課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、「限りある地球資源を有効活用し、業を通じて社会に貢献する」を企業理念の根本に据え、限りある資源である貴金属をリサイクルして有効活用を図る貴金属事業、きれいな環境を次世代に引き継ぐ環境事業を総合した「貴金属関連事業」と、地球の豊かな恵みである食資源を安定的に供給し人の豊かさに繋げる「食品関連事業」の2事業を柱として事業展開を図っております。

当社グループは、「顧客重視」「株主重視」「人間尊重」を経営の基本方針としております。顧客ニーズを的確に把握し、顧客との共存共栄を目指すところに、当社の発展の道がみえてくると考えております。各事業の拡大を通じ社会に貢献することで持続的成長を果たし、企業価値の向上により株主をはじめとするステークホルダーの期待に応えてまいります。また、持続的成長を支える多様な人財が健康に活躍できる経営に取り組んでまいります。

 

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

① 経営環境

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの普及により、欧米を中心に全体的な持ち直しの傾向と、国内における同感染症の影響の落ち着きが見られ、企業収益や生産活動並びに個人消費において緩やかな回復基調で推移する状況となりました。しかしながら、中国でのゼロコロナ政策によるサプライチェーンの混乱や、ウクライナ情勢等を背景としたエネルギーや原材料の価格上昇並びに急速な円安傾向の高まりから、先行きには不透明感が強まっております。

また、持続可能な社会の実現に対する意識の高まりが世界的な広がりを見せていることは、中長期的な企業の存在価値や社会的責任のあり方などに通じる重要な経営環境の変化として捉えております。

 

② 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、当連結会計年度(2022年3月期)を最終年度とした中期経営計画(2019-2021年度)に変わる新たな計画として、中期経営計画(2022-2025年度)を2022年5月13日開催の取締役会において決定しております。中期経営計画(2022-2025年度)では、貴金属関連事業及び食品関連事業の両事業を成長の牽引役に、目指す姿である「社会変化に適応し、進化し続ける、お客様・社会から常に必要とされる企業へ」の実現に向けて、積極投資の継続による収益基盤強化と新規収益源の創出、持続的成長を支え加速させる経営基盤の強化、ESG経営の推進による企業価値の向上を基本方針として成長戦略に取り組み、資源の有効活用と持続可能な資源確保を通じ、お客様や社会の課題解決に資する高い付加価値を提供してまいります。

 

(セグメント別の成長戦略)

貴金属関連事業

食品関連事業

・資源リサイクルの総合力向上で差別化
 -環境負荷低減製品/サービス構築と提供
 -高機能電子材料の開発販売

・調達網と商品ラインナップの拡充により基幹事業(原料販売)を強化

・国内シェアの拡大、海外の新たな市場開拓

・お客様のニーズを捉えた安全・安心でサステナブルな商品の開発、商流の構築

・電子デバイス業界への深耕、化学/自動車業界及び二次電池/E‐スクラップ市場を開拓

・グローバル展開の加速で販売領域を拡大

・事業規模/領域拡大に向けた技術開発と生産インフラの拡充

・基幹事業を軸とし、サプライチェーン領域の拡大

・品質管理体制の強化と廃棄物処理の徹底管理による安全/安心/信頼の追求

・品質保証/技術支援の強化で一貫した品質体制を構築

 

 

 

 

 

(経営基盤強化)

・ITを活用した管理機能強化と自動化/省力化を推進し、生産性向上

-ERP刷新とトレンド技術の積極導入

・成長を牽引する経営人財の創出

・適材適所で多様な人財(女性/中途/シニア/外国人等)が活躍出来る働き甲斐と働きやすい職場環境作り

-挑戦機会の提供と計画的育成を推進

-キャリア開発支援の拡充

・ガバナンス強化と多岐にわたるリスク管理(安全/遵法/事業リスク)の徹底

-三線ディフェンスの強化

-デジタル社会の浸透に伴う情報セキュリティリスクへの対処

 

(投資計画)

財務健全性の確保、株主還元とのバランスを考慮しつつ、収益基盤強化、新規事業展開並びに経営基盤強化といった持続的成長のための経営資源配分として、4カ年累計で総額300億円規模の投資を計画し、積極的に進めてまいります。

 

(ESGへの取り組み)

持続可能な社会の実現と当社グループの事業成長の双方につなげるため、以下の重要課題に取り組んでまいります。

・環境負荷低減と事業成長の両立

 -エネルギー消費及び温室効果ガスの排出、大気への排出、有害物質、固形廃棄物、汚染防止と資源削

減、水の管理、生物多様性

・お客様満足の向上と社会の信用確保

 -製品/サービスの正確な情報の提供、商品の安全・安心の確保

・多様な人財活躍による成長加速

 -適材適所、ダイバーシティ&イノベーション、ワークライフバランス

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、気候変動問題を始めとしたサステナビリティ課題への取り組みや、地政学リスク、インフレ圧力の高まり等の世界的拡大などを背景に、急速な変化が見込まれる経営環境にも柔軟かつ的確に対応しつつ、新・中期経営計画(2022-2025年度)のもとで、企業価値の向上を目指してまいります。

 

① 貴金属関連事業

貴金属関連事業においては、「資源循環(活用)を創造するリーディングカンパニー」をビジョンに掲げ、国内シェアの拡大と海外の新たな市場開拓に取り組んでまいります。当事業では、環境負荷低減型の製品・サービスの提供や、高機能電子材料の開発販売等を通じた資源リサイクルの総合力向上により、”高い環境価値”をお客様に提供し続けることで差別化し、電子デバイス業界への深耕と共に、化学・自動車業界や二次電池及びE‐スクラップ市場の開拓を図ってまいります。また、事業規模並びに領域の拡大に向けた技術開発や生産インフラの拡充に取り組むと同時に、品質管理体制をさらに強化してまいります。

 

② 食品関連事業

食品関連事業においては、「お客様の商品開発のベストパートナー」をビジョンに掲げ、国内外での販売拡大に取り組んでまいります。当事業では、食品原材料の調達網と商品ラインナップの拡充により、基幹事業である原料販売を強化すると共に、お客様のニーズを捉えた安全・安心で、サステナブルな商品の開発や商流の構築に取り組み、グローバル展開を加速させ販売領域の拡大を図ってまいります。更に、品質保証や技術支援などの機能強化により一貫した品質管理体制を構築し、これらを通じて、お客様への安全・安心な食材の提案と安定提供に取り組んでまいります。

 

③ ESG経営の推進

当社グループは、企業理念である「限りある地球資源を有効活用し、業を通じて社会に貢献する」を創業より実践し、貴金属関連事業では、貴金属リサイクルや産業廃棄物の適正処理などを通じて、また、食品関連事業では、安全・安心な食資源の安定提供などを通じて、それぞれ社会に貢献してまいりましたが、持続可能な社会の実現と当社グループの事業成長の双方に繋がる新たな重要テーマとして、「環境負荷低減と事業成長の両立」・「お客様満足の向上と社会の信用確保」・「多様な人財活躍による成長加速」を新・中期経営計画(2022-2025年度)において方針化し、今後具体的な取り組みを推進してまいります。また、サステナビリティ委員会を設置し、取締役会の監督のもと、ESGへの適切な取り組みを経営レベルで加速させてまいります。

 

④ 経営基盤の強化

当社グループは、持続的成長を支える経営基盤の課題として「生産性の向上」・「DXの推進」・「経営人財の創出」・「多様な人財活躍」・「職場環境作り」・「ガバナンス・リスク管理強化」を認識し、具体的施策のもとで強化に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。

 

⑤ 株主還元

収益基盤の強化、新規収益源の創出などによって獲得した資金は、当社グループの資本政策における「成長性を捉えた事業機会への最適資源配分」・「財務健全性の確保」・「株主還元」のバランスを考慮し、持続的に企業価値を向上させるとする基本方針のもとで、成長投資への資源配分を積極的に行いつつ、株主還元については、配当方針の「安定かつ持続的な配当の実施」のもと株主資本配当率1.5%以上を目安とした配当の実施と、市場環境を勘案した機動的な自己株式取得などによる充実を検討してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画(2022-2025年度)において、計画の最終年度となる2025年度(2026年3月期)の業績目標を連結売上高3,000億円、連結営業利益130億円、連結営業利益率4.3%、連結自己資本利益率(ROE)9.0%、連結総資産経常利益率10.0%としております。

 

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