業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化する中、ワクチン接種の促進による経済活動の回復が期待されているものの、収束はいまだ見通せず、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが事業展開するインターネット広告市場においては、新型コロナウイルスの影響を受けたものの成長を続け、2020年にはマスコミ四媒体広告費に匹敵する2.2兆円規模の市場となりました。インターネット広告費のうち、インターネット広告媒体費は、ビデオ(動画)広告が前年比21.3%増の3,862億円と大きく伸長し、全体で5.6%増の1兆7,567億円となっております(注)

このような環境の下、当社グループは経営理念を改定いたしました。新たな経営理念として『Digital Well-Being』を掲げ、デジタルサービス、テクノロジーを活用することで、人々の生活と人生をより豊かにするための事業の推進と、中長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。

当社グループは、インターネットメディア事業、プラットフォーム事業及びインターネット広告事業中心に事業活動を推進してまいりました。

主力事業であるインターネットメディア事業は、ハイパーカジュアルゲームアプリについて米国を中心としたグローバル展開を強化し、運用本数の増加による成長を推進してまいりました。

プラットフォーム事業は、2021年4月1日に連結子会社化した株式会社ティファレトが運営する、恋愛や仕事の悩みを抱えるユーザーと、経験豊富な鑑定師をマッチングして鑑定を行う電話占い「カリス」を中心に事業を展開しております。当社グループの広告運用手法やSEO対策の強化を図ることで「カリス」の認知度向上や、新規会員獲得の取り組みを強化してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は47億31百万円(前期比93.2%増)、営業利益は4億65百万円(同21.4%増)、経常利益は4億24百万円(同14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億2百万円(同4.7%増、EBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)は7億7百万円(同79.1%増)、営業利益率は9.8%(前期は15.6%)となっております。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に関して、業績への大きな影響は見られませんでした。

 

出所(注)株式会社電通「2020年 日本の広告費」、株式会社D2C、株式会社サイバー・コミュニケーションズ、株式会社電通及び株式会社電通デジタル「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは2021年4月に株式会社ティファレトの全株式を取得し、連結子会社化しました。これに伴い悩みを抱えるユーザーとアドバイザーをマッチングして電話相談を行う「プラットフォーム事業」を開始いたしました。新たな報告セグメントとして「プラットフォーム事業」を追加しております。

また、当連結会計年度より報告セグメントの名称を従来の「アプリ事業」を「インターネットメディア事業」に、「広告代理事業」を「インターネット広告事業」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

(インターネットメディア事業)

インターネットメディア事業は、アプリ1本当たり売上高が減少いたしましたが、運用本数は増加いたしました。以上の結果、国内向けカジュアルゲームアプリによる売上高は10億14百万円(前期比3.4%増)となりました。

ハイパーカジュアルゲームアプリが主力となるグローバル※1は、運用本数の増加による成長を推進してまいりました。2020年11月から本格的に運用開始した「Save them all」が1年通して好調を維持し、また、2021年リリースのタイトルである「Stop the flow!」や「Make Expression」等も海外ユーザーの新規獲得に加えて、国内ユーザーの利用も拡大し、好調に推移いたしました。

以上の結果、売上高は21億44百万円(前期比110.7%増)となりました。

その他、ストック収入※2等による売上高は1億18百万円(前期比18.6%増)となりました。

以上の結果、インターネットメディア事業セグメント合計の売上高は32億78百万円(前期比56.1%増)、セグメ

ント利益は6億78百万円(同41.2%増)となりました。

 

2021年12月期 実績

 

(単位)

国内向けカジュアルゲームアプリ

グローバル ※1

ストック収入 ※2

合計

 

対前期比
増減率等

 

対前期比
増減率等

 

対前期比
増減率等

 

対前期比
増減率等

運用本数(月平均)

241

+59

57

+16

1,875

+110

2,173

+185

アプリ1本当たり
売上高(月平均)

千円

350

△21.9%

3,135

+51.5%

+11.6%

125

+42.8%

売上高(a)

百万円

1,014

+3.4%

2,144

+110.7%

118

+18.6%

3,278

+56.1%

広告出稿費(b)

百万円

610

+17.4%

1,586

+101.8%

0%

2,196

+68.1%

貢献利益(a)-(b)

百万円

403

△12.4%

558

+140.7%

118

+19.1%

1,081

+36.4%

貢献利益率

39.8

△7.2pt

26.0

△3.3pt

100

0pt

33.0

△4.8pt

 

※1 グローバルとは、国内及び海外の「ハイパーカジュアルゲームアプリ」、「海外向けカジュアルゲームアプリ」の合計です。

※2 ストック収入とは、期間経過により収益性が低下したアプリ等で広告出稿せずに自然流入のみでユーザーを獲得し、広告収入を得ているアプリです。

 

(プラットフォーム事業)

プラットフォーム事業は、株式会社ティファレトが運営する電話占い「カリス」について、当社グループの広告運用手法を最大活用するためのマーケティング体制の強化とSEO対策に取り組んだ結果、新規ユーザー獲得の効率化と、Google検索エンジンからの自然流入数の向上で効果をあげました。

以上の結果、プラットフォーム事業セグメント合計の売上高は12億73百万円、セグメント利益(営業利益)は、1億82百万円、EBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)は、4億5百万円となりました。

なお、プラットフォーム事業につきましては、当連結会計年度より新たな報告セグメントとして追加したため、対前期増減率については記載しておりません。

 

(インターネット広告事業)

インターネット広告事業は、主要広告主及びアフィリエイターとのリレーションを深め、ウェブマーケティングによるアフィリエイト広告に加えて、運用型広告によるアプリマーケティングへの取り組みを強化してまいりました。

以上の結果、インターネット広告事業セグメント合計の売上高は1億61百万円(前期比50.9%減)、セグメント利益(営業利益)は51百万円(同78.7%減)となりました。

 

(その他)

その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントでありますが、投資事業、スキルオン事業、ソリューションセールス事業、新規事業開発等に取り組んでおります。主要な売上は、スキルオン事業のオンラインフィットネスサービスとソリューションセールス事業のOA機器の販売代理によるものです。スキルオン事業につきましては、これまでオフラインが主流であったフィットネスサービスを、場所や時間の制約がないオンラインにDX(デジタルトランスフォーメーション)化して、SNSで影響力のあるインフルエンサーと企画からサービスの運営、収益面のサポートを共同で取り組んでまいりました。販売費及び一般管理費は、新規事業のための開発費、人件費等が増加いたしました。

以上の結果、その他セグメント合計の売上高は18百万円(前期比13.3%減)、セグメント損失(営業損失)は1億12百万円(前期はセグメント損30百万円となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末における財政状態は、資産が40億4百万円(前期末比170.8%増)、負債が28億69百万円(同424.4%増)、純資産は11億34百万円(同21.8%増)となりました。

資産の主な増加要因は、2021年4月1日に株式会社ティファレトの全株式を取得したことによるのれん7億51百万円、顧客関連資産5億57百万円及び商標権8億13百万円が増加並びに新規連結に伴う現金及び預金2億19百万円が増加したことによるものであります。

負債の主な増加要因は、株式会社ティファレトの全株式取得のための借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が18億12百万円及び繰延税金負債が4億73百万円増加したことによるものであります。

純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が2億2百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度において現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2億12百万円増加し、当連結会計年度末には9億6百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、3億5百万円の収入(前連結会計年度は2億84百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費1億74百万円、のれん償却額68百万円及び税金等調整前当期純利益4億11百万円があったことに対し、法人税等の支払額3億46百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、18億46百万円の支出(前連結会計年度は64百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出17億80百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、17億44百万円の収入(前連結会計年度は89百万円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入20億円があった一方、長期借入金の返済による支出1億87百万円及び借入手数料の支払額60百万円があったことによるものであります。

 

④ 生産実績

当社グループはスマートフォンアプリの企画・開発、アプリ内広告配信事業等を主体にサービスを行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

⑤ 受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

 

⑥ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

インターネットメディア事業

3,278,395

156.1

プラットフォーム事業

1,273,757

インターネット広告事業

161,161

49.1

その他

18,192

86.7

合計

4,731,506

193.2

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Google Asia Pacific Pte. Ltd.

547,810

22.4

889,891

18.8

株式会社フジテレビジョン

327,359

13.4

AppLovin Corporation

499,845

10.6

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.当連結会計年度における株式会社フジテレビジョンに対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。

のれん、顧客関連資産及び商標権の評価

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

②経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績、②財政状態 及び③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に事業運営に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主にインターネットメディア事業における広告宣伝費へ充当いたします。

 

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