当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者
の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中において将来に関する事項が含まれていますが、当連結会計年度末現在において、当社グループが判
断したものです。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大の影響からの持ち直しが期待されましたが、新たな変異株の発生などによる感染再拡大の懸念やウクライナ情勢等による地政学リスクの顕在化などにより依然として不透明な状況が続きました。このようななかで、ドル円為替相場は対米ドル円レート107円台から124円台で推移しました。
航空輸送業界では、国内線需要の回復に加え、各国の入国制限の緩和や撤廃などにより国際線需要についても徐々に回復してきたことから各エアラインは経費削減策を継続しつつも、一部のエアラインでは航空需要回復を見据えた機体発注や増員などの動きが見られました。又、航空機メーカーにおいても航空需要の回復に伴い、小型機を中心に一部機種では受注が増加しました。
このように、航空需要の回復が徐々にみられるなかで、当社グループでは、需要回復に対応すべく、全社レベルで業務プロセスの改革、生産体制の効率化を推進し、品質と収益力の向上を目指すと共に、経費の削減、投資抑制、在庫削減等の経営の効率化を行いました。又、感染防止対策を徹底すると共に、在宅勤務、シフト勤務、職場における作業エリアの分散など接触率の低減に努め、仕事量減少時には一時帰休やグループ外出向などにより臨機応変に対処しました。
航空機内装品等製造関連・航空機シート等製造関連においては、生産体制の効率化及び原価低減策の強化を進めました。又、お客様が航空機に搭乗する際に抱く不安を少しでも解消できるように、清潔で衛生的なキャビン作りのための製品開発や収益力の高いビジネスクラス・シート「Venture」の他機種展開などに注力し、受注拡大を目指しました。
受注高は、感染症拡大の影響による航空需要の急激な落ち込みから低迷していましたが、ワクチン接種の効果が確認され、エアラインからの感染症拡大の収束を見込んだ受注が増加したことから、前期に比較して増加しました。
航空機器等製造関連においては、生産性改善の取組みを行うと共に、熱可塑CFRPを活用した航空機用軽量機体部材の開発を進めました。
航空機整備等関連においては、飛行安全の確保と品質向上の取組みを継続すると共に、エアライン、官公庁向け整備の受注に努め、安定した収益を上げることのできる事業基盤の構築を目指しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高 39,078百万円(前期比 10,979百万円減)、営業損失 3,174百万円(前期は、営業損失 10,902百万円)、経常損失 3,512百万円(前期は、経常損失 11,756百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失 4,081百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失 13,585百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末に次期以降の完成工事に対する工事損失引当金を 3,828百万円計上しております。この工事損失引当金による期間損益への影響は、当第4四半期連結会計期間において売上原価 95百万円の増加(第3四半期連結累計期間末の工事損失引当金は 3,733百万円)、又、当連結会計年度においては売上原価 232百万円の増加(2021年度期首の工事損失引当金は 3,596百万円)となりました。
グループ全体の販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益、法人税等調整額の状況は次のとおりです。
販売費及び一般管理費は、ビジネスクラス・シート「Venture」の他機種向け製品開発などにより試験研究費が増加したことなどから 7,533百万円(前期比 732百万円増)となりました。
営業外損益は、前連結会計年度末よりも為替相場が円安で推移し為替差益が増加しましたが、支払利息の増加などもあり 337百万円の損(前期は、853百万円の損)となりました。
特別損益は、特別損失に一時帰休による固定費等の操業費用を新型コロナウイルス感染症関連損失として 350百万円を計上し、製造拠点整理に伴う原状回復費用等を事業整理損として 102百万円計上しましたが、特別利益に一時帰休による雇用調整助成金等の助成金収入として 905百万円計上したことや損害補償損失引当金戻入益を 140百万円計上したことなどにより、530百万円の益(前期は、4,980百万円の損)となりました。
法人税等調整額は、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産の取崩しなどにより1,070百万円(前期は、△3,210百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
[航空機内装品等製造関連]
当事業では、感染症拡大による影響等で航空機メーカーは生産スケジュール変更を余儀なくされたことに加え、ボーイング787型機の生産調整などにより、ギャレー及びラバトリーの出荷が減少し、前期に比べ売上高は減少しました。又、経常損益については売上高の減少などにより経常損失となりましたが、原価低減策の効果や一部プログラムにおける顧客仕様変更に伴う追加売上などの影響、為替差益の発生、運航機数の増加によりエアライン向けスペアパーツ販売が増加したことなどから前期に比べ改善しました。
この結果、航空機内装品等製造関連は、売上高 20,884百万円(前期比 10,223百万円減)、経常損失 342百万円(前期は、経常損失 8,073百万円)となりました。
[航空機シート等製造関連]
当事業では、感染症拡大による影響等で顧客による納期変更やボーイング787型機の生産調整などによりビジネスクラス・シート「Venture」の出荷が翌期以降に繰り延べられたことなどから、前期に比べ売上高は減少しました。又、経常損益については、売上高の減少や試験研究費の増加などにより経常損失となりましたが、原価低減策の効果や採算性の悪い特注品の出荷が減少したことから前期に比べ改善しました。
この結果、航空機シート等製造関連は、売上高 5,982百万円(前期比 2,108百万円減)、経常損失 3,109百万円(前期は、経常損失 3,593百万円)となりました。
[航空機器等製造関連]
当事業では、民間航空機向け製品の炭素繊維構造部材や航空機エンジン部品の出荷が増加したことなどから前期に比べ売上高は増加しました。又、経常損益については、販売費及び一般管理費の増加などで経常損失となりましたが、売上高の増加や採算性向上活動への取組みなどにより前期に比べ改善しました。
この結果、航空機器等製造関連は、売上高 4,913百万円(前期比 583百万円増)、経常損失 204百万円(前期は、経常損失 394百万円)となりました。
[航空機整備等関連]
当事業では、機体整備において完成工事が増加し、前期に比べ売上高は増加しました。一方、経常利益については、売上高は増加したものの、販売費及び一般管理費が増加したことなどにより前期に比べ減少しました。
この結果、航空機整備等関連は、売上高 7,297百万円(前期比 768百万円増)、経常利益 180百万円(前期比 124百万円減)となりました。
[その他]
その他の区分には、連結子会社の株式会社オレンジジャムコの事業を含んでおり、航空機内装品等製造関連の補助作業等セグメント間の内部取引が中心でしたが、立川製造拠点を廃止したことで作業量が減少したことなどから経常損失となりました。
この結果、その他の区分では、売上高 0百万円(前期比 0百万円増)、経常損失 35百万円(前期は、経常利益 0百万円)となりました。
生産実績、受注高及び販売実績は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、航空機メーカーによる減産や生産スケジュールの変更により受注や出荷が減少したことに加え、航空機の運航が減少したことによりエアラインからの受注やエアライン向けの出荷が減少したことなどから各事業において前期比減少しました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格で記載しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格で記載しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売高に対する割合
当連結会計年度末の資産合計は 93,651百万円となり、前連結会計年度末に比べ 7,585百万円減少しました。内、流動資産については、現金及び預金の増加(前期末比 4,000百万円増)、商品及び製品の増加(前期末比 1,773百万円増)等がありましたが、受取手形、売掛金及び契約資産の減少(前期末比 1,893百万円減)、仕掛品の減少(前期末比 5,717百万円減)、原材料及び貯蔵品の減少(前期末比 2,717百万円減)等により流動資産合計で前連結会計年度末に比べ 5,661百万円減少しました。又、固定資産については、当連結会計年度の投資案件が比較的少なかったことから有形固定資産の減少(前期末比 356百万円減)、無形固定資産の減少(前期末比 409百万円減)等により固定資産合計で前連結会計年度末に比べ 1,923百万円減少しました。負債合計は 82,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ 2,163百万円減少しました。主な要因は、電子記録債務の減少(前期末比 817百万円減)、長期借入金の減少(前期末比 690百万円減)等によるものです。
純資産合計は 11,095百万円となり、前連結会計年度末に比べ 5,422百万円減少しました。主な要因は、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の減少や親会社株主に帰属する当期純損失等によるものです。この結果、自己資本比率は11.5%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりです。
[航空機内装品等製造関連]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて 5,725百万円減少し、 61,166百万円となりました。当事業では、感染症拡大による影響等で、航空機メーカーは生産スケジュール変更を余儀なくされたことに加え、ボーイング787型機の生産調整などにより売上高が減少し、売掛金が減少したことなどから前期比減少いたしました。
[航空機シート等製造関連]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて 1,875百万円減少し、 12,986百万円となりました。当事業では、感染症拡大による影響等で顧客による納期変更やボーイング787型機の生産調整などにより売上高は減少しましたが、年度末にかけて製品出荷が増加し、売掛金は増加しました。一方、発注計画の見直しなどにより棚卸資産が減少したことなどにより前期比減少いたしました。
[航空機器等製造関連]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて 430百万円増加し、 9,282百万円となりました。当事業では、民間航空機向けの炭素繊維構造部材や航空機エンジン部品の出荷が増加したことなどにより売上高が増加し、売掛金が増加したことなどから前期比増加いたしました。
[航空機整備等関連]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて 397百万円減少し、 10,194百万円となりました。当事業では、機体整備において完成工事が増加し売上高は増加しましたが、年度末にかけて売掛金が減少したことなどから前期比減少いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより、 4,227百万円キャッシュ・インフローとなりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6,801百万円のキャッシュ・インフローとなりました。これは、売上債権の減少等によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、646百万円のキャッシュ・アウトフローとなりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,570百万円のキャッシュ・アウトフローとなりました。これは、金融機関からの借入金返済等によるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の受注工事における製品開発、部品材料調達、試験研究活動などがあります。設備投資資金については、航空機内装品及び航空機シート関連の主力製品であるギャレー、ラバトリー、シート製造に係る金型、各事業の生産工場の改修および施設設備の更新、業務効率向上のためのIT関連のシステムの導入等があります。また、試験研究活動については、航空機シート等製造関連において標準型プラットフォームを活用した次期プレミアム・シートの開発、航空機内装品等製造関連において次世代軽量材料の研究、次世代キャビンの研究、先端技術を適用するための基礎研究などを進めると共に、航空機器等製造関連では、炭素繊維構造部材の新たな成形方法の研究等があります。
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入により資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度末の借入金残高は、損益が改善したことなどから 692百万円減少し、 51,426百万円となりました。引続き、資金調達コストの低減や売掛債権の早期回収に努めます。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 主な経営指標
当社グループは、技術と品質のジャムコとして顧客からの信頼を獲得し続けることを使命として、技術力の向上、品質への取り組み強化、企業文化の再構築、人財育成を始めとする経営課題に取り組み、環境の変化を上回るスピード感と積極的な行動力の発揮により、基盤整備の一環である業務プロセスの改革/合理化を強力に推し進め、新たな成長期とすべく経営課題へ取り組み、世界に誇れるジャムコとなることを中期経営方針に掲げ、経営指標を売上高経常利益率 7%以上、総資産経常利益率 7%以上と設定し、毎期継続してこの目標を達成するために種々の施策に取組んでまいります。又、自己資本比率など安全性指標についても、中期的な視野に立ち、その改善に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度は、売上高経常利益率 △9.0%、総資産経常利益率 △3.6%、自己資本比率 11.5%、自己資本利益率 △30.3%となりました。これらの経営指標の最近の推移は次のとおりです。
※売上高経常利益率:経常利益/売上高、総資産経常利益率(ROA):経常利益/総資産、自己資本比率:自己資本/総資本、自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
(注) 1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2.総資産経常利益率の算定における総資産は(期首総資産+期末総資産)/2で計算しています。
3.自己資本利益率の算定における自己資本は(期首自己資本+期末自己資本)/2で計算しています。
お知らせ