文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、各社の特徴や強みを活かしたグループ経営により既存事業の強化を図るとともに、その周辺分野における新規事業の開拓と自社開発商品・サービスの拡充に積極的に取り組み、常に安定した業績を確保できる体制の確立を目指してまいります。
当社グループは、企業理念として「人とシステムの創造と調和を実現し、健全で信頼される企業を目指し続けます」を掲げています。"特長のある商社"であることを意識し、"システム"という言葉をキーワードに、ただ単に商品を提供するという機能ではなく、お客様の要望にあわせ、ソフトと先進の機器を組み合わせてシステムを創ります。そのシステムは付加価値をもった当社オリジナルの新しい商品となります。「システムの構築」、つまり価値を創造しお客様に提供することが、当社の役割であると認識しております。
(2)経営環境及び経営戦略
当社グループは、グループ一体としてのシステム構築力や提案力の強化を図る一方、新商品の開発や新規事業の開拓に注力し、収益力の向上と事業領域の拡大に積極的に取り組んでまいります。
(情報・産業システム機材)
文書のデジタル化事業は、民間企業などでテレワークの環境整備が進み、文書や資料の電子化需要が増加しているため、国内最大のイメージングセンターを活用した高い生産性や万全なセキュリティ体制など、グループの特長を活かした当社主導の提案型営業を展開し受注拡大に取り組んでまいります。また、官公庁・自治体の需要も行政のデジタル化推進により増加傾向にあり、案件毎の採算性を重視した選別受注により適正利益を確保しつつ大型案件の受注獲得に注力してまいります。
スキャナー等の電子化機器は、様々なユーザーニーズに応じた幅広い機種を取り揃え、当社の強みであるAI-OCRを含む運用ノウハウを付加価値として提供することにより、電子化業務の効率化需要を取り込んでまいります。
工業用検査機材は、インフラ設備の老朽化に伴い土木・橋梁分野及びガス・水道分野において検査業務が増加しているほか、自動車や航空・宇宙、複合素材、電子部品分野では社内検査が伸長しているなど非破壊検査機器の市場は今後の成長が見込まれます。よって、検査会社やエンドユーザーに対してデジタル検査機器による検査業務の効率化を訴求し機器の拡販に注力してまいります。
業務用ろ過フィルターは、これまで食品・飲料メーカーを中心に営業展開してまいりましたが、大きな需要が見込まれる半導体等の精密電子部品メーカーなど一般工業用向けにも販路を拡大してまいります。
(印刷システム機材)
印刷業界全体として紙メディアの需要は減少傾向にあり、特に商業印刷、出版、事務用印刷の需要が減少しています。また、印刷材料を必要としないデジタル印刷機器の市場拡大により、印刷材料の需要縮小が長期にわたって続いており、機器・材料の販売共に厳しい市場環境にあります。
このような環境のなか、印刷会社は競争激化によって淘汰され、総合印刷と特殊加工の二極化が進む一方で、競合を避けるため特殊な印刷素材や印刷後加工による付加価値創出の需要が高まっています。また、従来は専門業者が独占していたパッケージやラベル印刷分野は、デジタル機器によって異業種からの新規参入や内製化が可能になるなど、今後の市場拡大が期待されています。
従って、当社は印刷後加工機やデジタルと紙を融合したコミュニケーションツールの提案を進めることで印刷会社にさらなる付加価値を提供し、他社との差別化と直販力を強化してまいります。
併せて、昨年発売した多機能プリンターのような競合の少ない特殊機能を持った機器の取扱いを拡充することで、印刷業界以外への販路拡大と収益性の向上を目指します。
(金融汎用システム機材)
キャッシュレス決済の普及や主要顧客である金融機関の設備投資抑制、営業店舗削減などにより現金処理機器市場は縮小傾向にあります。よって当社は、金融機関の内部管理強化に寄与する管理機器や本部部門への業務集約商材の拡販に取り組んでまいります。
また、2024年に予定されている新紙幣発行に向けた体制強化を図ってまいります。
(選挙システム機材)
各自治体は増大する業務を少ない人員で行う必要があり、今後も選挙事務の効率化需要は益々高まっていくことが予想されます。また、新しい制度である国民投票も法制化されたことで、近い将来実施されることが現実的になってきています。
当社はこれら市場環境に対応する投開票業務をはじめとする様々な事務効率化機器や業務管理システムなどの開発に注力し、選挙業務を総合的にサポートするオリジナル商品や各種サービスを提供することで事業規模のさらなる拡大を図ってまいります。
(紙・紙加工品)
紙・板紙の需要は、デジタル化の進行等に伴う印刷・情報用紙減少の影響によりマイナス傾向にあり、特に商業印刷・出版市場向けの印刷用紙については、これからも需要減少が進むものと予想されます。
よって、当社は印刷用紙については、顧客ニーズに応える商材・サービスを開発・提供することで、価格競争に巻き込まれない利益確保を優先した取引を増やしてまいります。また、紙器用板紙については、医薬品向け高機能紙器用板紙が伸長しており、さらなる顧客ニーズに対応した特殊機能・高付加価値を持つオリジナル商品の取り扱いを増やすため開発に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ワクチンの接種効果などにより徐々に回復基調に入るものと見込んでおりますが、感染力が強い変異株の感染拡大など新たな問題により予断を許さない状況が続くものと予想されます。当社グループの営業活動においても、在宅勤務や移動範囲の限定、顧客との商談機会の減少などにより活動が大幅に制限され、既に決定した商談においても取引の実施が延期されるなどの影響が考えられます。
当社グループでは、各セグメントの現況分析を行い経営戦略の見直しを進めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
印刷業界では商業印刷、出版、事務用印刷の需要が減少していることに加え、印刷材料を必要としないデジタル印刷機器の市場拡大によって印刷材料の需要縮小が続いているため、機器・材料の販売共に適正な利益が確保できない厳しい市場環境にあります。
よって、当社の印刷システム機材分野における収益性の改善を図るため、市場で優位性のあるレーザー加工機や自社開発ソフトウエアの拡販に注力するとともに、デジタルと紙を融合したコミュニケーションツールの提案を進めることで印刷会社にさらなる付加価値を提供し、他社との差別化と直販力を強化してまいります。また、環境に配慮した印刷素材の提案や無処理型印刷材料の普及にも取り組んでまいります。
紙・紙加工品分野では、印刷業界と同様に印刷用紙の需要減少が続いているため、採算性重視の選別受注と物流費等のコスト削減をすすめ収益性の改善に取り組む一方、堅調な需要と安定的な収益が見込める紙器用板紙の拡販に注力してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値向上の観点から、収益性の継続的かつ安定的な成長を実現することを目指しております。このため、売上高経常利益率を重要指標と位置付けており、国政選挙など特需の発生しない期における連結売上高経常利益率を3%以上とすることを目指しております。
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