ・エンジン関連商材で売上が好調に推移しました。なお、サスペンション商材においては、7月より新規ラインアップ「HIPERMAX R」の展開を開始し、対応車種の拡大を進めながら、こちらも好調に推移しております。海外市場においては、引き続き船便の確保や輸送コストの上昇が課題として残るものの、好調な米国向けが需要を牽引し、マフラー商材やサスペンション商材、スーパーチャージャー等が好調に推移したことから、売上全体では前期を上回りました。なお、第3四半期連結会計期間にて、ロックダウン等の影響で出荷が足止めとなっていた中国向けについては、出荷が徐々に回復基調にあります。

このような環境のもと、当社は主要商材のひとつであるマフラー商材の生産能力を高めるため、タイ国にあるマフラー生産子会社の工場拡張と生産能力増強に取り組むとともに、本社工場においては、工場内レイアウトの見直しや生産設備の増強等をすすめてまいりました。これにより、国内外で高まる需要にタイムリーに対応するとともに、体験、体感に訴えるイベントや試乗会、SNS等を通じてお客様との接点を増やすことで、より市場の声を反映した、お客様に喜んでいただけるものづくりを推進するための施策に取り組んでおります。

アフターマーケット以外の分野では、一部の製品にて、供給制約の影響等による委託企業の生産調整の影響は残るものの、開発受託売上の伸び等に牽引され、売上全体では前期を上回りました。以上の結果、当連結会計年度における連結売上高は8,629百万円(前期比8.3%増)となりました。

損益面では、原材料価格の高騰や電気料等の上昇に加え、販売費及び一般管理費が、輸送費の高騰による販売運送費の増加や、労働環境の整備等に伴う修繕保守料の増加、および前期に控えていた広告宣伝費や旅費交通費の増加等により、前期比で221百万円増加しましたが、売上高の増加と、増産による工場稼働率の上昇等による売上総利益率の改善により、営業利益は532百万円(前期比43.0%増)となりました。経常利益は、為替が前連結会計年度末に比べて円安に進んだこと等から720百万円(前期比58.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、土地等の売却による固定資産売却益はありましたが、製品の自主回収に伴う補償費、および土地に対する減損損失の計上等により496百万円(前期比40.9%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

b.財政状態の状況

当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ607百万円増加し、13,091百万円となりました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べ128百万円減少し、6,289百万円となりました。これは主に、欠品による失注防止のため、顧客需要の高い製品を中心に製品が398百万円増加したものの、満期償還等により有価証券が399百万円、現金及び預金が106百万円、それぞれ減少したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ736百万円増加し、6,801百万円となりました。これは主に、売却および減損損失の計上等により土地が146百万円減少したものの、新規取組等により投資有価証券が831百万円増加したこと等によるものです。
 負債は、前連結会計年度末に比べ65百万円増加し、3,571百万円となりました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べ90百万円減少し、2,510百万円となりました。これは主に、製品補償引当金70百万円等の増加がありましたが、短期借入金が241百万円減少したこと等によるものです。
 固定負債は、前連結会計年度末に比べ155百万円増加し、1,061百万円となりました。これは主に、長期借入金が132百万円増加したこと等によるものです。
 純資産は、前連結会計年度末に比べ542百万円増加し、9,520百万円となりました。これは主に、利益剰余金が411百万円、為替換算調整勘定が106百万円、それぞれ増加したこと等によるものです。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ406百万円減少し、1,848百万円となりました。

なお、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果取得した資金は658百万円(前期は1,212百万円の取得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額259百万円、法人税等の支払額177百万円等の資金の減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益692百万円、減価償却費573百万円等の資金の増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は946百万円(前期は277百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得額805百万円等の支出があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は166百万円(前期は312百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の増加額190百万円の増加要因がありましたが、短期借入金の減少額300百万円等の減少要因があったことによるものです。

 

③ 生産、受注および販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年9月1日
 至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

自動車等の関連部品事業(千円)

8,862,419

118.9

その他の事業(千円)

合計

8,862,419

118.9

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自動車等の関連部品事業

1,018,079

85.4

283,348

93.5

その他の事業

合計

1,018,079

85.4

283,348

93.5

 

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年9月1日
 至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

自動車等の関連部品事業(千円)

8,629,041

108.3

その他の事業(千円)

703

28.1

合計

8,629,744

108.3

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Turn14 Distribution, Inc.

896,851

11.3

1,210,493

14.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり重要となる会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

連結財務諸表の作成に当たっては、経営者の判断のもと、一定の前提条件に基づく見積りが必要な場合があり、期末時点で入手可能な情報に基づき見積りを行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等の諸条件や前提条件の変化によって見積りと将来実績が異なることがあります。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当連結会計年度は、中期経営計画「HKS Transform to 50th」(2021年8月期から2023年8月期まで)の2年目に当たります。当社では、同中期経営計画における長期ビジョン「アフターマーケットで築き上げた独自技術とOEM開発で培った知識・技術を融合し、今までにないものを創り出す「世界に通用するトップブランド企業」を目指す」に基づき、「インナーブランディング」「パッケージ展開からコンプリート展開への転換」「CASEに対応した受託開発および量産事業の獲得」「IoT、AIを取り入れた電子制御製品の展開」をテーマとして定め、これに基づいた各種施策を推進してまいりました。

 

当期は、連結売上高8,230百万円、営業利益393百万円、経常利益405百万円、親会社株主に帰属する当期純利益283百万円の計画でスタートし、第2四半期にて同計画を連結売上高8,400百万円、営業利益481百万円、経常利益550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益453百万円に修正いたしましたが、これに対し、連結売上高は8,629百万円(達成率102.7%)と計画を229百万円上回りました。これは、タイムリーな新製品の投入の成果に加え、前期同様、コロナ禍での消費行動の変化のなかで、車のカスタマイズが「コロナ禍でも楽しめる趣味」として受け入れられたことや、マイカーを含む個人での移動手段が、公共交通機関の利用に代わる新たな通勤・通学の手段として見直されたこと、加えて各自動車メーカーがスポーツカーのラインアップを充実させてきたこと等により、車を単なる移動手段としてではなく、車そのものを楽しむ消費が増えたことによるものです。売上高を地域別で見ますと、国内のアフターマーケットは前期比で3.4%の増加となり、製造受託、開発受託事業においては、コロナ禍に伴う委託企業の生産調整等の影響はあったものの、開発受託売上の伸びにより、売上高は前期比で11.1%の増加となりました。これらの結果により、国内全体では前期比255百万円の増加(4.6%増)となりました。海外の売上高につきましては、堅調な米国市場が売上を牽引し、北米では前期比383百万円の増加(41.0%増)となりましたが、アジアの売上高は、中国市場がゼロコロナ政策によるロックダウン等の影響で、出荷が一時的に滞った影響等から、前期比32百万円の増加(2.9%増)にとどまりました。また、ヨーロッパの売上高は、前期比14百万円の減少(5.7%減)となりました。

損益面では、売上高が増加したこと、および売上高の増加で工場稼働率が改善し、売上総利益率が前連結会計年度の39.1%から40.5%に上昇したこと等により、輸送費高騰による販売運送費の増加や、労働環境の整備等に伴う修繕保守料の増加、コロナ禍による行動制約の緩和等による広告宣伝費や旅費交通費の増加等で、販売費及び一般管理費が前期比221百万円増の2,963百万円へと増えたにもかかわらず、営業利益は481百万円の計画に対し51百万円増の532百万円(達成率110.7%)となりました。また、経常利益は、為替が円安に振れたことによる為替差益144百万円の計上等により、550百万円の計画に対し170百万円増の720百万円(達成率131.1%)、税金等調整前当期純利益は、土地等の売却による固定資産売却益がありましたが、製品の自主回収に伴う補償費、および土地に対する減損損失の計上等により、前期比201百万円増の692百万円(41.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は453百万円の計画に対し43百万円増の496百万円(達成率109.5%)と、それぞれ計画を上回る結果になりました。

 

③ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症の影響下、新たな変異株による感染の再拡大はありましたが、今後はワクチン接種の進展に加え、政府の経済対策や世界的な供給制約の緩和、外需の増加等により、資源価格の上昇等による交易条件の悪化等の下振れリスクを抱えつつも、景気は緩やかな回復に向かっていくものと予想しております。当社におきましては、当連結会計年度は巣ごもり消費の影響もあり業績は好調でしたが、今後も半導体を中心とした世界的な部品調達難や、資源価格の高騰と海外の経済・物価動向による原材料価格の上昇、コンテナ不足と輸送費の高騰等、次期の売上高・利益に影響を及ぼす要因が多々あります。そのようななか、当社では引き続きトヨタGR86やGRヤリス、スバルBRZ、WRX等、当社が重点車種として積極的に新製品の投入を行うスポーツタイプの車両に注力していくとともに、リリースされて間もない日産フェアレディZや、間もなくリリース予定のトヨタGRカローラにつきましても、お客様をお待たせしない、迅速かつ積極的な製品開発に取り組んでまいります。

 

 

④ 当社グループの資本の財源および資金の流動性について

当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための原材料購入費用および製造費用、販売費用、研究開発費、生産能力強化のための設備投資費用等であります。

これらの資金需要への対応は、主に自己資金および金融機関からの借入による資金調達を基本としております。

当社の資金状況は、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高が前連結会計年度末に比べ406百万円減少し、1,848百万円となりました。

流動性の確保に関しましては、当連結会計年度における流動比率は250.6%、当座比率は147.2%となっており、十分な流動性を確保していると認識しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2020年8月

2021年8月

2022年8月

自己資本比率(%)

73.3

71.9

72.6

時価ベースの自己資本比率(%)

19.7

21.0

21.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.8

1.0

1.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

69.1

272.2

560.8

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得