業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、第2四半期累計期間まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株に翻弄され、政府及び各自治体による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が概ねの期間交互に発出されたものの、第3四半期会計期間は全ての宣言や措置が解除され感染及び経済活動は落ち着きを取り戻したかに見えました。

しかしながら、続く第4四半期会計期間にはオミクロン株の感染爆発、ロシアによるウクライナ侵攻、米国の利上げ等の影響を受け、大幅な資源高、円安等、先行きに不透明感を残す形で終えました。

当社が属するメモリアル市場は、高齢者が増加傾向にあるにもかかわらず、お墓事業における屋外墓地については、埋葬の選択肢の多様化に伴い、高価格となる旧来の墓地墓石の購入層は年々減少しております。

一方、首都圏に永住する消費者が所有する故郷のお墓を引っ越しする需要は、緩やかに増加しております。

この流れに対応すべく当社は、消費者ニーズに寄り添った様々なお墓の形態を兼ね備えた霊園を開発すると共に、供養の全てを網羅し、価格においてもご満足いただける納骨堂(堂内陵墓)の販売拡大に取り組みました。

葬祭事業においては、超高齢化を背景に葬儀の簡素化が顕著となる中、インターネット媒体を中心とした同業者間の価格競争により、施行単価が下落するという厳しい環境下にあります。

それに加え、コロナ禍の影響による通夜式を自粛し告別式のみを執り行う密葬や直葬を選択するご葬家が増加傾向にあることから、魅力的なプランの開発や葬儀専門のポータルサイトとの連携を通じ受注件数の増大に努めました。

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高29億7千9百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益2億9千1百万円(同165.9%増)、経常利益1億8千4百万円(前年同期は経常損失1億4千万円)、当期純利益1億2千9百万円(前年同期は当期純損失2億9千2百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

お墓事業

a.屋外墓地

屋外墓地につきましては、高齢者の増加により成約件数は増加傾向にあるものの、埋葬に対する価値観の変化や選択肢の多様化に伴い、高価格となる旧来の墓地墓石の購入層は年々減少しております。

それに対し、樹木葬や共有墓等の需要は急激に増加し、施工単価の下落がより顕著化している状況を踏まえ、募集販売を受託している既存霊園の増設や改造等、販売戦略の見直しを適宜行っております。

また、2022年1月には、当社が募集代行する主力霊園のひとつである「白岡霊園(埼玉県白岡市)」第3期の開園があり、販売が計画を上回る結果となり、収益は大幅に改善しました。

売上高は、12億8千2百万円(前年同期比18.9%増)となりました。

 

b.納骨堂

納骨堂につきましては、現在、第六号「赤坂一ツ木陵苑(東京都港区)」並びに第七号「大須陵苑(名古屋市中区)」の募集代行を行っております。

コロナ禍による外出自粛の影響や埋葬の選択肢の多様化等を踏まえ、広告戦略の抜本的な見直しや徹底した感染防止対策等に努めた結果、収益は改善傾向にあります。

売上高は、2億2千9百万円(同13.1%増)となりました。

 

葬祭事業

葬祭事業につきましては、死亡者数が年々増加傾向にある中、春夏秋冬に発行する会報の配布やコロナ禍を踏まえ少人数に限定した終活セミナーの開催等、潜在顧客を受注に繋げる施策を継続的に行っております。

当社は、2021年6月、会員に対して葬儀等を割引価格で提供するだけでなく、シニアライフを応援する終活や葬儀後の諸手続きをサポートすることを目的に、有料会員サービスである「愛彩花倶楽部」を「さくら倶楽部」へ名称変更し、特典内容を大幅に刷新すると共に、新たに無料会員サービスである「あおい倶楽部」を新設しました。

これは、有料・無料の会員を獲得することで、最終的に当社のメインサービスである葬儀や墓地墓石等の受注に繋げ、収益の増大を目的としております。

また、葬儀専門のポータルサイト等と連携した潜在顧客以外の受注拡大と併せて抜本的な経費の見直しに注力した結果、コロナ禍による会葬者の減少は依然否めないものの受注件数は過去最高を記録し、収益は大幅に改善しました。

売上高は、14億6千6百万円(同9.3%増)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益が1億5千万円(前年同期は税引前当期純損失1億4千万円)と大幅に増加したものの、長期借入金の返済による支出等の要因により、前事業年度末に比べ3億6千5百万円減少し、当事業年度末には7億1千2百万円となりました。

 

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、3億3千6百万円(前年同期比162.7%増)となりました。

これは主に、営業収支による獲得4億3千4百万円、利息の支払9千1百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、1億8千万円(前年同期は6億6千2百万円の使用)となりました。

これは主に、差入保証金の純増による支出4億2千4百万円及び霊園開発協力金の純増による支出1億5千万円、定期預金の払戻による収入2億2千1百万円及び有形固定資産の売却による収入2億2千万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、5億2千1百万円(前年同期は6億3千3百万円の獲得)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出7億5千6百万円、株式の発行による収入2億7千1百万円等によるものであります。

 

③財政状態の状況

当事業年度における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(資産)

当事業年度末における流動資産は、5億5百万円減少し、18億4千2百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金5億5千万円の減少等によるものであります。

当事業年度末における固定資産は、2億4千9百万円増加し、75億9千6百万円となりました。その主な要因は、差入保証金5億8千万円の増加、土地2億9百万円の減少等によるものであります。

この結果、総資産は、94億6千7百万円となり、前事業年度末に比べ2億6千8百万円減少いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は、4億2千4百万円増加し、26億4百万円となりました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金2億8千万円、未払消費税等5千6百万円及び未払法人税等3千4百万円の増加等によるものであります。

当事業年度末における固定負債は、10億8千3百万円減少し、25億4千9百万円となりました。その主な要因は、長期借入金10億3千3百万円の減少等によるものであります。

この結果、負債合計は、51億5千3百万円となり、前事業年度末に比べ6億5千8百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、3億9千万円増加し、43億1千3百万円となりました。その主な要因は、資本金1億4千万円、資本準備金1億4千万円及び利益剰余金1億3百万円の増加等によるものであります。

この結果、自己資本比率は45.5%(前事業年度末は40.2%)となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

お墓事業(屋外墓地)(千円)

1,242,602

109.2

葬祭事業(千円)

1,466,911

109.3

合計

2,709,514

109.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

お墓事業(屋外墓地)

1,273,005

115.3

137,806

93.7

お墓事業(納骨堂)

230,447

113.2

5,405

111.2

葬祭事業

1,466,911

109.3

合計

2,970,365

112.1

143,211

94.3

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

お墓事業(屋外墓地)(千円)

1,282,218

118.9

お墓事業(納骨堂)(千円)

229,904

113.1

葬祭事業(千円)

1,466,911

109.3

合計

2,979,035

113.5

(注)1.お墓事業(納骨堂)は、販売に関わる受取手数料等であります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

宗教法人興安寺

145,753

5.6

151,094

5.1

宗教法人威徳寺

55,327

2.1

75,907

2.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

a.売上高

売上高は、前事業年度より3億5千4百万円増加し、29億7千9百万円(前年同期比13.5%増)となりました。

お墓事業(屋外墓地)においては、埋葬に対する価値観の変化や選択肢の多様化に伴う樹木葬や共有墓等の需要が急増している状況を踏まえ、募集販売を受託している既存霊園の改造等を適宜行いました。

また、2022年1月には、「白岡霊園(埼玉県白岡市)」第3期の開園があり、募集販売が好調であったことから、収益は大幅に改善し、売上高は12億8千2百万円(同18.9%増)となりました。

コロナ禍による来園者数の減少等を考えれば、健闘した結果であったものと認識しております。

お墓事業(納骨堂)は、コロナ禍による外出自粛の影響や埋葬の選択肢の多様化等も重なり、販売は計画どおりには推移しておりません。

広告戦略の見直しや徹底した感染防止対策に努めたものの、来園者数の減少は否めず、売上高は2億2千9百万円(同13.1%増)と、小幅な改善に留まりました。

2022年3月に全ての宣言や措置が解除されたことにより人流は回復傾向にあることから、集客力の強化に注力することが何より肝要であるものと認識しております。

葬祭事業においては、コロナ禍による通夜式を自粛し告別式のみを執り行う密葬や直葬を選択するご葬家が増加し施行単価が下落していることから、魅力的なプランの開発や葬儀専門のポータルサイトとの連携を通じ受注の増大に努めた結果、受注件数は過去最高を記録し、売上高は14億6千6百万円(同9.3%増)となりました。

さくら・あおい倶楽部会員は46,000人を突破しており、これを梃に様々な事業展開が可能となる優位性を保持していることから、お墓事業及び葬祭事業を軸とした様々な異業態との提携を推進し、売上高の伸長に努めて参ります。

 

b.売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費及び営業利益

売上原価は、前事業年度より4千5百万円増加し、8億4千3百万円(同5.6%増)となりました。

これは主に、営業部門における売上高の増加に伴うものであります。

売上総利益は、前事業年度より3億9百万円増加し、21億3千5百万円(同16.9%増)となりました。

これは主に、営業部門における売上高の増加及びコスト管理の成果によるものであります。

販売費及び一般管理費は、前事業年度より1億2千7百万円増加し、18億4千4百万円(同7.4%増)となりました。

これは主に、営業部門における売上高の増加に伴うものであります。

この結果、営業利益は、前事業年度より1億8千1百万円増加し、2億9千1百万円(同165.9%増)となりました。

 

c.営業外損益及び経常利益

営業外損益は、前事業年度の2億4千9百万円の損失(純額)から、1億7百万円の損失(純額)となりました。

これは主に、支払利息8千6百万円の計上等によるものであります。

この結果、経常利益は、1億8千4百万円(前年同期は1億4千万円の経常損失)となりました。

 

d.特別損益

特別損益は、前事業年度の0百万円の利益(純額)から、3千3百万円の損失(純額)となりました。

これは主に、固定資産売却損3千1百万円の計上等によるものであります。

 

e.法人税等(法人税等調整額を含む。)

法人税等は、前事業年度の1億5千2百万円から、2千1百万円となりました。

これは主に、法人税、住民税及び事業税3千2百万円の計上等によるものであります。

 

f.当期純利益

以上の結果、当期純利益は、1億2千9百万円(前年同期は当期純損失2億9千2百万円)となり、1株当たり当期純利益は9円54銭(前年同期は1株当たり当期純損失33円64銭)と大幅に改善しました。

 

g.検討内容

上述の財政状態及び経営成績の状況を認識及び分析し検討した結果、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える主な要因は、葬祭事業における会葬者数並びにお墓事業における納骨堂の集客力及び販売力にあります。

葬祭事業は、会葬者の増減が施行単価に直結します。

また、納骨堂は、募集代行業務の性質上、契約者からの入金があった時点で手数料売上を計上しているため、売上高が概ね損益に直結します。

当事業年度の結果を踏まえ、徹底したコスト管理は勿論のこと、受注件数の増大を目的としたマーケティング戦略の更なる強化を図ると同時に、自動搬送式納骨堂のパイオニアとして徹底的な差別化を図り、利益を追求する体制を構築して参ります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、分析・検討した結果、キャッシュ・フロー改善に向けての最重要課題は、納骨堂の販売拡大であるとの結論であります。

当社は、納骨堂の販売が順調に推移すれば、営業活動によるキャッシュ・フローの増加は勿論のこと、投資活動によるキャッシュ・フローにおける差入保証金の差入による支出が抑えられ、財務活動によるキャッシュ・フローにおける借入金の純減等にも繋がり、現金及び現金同等物の増加にも寄与することから、継続して当課題に全力を傾注して参ります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済に備えるため、資本の増強をはじめ、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関等からの借入や社債の発行等を基本としております。

当事業年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて、主に営業収支による獲得4億3千4百万円等があり、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、主に株式の発行による収入2億7千1百万円等がありました。

これら営業及び財務活動により調達した資金は、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的且つ効率的に使用することに加え、有形固定資産や投資その他の資産の流動化を推し進め、財務体質の改善に繋げて参ります。

なお、当事業年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は40億7千万円となっております。

また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は7億1千2百万円となっております。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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