業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、長期化する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から緩やかに回復の兆しが見られ、行動制限、海外渡航制限の緩和措置などにより、経済活動の持ち直しが見られましたが、ウクライナ情勢の緊迫した状況や原材料価格の高騰等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。日本経済においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進み、社会経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、同感染症の収束が未だ見通せないほか、エネルギー価格の高騰や円安による為替相場の変動等、企業業績を取り巻く環境は厳しさを増し、総じて経済活動は慎重な姿勢が続く動きとなりました。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。

特に大手企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)に強い関心が寄せられており、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れに注目が集まっております。企業は顧客により高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたサービスの開発が進められております。

このような事業環境の中で、当社グループは、顧客企業を利用するユーザーの根本的なニーズに基づいたユーザーエクスペリエンス(UX)を実現し、顧客企業が提供するサービスに期待される価値の創造を支援し、最適なデザインを設計するサービスであるデザインパートナー事業、そして、自社サービスである「Goodpatch Anywhere」、「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」及び「Athena」などのサービスで構成されるデザインプラットフォーム事業を主要事業と位置づけ、シナジーを創出することに注力しながら推進してまいりました。また、2021年12月22日には、デザイン領域における総合力を高めるために、株式会社スタジオディテイルズの全株式を取得し、デザインパートナー事業に編入いたしました。今後、当社の強みである戦略デザインやUI/UXデザインと、同社の強みである質の高いクリエイティブとブランディングを融合し、顧客企業のさらなる期待に応えられるデザイン支援を提供できるよう、企業価値向上に取り組んでおります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,724,512千円(前連結会計年度比35.9%増)、営業利益は394,154千円(前連結会計年度比3.0%減)、経常利益は395,424千円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。なお、特別損失として、投資有価証券評価損118,382千円、また、2022年10月14日開催の当社取締役会において決議した連結子会社Goodpatch GmbHの解散に伴う、減損損失47,213千円、事業整理損80,650千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は72,538千円(前連結会計年度比77.9%減)となりました。

 

当社グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。

 

a. デザインパートナー事業

デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、デザインプロジェクトをリードします。

主にWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業に対しては、顧客企業が必要とするUI/UXデザイン(注2)の実現を支援します。さらにそのようなデジタルプロダクトの実装や開発まで希望する顧客企業に対しては、当社のエンジニアによりアプリケーション開発を行います。そのような過程において、顧客企業は既存ビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図ることが可能です。また、顧客起点の新たな価値創出のための変革を図りたい顧客企業に対しては新規事業の検証やアイデアを創出するための支援についても行っております。

近年デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっており、当社グループにおいても、日本国内を主として、当事業への問い合わせが増加する等、需要の増加が顕著な状況となります。そのような状況の中、当社グループとしては数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、当社グループはデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援プロジェクトを実施してまいりました。

当連結会計年度においては、株式会社スタジオディテイルズを含む当社グループの顧客社数(注3)は31.9社(上半期:28.0社、下半期:35.8社。株式会社スタジオディテイルズを除き、顧客社数は27.8社、前連結会計年度比11.0%増)、月額平均顧客単価(注4)は6,478千円(上半期:7,099千円、下半期:5,856千円。株式会社スタジオディテイルズを除き、月額平均顧客単価は6,608千円、前連結会計年度比4.5%増)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は、当連結会計年度末において158名(前連結会計年度比29.5%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるデザインパートナー事業の売上高は2,640,430千円前連結会計年度比32.3%増)、営業利益は288,062千円前連結会計年度比21.0%減)となりました。

 

b. デザインプラットフォーム事業

デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、登録した外部デザイナー人材によるフルリモートでUI/UXデザインプロジェクトを実施する「Goodpatch Anywhere」、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、2020年9月1日に正式リリースしたオンラインホワイトボード「Strap」、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注5)「Prott」及びVR(Virtual Reality:仮想現実) /AR(Augmented Reality:拡張現実)(注6)を活用したデザインツール「Athena」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。

当連結会計年度において、「Goodpatch Anywhere」は、外部デザイナー人材の登録者数が増加しております。「ReDesigner」は、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げております。「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を強化しております。また「Athena」は、カーデザインをVR環境で行うことができるソフトウェアの開発を連結子会社Goodpatch GmbHにて進め、機能拡充を図っておりましたが、当該サービスの事業成績を鑑み、2022年6月30日に終了することを決定し、当連結会計年度においてサービスを終了しております。

以上の結果、当連結会計年度におけるデザインプラットフォーム事業の売上高は1,084,081千円前連結会計年度比45.5%増営業利益は106,124千円前連結会計年度比155.9%増)となりました。

 

(注)1. デジタルトランスフォーメーション(DX)とはDigital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客企業や社会ニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを意味します。

2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。またUX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。

3.顧客社数とは、デザインパートナー事業において、当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の社数を指しており、1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の3か月の平均値を示しています。一方、月平均プロジェクト件数とは、デザインパートナー事業において、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、当社デザイナーがリードしたデザインプロジェクトの件数を指しており、1か月に稼働したプロジェクト件数の3か月の平均値を示しています。

4.月額平均顧客単価とは、(1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の売上総額 / 1か月にデザイン支援を提供した顧客社数)の3か月の平均値を示しています。一方、月平均プロジェクト単価は(1か月に稼働したプロジェクトの総額 / 1か月に稼働したプロジェクト数)の3か月の平均値を示しています。

5.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。

6.VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略であり、現物・実物(オリジナル)ではない機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術及びその体系を意味します。またARとは、Augmented Reality(拡張現実)の略であり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張するという技術を意味します。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて175,566千円増加し、3,312,071千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加130,387千円、売掛金及び契約資産の増加63,763千円があった一方で、デザインパートナー事業や「Goodpatch Anywhere」における請負契約案件が減少したことによる仕掛品の減少21,604千円があったこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて554,740千円増加し、857,870千円となりました。主な要因は、株式会社スタジオディテイルズの買収に伴うのれんの増加539,472千円顧客関連資産の増加69,888千円があった一方で、在外連結子会社の解散の決議に伴う減損処理における使用権資産の減少62,304千円があったこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて730,306千円増加し、4,169,942千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ158,108千円増加し、709,271千円となりました。主な要因は、在外連結子会社の解散の決議に伴う未払金の増加72,017千円、株式会社スタジオディテイルズの買収等による未払法人税等の増加64,735千円があった一方で、顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領した前受金の役務提供に伴う取り崩し等による契約負債の減少35,816千円(前連結会計年度は前受金及び前受収益)があったこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ65,888千円減少し、251,320千円となりました。主な要因は、長期借入金の減少78,939千円及び在外連結子会社におけるリース債務の減少22,852千円であります。

この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて92,220千円増加し、960,592千円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ638,086千円増加し、3,209,349千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加80,524千円、2021年2月9日に発行した第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)等の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ275,543千円増加したこと等であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ130,387千円増加し、2,910,461千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは410,646千円の収入(前連結会計年度は483,316千円の収入)となりました。これは、顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領した前受金の役務提供に伴う取り崩し等による契約負債の減少28,556千円、法人税等の支払額71,723千円等の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益の計上149,178千円業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費49,664千円、在外連結子会社の解散の決議に伴う減損損失の計上47,213千円、事業整理損の計上80,650千円、株式会社スタジオディテイルズの買収に伴うのれん償却額31,733千円、デザインパートナー投資において取得した投資有価証券の減損処理による投資有価証券評価損118,382千円、デザインパートナー事業や「Goodpatch Anywhere」における請負契約案件にかかる棚卸資産の減少21,722千円等の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは673,685千円の支出(前連結会計年度は64,850千円の支出)となりました。これは、事業拡大に伴う従業員増加による業務用PC購入や事務所内装工事等に係る有形固定資産の取得による支出15,073千円、投資有価証券の取得による支出78,000千円、株式会社スタジオディテイルズの買収による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出582,259千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは389,549千円の収入(前連結会計年度は1,418,110千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出183,801千円や在外連結子会社におけるリース債務の返済による支出22,133千円の減少要因があった一方で、将来の買収及び戦略的投資のための資金を資金使途として2021年2月9日に発行した第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)等の行使による株式の発行による収入545,539千円運転資金確保の為の長期借入れによる収入50,000千円等の増加要因があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

当社では受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、また、当社グループのうち一部の連結子会社においても受注販売を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、「受注実績」は記載しておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度比(%)

デザインパートナー事業

2,640,430

132.3

デザインプラットフォーム事業

1,084,081

145.5

合計

3,724,512

135.9

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に、デザインパートナー事業において、株式会社スタジオディテイルズを連結子会社化したこと、並びにデザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」のプロジェクト件数が増加したことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに開示に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度においては、既存のデザインプロジェクトにおける高品質な役務提供の継続とともに、新規案件の受注にも積極的に取り組むなど、デザインパートナー事業の拡大に努めてまいりました。またデザインプラットフォーム事業は、主に「Goodpatch Anywhere」及び「ReDesigner」の売上獲得に努めてまいりました。

当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は3,724,512千円(前連結会計年度比35.9%増)となり、前連結会計年度に比べて983,236千円増加いたしました。これは、デザインパートナー事業において、株式会社スタジオディテイルズを連結子会社化したこと、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」の外部デザイナー人材の登録者数の増加及びデザインプロジェクトの件数が拡大したこと、並びに「ReDesigner」にて、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げたことによるものであります。

セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は1,448,417千円(前連結会計年度比43.2%増)となり、前連結会計年度に比べ436,697千円増加いたしました。これは主に、デザインパートナー事業において、株式会社スタジオディテイルズの連結子会社化に伴い人件費、業務委託費が増加したこと、並びにデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数及び売上高の増加に伴い人件費が増加したことによるものであります。

以上の結果、売上総利益は2,276,095千円(前連結会計年度比31.6%増)となり、前連結会計年度に比べて546,539千円増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,881,940千円(前連結会計年度比42.2%増)となり、前連結会計年度に比べ558,596千円増加いたしました。これは主に、デザインパートナー事業において、株式会社スタジオディテイルズの連結子会社化に伴い人件費等が増加したこと、当社における採用活動の積極的な実施により採用費が増加したこと、並びにデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数増加に伴い人件費が増加したことによるものであります。

以上の結果、営業利益は394,154千円(前連結会計年度比3.0%減)となりました。

 

(営業外収益・営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は12,210千円(前連結会計年度比28.5%増)となり、前連結会計年度に比べ2,708千円増加いたしました。これは主に、連結子会社Goodpatch GmbHにおける受取家賃が増加したことによるものであります。また、営業外費用は10,940千円(前連結会計年度比49.8%減)となり、前連結会計年度に比べ10,865千円減少いたしました。これは主に、前連結会計年度に発生した第6回及び第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の発行に伴う新株予約権発行費が当連結会計年度において発生がないこと、株式交付費が減少したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は395,424千円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。

 

(特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益の発生はありません。特別損失は、246,245千円(前連結会計年度の発生はなし)となりました。これは、市場価格のない株式等の減損処理による投資有価証券評価損118,382千円、2022年10月14日開催の当社取締役会において決議した連結子会社Goodpatch GmbHの解散に伴う、減損損失47,213千円、事業整理損80,650千円によるものであります。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は76,639千円(前連結会計年度は66,254千円)となり、前連結会計年度に比べ、10,385千円増加いたしました。これは、法人税、住民税及び事業税が増加した一方で、連結子会社Goodpatch GmbHの解散に伴い回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産並びに法人税等調整額を計上したこと等によるものであります。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は72,538千円(前連結会計年度比77.9%減)となりました。

 

 

③ 経営戦略の現状と見通し

当社グループをとりまく事業環境については、ユーザーエクスペリエンス(UX)を意識したデジタル化を軸に事業変革を図ろうとする企業ニーズが顕在化しつつあり、ビジネスモデルの変革や新しいビジネスの創出などの実現を目指す投資、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が拡大しております。米国のIT専門調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発・進出を支援する事業を行う企業)の全市場の市場規模は、2020年において1,197億USドルと推測されています。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているUI/UXデザイン支援に関連した領域(UI/UXデザイン市場)については、年平均成長率8.0%、市場規模では514億USドル(2020年)から756億USドル(2025年)に拡大すると予測されています。

日本企業を中心に、GAFAを始めとするグローバルIT企業やUI/UXデザインを初期から意識してきたベンチャー企業との競争に立ち向かうためには、新たな概念でデジタルへのシフトを加速させ、企業の体質そのものから変革をすすめる必要性が認識されています。日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。そのために「デザイン」を重要な経営資源として取り入れ、優れたサービスを実現するために、デザインへ投資する企業が増加しております。

そのような状況の中、当社グループは、ユーザーにフォーカスしたデザインプロセスをもとに、新規サービスの円滑な実装に貢献していきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れにあわせて、ユーザー体験を意識した新しい考え方を提供し、収益基盤の拡大に取り組んでおります。

デザインパートナー事業においては、高まるデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズを受け、問い合わせ数が増加し、連動して受注が堅調に推移しております。また今後においては、引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズに合わせて、スマートフォンのアプリケーション等の新しいユーザーシーンを捉えて新しいユーザー体験をデザインするUI/UXソリューションの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。具体的には、「積極的な採用・人材投資を通したデザイン組織の連続的成長」、「バリューチェーンの拡張と深化」、「グローバル戦略の本格推進」の3つを成長戦略と掲げ、事業の拡大を図ってまいります。

デザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロダクトの提供や、自社で構築したデザイン人材プールを活用したサービスを提供することで、収益の拡大を目指します。具体的には、「Goodpatch Anywhere」、並びに「ReDesigner」を主力サービスとして位置づけながら事業の成長を計画しております。「Goodpatch Anywhere」において、引き続きリモートデザインチームのタレントプールを拡充しつつ、プロジェクトの獲得及びサービス提供体制を強化していく計画です。人材紹介サービス「ReDesigner」においては、全てのデザイナーのためのキャリア支援プラットフォームを目指し、ビジネス領域を広げ、副業・フリーランスマッチングサービスを推進してまいります。加えて、2020年9月1日に正式版の提供を開始したオンラインホワイトボードツール「Strap」は中長期の新たな事業の柱として、エンタープライズ向けの導入を促進し、拡販に努めてまいります。

なお、上記した各事業は、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことによりグループ全体としての収益拡大を目指します。

 

④ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営者は、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業運営に努めてまいります。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資金需要は、事業拡大・機能拡充のための人材確保に係る採用及び人件費、将来の買収及び戦略的投資のための資金、新たな自社製開発の新規事業への投資資金が中心となります。

当連結会計年度においては、前連結会計年度に発行した、第三者割当による行使価額修正条項付第6回及び第7回新株予約権(行使指定・停止条項付き)のうち、第7回新株予約権の行使等により資金調達を行っております。

当該資金調達により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,910,461千円(前連結会計年度末は2,780,074千円)となりました。また、流動比率(流動資産 / 流動負債)は467.0%と十分な流動性を確保しております。

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