文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は1989 年10 月の創業時に「日本の生活文化のスタンダードを創造することで社会に貢献する」という主旨の「設立の志」を掲げました。当社ではこの創業の志について、本質を変えず常に時代に即した表現へ改定を行いながら「経営理念」として掲げ続けており、これを全取締役・従業員の職務執行上の拠り所としています。
また、当社は「5つの価値創造」を経営理念の中に包含しています。5つの価値とは「お客様価値」「従業員価値」「取引先様価値」「社会価値」「株主様価値」であり、当社に関わるすべてのステークホルダーの価値を高めていくことを会社の使命としています。
当社ではこれら5つの価値の創造に全力を尽くすと同時に、社会の公器として日本の生活・文化の向上に貢献していくことを経営の基本方針としています。
また昨今、持続可能な社会の実現に向け、環境、社会、ガバナンスを重視した企業経営の重要性がますます高まっています。「5つの価値創造」を基本に、サステナビリティ課題への取り組みを主体的に進めるため、2020年5月に「サプライチェーン」「資源」「コミュニティ」「人材」「ガバナンス」の5つのテーマを設定しました。当社では、この5つのテーマの推進により、事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた活動を積極的に行っていきます。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社では新型コロナウイルス感染拡大による社会の大きな変化を踏まえ、上記の経営理念および5つの価値創造の実現に向けた2023年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年11月に公表しました。
中期経営計画は基本方針として「危機に打ち勝ち、稼ぐ力を取り戻す」を掲げ、「収益構造を抜本的に見直す」、「稼ぐ力を取り戻す」の二つの取り組み項目を設定しています。「収益構造を抜本的に見直す」においては、不採算な子会社、事業、店舗の退店や統廃合、本部組織の構造改革、人事施策の変更、在庫効率の向上による売上総利益率の改善などを行い、収益性の高い構造への変革を図ります。「稼ぐ力を取り戻す」においては、主力事業の収益改善、新しい時代に即した事業開発、OMO(*)の推進を図ります。
なお、中期経営計画最終年度の目標について、2020年11月の公表時には連結営業利益70~80億円、ROE12~14%としておりましたが、特に当社の売上創出の核となる都市部において、新型コロナウイルス感染拡大による影響が想定より長引いていること等により、最終年度となる2023年3月期の営業利益目標を48億円、ROEを9.6%に見直すことといたしました。
(*)OMO:(Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインの融合を指す)
また昨今、持続可能な社会の実現に向け、環境、社会、ガバナンスを重視した企業経営の重要性がますます高まっています。「5つの価値創造」を基本に、サステナビリティ課題への取り組みを主体的に進めるため、2020年5月に「サプライチェーン」「資源」「コミュニティ」「人材」「ガバナンス」の5つのテーマを設定しました。当社では、この5つのテーマの推進により、事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた活動を積極的に行っていきます。
(3) 会社の対処すべき課題および次期の見通し
当社は2023年3月期のグループ経営方針として「感動提供 すてきな接客 すてきな商品 ヒトのチカラ モノのチカラ」を掲げています。
当社の経営理念において社会との約束と位置づけている「5つの価値創造、お客様価値 - 従業員価値 - 取引先様価値 - 社会価値 - 株主様価値」が示す通り、当社ではお客様価値を起点に全てのステークホルダーの価値をバランスよく高めていくことを経営の目標としています。当社の全活動をお客様への感動提供に集中させ、すてきな商品を、すてきな接客を通じてご紹介し、お客様に感動を伴う買い物体験を提供することでお客様価値を高め、最終的に全てのステークホルダーへの価値提供に繋げます。
感動提供を実現するための重点戦略として既存店の回復を図ることを掲げ、1.感動接客 - 販売力の底上げ、2.感動クリエイション - 商品力の底上げ、3.新たなUAへの挑戦 - 積極的なトライアンドエラーの3つの取り組みを進めます。
1.感動接客 - 販売力の底上げ
ご来店いただくお客様が期待されているのは、親切、丁寧で優しさがあり、お客様の感情に寄り添うことで心を動かされる接客だと捉えています。接客という当社の強みをさらに底上げしていくために、販売力強化に向けた取り組みを進めます。
2.感動クリエイション - 商品力の底上げ
商品の魅力をお客様に積極的に語れるような商品、価格の高低に関係なく、一点一点に時間と熱量をこめ、その価値に共感いただけるような商品を提供できるよう、商品開発力の強化に努めます。在庫調達の精度も高め、高い消化率と売上総利益率を目指します。
3.新たなUAへの挑戦 - 積極的なトライアンドエラー
当社は日本のファッション業界において新たな価値を創造しつづけることで、お客様からの支持をいただいてきました。過去の成功体験や既成概念にとらわれず、新たなブランド開発、新たな価値提供につながるドメインへの拡大を検討します。当社のブランド価値を次世代のステークホルダーにも伝えていけるよう、新しいユナイテッドアローズに向けた取り組みを行います。
これらの施策の下支えとなり、当社の継続的な成長を担保するベース戦略として掲げたのが、ES推進、DX推進、サステナビリティ推進の3つです。
ES(*)推進
感動提供を作り上げる基礎になるのは従業員です。従業員が安心して、高い満足度の下で働ける環境を整備し、感動提供の土台を作ります。人事評価制度の改定、学びの提供、タレントマネジメントシステム活用による従業員個人の志向や意欲も反映させた適材適所の人材配置などを進め、感動提供の基盤となる従業員満足度を高めます。
(*)ES:(Employee Satisfaction の略。従業員満足を指す。)
DX推進
デジタル技術を活用し、お客様の生活をより良いものに変革していくことを目的にDXの取り組みを進めます。商品面では適時、適価、適量、適所の商品供給に向けたサプライチェーンのデジタル化に加え、商品の発注から納品、在庫管理や分析まで一連の商品関連業務を担う基幹システム等の刷新を進めます。販売面では、2022年3月に実施した自社ネット通販サイト「ユナイテッドアローズ オンライン」のリニューアルを皮切りに、実店舗とネット通販を融合させたサービスを図り、顧客体験価値の向上を目指します。SNSの活用、「ユナイテッドアローズ オンライン」のアプリやメール、LINEなどを駆使してCRM(*)を強化し、訴求力を高めます。
(*)CRM:(Customer Relationship Management の略。お客様との関係性の管理を指す。)
サステナビリティ推進
サステナビリティへの取り組みは、当社がお客様や社会から永続的な支持を得るための重要な要素です。4R(Reuse: 再使用する、Reduce: 少なくする、Refuse: 不要なものを断つ、Recycle: 再生利用する)推進による商品廃棄の極小化、脱炭素化に向けた活動、サプライチェーンにおける人権尊重、環境配慮素材の積極使用などを通じ、倫理的で自然との共生につながる事業活動を行います。
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