(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化した中、緊急事態宣言が解除された10月以降に個人消費の回復傾向が見られたものの、新たな変異株の感染拡大等により厳しい状況が続きました。第4四半期には原材料やエネルギー価格の上昇、円安の進行等も加わり、先行き不透明な状況が強まっています。衣料品小売業界においても、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う実店舗の営業時間短縮や来店客数の減少など、厳しい事業環境が継続しました。
このような状況の下、当社は2022年3月期のグループ経営方針に「持続的成長と未来に向けた大改革~新時代のお客様大満足へ~」を定め、2つの重点取組課題を軸に厳しい外部環境に対応できるよう盤石な経営基盤の構築に注力しつつ、再成長も見据えて新しい事業領域への展開を進めました。これらの事業活動を支え持続的成長を図るため、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるお客様への提供価値向上や業務効率化に向けた施策に加えサステナビリティ戦略も推進しました。
重点取組課題の一つ目に設定した営業利益生産性計画の必達に向けて、不採算店舗、レーベル、事業等の精査を徹底し、店舗については当連結会計年度中に連結で26店舗の退店を決行しました。2022年3月期末の連結店舗数は310店舗、コロナ禍前である2020年3月期末から約14%の削減となり、不採算店舗等の精査について一定の目処が立ちました。営業利益生産性は、計画値を下回ったものの、前連結会計年度から改善が図れました。
二つ目の重点取組課題として定めた連結売上総利益率計画(50.7%)の必達に向けて、在庫効率改善や営業施策推進等に注力しました。在庫効率については、春夏、秋冬商品ともに調達を抑制したこと等により、定価販売比率の前連結会計年度比での回復を図り、売上総利益率の向上に努めました。営業活動においてはOMO(*)を推進しました。オンライン接客やライブ配信での商品紹介などSNSを活用したほか、店舗スタッフのスタイリングをECサイトへ積極的に掲載したこと等により、お客様との接点を広げています。さらなるOMO推進の足掛かりとして、2022年3月には自社ネット通販サイトをリニューアオープンしました。
(*)OMO:(Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインの融合を指す。)
再成長を見据えて、時代の変化に即した新たな取り組みに多数挑戦しました。ネット通販での販売を軸とした新ブランド「CITEN」や新レーベル「MARW UNITED ARROWS」を展開、アウトドアの「koti BEAUTY&YOUTH」、ヨガウェアの「TO UNITED ARROWS」、ゴルフウェアの「UNITED ARROWS GOLF」といった新レーベルを開発したほか、ウェルネス・サステナブル活動の発信拠点となる新店舗「California General Store」、お酒のセレクトショップ「UNITED ARROWS BOTTLE SHOP」をオープンしました。オンラインを活用しながらお客様一人ひとりに高度な接客サービスを提供する「プライベートサービスデスク」や、法人向けコンサルティングサービスも始動しました。
DXについては、適時、適価、適量、適所の商品供給実現を目指してサプライチェーンのデジタル化を計画しています。一連の商品関連業務を担うシステムの導入準備のほか、店舗やネット通販在庫の消化状況を管理し適切なチャネル、売価での販売を目的とするシステムをテスト導入するなどの取り組みを進めました。
サステナビリティについては、当社が定めた5つのテーマ達成を目指し、サステナビリティ委員会を主体に各部門と連携して取締役と討議を重ねています。当連結会計年度はサプライチェーンと資源のテーマを中心に進め、商品調達取引先様向け行動指針を策定し同意書の取得を開始したほか、一部包装資材の環境配慮素材への切り替え等を行いました。
出退店については、トレンドマーケットで2店舗の出店、13店舗の退店、ミッド・トレンドマーケットで2店舗の出店、10店舗の退店、アウトレットで1店舗の退店を実施した結果、当連結会計年度末の小売店舗数は190店舗、アウトレットを含む総店舗数は216店舗となりました。
連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)は減収、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)は増収となりました。出退店については、株式会社コーエンは2店舗の出店、2店舗の退店により当連結会計年度末の店舗数は87店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司の当連結会計年度末の店舗数は7店舗となっています。
以上により、グループ全体での新規出店数は6店舗、退店数は26店舗、当連結会計年度末の店舗数は310店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前期比2.7%減の118,384百万円となりました。減収の主な要因は、連結子会社であった CHROME HEARTS JP 合同会社および株式会社フィーゴについて、前連結会計年度である2021年3月期に保有する出資持分および株式を売却したことに伴い、連結の範囲から除外したことによるものです。なお、株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+ネット通販既存店売上高前期比は105.5%となりました。内訳は、小売既存店売上高前期比は前年の実店舗休業の反動などにより114.9%となったものの、ネット通販既存店売上高前期比については前年のセール施策の反動などにより91.6%となりました。売上総利益は前期比7.4%増の59,090百万円となり、売上総利益率は前期から4.7ポイント増の49.9%となりました。これは在庫の調達をコントロールし、値引きを抑制したことなどによるものです。販売費及び一般管理費は各項目で抑制をかけ前期比6.9%減の57,407百万円となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は1,683百万円(前年度は営業損失6,613百万円)、経常利益は2,827百万円(前年度は経常損失4,878百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は732百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失7,197百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
② 財政状態の状況
(資産の部)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3.2%減少し、38,475百万円となりました。
これは、主として商品が815百万円増加した一方、現金及び預金が1,011百万円、未収入金が798百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度に比べて11.1%減少し、21,228百万円となりました。
これは、主として店舗の減損損失を計上したこと等により、建物及び構築物を始めとする有形固定資産が1,591百万円、不採算店舗の退店などにより差入保証金が850百万円、繰延税金資産が548百万円それぞれ減少した一方、自社ネット通販サイトをリニューアルしたこと等により、投資その他の資産のその他が765百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6.2%減少し、59,703百万円となりました。
(負債の部)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて14.0%減少し、25,437百万円となりました。
これは、主として支払手形及び買掛金が977百万円、未払金が402百万円、未払法人税等が662百万円、賞与引当金が320百万円それぞれ増加した一方、短期借入金が7,800百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度に比べて0.3%減少し、4,197百万円となりました。
これは、主として店舗の退店に伴い、資産除去債務が38百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて12.3%減少し29,634百万円となりました。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.8%増加し、30,069百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により732百万円増加した一方、非支配株主への持分売却により235百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,011百万円減少し、当連結会計年度末には、5,593百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,891百万円(前連結会計年度比11,168百万円収入増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,759百万円、減価償却費1,100百万円、減損損失1,043百万円、仕入債務の増加額1,223百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額632百万円、持分法による投資利益588百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は215百万円(前連結会計年度比4,294百万円収入増)となりました。
これは、主に店舗の退店による差入保証金の回収による収入932百万円、関係会社出資金の売却による収入991百万円があった一方、自社ネット通販サイトリニューアル等による無形固定資産の取得による支出629百万円、長期前払費用の取得による支出401百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は8,000百万円(前連結会計年度比17,268百万円支出増)となりました。
これは、短期借入金の純減少額が7,800百万円、配当金の支払額200百万円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売実績
当社グループは、一般消費者を対象とした店頭での紳士服・婦人服等の衣料品ならびに関連商品の販売を主たる事業としているため、生産及び受注の状況に替えて仕入実績を記載しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
商品別販売実績
(注) 1 シルバー&レザーとは「CHROME HEARTS」ブランドの銀製装飾品および皮革製ウエアであります。なお、前連結会計年度においてCHROME HEARTS JP合同会社を連結除外したことに伴い、シルバー&レザーの前年同期比が減少しております。
2 数量については、商品内容が多岐にわたり、その表示が困難なため記載を省略しております。
3 「その他」には、アウトレット、催事販売、連結子会社である株式会社コーエン、台湾聯合艾諾股份有限公司等の売上が含まれております。
当連結会計年度の商品仕入実績を商品別に示すと次のとおりであります。
(注) 1 シルバー&レザーとは「CHROME HEARTS」ブランドの銀製装飾品および皮革製ウエアであります。なお、前連結会計年度においてCHROME HEARTS JP合同会社を連結除外したことに伴い、シルバー&レザーの前年同期比が減少しております。
2 「その他」には、アウトレット、催事販売、連結子会社である株式会社コーエン、台湾聯合艾諾股份有限公司等の仕入高が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、緊急事態宣言が解除された10月以降、少しずつ個人消費の回復傾向が見られたものの、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う実店舗の営業時間短縮や来店客数の減少などの影響により、前期比2.7%減の118,384百万円となりました。なお、株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+ネット通販既存店売上高前期比は105.5%となりました。内訳は、小売既存店売上高前期比は前年の実店舗休業の反動などにより114.9%となったものの、ネット通販既存店売上高前期比については前年のセール施策の反動などにより91.6%となりました。
当連結会計年度における売上総利益は、前期比7.4%増の59,090百万円となり、売上総利益率は前期から4.7ポイント増の49.9%となりました。これは在庫の調達をコントロールし、値引販売を抑制したことなどによるものです。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前期比6.9%減の57,407百万円、販売費及び一般管理費率は前期から2.2ポイント減の48.5%となりました。これは、売上の低下に伴う変動費の減や固定費の抑制等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は1,683百万円(前年度は営業損失6,613百万円)となりました。
当連結会計年度における営業外収益は、助成金収入の減少等により、1,218百万円(前期比609百万円減)となりました。営業外費用は、支払利息の減少等により、73百万円(前期比18百万円減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は2,827百万円(前年度は経常損失4,878百万円)となりました。
当連結会計年度における特別損失は、営業店舗を中心に計1,043百万円の減損損失を特別損失に計上したこと等により、1,133百万円(前期比1,575百万円減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は732百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失7,197百万円)となりました。
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は7,800百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、5,593百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大による社会の大きな変化を踏まえ、経営理念および5つの価値創造の実現に向けた2023 年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年11月に公表しました。
中期経営計画は基本方針として「危機に打ち勝ち、稼ぐ力を取り戻す」を掲げ、中期経営計画最終年度の目標について、2020年11月の公表時には連結営業利益7,000百万円~8,000百万円、ROE12~14%としておりましたが、特に当社の売上創出の核となる都市部において、コロナウイルス感染拡大による影響が想定より長引いたこと等により、最終年度となる2023年3月期の営業利益目標を4,800百万円、ROEを9.6%に見直すことといたしました。
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