当事業年度におけるわが国経済は、設備投資や個人消費を中心に緩やかながらも回復傾向が続いていますが、物価・賃金の推移や世界的な金融政策の動向、供給面での制約などに伴う経済の減速リスクが懸念されており、注視が必要な状況と見込まれております。
当社が位置するICT業界においては、ビジネスモデルを変革するDX投資、業務効率化や生産性向上を目的としたシステム投資などへの根強い需要から、企業の戦略的IT投資は堅調な計画となっておりますが、今後の景気動向によっては下振れするリスクも見込まれています。
このような環境の中、当社は、2022年9月期より2024年9月期を対象とした第2期中期経営計画「FuSodentsu Vision 2024(FSV2024)」~80周年さらには100周年に向けたInnovation Challenge~の初年度として、主力ビジネスやサービスビジネスの拡大、経営基盤の強化などに取り組んでまいりました。主力ビジネスの拡大においては、自治体や防災・減災ビジネス、ヘルスケアなどへの取り組みを強化するとともに、EncycloORYZA(米穀卸販売管理支援システム)、EncycloWMS(倉庫管理システム)、EncycloBistron(飲食店向けオーダーエントリーPOSソリューション)のエンハンス実施など自社パッケージビジネスの強化に取り組みました。サービスビジネスにおいては、売上の平準化と安定的な収益の確保を目指し、ソフトウエアサポートサービスやサポートデスクサービス、クラウド関連サービスなどの取り扱い拡大に取り組みました。経営基盤の強化においては、提案力強化に向けた人財育成の観点から、社内スキル認定制度の営業部門および管理部門への拡大に加え、全社員に向けたDX研修を実施し、DX検定の取得にも積極的に取り組んでまいりました。
また、持続可能な社会の実現に向けたSDGsへの取り組みとして、取組方針を策定(2021年11月)するとともに、事業活動を通じて優先的に取り組むべき課題として重要課題(マテリアリティ)を特定(2022年4月)し、その実現に向け取り組んでおります。
このような取り組みを積極的に推進したものの、当期は、ロシアによるウクライナ侵攻や上海のロックダウンなどによるサプライチェーンの混乱に伴い、半導体をはじめとする世界的な電子部品の不足によるハードウエアの納期遅延などの影響が生じました。
その結果、当事業年度の受注高は38,902百万円(前年同期比2.9%減)、売上高は36,472百万円(前年同期は43,386百万円)となりました。利益につきましては、営業利益388百万円(前年同期は1,521百万円)、経常利益544百万円(前年同期は1,657百万円)、当期純利益327百万円(前年同期は1,108百万円)となりました。なお、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しているため、当事業年度における経営成績に関する説明に関しては、前事業年度と比較した前年同期比(%)の記載は省略しております。
[ネットワーク部門]
ネットワーク部門は、前年の防災減災関連の大型案件剥落などにより、売上高は12,497百万円(前年同期は15,506百万円)となりました。
[ソリューション部門]
ソリューション部門は、自動車販売店向けシステム更新案件の一巡や前年のGIGAスクール対応の剥落などから、売上高は9,354百万円(前年同期は13,993百万円)となりました。
[オフィス部門]
オフィス部門は、民需のデジタル化関連の大型案件などもあり、売上高は5,921百万円(前年同期は5,764百万円)となりました。
[サービス部門]
サービス部門は、ソフトウエアサポートサービスやサポートデスクサービス、クラウド関連サービスの自治体関連の取り扱いが好調に推移したことなどにより、売上高は8,699百万円(前年同期は8,121百万円)となりました。
当事業年度における総資産は、24,465百万円となり、前事業年度末に比べ1,398百万円減少となりました。主な減少理由といたしましては、売掛金が374百万円、契約資産が690百万円増加したものの、現金及び預金が1,859百万円、有価証券が600百万円、仕掛品が319百万円減少したことによるものです。
負債につきましては、14,896百万円となり、前事業年度末に比べ951百万円減少となりました。主な減少理由といたしましては、社債が500百万円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が300百万円、未払法人税等が374百万円、契約負債(前事業年度は前受金)が728百万円減少したことによるものです。
純資産につきましては、9,568百万円となり、前事業年度末に比べ447百万円減少となりました。主な減少理由といたしましては、その他有価証券評価差額金が423百万円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ2,954百万円減少し、5,112百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動で使用した資金は、1,778百万円(前年同期は得た資金2,478百万円)となりました。主な要因は、売上債権及び契約資産の増加、法人税等の支払によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動で使用した資金は、959百万円(前年同期は使用した資金2,235百万円)となりました。主な要因は、有価証券および投資有価証券の取得による支出によるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動で使用した資金は、216百万円(前年同期は使用した資金343百万円)となりました。主な要因は、社債の発行による収入があったものの、長期借入金の返済および配当金の支払によるものです。
当社は、情報通信機器・オフィス機器の販売施工、システムソフト開発およびこれらに関連するサポートサービスの単一事業を営んでいるため、部門別に記載しております。
当事業年度における受注実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記のほかに、前事業年度以前の受注物件で、当期において受注取消をしたものが92,912千円あります。
当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10を超える相手先が無いため、記載を省略しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。上記の各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前年同期比は記載しておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。財務諸表を構成する事業年度末日の資産・負債および事業年度における収益・費用の数値には、見積もり・判断を行って算出する必要があるものがあります。ただし、実際の結果は様々な要因により、これらの見積もりと異なる場合があります。当社は、特に以下の重要な会計方針が、財務諸表作成における重要な見積もり・判断に影響を及ぼすと考えております。
a. 収益の認識
「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b. 引当金
「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
c. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性や将来加算一時差異の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積もりに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
当事業年度の経営成績等は、ネットワーク部門では、前年の防災減災関連の大型案件剥落などにより減収となり、ソリューション部門につきましては、自動車販売店向けシステム更新案件の一巡や前年のGIGAスクール対応の剥落などから減収となりました。オフィス部門では、民需のデジタル化関連の大型案件などがあり好調に推移し、サービス部門につきましては、ソフトウエアサポートサービスやサポートデスクサービス、クラウド関連サービスの自治体関連の取り扱いが好調に推移しました。その結果、売上高につきましては36,472百万円(前年同期は43,386百万円)となりました。利益につきましては、売上高の減少により、営業利益388百万円(前年同期は1,521百万円)、経常利益544百万円(前年同期は1,657百万円)、当期純利益327百万円(前年同期は1,108百万円)となりました。また、売上高営業利益率は1.1%(前年同期は3.5%)となりました。
a. 資金の需要
当社の運転資金需要の主なものは、販売に関する情報通信機器の商品および部品の購入のほか、ソフトウエア開発費、施設工事費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。ソフトウエア開発費は当社独自のオリジナル商品開発を含むシステム・エンジニアの人件費および外注費などであり、施設工事費はネットワーク・エンジニアの人件費および外注費などであります。設備投資需要の主なものは、事務合理化および営業支援のための情報設備拡充などであります。
b. 資金の源泉
当社の運転資金および設備投資資金は、通常の営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部を銀行借入もしくは社債などによりまかなっております。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、売上債権及び契約資産の増加、法人税等の支払などにより営業活動によるキャッシュ・フローの減少1,778百万円、有価証券および投資有価証券の取得による支出などにより投資活動によるキャッシュ・フローの減少959百万円、社債の発行による収入があったものの、長期借入金の返済および配当金の支払などにより財務活動によるキャッシュ・フローの減少216百万円となった結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ2,954百万円減少し、5,112百万円となりました。
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