業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度の経済環境を顧みますと、米国では、雇用環境や個人消費の改善により、景気は底堅く推移しました。欧州では、ワクチン接種の進展により行動制限が緩和され、着実な景気回復が続きました。アジアにおいて、中国では、個人消費や輸出の改善により、景気は堅調に推移しました。その他のアジア各国では、長期間に及んだ行動規制が緩和され、景気の持ち直し傾向が見られます。日本では、緊急事態宣言が長期化したものの、宣言解除にともない緩やかに景気は回復しています。ワクチンの普及により新型コロナウイルス感染症が経済へ与える影響は軽減されていますが、引き続き変異株の流行等に留意が必要な状況にあります。

このような状況下、当社の当連結会計年度の業績は、売上高は2,268億3千3百万円前連結会計年度に比べて452億3千4百万円の増加(24.9%増)となりました。利益面では、営業利益は49億5千4百万円前連結会計年度に比べて5億2百万円の増加(11.3%増)となり、経常利益は59億3千4百万円前連結会計年度に比べて14億9千万円の増加(33.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は45億6千1百万円となり、前連結会計年度に比べて28億3千7百万円の増加(164.6%増)となりました。

なお、当連結会計年度における当社の主要通貨の平均為替レートは、米ドルが109.95円(前連結会計年度比3.0%円安)、ユーロが129.94円(前連結会計年度比6.7%円安)、中国元が17.04円(前連結会計年度比10.1%円安)、タイバーツが3.44円(前連結会計年度比0.6%円安)であります。

また、当連結会計年度における業績の分析等については、セグメント別の業績および要因に記載しております。

 

セグメント別の業績および要因は次のとおりであります。本文中の「セグメント利益」および「セグメント損失」は、連結損益計算書の営業利益を基礎としております。

(日本)

車載関連機器用部材の出荷が増加したこと等により、当セグメントの売上高は926億3千4百万円前連結会計年度に比べて177億2千3百万円の増加(23.7%増)となり、セグメント利益は1億2千5百万円(前連結会計年度は5千4百万円のセグメント損失)となりました。

 

(中華圏)

車載関連機器用部材および産業機器用部材の出荷が増加したこと等により、当セグメントの売上高は830億5千2百万円前連結会計年度に比べて152億7千万円の増加(22.5%増)となり、セグメント利益は17億3千万円前連結会計年度に比べて4千5百万円の増加(2.7%増)となりました。

 

(東南アジア)

車載関連機器用部材および産業機器用部材の出荷が増加したこと等により、当セグメントの売上高は841億2百万円前連結会計年度に比べて149億8千7百万円の増加(21.7%増)となり、セグメント利益は33億1千8百万円前連結会計年度に比べて8億3百万円の増加(32.0%増)となりました。

 

(欧州)

新たに欧州大手自動車部品メーカーとの取引を開始したこと等により、車載関連機器用部材の出荷が増加し、当セグメントの売上高は156億4千万円前連結会計年度に比べて50億8千5百万円の増加(48.2%増)となり、セグメント損失が1億2千3百万円に縮小しました。(前連結会計年度は4億3千8百万円のセグメント損失)

 

(米州)

産業機器用部材の出荷が減少した一方、車載関連機器用部材の出荷が増加したこと等により、当セグメントの売上高は454億6千1百万円前連結会計年度に比べて72億9千5百万円の増加(19.1%増)となりました。利益面では、輸送コスト高騰の影響や半導体を中心とした電子部品の供給不足に対応するための緊急輸送コストの発生等により、セグメント利益は3億8千5百万円前連結会計年度に比べて2億9千6百万円の減少(43.4%減)となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べて254億8千4百万円増加(17.6%増)し、1,699億2千1百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金136億4千6百万円の減少(59.0%減)、たな卸資産217億8百万円の増加(59.4%増)および売掛金100億1千万円の増加(28.6%増)等により、前連結会計年度末に比べて185億4千2百万円増加(17.8%増)し、1,227億9千7百万円となりました。

固定資産は、主に中華圏セグメントにおける設備投資および連結財務諸表作成時の為替レートが円安に推移した影響にともなう有形固定資産56億9千7百万円の増加(17.8%増)により、前連結会計年度末に比べて69億4千2百万円増加(17.3%増)し、471億2千3百万円となりました。

 

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末に比べて156億1千3百万円増加(17.8%増)し、1,035億5千1百万円となりました。

流動負債は、買掛金98億1千6百万円の増加(35.7%増)および短期借入金77億5千万円の増加(32.5%増)等により、前連結会計年度末に比べて199億7千7百万円増加(33.4%増)し、798億3千3百万円となりました。

固定負債は、長期借入金36億1千4百万円の減少(30.0%減)等により、前連結会計年度末に比べて43億6千4百万円減少(15.5%減)し、237億1千8百万円となりました。

 

(純資産)

純資産は、為替レートの変動にともなう為替換算調整勘定60億8千万円の増加(1,876.9%増)および利益剰余金30億9千3百万円の増加(5.7%増)等により前連結会計年度末に比べて98億7千万円増加(17.5%増)し、663億6千9百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末から変動はなく、38.8%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度において、現金及び現金同等物 (以下「資金」という。) は、前連結会計年度末に比べて136億5千2百万円減少(59.4%減)し、当連結会計年度末における資金は93億1千5百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況および要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は、81億6百万円(前連結会計年度は132億8千万円の増加)となりました。これは主に、仕入債務の増加額77億9千4百万円、減価償却費61億2千9百万円および税金等調整前当期純利益59億3千5百万円の資金増加要因に対し、たな卸資産の増加額181億1千万円および売上債権の増加額74億2千8百万円の資金減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、77億6千5百万円(前連結会計年度は60億3千4百万円の減少)となりました。これは主に、各海外生産拠点において行われた設備投資にともなう有形固定資産の取得による支出74億4千3百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、8億6千9百万円(前連結会計年度は12億9千1百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出55億8千4百万円に対し、短期借入金の純増加額57億3千2百万円によるものであります。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

自己資本比率 (%)

43.9

40.5

40.3

38.8

38.8

時価ベースの自己資本比率 (%)

91.2

49.1

50.2

50.5

39.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

3.4

27.2

4.0

3.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

20.1

3.2

18.3

34.9

 

(注)各指標の算出方法

・ 自己資本比率               : 自己資本÷総資産

・ 時価ベースの自己資本比率                  : 株式時価総額÷総資産

・ キャッシュ・フロー対有利子負債比率        : 有利子負債((期首+期末)÷2)÷営業キャッシュ・フロー

・ インタレスト・カバレッジ・レシオ          : 営業キャッシュ・フロー÷利払い

 

1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値(東京証券取引所第一部)×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

5 2021年12月期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

日本

90,561

+26.3

中華圏

81,511

+28.5

東南アジア

83,715

+41.8

欧州

16,252

+53.2

米州

49,476

+45.7

合計

321,518

+34.7

 

(注) 1 金額については、仕入価格により表示しております。

2 金額については、セグメント間の内部仕入高又は振替高を含んでおります。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

92,634

+23.7

中華圏

83,052

+22.5

東南アジア

84,102

+21.7

欧州

15,640

+48.2

米州

45,461

+19.1

合計

320,890

+23.2

 

(注) 1 金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の分析

当社事業の中心であるエレクトロニクス分野におきましては、CASE、IoT、DXなど大きな技術革新が起こっております。また技術革新のみならず、新型コロナウイルス感染症への対応から多くの企業がビジネスモデルの転換を迫られております。このような市場環境の変化に柔軟に対応していくため、当社はグローバルベースで顧客の様々なニーズに対応することを主眼に電子部品の調達、基板実装、成形事業などワンストップソリューションの提供を進めております。

このような状況下、当社の当連結会計年度の業績は、 売上高は2,268億3千3百万円前連結会計年度に比べて452億3千4百万円の増加(24.9%増)となりました。営業利益は49億5千4百万円前連結会計年度に比べて5億2百万円の増加(11.3%増)となりました。

当連結会計年度の業績と当初予想との差異の要因につきましては、半導体を中心とした電子部品の供給不足や輸送コストの高騰による影響が大きく、主に中華圏セグメントに属する中国・湖北工場および欧州セグメントに属するハンガリー工場において、一部のプロジェクトに遅れが生じたことに加えて、米州セグメントにおいて、サプライチェーンの混乱にともなう、緊急輸送コストが発生したこと等によるものであります。

今後につきましては、不透明感が続く環境下ではありますが、当社事業の主力である車載関連機器の市場は世界の自動車需要の回復を背景に堅調に推移すると見込まれます。東南アジアセグメントにおいて、昨年拡張工事が完了しましたインドネシア・ジャカルタ地域の工場にて、車載関連顧客を中心に需要の増加により獲得したビジネスの量産対応を進めて参ります。米州セグメントにおいても、大手グローバル顧客との取引が拡大しており、生産量の増加が見込まれます。同時に物流費の高騰に関するコスト管理を強化し、利益面でも改善を図って参ります。その他の地域においても、世界各地でCASEやIoT、DXの広がりを背景に日系・非日系を問わず大手グローバル企業との取引を拡大させて参ります。

各経営指標は、以下のとおりであります。

連結経営指標

2021年度

実績

(百万円)

2021年度

計画

(百万円)

2021年度

計画比

(百万円)

2020年度

実績

(百万円)

2020年度

実績比

(百万円)

売上高

226,833

210,000

+16,833

(+8.0%)

181,598

+45,234

(+24.9%)

営業利益

4,954

6,800

△1,845

(△27.1%)

4,452

+502

(+11.3%)

 

 

② 資本の財源および資金の流動性

当社グループの主な資金需要としては、短期的なものとして商品等の仕入、製造費用および販管費等の運転資金、長期的なものとして、生産能力増強および合理化等のための設備投資資金があります。これらの事業運営上必要な資金については、資金の流動性および源泉を安定的に確保することを基本とし、運転資金については、自己資金および金融機関からの短期借入、設備投資資金については、金融機関からの長期借入等の要否を検討し、資金調達を行っております。

なお、当連結会計年度の資金調達について、特記すべき事項はありません。

また、当連結会計年度における設備投資等の概要ならびに重要な設備投資計画の予定金額とその資金調達方法については、「第3 設備の状況」をご参照ください。

 

 

重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた重要な会計上の見積りおよび当該見積りの仮定は、以下のとおりであります。

なお、これらの見積りは過去の実績や連結財務諸表作成時点で入手可能な外部情報等にもとづき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、回収可能価額を事業計画にもとづく将来キャッシュ・フローや割引率、固定資産の時価等により見積り、その額が帳簿価額を下回る場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識します。

減損の兆候の認識および減損損失の測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経済環境等、見積りの前提条件に変更があった場合においては、認識される減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(たな卸資産の評価)

当社グループは、たな卸資産について、需要動向および市況の変化にもとづく過剰または長期滞留や陳腐化を考慮した上で、適正な価値で評価いたします。取得日から一定期間を経過しているたな卸資産については、収益性の低下にともなう正味売却価額を見積り、帳簿価額との差額を評価損失として認識します。

メーカー間の競争激化等にともなう市況変動や製品ライフサイクルの変化等により収益性が変動し、たな卸資産の評価額に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループでは、事業計画にもとづいて将来の課税所得の見込みを算定し、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を認識します。

なお、当該回収可能性は将来の課税所得の見積りにもとづいて判断するため、見積りの前提とした事業計画とのかい離や想定外の経済環境の悪化等により課税所得が減少した場合、繰延税金資産の減額にともなう税金費用を計上する可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症の影響)

新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営業績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

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