(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により経済活動が大幅に制限され、急速に景気の減速が進みました。感染拡大防止策とワクチン接種の進展により経済活動正常化への動きがあったものの、新たな変異株の再拡大により回復のペースは緩やかで厳しい状況にあります。さらにウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のもと当社グループでは、文書のデジタル化事業や印刷機材、貨幣処理機器やセキュリティ機器及び紙・紙加工品などの販売に注力するほか、衆議院選挙や各地方選挙向け機材の販売に積極的に取り組んでまいりました。
この結果、当期の連結業績は、売上高362億13百万円(前年同期比19.7%増)、営業利益17億46百万円(前年同期は営業損失97百万円)、経常利益18億48百万円(前年同期は経常利益24百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益9億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失28百万円)となりました。
セグメントの業績は次の通りであります。
(情報・印刷・産業システム機材)
情報・産業システム機材は、文書のデジタル化事業において官公庁・自治体及び民間企業からの受注が伸長し順調に推移しました。また、スキャナー等の電子化機器や業務用ろ過フィルターの販売が順調に推移しました。
一方、工業用検査機器の販売が感染症再拡大の懸念による設備投資意欲抑制の影響を受け低調に推移しました。
印刷システム機材は、印刷材料の販売は概ね順調でしたが、印刷機器の販売が感染症再拡大の懸念による設備投資意欲抑制の影響を受けました。
以上の結果、売上高は204億56百万円(前年同期比12.5%増)となり、利益面では印刷機器の減収が影響し、23百万円の営業損失(前年同期は営業利益5百万円)となりました。
(金融汎用・選挙システム機材)
金融汎用システム機材は、貨幣処理機器の販売が金融機関などの設備投資意欲抑制の影響を受け低調に推移しました。
選挙システム機材は、衆議院選挙や全国の地方選挙向けに投票用紙交付機や読取分類機などの機器の販売が好調だったほか、投開票管理システムの販売も伸長したため前年実績を大幅に上回りました。
以上の結果、売上高は72億45百万円(前年同期比107.5%増)となり、営業利益は15億70百万円(前年同期は営業損失1億55百万円)となりました。
(紙・紙加工品)
紙・紙加工品は、医薬品向け高機能紙器用板紙の販売は伸長しましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞やテレワークの拡大により印刷用紙や情報用紙の需要が縮小し、若干低調に推移しました。
この結果、売上高は82億74百万円(前年同期比0.9%減)と前年実績を若干下回り、利益面については3百万円の営業損失(前年同期は営業損失92百万円)となりました。
(不動産賃貸・リース事業等)
不動産賃貸・リース事業等の業績は順調に推移し、売上高は5億96百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は2億1百万円(前年同期比40.8%増)となりました。
b.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産の残高は324億59百万円となり、前連結会計年度末より18億91百万円増加いたしました。
増加の主な要因は、現金及び預金の増加(10億4百万円)及び売上債権(「受取手形」及び「売掛金」)の増加(10億9百万円)であります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産の残高は110億22百万円となり、前連結会計年度末より2億77百万円増加いたしました。
増加の主な要因は、有形固定資産の「その他」の増加(4億14百万円)、減少の主な要因は、繰延税金資産の減少(1億47百万円)であります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債の残高は141億33百万円となり、前連結会計年度末より18億22百万円増加いたしました。
増加の主な要因は、仕入債務(「支払手形及び買掛金」及び「電子記録債務」)の増加(3億74百万円)、未払法人税等の増加(6億73百万円)及び流動負債の「その他」の増加(6億66百万円)であります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債の残高は23億23百万円となり、前連結会計年度末より3億54百万円増加いたしました。
増加の主な要因は、固定負債の「その他」の増加(3億35百万円)であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は270億24百万円となり、前連結会計年度末より8百万円減少いたしました。
減少の要因は、剰余金の配当(2億8百万円)、自己株式の取得(7億64百万円)、その他の包括利益の減少(16百万円)。増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益(9億81百万円)であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益18億21百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益22百万円)、減価償却費4億21百万円、製品保証引当金の増加1億8百万円、仕入債務の増加3億74百万円、未払金の増加1億69百万円、その他流動負債の増加4億58百万円、セール・アンド・リースバックによる収入4億42百万円等の収入要因がありましたが、売上債権の増加9億91百万円、有形固定資産の取得による支出6億78百万円、投資活動におけるその他の支出2億81百万円、自己株式の取得による支出7億64百万円、配当金の支払額2億9百万円等により相殺され、前連結会計年度末に比べ11億4百万円増加し、184億95百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は26億1百万円となりました。(前年同期は6億89百万円の資金使用)
これは、税金等調整前当期純利益18億21百万円、減価償却費4億21百万円、製品保証引当金の増加1億8百万円、仕入債務の増加3億74百万円、未払金の増加1億69百万円、その他流動負債の増加4億58百万円等の収入要因がありましたが、売上債権の増加9億91百万円等の支出要因により相殺されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9億4百万円となりました。(前年同期は6億12百万円の資金使用)
これは、有形固定資産の取得による支出6億78百万円、投資活動におけるその他の支出2億81百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5億94百万円となりました。(前年同期は5億91百万円の資金使用)
これは、自己株式の取得による支出7億64百万円及び配当金の支払2億9百万円の支出要因がありましたが、セール・アンド・リースバックによる収入4億42百万円の収入要因より相殺されたことによるものであります。
③仕入及び販売の実績
a.仕入実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
情報・印刷・産業システム機材(百万円) |
14,943 |
119.8 |
金融汎用・選挙システム機材(百万円) |
2,851 |
193.2 |
紙・紙加工品(百万円) |
7,239 |
98.9 |
不動産賃貸・リース事業等(百万円) |
- |
- |
合計(百万円) |
25,034 |
117.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.販売実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
情報・印刷・産業システム機材(百万円) |
20,451 |
112.5 |
金融汎用・選挙システム機材(百万円) |
7,245 |
207.5 |
紙・紙加工品(百万円) |
8,241 |
99.1 |
不動産賃貸・リース事業等(百万円) |
274 |
100.3 |
合計(百万円) |
36,213 |
119.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
連結会計年度における売上高は、362億13百万円となり、前連結会計年度に比べ59億52百万円の大幅な増加となりましたが、売上原価が39億56百万円増加したため、売上総利益は19億95百万円の増加となりました。
販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べ1億51百万円の増加であったため、営業利益は17億46百万円(前年同期は営業損失97百万円)となりました。
営業外損益では、「助成金収入」や「補助金収入」の減少等により営業外収益が14百万円減少し、営業外費用が5百万円増加したため、経常利益は前連結会計年度に比べ18億24百万円の大幅な増益となりました。
特別損益では、「減損損失」の計上等により特別損失が26百万円増加しました。
以上により、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ17億99百万円増加し、18億21百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は9億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失28百万円)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループで製造販売している選挙システム機材につきましては、任期満了前に衆議院が解散されるなど全国レベルの選挙が実施されると需要が一時的に増加し、当社の業績に影響を与える場合があります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、製造等に係る設備投資、営業拠点における設備投資によるものであります。当社グループは、資金調達については自己資金及び金融機関からの借入により調達する方針としております。なお、当連結会計年度末における借入金残高は35億16百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は184億95百万円となっております。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・売上高及び営業利益
セグメントごとの売上高及び営業利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載しております。
・資産
(情報・印刷・産業システム機材)
セグメント資産は、売上債権及び有形固定資産等が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ22億78百万円増加の258億60百万円となりました。
(金融汎用・選挙システム機材)
セグメント資産は、現金及び預金は増加したものの、売上債権、棚卸資産等が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ65百万円減少の106億96百万円となりました。
(紙・紙加工品)
セグメント資産は、棚卸資産等が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ1億98百万円減少の49億31百万円となりました。
(不動産賃貸・リース事業等)
セグメント資産は、現金及び預金の増加により、前連結会計年度に比べ2億55百万円増加の24億97百万円となりました。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
③経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高経常利益率を重要指標と位置付けており、国政選挙など特需の発生しない期における連結売上高経常利益率を3%以上とすることを目指しております。当連結会計年度の連結売上高経常利益率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はみられたものの、衆議院選挙向けの販売が好調であったことなどにより5.1%となりました。
引き続き、国政選挙など特需の発生しない期における目標達成に向けて、セグメントごとの対処すべき課題に取り組んでまいります。
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