(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な落ち込みからの持ち直しがみられたものの、変異株による感染再拡大もあり、厳しい状況となりました。
当社グループが関連する自動車業界におきましては、世界的な半導体不足による自動車の減産、原材料価格の高騰、国際物流の混乱などもあり、先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、「中長期経営計画2029」を策定し、2021年4月よりその取り組みを開始しました。「持続的成長に向けた事業の変革」を経営目標とし、ESG経営推進による経営基盤強化の下、シート・電装事業の収益体質強化を図りつつ、電子事業及び新規事業を成長・拡大させ、2029年にはバランスのとれた3本足の事業を展開することを目指しており、その第一歩として、「Challenge to New IMASEN」をテーマとしたフェーズ1(2021~2023年)を展開しております。
シート・電装事業では、国内において中部地区における老朽化した工場建屋の統廃合を含んだ工場再編が完了し、工場間・工程間の物流コスト低減を図っております。また、テイ・エス テック株式会社とのシナジー創出に向けた7つのチーム活動を展開しており、物流改善などにおいて成果が出始めているほか、今後の新製品立ち上げに向けて商品力、コスト競争力強化を推し進めております。電子事業におきましては、更なる事業規模の拡大に向けて開発体制の一層の強化を図ることを目的として、2021年5月に広島第2テクニカルセンターを建設いたしました。また、新規事業の創出に向けた取り組みとして、福祉機器等で培った知見を活かし新しい歩行測定システムを開発し、産学連携を図りつつ、2023年の製品化を目指しております。
このような施策に取り組んでまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大、半導体不足、原材料価格高騰などの影響を受けた結果、当連結会計年度の売上高は85,155百万円(前期比2.2%減)、営業損失は70百万円(前期は790百万円の損失)、経常利益は616百万円(前期は581百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は、当社において固定資産の減損損失を計上したことなどにより1,210百万円(前期は3,081百万円の損失)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期末比較については、前連結会計
年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(a) 日本
新型コロナウイルス感染症の再拡大による部品供給不足や半導体供給不足による影響を受け、売上高は34,950百万円(前期比4.5%減)、営業損失は987百万円(前期は1,734百万円の損失)となりました。
(b) 北米
半導体供給不足による影響と海上輸送費高騰の影響を受け、売上高は21,109百万円(前期比13.4%減)、営業損失は975百万円(前期は942百万円の損失)となりました。
(c) アジア
新型コロナウイルス感染症が一時落ち着きを見せたことから、中国・タイにおいて生産が増加し、売上高は29,095百万円(前期比11.3%増)、営業利益は2,069百万円(前期比19.2%増)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
35,135 |
△3.2 |
北米 |
21,515 |
△11.3 |
アジア |
28,638 |
11.2 |
合 計 |
85,289 |
△1.2 |
(注) 上記の金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
35,463 |
△4.9 |
4,263 |
13.7 |
北米 |
20,309 |
△14.9 |
1,583 |
△33.6 |
アジア |
28,973 |
9.9 |
2,545 |
△4.6 |
合 計 |
84,747 |
△3.2 |
8,391 |
△4.6 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
34,950 |
△4.5 |
北米 |
21,109 |
△13.4 |
アジア |
29,095 |
11.3 |
合 計 |
85,155 |
△2.2 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高 (百万円) |
割合(%) |
販売高 (百万円) |
割合(%) |
|
日本発条㈱ |
12,727 |
14.6 |
10,705 |
12.6 |
NHK Seating of America,Inc. |
10,541 |
12.1 |
- |
- |
(注) 当連結会計年度のNHK Seating of America,Inc.については、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
財政状態の分析
a.流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は53,742百万円(前期比1,243百万円の減少)となりました。棚卸資産が2,306百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が1,453百万円、電子記録債権が1,201百万円減少したことなどによるものであります。
b.固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は26,414百万円(前期比879百万円の減少)となりました。有形固定資産が781百万円減少したことなどによるものであります。
c.流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は22,853百万円(前期比1,177百万円の減少)となりました。短期借入金が979百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が690百万円、電子記録債務が737百万円減少したことなどによるものであります。
d.固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は7,525百万円(前期比1,129百万円の減少)となりました。長期借入金が863百万円減少したことなどによるものであります。
e.純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、49,777百万円(前期比184百万円の増加)となりました。
経営成績の分析
a.経営成績の概要
当連結会計年度における売上高は85,155百万円(前期比2.2%減)となりました。セグメント別では、日本につきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大による部品供給不足や半導体供給不足による影響を受け、売上高は34,950百万円(前期比4.5%減)となりました。北米は、半導体供給不足による影響と海上輸送費高騰の影響を受け、売上高は21,109百万円(前期比13.4%減)、アジアは、新型コロナウイルス感染症が一時落ち着きを見せたことから、中国・タイにおいて生産が増加し、売上高は29,095百万円(前期比11.3%増)となりました。
利益につきましては、営業損失は70百万円(前期は790百万円の損失)、経常利益は616百万円(前期は581百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は1,210百万円(前期は3,081百万円の損失)となりました。
b.売上原価及び販売費及び一般管理費
当連結会計年度における売上原価は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による部品供給不足や半導体供給不足などによる大幅な売上減少に対し、固定費削減等に取り組んだものの、売上高に対する割合は91.8%(前期は93.1%)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、7,019百万円(前期比3.1%増)、売上高に対する割合は8.2%(前期は7.8%)となりました。
c.営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は、為替差益343百万円(前期は49百万円)、受取配当金168百万円(前期は128百万円)などがあったことから、687百万円(前期は209百万円)となりました。
d.特別損益
当連結会計年度における特別損益は、減損損失を935百万円、固定資産処分損を364百万円計上したことなどから、△1,024百万円(前期は△493百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は18,455百万円と前連結会計年度末に比べ375百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、3,504百万円(前期比15.1%増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失が407百万円、減価償却費が3,871百万円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、3,457百万円(前期比27.1%増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が3,647百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、1,327百万円(前期は4,604百万円の増加)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出が1,986百万円であったことによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払い、新製品立ち上がりに伴う生産設備や金型投資等です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度において3,946百万円の設備投資を実施しており、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、繰延税金資産の回収可能性の判断及び固定資産の減損に関する判断に関しては、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
a.製品保証引当金
当社グループは、製品の品質保証期間内に発生する製品保証費の支払に備えるため、過去のクレームを基礎にして発生見込額を見積り計上しております。従いまして、実際の製品保証費は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付に係る負債
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で使用される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率など、多くの見積りが存在しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
d.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の将来の回収可能性を検討して、回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。この見積額の変動により、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を税金費用として計上します。
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