業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、当初は新型コロナウイルスの国内感染状況が改善に向かい、行動制限の緩和により企業・個人ともに消費動向に持ち直しの動きが見られました。しかし、その後の感染第6波・第7波における感染者の急増による消費活動の停滞、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響等による資源・原料価格の上昇等が国内経済に悪影響を及ぼすなど、先行き不透明な状況が続いています。

 ブライダル業界においては、従来型の挙式・披露宴業態では一部で実施組数が回復しつつあるものの、コロナ禍における「結婚式」に対する価値観の変化の加速とも相まって、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回って推移しています。オンライン挙式や少人数挙式へのシフトを図ることで顧客の要望に応える動きも出ていますが、参列者数の減少による単価の低下もあり、本格的な回復には至っていない状況が続いています。

 一方で、コロナ禍において様々な新しい結婚のかたちが浸透していく中、フォトウエディングも新たな結婚式のスタイルの一つとして注目を集め、新規参入を試みる事業者も現れるなど、フォトウエディング市場は活況を呈してまいりました。

 このような経営環境の下、主力業態であるフォトウエディングサービスにおいては、「撮る結婚式」に対する期待の高まりに応えるべく、非接触でコロナ禍においても安心して撮影申込が可能な「オンライン専門相談カウンター」の拡充、行動制限が緩和される中では旅行先でのフォトウエディングサービスを提供する「フォトジェニックジャーニー」の強化等、顧客のニーズと環境に合わせた施策を実行してまいりました。ニーズの高まりを受け、当連結会計年度においても新たに2店舗を出店しています。

 また、アニバーサリーフォトサービスの「HAPISTA」においては、お宮参りや七五三等のイベントだけでなく、お子様を中心に家族でリピートしたくなるHAPPYな体験を得られるフォトサービスを提供してまいりました。当連結会計年度においては新たに2店舗を出店、今後はさらに出店数を増やし、事業拡大を目指してまいります。

 当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルス感染の第6波・第7波の影響を受けましたが、スタジオ事業、フィットネス事業ともに売上収益は前期を上回り、連結で過去最高の売上収益となりました。費用面では、前期において抑制していた広告宣伝を今後の受注活動のため一部強化したこと、新規出店の加速と出店地域の広がりに対応するための人材の先行採用と育成の強化の取組を進めたこと等を主な要因として増加しました。一方で、2022年1月31日付で譲渡したデコルテ浅草ビルの譲渡益として、その他の収益437百万円を計上しました。これらの結果、売上収益は5,322百万円(前期比15.9%増)となり、前期に比べ730百万円増加しました。営業利益は1,377百万円(同58.0%増)となり、前期に比べ506百万円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,018百万円(同77.1%増)となり、前期に比べ443百万円増加しました。

 また、当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としている調整後営業利益は、当連結会計年度において1,438百万円となり、既存店の成長と前連結会計年度以降に出店した新店の貢献による売上収益の成長が、広告宣伝の強化や新規出店の加速に伴う費用の増加を吸収し、前期比7.6%の増益となりました。

 セグメントレベルの概況は以下のとおりです。

 

<スタジオ事業>

 スタジオ事業においては、上記のとおり、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染の第6波・第7波により特に来店客数と撮影件数に影響を受けましたが、フォトウエディングサービスへのニーズの高まりに対応した多様なプランや新たなサービスの提供により撮影単価が上昇、また、コロナ禍に対応した施策の実施により、売上収益及び営業利益は前期を上回り過去最高となりました。

 当連結会計年度のセグメント業績は、売上収益5,230百万円(前期比16.2%増)、セグメント利益1,367百万円(53.8%増)となりました。

 

<その他>

 フィットネスジムにおいては依然として新型コロナウイルス感染症への警戒感が残る中でコロナ禍以前の水準までの回復には至りませんでしたが、売上収益及び営業利益は前期を上回り、黒字を回復しました。

 当連結会計年度のセグメント業績は、売上収益91百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益10百万円(前期は17百万円の損失)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ93百万円増加しました。これは主に現金及び現金同等物が62百万円増加したことによるものです。非流動資産は10,865百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,341百万円増加しました。これは主に当連結会計年度に新店舗の開店等により賃貸借契約期間中の賃借料等に相当する使用権資産が1,167百万円増加したことによるものです。

 この結果、資産合計は12,588百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,435百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1,844百万円となり、前連結会計年度末に比べ109百万円増加しました。これは主に営業債務及びその他の債務が126百万円、リース負債が67百万円それぞれ増加する一方で、その他の流動負債が108百万円、未払法人所得税が28百万円それぞれ減少したことによるものです。非流動負債は6,486百万円となり、前連結会計年度末に比べ896百万円増加しました。これは主に当連結会計年度の新店舗の開店等により賃貸借契約期間中の賃借料等に相当するリース負債が1,095百万円増加する一方で、借入金の返済等により借入金が218百万円減少したことによるものです。

 この結果、負債合計は8,331百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,005百万円増加しました。

 

(資本)

 当連結会計年度末における資本合計は4,257百万円となり、前連結会計年度末に比べ429百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が1,018百万円増加する一方、自己株式を600百万円取得したことに伴い資本が減少したことによるものです。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は33.8%(前連結会計年度末は34.3%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,350百万円となり、前連結会計年度末と比べ62百万円の増加となりました。当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは前期比94百万円減少し、1,152百万円の収入となりました。主な要因は、継続事業からの税引前利益が1,264百万円となり、減価償却費及び償却費648百万円などのキャッシュの増加要因があった一方で、固定資産売却損益437百万円、法人所得税の支払額345百万円などのキャッシュの減少要因がありました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは198百万円の収入(前期は356百万円の支出)となりました。主な要因は、2022年1月31日付でデコルテ浅草ビルを譲渡したことにより有形固定資産の売却による収入614百万円のキャッシュの増加要因があった一方で、当連結会計年度に開店した新店舗の賃貸借物件契約等に起因する投資の取得による支出が178百万円、有形固定資産及び無形資産の取得による支出237百万円などのキャッシュの減少要因がありました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは1,288百万円の支出(前期は1,189百万円の支出)となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出601百万円、賃貸借物件の家賃支払い等によるリース負債の返済による支出440百万円、長期借入金の返済による支出243百万円などのキャッシュの減少要因がありました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当連結会計年度の「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載します。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

前期比(%)

フォトウエディング

552,565

125.6

アニバーサリーフォト

18,712

125.8

スタジオ事業 計

571,278

125.7

フィットネス

17

17.4

その他 計

17

17.4

合計

571,296

125.6

 (注)金額は仕入価格によっています。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注生産を行うものが存在しないため記載していません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりです。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

前期比(%)

フォトウエディング

5,057,355

115.7

アニバーサリーフォト

173,425

133.0

スタジオ事業 計

5,230,780

116.2

フィットネス

91,637

101.5

その他 計

91,637

101.5

合計

5,322,418

115.9

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

①重要な会計上の見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っていますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の状況

 スタジオ事業は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、フォトウエディングサービスとアニバーサリーフォトサービスから構成されます。これらを分解した結果及び分析結果は以下のとおりとなります。

 

・フォトウエディングサービス

 挙式・披露宴の実施組数は一部で回復しつつあるものの、結婚式に対する価値観の変化が加速する傾向にあること等により、フォトウエディング等の新たな結婚式のかたちへの関心が高まる中で、顧客のフォトウエディングサービスに対するニーズが広がり、スタジオ+ロケーションなど複数の場所での撮影や、和装・洋装両方の衣裳での撮影など当社の提供するサービスの中でも高単価のサービスの需要が増加したこと、また、2022年5月より提供を開始した新たな画像レタッチサービス「ライブレタッチ」の利用者の急増等により、既存店の平均単価は10.9%上昇し、既存店売上高が前年同期比7.0%増加しました。加えて、前連結会計年度に開店した2店舗が期初から収益貢献すると同時に、当連結会計年度にスタジオTVBなんばパークス店、スタジオ8名古屋駅前店を出店したこと等により、売上収益は前期に比べ685百万円増加し、5,057百万円となりました。

 

・アニバーサリーフォトサービス

 前期と比較して行動制限が緩和された中、新型コロナウイルス感染の第6波・第7波による影響は受けつつも、前連結会計年度に開店した1店舗が期初から収益貢献すると同時に、当連結会計年度に「HAPISTA江坂店」、「HAPISTA枚方T-SITE店」を出店したこと等により、売上収益は43百万円増加し、173百万円となりました。

 

 フィットネスジムについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 <その他>」に記載しています。

 

b.財政状態の状況

 財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載したとおりです。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 (a)キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(b)財務政策

 当社グループでは、運転資金及び設備資金については、内部留保により調達することを基本としていますが、突発的な資金需要が発生した場合には、必要に応じて外部からの資金調達を行うことがあります。また連結財政状態計算書において当社による旧株式会社デコルテ株式の取得資金として長期借入金を計上しています。

 当連結会計年度末において流動負債に計上した借入金は258百万円、非流動負債に計上した借入金は3,126百万円です。

 なお、子会社については、当社を通じての資金調達を原則としています。

 

d.経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、調整後営業利益があります。当社グループは、調整後営業利益を用いて業績を測定しており、当社グループの業績評価をより効果的に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。

 当連結会計年度における調整後営業利益は1,438百万円となり、前期比7.6%増加しました。これは既存店の成長と前連結会計年度以降に出店した新店の貢献による売上収益の成長が、広告宣伝の強化や新規出店の加速に伴う費用の増加を吸収したことが要因です。

 

 営業利益と調整後営業利益の調整は以下のとおりです。

(単位:千円)

 

決算年月

国際会計基準

第3期

第4期

第5期

第6期

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

営業利益

886,244

416,731

871,806

1,377,813

(減算)その他の収益

3,100

143,645

52,507

440,061

(加算)その他の費用

13,212

242,438

33,639

6,972

(加算)本社費(注)

487,675

472,701

483,698

494,069

調整後営業利益

1,384,030

988,226

1,336,636

1,438,793

(注) 本社費は管理部門等で発生する全社的な管理費用等です。

 

e.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

f.経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

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