業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の収束に向けての動きが加速したものの、更なる蔓延を抑制するために緊急事態宣言が再度発令され、特に飲食業界における経済活動が大きく抑制され、緊急事態宣言の解除後も消費行動の急速な回復が見られない中で、新たな変異株の感染が広まりを見せるなど、引き続き厳しい状況で推移いたしました。また国外におきましても、複数の地域で新型コロナウイルス感染症が再び蔓延するなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。

 当社グループはこのような環境下においても「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」というグループスローガンのもと、各事業分野においてお客様のありがとうを集める活動を展開してまいりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

①国内外食事業

国内外食事業におきましては、49店舗の新規出店と75店舗の撤退を行い、当連結会計年度末の店舗数は居酒屋業態からの転換店を含め405店舗となりました。前期より発生しております新型コロナウイルス感染症の影響により、既存店売上高前年比は85.5%、既存店客数前年比は86.5%となったこと及び前期に行った国内外食工場の再編に伴う固定費削減の効果により、売上高は15,119百万円(前期比88.4%)、セグメント損失は6,872百万円(前期は9,615百万円の損失)の減収増益となりました。

 

②宅食事業

宅食事業におきましては、当連結会計年度末の営業拠点数は531ヶ所となりました。調理済み商品の累計お届け数は62,279千食(前期比100.9%)となっております。調理済み商品のお届け数が前期を上回ったこと及び前期に行った宅食工場の統合・集約等による固定費の削減の効果により、売上高は40,646百万円(前期比110.9%)、セグメント利益は5,071百万円(前期比167.9%)の増収増益となりました。

 

③海外外食事業

 海外外食事業におきましては、9店舗の新規出店と8店舗の撤退を行い、当連結会計年度末の店舗数は50店舗となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が弱まったことにより、増収増益となっております。

 その結果、海外外食事業における売上高は5,298百万円(前期比124.0%)、セグメント利益は47百万円(前期は660百万円の損失)となりました。

 

④環境事業

環境事業におきましては、電力小売事業を中心に展開しております。JEPXスポット市場価格の増加は、依然として電力仕入価格の上昇の要因となっておりますが、前期に比べると低い水準に推移したこと及びこれら電力仕入価格の上昇に起因する販売単価の上昇や契約電力の増加もあり、増収増益となっております。

その結果、売上高は2,488百万円(前期比109.8%)、セグメント損失は215百万円(前期は704百万円の損失)となりました。

 

⑤農業

 農業におきましては、有機農産物の生産、酪農畜産を行っております。売上高は738百万円(前期比148.0%)、セグメント損失は14百万円(前期は89百万円の損失)となりました。

 

新型コロナウイルス感染症の収束に向けての動きが加速したものの、更なる蔓延を抑制するために緊急事態宣言が再度発令され、特に飲食業界における経済活動が大きく抑制され、緊急事態宣言の解除後も消費行動の急速な回復が見られない中で、新たな変異株の感染が広まりを見せるなど、引き続き厳しい状況で推移いたしました。また国外におきましても、複数の地域で新型コロナウイルス感染症が再び蔓延するなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。この状況に対応するため、前期から進めている不採算店舗の撤退等による固定費削減により売上規模縮小への耐性を強化するとともに、居酒屋業態から「焼肉の和民」への業態転換及びフランチャイズモデルによるテイクアウト・デリバリー主体の「から揚げの天才」の出店強化等により、成長基盤の整備を強力に進めました。

これにより、国内外食事業のセグメント売上高は15,119百万円と前期から1,974百万円の減少となる中で、セグメント損失は前期の9,615百万円から6,872百万円へと改善しております。

 

宅食事業においては、コロナ禍の外出自粛による宅配需要と健康意識の高まりに対応し、冷凍惣菜の販売による在宅勤務者などを対象にした拡販の実施、教育機関との事業協定締結等による子育て層を対象にした営業強化、テレビショッピング放映による広範囲にわたる購買層の宅食需要の取込の結果、業績が好調に推移しました。

 

海外外食事業では、日本の国内外食事業と商品開発体制などの連携を強化した新業態の開発と出店、短期間で変化する収益環境に応じて戦略的なスクラップアンドビルドの実行により、セグメント損益は、前期の660百万円の損失から47百万円の利益へと改善しております。

 

なお、2022年3月には全ての地域でまん延防止等重点措置が解除され、経済活動も徐々に正常化に向かっておりますが、新たな変異株の出現と世界中での感染の拡大が繰り返される中で将来の環境は引き続き不透明な状況であると考えられます。当社グループでは、国内外食事業において継続して固定費削減及びテイクアウト・デリバリー業態の拡大、焼肉業態店舗への転換等による成長戦略を推進しております。また、コロナ禍においても堅調に成長している宅食事業において冷凍総菜宅配サービスの拡大及びインフレ環境における低価格商品の販売など、利用者ニーズに応じた成長基盤の強化により継続的な成長を達成しております。政府等の休業補償に伴う営業外収益の計上に加えて、これら成長戦略の推進及び経営基盤の整備の効果発現により、当連結会計年度の経常利益は2,665百万円の黒字となりました。将来の環境は依然として不透明な状況にありますが、飲食業界における経済活動が徐々に正常化することに伴い、当社グループの業績も着実に改善していくと考えております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べて3,909百万円減少し、10,971百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果獲得した資金は1,019百万円(前期は4,320百万円の支出)となりました。主な内訳は税金等調整前当期純損失が1,549百万円、減価償却費が2,206百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は15,365百万円(前期は3,408百万円の支出)となりました。主な内訳は定期預金の預入による純支出が13,144百万円、有形固定資産の取得による支出が1,711百万円、資産除去債務の履行による支出が819百万円、無形固定資産の取得による支出が486百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果取得した資金は10,103百万円(前期は11,638百万円の収入)となりました。主な内訳は短期借入金の純減が1,000百万円、長期借入れによる収入が5,037百万円、長期借入金の返済による支出が4,630百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が1,202百万円であります。

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で営業損益は赤字が継続しておりますが、「(1)経営成績の状況」に記載のとおり、前期より推進した不採算店舗撤退、国内外食工場・宅食工場の統合・集約等による固定費の削減効果、国内外食事業・宅食事業の確実な成長戦略の推進効果並びに各種の助成金収入により営業損益及び経常損益は大きく改善しており、営業活動によるキャッシュ・フローも前期に比べて大きく増加しております。


 なお、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業環境の急激な変化に対して手元流動性を確保するため、当連結会計年度においてDBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合との間で株式投資契約書及び総株引受契約書を締結し、12,000百万円の優先株式の発行を実施しております。この結果、当連結会計年度末に保有している現金及び預金30,826百万円は有利子負債(1年内償還予定の社債、社債、短期借入金及び1年内返済予定の借入金、長期借入金、短期リース債務及び長期リース債務の合計額)25,021百万円を大きく上回る水準にあります。これらの施策により手元流動性が向上するとともに、調達した資金を成長戦略へ投資することにより、厳しい環境下においても確実な成長と業績の改善に取り組んでまいります。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。      (単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

 国内外食事業

17,094

15,119

 宅食事業

36,656

40,646

 海外外食事業

4,273

5,298

 環境事業

2,266

2,488

 農業

499

738

 その他

63

70

     合計

60,852

64,362

 (注)品目が多岐にわたるため、販売数量の記載を省略しております。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)経営成績

 売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という。)比3,509百万円増加の64,362百万円となりました。この増加の主な要因は、宅食事業における増収が進む一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外食事業が減収増益、海外外食事業で増収増益などがあったことによるものであります。
 売上総利益は、前期比3,380百万円増加の34,639百万円となりました。
 販売費及び一般管理費は、前期比2,732百万円減少の38,217百万円となりました。
 営業損益は、前期比6,112百万円増加の△3,577百万円となりました。
 営業外損益は、営業外収益が前期比4,336百万円の増加、営業外費用は前期比388百万円の減少となりました。
 経常損益は、前期比10,837百万円増加の2,665百万円となりました。
 特別損益は、特別損失が前期比1,134百万円の増加となりました。
 法人税等は、前期比9百万円の減少、非支配株主に帰属する当期純損益は、前期比4百万円の減少となりました。
 親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比9,716百万円増加の△1,844百万円となりました。

 なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

 

(2)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)比7,329百万円増加の52,223百万円となりました。流動資産は、株式の発行による現金及び預金の増加等により前期末比10,255百万円増加の37,660百万円となりました。固定資産は、前期末比2,926百万円減少の14,562百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、国内の外食店舗設備等の減価償却等により前期末比2,072百万円減少の7,371百万円となりました。無形固定資産は、新規取得やソフトウエアの償却等により前期末比114百万円増加の1,427百万円となりました。投資その他の資産は、差入保証金の減少等により前期末比969百万円減少の5,763百万円となりました。

 

 当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比3,908百万円減少の37,589百万円となりました。流動負債は、社会保険料等の支払いにより前期末比2,388百万円減少の14,837百万円、固定負債は、長期借入金の減少等により前期末比1,519百万円減少の22,752百万円となりました。このうち有利子負債(短期借入金、長期借入金、社債及びリース債務の合計額)は、前期末比1,584百万円減少の25,021百万円となりました。
 
 当連結会計年度末の純資産の部は、優先株式の発行等による資本剰余金12,000百万円の増加及び利益剰余金の減少1,828百万円等により、前期末比11,237百万円増加の14,633百万円となりました。優先株式の発行に伴い、当連結会計年度末の自己資本比率は27.7%と大きく改善するとともに、流動比率は253.8%と財務安全性の水準を確保しております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(4)資金の調達・管理

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金調達は、内部資金の活用及び金融機関からの借入、リース取引により行っており、金融機関からの借入とリース取引は、国内、海外子会社のものを含め全て当社において一元管理しております。また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。設備投資の実施にあたっては、グループ連結営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とします。短期・長期の財務バランスにも配慮して資金調達を実施します。

 

(5)資金需要の主な内容

 国内外食事業、海外外食事業におきましては、新規出店や改装投資等になります。宅食事業におきましては、調理済商品の製造工場における省人化投資等になります。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは健全性・安定性の高い経営を維持し、資産効率の向上及び株主資本の有効活用が全てのステークホルダーの利益につながると考えており、純有利子負債比率(ネットD/Eレシオ)、総資産営業利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)を重要な指標と位置付けしております。

 当連結会計年度における純有利子負債比率(ネットD/Eレシオ)は△40.18%、総資産営業利益率(ROA)は△7.37%、株主資本利益率(ROE)は△20.93%でした。

 しかしながら、当面は営業利益率の改善が最優先であると認識しております。そのうえでこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる場合があります。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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