当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におきましては、世界各国で新型コロナウイルスのワクチン接種の進展に伴い活動制限が緩和され、ポスト・コロナ社会として人々の生活様式に変化が見え始めたなか、世界的な物流の逼迫や半導体不足、原材料やエネルギー価格の大幅な上昇に加え、新たな変異株の感染拡大などの不透明な状況もあり、景気回復のペースは地域ごとに差が見られました。
欧州では、経済の正常化が進展し、個人消費を中心に堅調に景気が拡大したものの、原材料等の供給の遅れやエネルギー価格の高騰が消費者心理や購買活動を下押ししました。
米国では、コロナ禍での消費抑制の反動や経済対策によって後押しされた個人消費を中心に経済活動が回復しつつある一方で、新たな変異株の感染拡大が消費者心理に水を差しました。
日本では、コロナ対策による活動の制限と緩和が繰り返されたなかで、景気回復の兆しは見え始めたものの、個人消費の回復ペースは緩やかなものになりました。
このような環境の下、サプライチェーンの混乱や、ロックダウンに伴う当社グループの一部工場での一時的な操業停止が生じましたが、依然として自転車、釣りへの高い関心と需要が継続し、国内外の工場において生産体制の増強を進めた結果、当連結会計年度における売上高は546,515百万円(前年同期比44.6%増)、営業利益は148,287百万円(前年同期比79.3%増)、経常利益は152,562百万円(前年同期比87.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は115,937百万円(前年同期比82.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
自転車部品
新型コロナウイルス感染拡大を契機とした世界的なサイクリングブームにより、中高級クラスの需要は高い水準を維持した一方で、下期には落ち着きを見せる市場も出始めました。
欧州市場においては、環境意識の高まりを受けた各国政府による自転車推奨政策の後押しもあり、継続して自転車および自転車関連商品の需要は高く、完成車の市場在庫は、改善の兆しが見られたものの低い水準を推移しました。
北米市場においては、引き続き自転車の需要は高かったものの、エントリークラスを中心に市場在庫は適正な水準へと移り始めました。
アジア・中南米市場においては、当期後半にはサイクリングブームは沈静化の兆しを見せ、主力であるエントリークラスの市場在庫は適正水準となりました。
日本市場においては、需要の高い新製品のハイエンドロードバイクやエントリークラスのロードバイクの在庫不足はあったものの、軽快車の店頭販売が停滞し、市場在庫は適正水準より若干高めで推移しました。
このような市況の下、生産増強をさらに進め、新製品であるロードバイク高級モデル2機種「DURA-ACE」と「ULTEGRA」および電動アシストスポーツバイクコンポーネントSHIMANO STEPSシリーズをはじめ、幅広い製品に対して非常に多くのご注文をいただきました。
この結果、当セグメントの売上高は443,678百万円(前年同期比49.0%増)、営業利益は125,146百万円(前年同期比82.7%増)となりました。
釣具
人の密集を避けることのできるアクティビティとして、釣りは幅広いユーザー層に受け入れられ、釣具市場は盛況となり、世界中で高い需要を維持しました。
日本市場においては、釣りブームに一服感が見られたものの、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せ始め、消費者の購買意欲も上向き、天候にも恵まれたため、販売はソルトルアー関連商品を中心に順調に推移しました。
海外市場においては、北米市場では、安定した天候や盛況な市場に後押しされ高い需要が継続し、販売は好調に推移しました。
欧州市場では、一部の地域では需要は落ち着きを見せ始めたものの、ワクチンの普及やオンライン販売の進展もあり、販売は好調を維持しました。
アジア市場では、新型コロナウイルスの影響が小さかった中国市場を中心に、高価格帯製品に対する強い需要から販売は好調を維持しました。豪州市場では、ロックダウンが実施された地域があったものの、力強い需要に支えられ販売は順調に推移しました。
このような市況の下、スピニングリール「BB-X TECHNIUM」、「ULTEGRA」、「TWIN POWER SW」、ベイトリール「ANTARES DC」、「SLX MGL」やカープ向けロッドTribal TXシリーズ等について市場から高い評価をいただきました。
この結果、当セグメントの売上高は102,388百万円(前年同期比28.1%増)、営業利益は23,120百万円(前年同期比62.1%増)となりました。
その他
当セグメントの売上高は447百万円(前年同期比25.7%増)、営業利益は20百万円(前年同期は営業損失57百万円)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は705,370百万円(前連結会計年度末比114,950百万円増)となりました。これは、現金及び預金が58,906百万円、商品及び製品が14,394百万円、受取手形及び売掛金が14,018百万円、仕掛品が12,063百万円、建設仮勘定が6,459百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債合計は88,719百万円(前連結会計年度末比28,084百万円増)となりました。これは、未払法人税等が12,525百万円、買掛金が5,625百万円、流動負債のその他が5,453百万円、短期借入金が3,124百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は616,651百万円(前連結会計年度末比86,865百万円増)となりました。これは、利益剰余金が68,217百万円、為替換算調整勘定が30,457百万円、自己株式が13,130百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の89.6%から87.3%となり、1株当たり純資産は5,709円69銭から6,697円82銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ57,576百万円増加し、357,773百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は112,439百万円となりました(前連結会計年度は91,050百万円の増加)。資金の主な収入要因は税金等調整前当期純利益153,728百万円、減価償却費18,749百万円、仕入債務の増減額4,384百万円等によるものです。主な支出要因は法人税等の支払額26,197百万円、たな卸資産の増減額24,651百万円、売上債権の増減額12,496百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は20,129百万円となりました(前連結会計年度は28,328百万円の減少)。資金の主な収入要因は定期預金の払戻による収入1,635百万円、投資有価証券の売却による収入1,415百万円等によるものです。主な支出要因は有形固定資産の取得による支出16,156百万円、無形固定資産の取得による支出3,878百万円、定期預金の預入による支出2,260百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は58,774百万円となりました(前連結会計年度は17,905百万円の減少)。資金の主な収入要因は短期借入金の純増減額2,987百万円によるものです。主な支出要因は配当金の支払額36,596百万円、自己株式の取得による支出24,235百万円等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格による概算値であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分を見込生産によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の事項が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として資産のグルーピングを行い、将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の算定に影響を与える可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込み額を計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
(売上高)
自転車部品事業では、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした世界的なサイクリングブームを背景として、中級・普及価格帯自転車部品に加え、ロードバイク用フラッグシップモデルである「DURA-ACE」と「ULTEGRA」の2機種の新商品を中心に高価格帯自転車部品でも多くの注文を頂きました。このような中、当社グループの一部工場ではロックダウンに伴う一時的な操業停止が生じたものの、国内外の拠点で生産増強を進めたことにより、販売を伸ばしました。釣具事業では、感染リスクの低いレジャーとして家族層やアウトドア志向の新規顧客を中心とした需要に支えられ、一年を通じて販売は好調に推移しました。この結果、当連結会計年度の売上高は546,515百万円(前年同期比44.6%増)となりました。
(売上総利益)
自転車部品事業、釣具事業ともに、市場からの高い需要による増収効果、及び増産に伴う量産効果等により、当連結会計年度の売上総利益は231,417百万円(前年同期比51.2%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度より1.8ポイント上昇し42.3%となりました。
(営業利益)
自転車部品事業、釣具事業の売上高の増加に伴う運送費等の比例費及び人件費の増加により、販売費及び一般管理費が83,129百万円(前年同期比18.1%増)となりましたが、当連結会計年度の営業利益は148,287百万円(前年同期比79.3%増)となりました。営業利益率は前連結会計年度より5.2ポイント上昇し27.1%となりました。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、為替差益の増加等により4,274百万円(前年同期は△1,229百万円)となり、当連結会計年度の経常利益は152,562百万円(前年同期比87.3%増)となりました。
当社グループが保有する投資有価証券の一部(上場株式3銘柄、非上場株式2銘柄)売却等により、親会社株主に帰属する当期純利益は115,937百万円(前年同期比82.7%増)となりました。
資産、負債及び純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めております。
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
当連結会計年度の売上高は計画比31,515百万円増(6.1%増)となりました。自転車部品事業では、既存品を含む多くの製品で増産を進めたことから計画比で増収となりました。釣具事業では、主要な市場である日本、北米及び中国を中心として、スポーツフィッシングの人気が継続したことから、売上高は計画を上回りました。営業利益につきましては、増収効果及び増産による原価率低減などにより、計画比12,787百万円増(9.4%増)となりました。
営業利益率は計画比0.8ポイント増の27.1%となりました。
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