当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「人間尊重」と「5つの喜び」を基本理念としています。「人間尊重」とは、企業の中で一番大切な財産は「人」であり、一人ひとりが活き活きと輝いていることがパワーの源であるという信念を表しています。「5つの喜び」とは、「人間尊重」に基づいてケーヒンの企業活動に関わりを持つすべての人たち一人ひとりと、いかに多くの喜びを分かち合えたかが、私たちの行動の成果であるという信念を表しています。
こうした基本理念に基づく行動により、社是である「私たちは、常に新しい価値を創造し、人類の未来に貢献する」ことの実現を目指してまいります。
当社グループは、第13次中期経営計画(2017年4月から2020年3月までの3ヵ年)の最終年度として、グローバル方針である「成長する強い会社・誇れる良い会社の実現」に向け、中期の主要施策である「新環境時代へのソリューション提供」、「新たなお客様を倍増する」および「ケーヒンが好き、を拡大する」の達成に向けて取り組んでまいりました。
第13次中期の3ヵ年においては、二輪車・汎用製品では、世界トップクラスの性能を誇るFIシステムの開発と世界最大規模の供給体制を構築いたしました。四輪車製品では、電動車用新型パワーコントロールユニットの開発と量産を開始するなど、新環境時代に向けた取り組みを加速してまいりました。さらに、トヨタ自動車株式会社をはじめ新たなお客様を拡大することもできました。このようにこの3ヵ年においては非常に大きな成果を残すことができました。しかしながら、中期の事業目標としていた連結営業利益率については、空調事業の譲渡に関わる減損損失や製品補償費用の計上にくわえ、世界規模での新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、生産活動の停止や販売減少による影響などにより、事業目標の達成には至りませんでした。なお、空調事業の譲渡に関わる減損損失は非継続事業に分類しております。
今後の当社グループを取り巻く事業環境は、二輪車および四輪車ともにグローバルで電動化への取り組みが加速してまいります。くわえて、四輪車においては、自動運転やコネクテッドなど新たな技術領域が拡大していくことにより、メガサプライヤーを交えた将来に向けた競争が激しさを増していきます。そうしたなか当社グループの今後を見据えて、これからの成長領域におけるさらなる競争力強化が必要と判断し、二輪・四輪のパワートレイン事業の経営統合ならびに空調事業の事業譲渡を行うことといたしました。
このような状況を踏まえ、当社グループは新たにスタートした第14次中期経営計画のグローバル方針として「統合シナジー最大化でグローバルメガサプライヤーへ成長」を掲げ、その実現に向け以下の課題に取り組んでまいります。
① お客様に喜ばれるソリューションとサービスの開発
電動車用製品においては、PCUやBMSをはじめトップランナーとしての地位を盤石なものとするために、新技術の開発強化と事業基盤の構築に取り組んでまいります。ガソリンエンジン用製品においてはシステムやモジュールも含めた付加価値の拡大を進めてまいります。空調製品については、競争力と拡張性を備えた新たなHVACの開発に取り組んでまいります。
② お客様から信頼される事業体質の構築
事業、生産、開発、購買、品質、管理のすべての領域で体質を改善し収益力の向上を図り、強靭な事業基盤をつくりあげてまいります。また、製造業の基礎であるQ(品質)、C(コスト)、D(デリバリー)のうち、Q(品質)が最も大切であるという原点に立ち返り、すべてのステークホルダーから信頼されるモノづくりの実現を目指してまいります。
③ 経営統合等に向けた準備
関係法令に基づき必要な許認可が得られるなど、法令等に従い経営統合等を進めることができることとなった場合には、新たなパートナーと早期に融合し、互いの強みを活かし、できる限り早くシナジーを創出することで、これからの成長を確かなものとしていけるよう、関係法令を遵守しながら、必要な準備を進めてまいります。
このような課題へ取り組み、お客様や社会、従業員からも必要とされるグローバルメガサプライヤーへと成長することで、安全で快適な社会の実現と、人々の移動する喜びの拡大を目指すとともに、モビリティ業界の発展に貢献してまいります。
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