(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延長期化による経済活動の制約が様々な産業に多大な影響を及ぼしており、さらにロシアによるウクライナ侵攻問題などによる海外情勢の変化もあり依然として不透明な景況感が続いております。しかしながら、海外情勢の変動は見えにくいものの、国内の新型コロナウイルス感染症対策については徐々に進展しており、経済活動を活発化させる動きも強まり、景気回復への道筋も見え始めております。
当社グループが属している鉄鋼・建材流通業界におきましては、国内需要は販売先の業種業態により濃淡はあるものの、極端な落ち込みもなく低調ながらも概ね順調に推移いたしました。さらに、鉄鋼商品市況におきましては、原材料価格の上昇と為替の円安傾向によりメーカー主導のなかで一貫して急激な上昇局面となり、仕入価格の上昇をいかに販売価格に転嫁できるかに苦慮した一年となりました。
このような環境のなかで、当社グループにおきましては、鉄鋼商品販売事業は、鉄鋼商品市況の上昇が続く中で、販売価格への転嫁に取り組むとともに、拠点の新増設をはじめ各拠点において付加価値の向上のための加工設備の拡充を積極的に進め、販売数量の増加と在庫商品を活かした収益向上に取り組みました。また、建材商品販売事業・工事請負事業は、主力販売先である建設関連業界向け販売が、ホテル・商業施設等の建設延期や計画の中止が相次ぐなど中小型案件の減少により苦戦を強いられましたが、既受注分の大型案件が順調に推移し、かつ、今後のコロナ明けを見据えた案件の増加により受注件数も増加してまいりました。
業績につきましては、景況感が不透明な中で需要は伸び悩みましたが、鉄鋼商品市況が大幅に上昇し、前期に対し当連結会計年度の売上高は、2,227億59百万円(前期比9.8%増)となりました。
損益面におきましては、鉄鋼商品市況が上昇したことにより、在庫販売における収益率が向上し、営業利益117億56百万円(前期比80.5%増)、経常利益119億77百万円(前期比78.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益81億45百万円(前期比80.6%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来の会計処理方法に比べ売上高は36億34百万円、売上原価は37億53百万円それぞれ減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ1億18百万円増加しております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
ⅰ)九州・中国エリア
前期に対し、売上高は鉄鋼商品の販売単価の上昇はあったものの、収益認識会計基準等適用の影響、並びに工事請負事業の減少から微減となりました。損益は鉄鋼商品の在庫出荷分を中心として利益率は大幅に向上し大幅な増益となりました。その結果、外部顧客への売上高は1,213億11百万円(前期比1.0%減)、セグメント利益は53億63百万円(前期比25.1%増)となりました。
ⅱ)関西・中京エリア
前期に対し、売上高は鉄鋼商品の販売単価の上昇により大幅な増収となりました。損益は鉄鋼商品市況の上昇、加工商品の販売比率向上による利益率向上、並びに連結対象子会社の業績向上により大幅な増益となりました。その結果、外部顧客への売上高は545億26百万円(前期比29.5%増)、セグメント利益は25億95百万円(前期比133.5%増)となりました。なお、当エリアにおきましては、収益認識会計基準等の適用による影響は軽微でありました。
ⅲ)関東・東北エリア
前期に対し、売上高は鉄鋼商品の販売単価の上昇から大幅な増収となりました。損益は鉄鋼商品市況の上昇により大幅な増益となりました。その結果、外部顧客への売上高は469億22百万円(前期比22.7%増)、セグメント利益は38億99百万円(前期比261.3%増)となりました。なお、当エリアにおきましては、収益認識会計基準等の適用による影響は軽微でありました。
b.財政状態
(資産)
前連結会計年度末比263億76百万円増加し、1,704億68百万円となりました。主な要因は、流動資産のその他が49億15百万円減少したものの、受取手形、売掛金、契約資産が115億45百万円(前連結会計年度末の受取手形及び売掛金との比較)、電子記録債権が52億88百万円、商品及び製品が88億5百万円、原材料及び貯蔵品が17億54百万円、建物及び構築物が7億1百万円、土地が7億65百万円増加したことによるものです。
(負債)
前連結会計年度末比170億48百万円増加し、871億93百万円となりました。主な要因は、契約負債が50億27百万円(前連結会計年度末の前受金との比較)、社債が28億84百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が54億24百万円、電子記録債務が38億41百万円、短期借入金が128億円増加したことによるものです。
(純資産)
前連結会計年度末比93億27百万円増加し、832億75百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が60億31百万円増加したことによるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億79百万円増加し、当連結会計年度末は20億99百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は51億39百万円(前連結会計年度は146億27百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益121億65百万円及び減価償却費の計上25億47百万円、並びに仕入債務の増加92億85百万円があったものの、売上債権の増加137億21百万円、棚卸資産の増加105億60百万円、及びその他の流動資産の増加25億18百万円、並びに法人税等の支払額24億81百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は50億36百万円(前連結会計年度は56億59百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出44億67百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は104億55百万円(前連結会計年度は91億28百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払24億93百万円があったものの、短期借入金の増加128億円によるものであります。
③販売及び仕入の実績
a.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比増減率(%) |
九州・中国(百万円) |
121,818 |
△5.3 |
関西・中京(百万円) |
56,638 |
22.7 |
関東・東北(百万円) |
47,705 |
21.6 |
報告セグメント計(百万円) |
226,161 |
5.7 |
連結財務諸表との調整額(百万円) |
△3,401 |
- |
合計(百万円) |
222,759 |
9.8 |
(注)総販売実績に対し10%以上の販売を行っている相手先はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比増減率(%) |
九州・中国(百万円) |
118,081 |
0.5 |
関西・中京(百万円) |
55,102 |
42.2 |
関東・東北(百万円) |
43,178 |
25.6 |
報告セグメント計(百万円) |
216,362 |
13.5 |
連結財務諸表との調整額(百万円) |
△11,595 |
- |
合計(百万円) |
204,767 |
14.0 |
(注)仕入実績は、商品仕入、材料仕入及び工事仕入であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、重要な影響を与える見積りを必要とする会計方針としては、以下のようなものがあると考えております。
a.貸倒引当金、一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益における工事原価総額の見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用の追加計上が発生する可能性があります。
c.退職給付費用
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によって行われており、数理計算上の差異については、発生の翌連結会計年度に一括費用処理することとしております。前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率が含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,227億59百万円(前期比9.8%増)、営業利益117億56百万円(前期比80.5%増)、経常利益119億77百万円(前期比78.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益81億45百万円(前期比80.6%増)となりました。
(1)売上高
鉄鋼市況が上昇したことにより売上高は199億34百万円増加いたしました。
(2)営業利益
販売利益率上昇により52億44百万円増加いたしました。
(3)経常利益
営業利益の増加により、経常利益も52億60百万円増加いたしました。
(4)親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益の主なものとして、固定資産売却益1億87百万円を計上いたしました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)会社の対処すべき課題に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入代金並びに販売費及び一般管理費などがあります。また、設備資金需要としては、物流施設の建設並びに加工設備としての機械装置設置費用などがあります。
財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関からの借入と社債等の発行により資金調達を行っております。金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、自己資本利益率(ROE)6.0%以上を基本とし、重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は10.4%(前期比4.1ポイント上昇)であり、さらに当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績に記載のとおりであります。
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