業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社は2021年7月2日付にて単独株式移転の方法によりリファインバース株式会社の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲については、それまでのリファインバース株式会社の連結の範囲と実質的な変更はありません。以下の記述において、前年同期と比較を行っている項目についてはリファインバース株式会社の2021年6月期連結会計期間(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日)との比較を、前連結会計年度末との比較を行っている項目についてはリファインバース株式会社の2021年6月期連結会計年度末との比較を行っております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度において当社グループは、前期に引き続き既存事業で徹底したコスト削減を進めながら、今後の成長の核となる再生樹脂製造販売事業の事業領域の拡大に向けて、持続的な成長のための事業基盤の強化、推進に努めてまいりました。

 また、従来の廃棄物処理モデルの変革を進め、新しい産業を創出することで社会の持続的発展に寄与することを目的に持株会社制に組織変更を行いました。当社グループは、素材再生企業として独自技術によるユニークなビジネスモデルでマテリアルサイクルを実現してまいりましたが、資源循環において新たな付加価値を創造するSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に挑戦し、グループ企業の総力を結集して社会の持続的発展に挑戦した結果、当連結会計年度の売上高は前期に引き続き過去最高額を更新しました。さらに、新規事業への先行投資に伴い継続していた赤字も、新規事業の生産性改善と受注増により収益貢献し、当連結会計年度は連結営業黒字を達成しております。

 再生樹脂製造販売事業においては、先行投資フェーズから利益貢献フェーズへ移行し、外部企業等との連携による取組みも加速しており、更なる成長のための基盤は拡大しております。また世界的なナイロン素材不足の影響もあり、当社グループのリサイクルナイロン樹脂「REAMIDE®」(リアミド)への引き合いは増加しており、生産性改善による生産量の増加と原価低減を継続したことで収益性が大きく改善しました。さらに、ソリューション事業においては昨今の廃棄物処理費用の高騰により廃材処理バリューチェーン改革を目的とした当社グループのノウハウへの引き合いが増加しており、ライセンス契約やコンサルティング受託、設備販売、設備設計業務受託など複数案件で売上があがり、収益・利益の増加に貢献しました。

 産業廃棄物処理事業においては、DX化・新サービスの提供など顧客の利便性を高める取組みが奏を功し増加する原状回復工事の受注獲得につながり、過去最高水準の受注高が継続しております。今後も積極的な営業活動を継続することで安定的な収益基盤の強化に努めてまいります。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ337,923千円増加し、3,252,562千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ138,387千円増加し、2,682,503千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ199,536千円増加し、570,058千円となりました。

 

b.経営成績

 売上高3,732,902千円(前年同期比37.1%増)、営業利益263,043千円(前年同期は営業損失50,167千円)、経常利益212,892千円(前年同期は経常損失74,525千円)、親会社株主に帰属する当期純利益182,848千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失170,550千円)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、記載のセグメント別の金額はセグメント間取引の相殺前の数値です。

 

(再生樹脂製造販売事業)

 再生樹脂製造販売事業につきましては、前第4四半期連結会計期間以降、5四半期連続でセグメント損益は黒字で推移しております。原状回復工事増加に伴う廃カーペットタイル受入処理量は堅調に推移し、廃カーペットタイルをリサイクルした再生塩化ビニルコンパウンド「リファインパウダー」の引き合いが増加しております。また、自動車エアバッグの基布や廃棄漁網等をリサイクルしたナイロン樹脂「REAMIDE®」(リアミド)の引き合いも増加しており、生産性を改善することにより生産量を増加し、売上拡大とともにコスト圧縮を継続することで利益の拡大を図っております。さらに、ソリューション事業において、北海道での廃棄漁網や海外における自動車エアバッグの基布マテリアルリサイクルの事業化向け等、複数のソリューション案件の売上計上により、大幅な増収増益に貢献しました。

 この結果、売上高は1,602,085千円(前年同期比60.5%増)となり、セグメント利益は158,247千円(前年同期はセグメント損失166,939千円)となりました。

 

(産業廃棄物処理事業)

 産業廃棄物処理事業につきましては、過去最高水準の受注件数を継続し、堅調に推移しております。解体工事から収集運搬・中間処理まで一括受注できる体制と小回りを利かしたサービスを強みに営業活動を強化したことに加え、DX化・新サービスの提供など顧客の利便性を高める取組みが奏を功し、増加する原状回復工事の受注獲得に大きく貢献しました。また、旺盛な受注に対応し事業基盤を強化していくため、株式会社コネクションの買収について基本合意を締結し、来期より当社グループの企業として産廃処理事業の業績に貢献する見込みです。新型コロナウイルスの影響は引き続き注視する必要があるものの、徹底したコストコントロールを実施したことにより収益力は向上しており、売上高、営業利益ともに前期比で増加しております。

 この結果、売上高は2,212,907千円(前年同期比26.2%増)、セグメント利益は480,864千円(前年同期比63.9%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、912,518千円(前連結会計年度比86.8%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は476,461千円(前連結会計年度得られた資金は62,573千円)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益220,147千円、減価償却費228,529千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出された資金は92,772千円(前連結会計年度支出された資金は56,953千円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出102,430千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は40,336千円(前連結会計年度得られた資金は68,539千円)となりました。これは主に長期借入れによる収入500,000千円、長期借入金の返済による支出380,952千円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

再生樹脂製造販売事業(千円)

727,659

92.3

 (注)1.生産実績の金額は製造費用であります。

2.産業廃棄物処理事業における生産実績は販売実績とほぼ一致しているため、「c.販売実績」を参照ください。また、産業廃棄物処理事業における生産実績とは、廃棄物の処理実績を意味しております。

 

b.受注実績

 再生樹脂製造販売事業においては、販売計画に基づいた見込生産を行っているため、該当事項はありません。産業廃棄物処理事業においては、受注と役務の提供がほぼ同時であるため、受注残高管理は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

再生樹脂製造販売事業(千円)

1,526,676

157.0

産業廃棄物処理事業(千円)

2,206,226

126.1

合計(千円)

3,732,902

137.1

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

住江織物株式会社

384,848

10.3

三井デザインテック株式会社

175,229

4.7

株式会社鈴木商会

157,408

4.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。

a.財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前年度末」という)に比べ337,923千円増加の3,252,562千円(前年度末は2,914,638千円)となりました。

 流動資産は1,694,977千円となり、前年度末と比べ469,603千円増加しております。これは主として売上増加に伴い売掛金が114,464千円増加、商品及び製品が34,460千円減少、新規借入金に伴う現金及び預金が400,025千円増加したことによるものです。

 固定資産は1,553,647千円となり、前年度末と比べ113,633千円減少しております。これは、主として有形固定資産が126,376千円減少したことによるものです。

 繰延資産は3,936千円となり、前年度末と比べ18,046千円減少しております。これは、開業費の償却18,046千円によるものです。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前年度末に比べ138,387千円増加の2,682,503千円(前年度末は2,544,116千円)となりました。

 流動負債は911,254千円となり、前年度末と比べ137,798千円増加しております。これは、主として新規借入に伴う1年内返済予定の長期借入金27,880千円の増加、事業拡大に伴う支払手形及び買掛金、未払金、未払費用及び未払法人税等118,781千円が増加したことによるものです。

 固定負債の残高は1,771,249千円となり、前年度末と比べ588千円増加しております。これは、主として新規借入に伴う長期借入金が91,168千円増加、返済によるリース債務が42,359千円減少、繰延税金資産との相殺による繰延税金負債33,307千円が減少したことによるものです。

 また、ネット有利子負債(有利子負債-現金及び預金)は1,110,107千円(前年度末は1,437,348千円)となり、327,240千円減少しております。この結果、ネットD/Eレシオ(ネット有利子負債÷自己資本)は2.0倍となりました。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末に比べ199,536千円増加の570,058千円(前年度末は370,522千円)となりました。これは、主として業績好調に伴う利益剰余金が182,848千円増加したことによるものです。

 

b.経営成績

(売上高及び売上総利益)

 売上高は、前連結会計年度と比べて1,010,159千円増加し3,732,902千円(前年同期比37.1%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の売上高及び損益の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 売上総利益は前連結会計年度と比べて411,049千円増加し1,124,869千円(前年同期比57.6%増)となり、売上高総利益率は26.2%から30.1%と3.9ポイント増加となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べて97,839千円増加し861,826千円(前年同期比12.8%増)となり、売上高に対する比率は28.1%から23.1%と5.0ポイントの減少となりました。主な要因は徹底したコストコントロールと業績好調による売上の増加であります。

 この結果、営業利益は前連結会計年度に比べて313,210千円増加し263,043千円(前年同期は営業損失50,167千円)となり、売上高営業利益率は△1.8%から7.0%へ8.9ポイントの増加となりました。

 

 

(営業外損益及び経常利益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べて16,232千円減少し14,315千円(前年同期比53.1%減)となりました。主な要因は、助成金収入が減少したことであります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べて9,560千円増加し64,467千円(前年同期比17.4%増)となりました。主な要因は、テクニカル上場のための諸費用の増加であります。

 この結果、経常利益は前連結会計年度と比べて287,417千円増加し、212,892千円(前年同期は経常損失74,525千円)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)

 特別利益は、前連結会計年度に比べて7,194千円増加し9,257千円(前年同期比348.7%増)となりました。主な要因は、固定資産の売却によるものです。

 特別損失は、前連結会計年度に比べて9,952千円減少し2,002千円(前年同期比83.3%減)となりました。主な要因は、社債に対する引当金計上が減少したことによるものです。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,732,902千円(同37.1%増)、営業利益263,043千円(前年同期は営業損失50,167千円)、経常利益212,892千円(前年同期は経常損失74,525千円)、親会社株主に帰属する当期純利益182,848千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失170,550千円)となりました。

 

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 特に、当社グループの扱う廃棄物は、多くが建設現場から排出される建設系の産業廃棄物であるため、景気変動や不動産市況等によって建設業界や住宅建設業界の工事量の変動がある場合、あるいは需要減少等様々な要因によって同業者との価格競争に巻き込まれた場合には、経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ経営陣は現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な資源の循環利用に関する注目度に鑑みますと、多方面からの業界参入が考えられ、当社グループを取り巻く事業環境はさらに厳しさを増すことが予想されます。

 そのような中、当社グループは「素材再生企業として新しい産業を創出し、社会の持続的発展に寄与することを目指す」ことを経営理念として、枯渇性資源に依存しない事業構造を構築することによって、持続可能な社会の実現に貢献し、顧客や株主、取引先をはじめとする関係者の皆様との信頼関係を確立してまいります。

 かかる問題意識のもと、当社グループの経営陣は、①再生原料製造のための廃棄物の安定的確保、②新規事業の推進及びリサイクル技術の向上、③企業運営の人的財的基盤の強化を図り、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した具体的事業展開を実現していく所存であります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(再生樹脂製造販売事業)

 セグメント資産は、主にグループ再編によるセグメント集計方法の変更により、前連結会計年度末に比べ91,318千円減少の1,881,342千円となりました。

 

(産業廃棄物処理事業)

 セグメント資産は、主にグループ再編によるセグメント集計方法の変更により、前連結会計年度末に比べ329,953千円減少の1,198,203千円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの各事業における地代家賃、水道光熱費、支払処分費、外注費、一般管理費等があります。また、設備資金需要としては再生樹脂製造販売事業における設備投資等があります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務及び割賦未払金を含む有利子負債の残高は2,045,064千円となっており、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は912,518千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

a.棚卸資産の評価

 当社は、棚卸資産については、回転期間及び滞留期間に応じた収益性の低下に基づく簿価切り下げ額の測定を行っております。将来、正味売却可能価額がさらに低下した場合または陳腐化資産が増加した場合、測定に基づき、追加の評価減が必要となる場合があります。

 

b.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

c.固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる場合があります。

 また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

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