業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なることから、 以下の経営成績に関する説明において増減額および前期比(%)を記載せずに説明しております。

 

①経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により依然として厳しい状況が続いておりましたが、ワクチン接種の進展や政府・自治体の諸施策の効果などにより新規感染者が徐々に減少し、緊急事態宣言解除後には段階的な経済活動の再開により一部で持ち直しの動きがみられました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の動向に加え、物価上昇圧力の高まり、ウクライナ情勢の緊迫化による影響など、先行きは不透明な状況が続いております。

 広告業界(注)においては、今年2月の広告業売上高は、前年同月比101.9%と昨年4月以降の回復基調を概ね維持しており、屋外広告においても同124.2%となっていますが、交通広告は同95.4%と回復の遅れが見られます。

 当社におきましては、病院、寺社、コミュニティバス、番号案内での新規媒体開発を推進する一方、DXでの業務効率化・リモート営業の拡大に努めてまいりましたが、コロナ禍による広告需要の回復の遅れに加え、新規媒体設置の遅れや営業活動の制約は否めず、特にサイン事業におけるオリンピック特需の一巡や鉄道関連等当社顧客層の設備投資抑制の影響が大きく、本格回復には至らない状況が続きました。

 以上の結果、当事業年度の売上収益は9,676百万円、営業利益は724百万円、経常利益は754百万円、当期純利益は391百万円となりました。

(注)「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省)によります。

 なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

(ナビタ事業)

 毎年、地図・広告を最新版に更新しており掲出期間を1年毎としているため、更新後1年間にわたり収益が計上されます。したがって、当事業年度における収益の多くは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかった2021年3月期における契約による収益が反映されます。このため、病院、寺社、コミュニティバス、番号案内での新規媒体開発を推進するとともに、新規顧客や顧客業種の拡大にも注力しましたが、売上収益は7,974百万円、セグメント利益は1,093百万円となりました。

(アド・プロモーション事業)

 広告需要の回復の兆しが見られましたが、「収益認識に関する会計基準」の適用により、代理人取引について純額表示をした結果、売上収益は607百万円、セグメント利益は53百万円となりました。

(サイン事業)

 東京オリンピックに関連した駅関連工事が一巡するとともに、新型コロナウイルスの飛沫感染防止のためのアクリル板「安心ガード」等の販売も一巡したことから、売上収益は1,093百万円、セグメント利益は9百万円となりました。

 

②財政状態の状況

 当事業年度末の総資産は13,512百万円(前年度末比733百万円増)となりました。

 資産、負債及び純資産の状況については以下のとおりであります。

 a.資産

流動資産は、売掛債権は減少したものの、現金及び預金が大幅に増加したことなどにより、7,710百万円(同863百万円増)となりました。

固定資産は、ナビタ事業における設備投資が増加したものの、減価償却による有形・無形固定資産の減少により、5,802百万円(同129百万円減)となりました。

 b.負債

流動負債は、仕入債務の減少や法人税等の支払などにより、5,824百万円(同743百万円減)となりました。

固定負債は、退職給付引当金の増加などにより、197百万円(同17百万円増)となりました。

 c.純資産

新株発行により資本金及び資本準備金が増加する一方、剰余金の配当374百万円を実施し、当期純利益391百万円の計上したこと等から純資産は7,490百万円(同1,459百万円増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、4,674百万円(前年度末比572百万円減)となりました。

 現金及び現金同等物の主な変動要因については、次のとおりであります。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益715百万円に対し、法人税等の支払額が659百万円、売上債権及び契約資産の減少額が207百万円、支出を伴わない減価償却費の計上が742百万円あったことなどから、515百万円の収入(前期比1,919百万円減)となりました。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、駅他周辺案内図その他広告媒体設備等の有形固定資産の取得による支出が736百万円、デジタルサイネージのソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出が69百万円、定期預金の預入による支出が1,679百万円発生したことなどから、2,206百万円の支出(同1,553百万円減)となりました。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入が1,541百万円あり、長期借入金の返済による支出が18百万円、配当金の支払額が374百万円発生したことなどから、1,118百万円の収入(同1,297百万円増)となりました。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

⑤生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

前年同期比(%)

ナビタ事業       (千円)

7,974,705

アド・プロモーション事業(千円)

607,687

サイン事業       (千円)

1,093,662

合計(千円)

9,676,056

(注)1.セグメント間の取引については該当事項はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

3.当事業年度の期首より収益認識会計基準等を適用しております。この結果、前事業年度と収益等の会計処理が異なることから、販売実績における前年同期比は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)、(重要な会計の見積り)」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上収益)

 当事業年度の売上収益は9,676百万円となりました。これは、新型コロナウィルス感染拡大による広告需要の回復の遅れに加え、新規媒体設置の遅れや営業活動の抑制は否めず、またオリンピック特需の一巡や「安心ガード」等の販売も一巡したことの他、収益認識会計基準の適用により代理人取引について純額表示をしたことによるものです。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、4,342百万円となりました。これは、主にサイン事業における外注費の減少や筺体の減価償却費が増加したことの他、収益認識会計基準の適用により代理人取引について純額表示をしたことによるものです。この結果、売上総利益は5,333百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、4,608百万円となりました。これは、主に貸倒引当金の増加や上場関連費用等の増加によるものです。この結果、営業利益は724百万円となりました。

(経常利益)

 当事業年度において、受取家賃等で営業外収益が67百万円、株式公開費用等で営業外費用が38百万円発生しております。この結果、経常利益は754百万円となりました

(当期純利益)

 当事業年度において、固定資産除却損27百万円を特別損失に計上したことなどにより、当期純利益は391百万円となりました。

 

③財政状態の分析

 当事業年度末の総資産は13,512百万円(前年度末比733百万円増)となりました。

 資産、負債及び純資産の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④キャッシュ・フロー状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、4,674百万円(前年度末比572百万円減)となりました。

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤当社の資本の財源及び資金の流動性について

a.資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、広告納金、外注費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

b.財政政策

 当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金及び投資を目的とした資金の調達につきましては、自己資金を基本としており、自己資金で補うことができない場合は金融機関からの借入を基本としております。

 

⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 当社では売上収益、営業利益を重要な経営指標として位置付けており当事業年度の計画値と実績値は以下のとおりであります。

経営指標

2022年3月期

(計画)

2022年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画比)

売上収益 (百万円)

9,760

9,676

△84 ( 0.9%減)

営業利益 (百万円)

658

724

 66 (10.2%増)

当期純利益(百万円)

389

391

  2 ( 0.5%増)

(注)2022年3月期(計画)につきましては、2022年2月14日付「業績予想の修正に関するお知らせ」で公表しました通期の業績予想値であります。

 

 ナビタ事業においては、2022年3月期に新型コロナウイルス感染症拡大により新規契約が伸ばせなかったことの影響が残りますが、病院、寺社などの新規プラットホームの拡大、自治体との取引深耕、中核医療機関との取引拡大を図るとともに、既存媒体の継続強化や「ナビタイムジャパン」との協働などによるWEBビジネスの拡大により収益力向上を図ります。アド・プロモーション事業においては、広告各種における最適な企画・プレゼンテーション等によるサービスの向上を図るとともに、新たな付加価値の創造による新商品の拡大に取り組んでいきます。サイン事業においては、引き続き鉄道関連を拡大していくとともに、自治体及び病院への取引拡大に注力していく考えです。

 売上収益、営業利益の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

⑦経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。

 

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