有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の程度においては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社では、「リスクマネジメント規程・規則」に基づき、リスクマネジメント体制を構築し、関連企業のリスク管理状況も確認して対策に協力することで、グループ全体の事業リスク低減に取組んでおります。具体的には事業レベルでのリスクを全て洗い出し、それぞれの事業においてリスクの評価を行い、合理的な対策を立案・実行することでリスクの低減に努めております。
なお、文中において将来に関する事項が含まれていますが、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
① エアラインの経営基盤の悪化について
当社グループは航空業界を事業領域としており、景気悪化や国際紛争・テロの発生、感染症の流行等による旅客・貨物の空輸量の落ち込みを始め、原油価格の高騰、その他エアライン間の競争激化などによるエアラインの業績や経営基盤の悪化は、受注高や売上高の減少など、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 航空機メーカーの生産計画の大幅な変更について
航空機内装品等製造関連事業、航空機シート等製造関連事業及び航空機器等製造関連事業では、ボーイング社、エアバス社向けの製品を生産しています。特に航空機内装品等製造関連事業では、ボーイング社向けに777、777-9、767、747型機用ラバトリー、及び787型機用についてはラバトリーに加えてギャレーなどを独占的に供給しています。従いまして、これら航空機メーカーにおける新型機種の開発の遅れ、生産スケジュールの大幅な変動、労働争議による操業停止などが発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 航空機事故等による航空機の長期にわたる運航停止について
航空機整備等関連事業では、官公庁、航空機使用事業者、国内エアラインなどが所有する、中型・小型航空機の機体及び装備品の整備、修理、改造などを手がけています。これらの航空機等に重大な不具合や事故が発生した場合、その原因究明及び安全性の確認のため同型式航空機の運航を見合わせることがあります。又、航空機等に安全性を著しく損なう問題が発生した場合は、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報が発出され、安全性が確認されるまで同型式航空機の運航が認められない場合があります。
このような事態が発生した場合は、当該型式航空機に関連する整備作業が減少するなど、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資材調達の遅延、価格の変動について
当社グループの事業では、原材料、部品等を多くの外部供給者から調達しています。航空機に使用する素材、金属、複合材料等については、その特殊性から調達先が限定されるものや調達先の切り替えが困難なものがあり、供給者における事故や品質上の問題、或いは国際情勢の悪化等により供給不足及び納入の遅延等が発生した場合は、当社グループの生産スケジュールに悪影響を及ぼす可能性があります。又、原材料、部品等の需要の増加や原油価格の高騰などにより調達価格が高騰した場合には、製造原価が上昇し、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替レートの変動について
航空機内装品等製造関連事業、航空機シート等製造関連事業及び航空機器等製造関連事業においては、海外エアライン及び海外航空機メーカーとの輸出取引のなかに主として米ドルによる外貨建取引を多く含んでいます。
又、原材料や部品等の多くは、輸入によって調達しています。この輸出入取引により、外貨による決済を相殺することで為替変動による影響の一部をヘッジしていますが、現在の取引状態においては輸出額が輸入額を上回るため、当社グループの経営成績は、為替相場の円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスにそれぞれ影響を受けています。なお、これらの為替変動リスクは、為替予約取引などによりヘッジしていますが、想定を超えた変動があった場合は、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
又、海外の連結子会社の現地通貨建ての決算は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートが、円換算後の決算に影響を与えています。
⑥ 金利の上昇について
現在、当社グループにおける資金調達は、低金利傾向といった金融情勢も勘案の上、金融機関からの長期及び短期借入にその多くを依存しています。特に航空機内装品等製造関連事業及び航空機シート等製造関連事業では、製品等の受注から納入までの期間が長期間にわたるものが多くを占めており、棚卸資産の回転期間は長い傾向にあります。又、増産に備えるため、工場の拡張及び設備機材等の設備投資を集中的に進めてきました。これらの理由により、現在も借入金残高は高水準で推移しており、今後、金融情勢の変化によって金利が上昇した場合には、資金調達コストが更に増大し、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 自然災害による事業活動の阻害について
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を国内外に分散して設けていますが、それらの拠点において、地震等の大規模災害の発生により短期間で復旧不可能な損害を被るなどした場合、原材料・部品の調達、生産活動、製品の販売・サービス活動が中断又は遅延するおそれがあります。又、地震、台風、積雪等により空港・港湾が長期間閉鎖された場合は、事業活動が制限されるおそれがあり、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製品・サービスの品質保証について
当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品・サービスの品質や信頼性の
向上に努めています。しかしながら、万一、製品・サービスに起因する品質上・安全上の問題により大規模なリ
コールや賠償請求に発展する場合は、多額のコストの発生につながり、当社グループの信用低下や財政状態、経
営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。又、顧客との契約上の保証条項の内容においても、支払補償費な
どの発生費用により当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 法的規制等について
当社グループは、国内及び諸外国の航空法をはじめとした関連法令等に基づき、航空機の修理、改造、及び航空機装備品の設計、製造、修理、並びに改造等の事業を行っており、又、その事業の一部については、各国関連当局の許認可を受けて実施していることなどから、様々な規制を受けています。各種法令に違反した事実が認められた場合は、許認可の取り消しなどの罰則を受ける場合があり、当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 情報セキュリティについて
当社グループは、製品の設計・開発、生産、販売など、事業活動において、情報技術やネットワーク、システ
ム(ITシステム)を利用しています。これらITシステムの運用並びに導入・更新に際しては、システムトラブル
や情報の外部漏洩が発生しないよう安全対策を講じていますが、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コ
ンピュータウイルス侵入等により、重要な業務の中断や、データの破損・喪失、機密情報の外部漏洩などが発生
する可能性があります。この場合、当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性が
あります。
[新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報について]
1.項(3)経営環境及び対処すべき課題で述べましたとおり、新型コロナウイルス感染症拡大は航空機による移動制限をもたらし、世界中のエアライン及び航空機メーカーは減便・減産を余儀なくされています。航空業界に事業の軸足を置く当社グループにおいても、引き続き厳しい経営環境に直面しております。2022年度においては、業務プロセス見直しや効率化等の施策による成果が表れると共に、航空需要が徐々に回復する傾向が見られることから、売上高が増加に転じ、収益が改善する見込みです。一方、新型コロナウイルスの更なる変異、感染拡大など影響が想定以上に拡大・長期化した場合は、当社業績見通しが毀損する可能性があります。
当社グループでは、感染防止対策を徹底すると共に、引き続き生産・製造規模の臨機応変な対処を行うと共に、資金需要についても金融機関と緊密な調整を進めるなど対応を継続しております。
[継続企業の前提に関する重要事象等について]
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、航空機メーカーの減産や生産スケジュール変更を受け、内装品やシートなどの出荷が大幅に減少したことなどに加え、航空機の運航が減少したことによるエアライン向けの客室改修用内装品が減少し甚大な影響を受けております。前連結会計年度において、営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、又、当連結会計年度において、継続して営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような状況下、当社グループでは、生産計画の見直し、生産拠点の再編を行い、一時帰休やグループ外出向などによる固定費の削減、投資抑制をすすめ、在庫削減による経営の効率化に取り組んでおります。
又、当連結会計年度においては、運航機数の増加に伴い、エアラインからのスペアパーツや客室改修用内装品・シートの引き合いや受注が増加し、需要の底打ちが伺えました。今後の旅客需要についても、国際航空運送協会の需要予測に基づき段階的に回復するものと判断しており、それに伴い当社製品の受注・出荷も増えて業績は回復していくものと考えております。
以上のことに加え、売掛金の回収などにより当連結会計年度の営業キャッシュ・フローはプラスを確保できていることから、 継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
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