業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の我が国経済は、景気の持ち直しの動きが続いたものの、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大影響や半導体をはじめとした部品の供給不足等による下振れリスクに注意が必要な一年となりました。

 当社グループの属する自動車産業においても、市場の新車需要が持ち直している一方で、感染症の拡大影響や半導体不足等により生産活動が制約される状況が続きました。さらに、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる状況に加え、原材料価格が高騰している傾向にあり、当社グループを取り巻く環境は引き続き不確実性の高い状況が続くと考えられます。

 このような環境において、当社が日産自動車株式会社から受注しております自動車の売上台数は、半導体不足に起因する減産等により、前連結会計年度と比べ15.4%減少の113,775台となりました。売上高は、主に台数減少の影響や有償支給取引等における「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用による1,101億円減収の影響により、1,475億円減少の2,153億円となりました。

 損益面では、営業損益は売上台数の減少等により40億円悪化の35億円の損失、経常損益は45億円悪化の25億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は41億円悪化の22億円の損失となりました。

 なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 当社グループの報告セグメントにおける自動車関連セグメントの比率が極めて高いため、上記の事業全体に係る記載内容と概ね同一と考えられます。よって、セグメントごとの記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は528億円となり、前連結会計年度末に比べ729億円減少いたしました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純損失の計上などにより、前連結会計年度末に比べ3億円減少の78億円となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、長期貸付けによる支出や固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度末に比べ746億円増加の751億円となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、リース債務の返済による支出等があったものの、前連結会計年度末に比べ大きく変動せず、56億円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

台数(台)

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

前期比(%)

自動車関連

113,775

△15.4

209,350

その他

6,009

合計

113,775

△15.4

215,359

(注)1 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、これにより大きな影響の生じる生産実績の対前年同期比は記載しておりません。

 

b.受注実績

 自動車関連部門は日産自動車㈱より生産計画を受け、これに基づき当社の生産能力等を勘案して生産計画を立て、生産を行っております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

台数(台)

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

前期比(%)

自動車関連

113,775

△15.4

209,350

その他

6,009

合計

113,775

△15.4

215,359

(注)1 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、これにより大きな影響の生じる販売実績の対前年同期比は記載しておりません。

4 相手先別の販売実績及び販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日産自動車㈱

356,667

98.3

209,875

97.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中括弧書きにおける増減は前年同期比の値であります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 主たるセグメントである自動車関連事業については、半導体をはじめとした部品の供給不足等により、売上台数が前年同期に比べ15.4%減少の113,775台(20,635台減)となりました。売上高は、主に台数減少の影響や有償支給取引等における「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用による1,101億円減収の影響により、2,093億円(1,480億円減収)となりました。

 前連結会計年度末以降サプライチェーンや新車需要が徐々に回復したことにより、当連結会計年度前半は売上台数が回復傾向にありましたが、第3四半期には半導体の供給不足等により生産活動が制約される状況が続きました。その後半導体の供給が徐々に安定したことにより、当連結会計年度末には通常の生産活動を行うことができるようになりました。

自動車関連事業の結果

当連結会計年度

売上台数(台)

売上高(億円)

第1四半期(4~6月)

30,610

552

第2四半期(7~9月)

30,832

572

第3四半期(10~12月)

17,908

288

第4四半期(1~3月)

34,425

681

通期

113,775

2,093

 

 製品区分では、輸出向けを中心とした乗用車については、「魅力ある商品による生産台数と売上の拡大」という中期経営計画の目標のもと、各種マイナーチェンジを実施しました。この結果、中近東向け「パトロールY62」は前年同期に比べ好調であったものの、半導体不足の影響等により、前期売上台数に対して6.5%の減少となりました。また、国内向けを中心とした商用車・小型バスについては、流通・食品・生活用品・医療・インフラなど各産業にとって必要不可欠な製品で底堅い需要があった前連結会計年度と比べると、需要が減少したこと等により、前期売上台数に対して22.7%の減少となりました。

 その他事業も含めて、全体では2,153億円(1,475億円減収)となりました。

 

b.営業損益

主たるセグメントである自動車関連事業は、当連結会計年度の前半には台数が回復傾向にあったものの、半導体不足の影響を受け第3四半期を中心に大幅に生産活動が制約されたことにより売上台数が大幅に減少した結果、38億円の営業損失(39億円減益)となりました。

その他事業も含めて、全体では35億円の損失(40億円減益)となりました。

 

c.親会社株主に帰属する当期純損益

 経常損益につきましては、雇用調整助成金の受給を営業外収益に計上したものの、大幅な営業損益の悪化により、25億円の損失(45億円減益)となりました。特別損益は、自動車関連事業における固定資産の除却損の計上などにより特別損失が増加しました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、22億円の損失(41億円減益)となりました。

 

d.財政状態

 当連結会計年度末における流動資産は1,107億円となり、前連結会計年度末に比べ1,001億円減少いたしました。これは主に預け金の減少729億円や、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に加え、決算月の売上台数が前連結会計年度を下回ったこと等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産(前期においては受取手形及び売掛金)の減少252億円によるものです。固定資産は1,205億円となり、前連結会計年度末に比べ702億円増加いたしました。これは主に投資その他の資産のうち長期貸付金の増加700億円によるものです。

 この結果、総資産は2,312億円となり、前連結会計年度末に比べ298億円減少いたしました。

 当連結会計年度末における流動負債は548億円となり、前連結会計年度末に比べ244億円減少いたしました。これは主に、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に加え、決算月の生産台数が前連結会計年度の決算月を下回ったこと等に伴う支払手形及び買掛金の減少186億円によるものです。固定負債は42億円となり、前連結会計年度末に比べ23億円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債の減少20億円によるものです。

 この結果、負債合計は590億円となり、前連結会計年度末に比べ268億円減少いたしました。

 当連結会計年度末における純資産合計は1,721億円となり、前連結会計年度末に比べ29億円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上22億円、剰余金の配当による利益剰余金の減少17億円、退職給付に係る調整累計額の増加10億円によるものです。

 この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.1%から74.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.財務政策

 当社グループは、業績向上に向けた企業体質の強化と株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして考え、安定した配当を継続的に行うことを基本方針としています。そのためにも、企業価値の向上に資する成長のための投資として、新車開発や生産性向上のための設備投資などに有効活用すると同時に、財務体質の充実・強化を進めることとしています。内容については、「5 研究開発活動」及び「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。

 

 

c.資金運営

 運転資金及び投資資金については自己資金とし、日産自動車株式会社のグループファイナンスへ資金を寄託することで、財務部門のスリム化と資金の効率的な運用を行っております。引き続き財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び投資資金を調達することが可能と考えております。

 また、当連結会計年度は、資金計画を踏まえて必要な額及び金利等を総合的に勘案した結果、預け金のうち700億円を長期貸付金へ変更いたしました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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