当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束しない中、これに起因する原材料の供給不足・価格高騰等、供給制約の影響が顕在化するなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。
こうした中、当社グループは、2030年を志向した長期経営計画の策定に取り組むとともに、この計画で掲げた目標を達成するための第一ステップとして、3カ年の中期経営計画「Sustainable Growth with Vision 2030 Phase1<転換>」を策定し、初年度の取り組みを推進いたしました。
当連結会計年度の業績につきましては、受注高は263,163百万円(前期比32.0%増)、売上高は216,823百万円(同3.6%増)となりました。なお、当連結会計年度末の受注残高は210,338百万円(同30.1%増)であります。
損益面は、営業利益は10,569百万円(同0.9%増)、経常利益は11,821百万円(同5.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,907百万円(同25.9%増)となりました。
総資産は、221,206百万円(同4.3%増)となりました。負債は、126,945百万円(同3.0%増)となり、純資産は、94,261百万円(同6.1%増)となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
(航空機セグメント)
防衛省向けは、US-2型救難飛行艇の製造作業を受注したことなどから受注は増加したものの、売上は減少いたしました。
また、民需関連も、受注は増加したものの、ボーイング社「787」向け主翼スパーの生産機数が減少したことなどから、売上は減少いたしました。
この結果、当セグメントの受注高は31,711百万円(前期比137.0%増)、売上高は19,137百万円(同26.3%減)となり、営業損益は875百万円の損失(前期は808百万円の損失)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は42,138百万円(前期比50.4%増)であります。
総資産は、棚卸資産の増加などにより、34,012百万円(同1.5%増)となりました。
(特装車セグメント)
車体等の製造販売は、受注は増加し、売上は減少いたしました。
また、保守・修理事業及び林業用機械等は、受注、売上ともに増加いたしました。
この結果、当セグメントの受注高は118,662百万円(前期比25.9%増)、売上高は97,190百万円(同2.5%増)となりましたが、営業利益は5,354百万円(同20.2%減)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は81,955百万円(同35.5%増)であります。
総資産は、売上債権の増加などにより、77,289百万円(同0.7%増)となりました。
(産機・環境システムセグメント)
流体製品は、受注、売上ともに増加いたしました。
また、メカトロニクス製品も、自動電線処理機、真空製品、いずれも受注及び売上が増加した結果、分野全体でも受注、売上ともに増加いたしました。
このほか、環境関連事業も、プラント新設工事及び同施設の複数年にわたる運営業務を一括受託したことなどから受注は増加し、売上も増加いたしました。
この結果、当セグメントの受注高は59,182百万円(前期比60.0%増)、売上高は46,348百万円(同24.6%増)となり、営業利益は4,876百万円(同63.1%増)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は33,021百万円(同64.3%増)であります。
総資産は、売上債権の増加などにより、45,572百万円(同17.3%増)となりました。
(パーキングシステムセグメント)
機械式駐車設備は、受注、売上ともに増加いたしました。
また、航空旅客搭乗橋は、受注は減少し、売上は増加いたしました。
この結果、当セグメントの受注高は38,133百万円(前期比2.1%増)、売上高は38,099百万円(同8.1%増)となりましたが、営業利益は3,066百万円(同5.0%減)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は42,903百万円(同1.7%増)であります。
総資産は、売上債権の増加などにより、22,926百万円(同11.0%増)となりました。
(その他)
建設事業において、受注は大口案件を受注した前期に比べ減少し、売上は増加したものの、不動産事業において、売上が減少した結果、当セグメントの受注高は15,472百万円(前期比10.9%減)、売上高は16,047百万円(同0.1%減)となり、営業利益は955百万円(同33.9%減)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は10,319百万円(同5.3%減)であります。
総資産は、売上債権の減少などにより、24,566百万円(同2.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、26,549百万円(前期比17.1%増)となりました。これは、投資活動の結果支出した資金が7,221百万円あったことや、財務活動の結果支出した資金が5,203百万円あったものの、税金等調整前当期純利益を計上したことなどに伴い営業活動の結果得られた資金が15,998百万円あったことなどによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は15,998百万円(前期比11.7%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,689百万円、売上債権の増減額4,046百万円、減価償却費5,564百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増減額2,008百万円、法人税等の支払額3,812百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は7,221百万円(前期比20.9%減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が4,485百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は5,203百万円(前期比12.9%減)となりました。これは配当金の支払いによる支出が2,499百万円、長期借入金の返済による支出が2,350百万円あったことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上となる相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループは、2023年度を最終年度とする中期経営計画において、「連結売上高2,500億円」「連結営業利益150億円」「海外売上高450億円」「ROE10%以上」「ROIC7%以上」を目標として掲げております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高については、航空機セグメントにおいて、ボーイング社向け製品の売上が大幅に減少したものの、産機・環境システムセグメントにおいて、流体製品、メカトロニクス製品、環境関連事業と、全ての分野で売上が増加したこと、そのほか、パーキングシステムセグメントにおいて、機械式駐車設備、航空旅客搭乗橋、ともに売上が増加したことなどから、全体では216,823百万円(前期比3.6%増)となりました。
利益については、営業利益は10,569百万円(同0.9%増)と、前期より改善し、経常利益は、円安に伴う為替差益の計上により11,821百万円(同5.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の減少により6,907百万円(同25.9%増)となりました。
海外売上高については、産機・環境システムセグメントの売上が増加したことなどから、31,022百万円(同14.4%増) 、ROEについては、増益に伴い7.7%(同1.3ポイント増)、ROICについては、前期と同率の5.1%となりました。
財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、221,206百万円(前期比4.3%増)となりました。これは、売上債権は減少したものの、棚卸資産や固定資産が増加したことなどが主な要因であります。
負債は、長期借入金は減少したものの、仕入債務が増加したことなどにより、126,945百万円(同3.0%増)となりました。
純資産は、配当金の支払いはあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより、94,261百万円(同6.1%増)となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の41.5%から41.8%に上昇しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金と生産設備の拡充や合理化を目的とした設備投資資金であります。
財務政策は、安定した財務基盤の維持と適正な負債比率のコントロールによる資本コストの最適化を基本方針としております。
資金調達は、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローと金融機関からの借入を基本としております。なお、当社は緊急の資金需要に備えて、月商1ヶ月程度の手元資金を確保するとともに、取引金融機関との間にコミットメントラインを設定しております。また、国内子会社の現預金はCMS(キャッシュマネジメントシステム)によって当社が集中管理し、グループの資金効率の向上に努めております。
当社グループは、事業活動を円滑に維持し、持続的な成長を実現する上で十分な手元資金と資金調達能力を有しており、将来の資金需要に対して不足が生じる懸念は少ないと判断しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っておりますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の業績及び課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
c.工事損失引当金
受注時における戦略的低採算案件や工事契約における未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることが出来る工事等については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しております。
技術的難易度の高い長期請負工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
d.完成工事高及び完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事契約については、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の測定は、履行義務の充足のために発生した費用が、当該履行義務充足のために予想される総費用に占める割合に基づき見積っております。想定していなかった原価の発生等により進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
e.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる資産グループについては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落が生じた場合は、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼし、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
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