業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及などにより、個人消費を中心に回復の兆しを見せたものの、物価高騰やオミクロン株の脅威上昇など先行きの不透明感は変わらず、消費回復を楽観視できない状況となっております。

 国内のデジタル環境は、職場、学校、公共サービスなどのデジタル化が進み、デジタルは日常生活になくてはならないものになりつつあります。その反面「使いたいのに使えない」「使えることを知らない」といった方々もおられ、その両者のデジタル格差は拡大し、社会課題の一つとして認識されております。

 そのような環境下、当社グループは様々な社会構造の変化に対応し、カスタマーサクセス(将来のデジタルライフの価値増加)を実現する企業として以下のVisionとMissionを掲げております。

 

<Vision>

情報社会における格差を解消する

<Mission>

全てのお宅にデジタル担当を

 

 

 社会において、デジタルに関する課題が認識され、さらに拡大を見せる中、当社グループはその課題解決を図るために、定額会員制サービス(以下「サブスクリプション」という。)として「ご家庭ごとのデジタル担当」を提供しております。当社グループのサブスクリプションとは、パソコンやスマートフォンなどの商品購入、修理やインターネット接続、使い方、サポートなどご家庭の「全てのデジタル化」を1名の専任担当が行う、ビジネスモデルであり、多くのご家庭の「デジタル課題の解決」が可能になります。

 当社グループはサブスクリプションの強化を目的に、当連結会計年度より「経営重要指標(KPI)」をLTV(Life Time Value)と定義し、1)定額会員の増加、2)定額会員の利用機会の増加、3)定額会員の利用期間の長期化の3点を重点的に進めることで、LTVの最大化を図りました。デジタル商品の販売という「モノ売り」を通した単純解決から、生活の様々なデジタル化やオンライン学習の相談、使い方やお手伝い、サポートなど多種多様な「コト売り」による提案解決型へ移行しております。

 当連結会計年度は、会員の増加と継続期間の長期化を図るべく、人材基盤の整備に取り組み、提案の質の向上を進めました。一方、一般顧客向け商品販売の広告宣伝を減らしたため、商品販売が減少しております。また、第2四半期連結累計期間以降、コロナ禍対応策として前連結会計年度に確保した商品在庫の適正化を図り、売価及び棚卸資産の時価の見直しを実施した結果、売上総利益率は前連結会計年度を上回りました。採用人員の不足はあったものの、提案力・応対品質の向上により、定額会員の内、継続的にアップスケールが見込めるNCS会員(New Customer Success会員の略)は当連結会計年度を通して、11.7万人(2021年3月末時点9.7万人)と前連結会計年度に比べ20.8%増加いたしました。併せて、当連結会計年度のNCS会員の月次継続率は99.66%(前連結会計年度末時点99.60%)と高水準を維持し、定額会員全体の月次継続率は99.13%(同99.10%)と良化しております。

 2022年2月には本社を横浜市西区に移転いたしました。この移転は会員専用施設と本社機能を同一の施設に設置するものであり、会員専用施設「横濱Key Station」の稼働は2022年7月の開始を目処に準備を進めています。会員や一般顧客との接点となる店舗は、「ピーシーデポスマートライフ店」「PC DEPOT」「PC DEPOTパソコンクリニック」「くらしのデジタル館」となり、総拠点数は、134拠点となります。その他に、中国・四国地区においてフランチャイズ運営する「PC DEPOT」が2拠点あります。

 2021年11月11日の公表値に対し、連結売上高は一般顧客に対する商品販売の減少などにより下回りましたが、棚卸資産の時価の見直しにより売上総利益率が改善したこと、採用の不足や人員配置の遅れに伴う人件費の減少、広告宣伝計画の見直しなどにより販売促進関連費用が減少したことから、連結営業利益、連結経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は上回りました。

 以上の結果、当社グループの売上高は330億24百万円、営業利益は14億51百万円、経常利益は15億19百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は7億65百万円となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、当連結会計年度における経営成績に関する説明については、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 また、当連結会計年度より当社グループの報告セグメントを、パソコン等販売事業及びインターネット関連事業の2つのセグメントとしておりましたが、「パソコン等販売事業」を「デジタルライフ会員の関連事業」セグメントへ名称変更しております。詳細は「第5 「経理の状況」 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 「注記事項」 (セグメント情報等) セグメント情報 (報告セグメントの変更等に関する事項)」をご確認ください。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は102億5百万円と前年度末に比べ12億2百万円減少(前年度は30億24百万円の増加)しました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額11億58百万円及び売上債権の増加額9億44百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益12億3百万円、減価償却費9億1百万円及び棚卸資産の減少額21億39百万円などにより23億93百万円の収入(前年度は33億50百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収による収入74百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出43億52百万円などにより45億39百万円の支出(前年度は20億72百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出25億35百万円及び配当金の支払いによる支出7億6百万円などがありましたが、長期借入れによる収入42億円により、9億44百万円の収入(前年度は17億47百万円の収入)となりました。

 

③仕入及び販売の実績

  Ⅰ.仕入実績

セグメントごとの仕入実績(商品別)は、次のとおりであります。

 

[セグメントの名称]

品目

 当連結会計年度

(自 2021年4月 1日

 至 2022年3月31日)

前連結会計年度比

(%)

[デジタルライフ会員の関連事業]

 

 

パソコン本体等(百万円)

2,688

40.6

周辺機器(百万円)

2,214

69.1

アクセサリ・サプライ(百万円)

830

62.9

ソフト(百万円)

206

52.1

中古品・その他(百万円)

6,228

86.2

合計(百万円)

12,168

64.8

 (注)上記の金額には、ソリューションサービス売上高内のサービス一体型商品に含まれる商品仕入高も計上しております。

 

  Ⅱ.販売実績

 セグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

 

[セグメントの名称]

品目

 当連結会計年度

(自 2021年4月 1日

 至 2022年3月31日)

デジタルライフ会員の関連事業(百万円)

31,683

インターネット関連事業(百万円)

1,341

合計(百万円)

33,024

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前連結会計年度と比較しての増減額を記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  Ⅰ.当連結会計年度の財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は244億78百万円(前連結会計年度末は268億99百万円)となり、前連結会計年度に比べて24億21百万円の減少となりました。主な要因は、棚卸資産が減少したことによるものです。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は139億24百万円(前連結会計年度末は103億24百万円)となり、前連結会計年度に比べて35億99百万円の増加となりました。主な要因は、建物及び構築物、土地等の取得によるものです。なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は45億37百万円であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は59億50百万円(前連結会計年度末は64億36百万円)となり、前連結会計年度に比べて4億86百万円の減少となりました。主な要因は、未払法人税等の減少によるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は60億55百万円(前連結会計年度末は42億68百万円)となり、前連結会計年度に比べて17億87百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金の増加によるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は263億96百万円(前連結会計年度末は265億18百万円)となり、前連結会計年度に比べて1億22百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金の減少によるものです。

(自己資本比率)

 当連結会計年度末における自己資本比率は、主に長期借入金の増加により、前連結会計年度末と比較して2.5ポイント減少の68.6%となりました。

 

  Ⅱ.当連結会計年度の経営成績の分析

  収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前連結会計年度との比較は参考値であります。

(売上高)

 当社グループの連結売上高は、前連結会計年度と比較して13.8%減少の330億24百万円となりました。

デジタルライフ会員の関連事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して14.7%減少の316億83百万円となりました。主な要因は商品売上高の減少によるものです。

インターネット関連事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して11.5%増加の13億41百万円となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、前連結会計年度と比較して4.6%減少の172億37百万円となりました。

(営業利益)

 営業利益は、前連結会計年度と比較して49.8%減少の14億51百万円となりました。

(営業外収益)

 営業外収益は、前連結会計年度と比較して5.8%増加の3億13百万円となりました。主な要因は、受取賃貸料の増加によるものです。

(営業外費用)

 営業外費用は、前連結会計年度と比較して3.4%減少の2億45百万円となりました。主な要因は、支払手数料の減少によるものです。

(経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度と比較して48.2%減少の15億19百万円となりました。

(特別利益)

 特別利益は、19百万円となりました。

(特別損失)

 特別損失は、3億36百万円となりました。主な要因は、本社移転費用の計上によるものです。

(総資産経常利益率)

 総資産経常利益率は、前連結会計年度と比較して4.3ポイント減少の4.0%となりました。

(自己資本利益率)

 自己資本利益率は、前連結会計年度と比較して4.3ポイント減少の2.9%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループで採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④次期見通し

 今後の見通しにつきましては、当社グループの事業領域であるインターネットを中心にしたデバイスやその環境整備の需要は今後も引き続き高まると思われます。社会構造のデジタル化がより進化するなか、新しい生活様式は定着し、リモートワークやGIGAスクールなどの新しい分野は、銀行、公共交通機関や行政などの手続きなどに影響を及ぼすと考えられます。パソコンやスマートフォン、周辺機器などの機器販売の「モノ需要」だけではない、サポートや環境整備などの「コト需要」はますます増加すると考えております。なお、これらのパソコンをはじめとしたソリューション事業は当社グループが従来から推進してきた得意領域であります。

 当社グループは、会員制事業として、社会課題の解決事業をより一層進めてまいります。具体的には、小売業から、サブスクリプションへの変化を継続しております。当社グループのサブスクリプションとは、パソコンやスマートフォンなどの商品購入、修理やインターネット接続、使い方、サポートなどご家庭の「全てのデジタル化」を1名の専任担当が行う、独自のビジネスモデルであり、多くのご家庭の「デジタル課題の解決」が可能になります。これは社会課題の解決という社会のニーズに合ったビジネスモデルであると考えております。

 サブスクリプションの売上構成は売上高全体の約50%を越え、今後もこの分野の成長が見込まれることから、社内重要KPIをサブスクリプション型「プレミアムメンバー」の「ライフタイムバリュー」に重点を置いてまいります。「ご家族のデジタルライフ」を総合的かつ永続的にサポートする「サブスクリプションモデル」により、企業価値向上の為の様々な施策を強力に進めてまいります。

 

具体的には、以下の3点であります。

1.定額会員制の運営に必要な「質の高い人材」の確保と更なる強化

 新卒採用、アルバイトの長期雇用などの従来の方針と併せて、会員様のご家族の採用や既存スタッフの再教育など、人員の確保と質の向上を図ります。

2.企業・団体・地域との連携

 関連各所との連携を強化し、「会員制事業」の拡大を図ります。

3.日本最大級の会員専用施設「横濱Key Station」の立ち上げ

 当社グループの会員様、約40万世帯だけではなく、ステークホルダーの皆様が集う場所として、「モノ売り」ではない「コト売り」を可能とする、体験価値が高い施設運営を実現し、当社グループの会員様、連携先の会員様を含めた「繋がりモデル」型の日本最大級の会員施設として立ち上げてまいります。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の当社グループへの影響につきましては、スマートライフの必要性の高まりによる商品やソリューション需要が今後も見込まれます。一方、先行き不透明な経済環境や雇用環境が長期化した場合、消費の減退などを起因としたプレミアムメンバーの退会による売上高の減少の可能性があります。また、ロシア・ウクライナ情勢などの影響により世界のサプライチェーンの毀損が発生することも想定され、商品供給が滞ることによる売上高の減少の可能性があります。これらの影響については、2022年5月時点で入手可能な情報をもとに判断をしておりますが、引き続き当社グループへの影響を慎重に見極め、今後、2023年3月期連結業績予想に修正の必要が生じた場合は速やかに公表いたします。

 社会全般がより一層デジタル環境への構造変化を加速させていることからも、当社事業の必要性を認識していただけるようあらゆる推進策を講じてまいります。

 以上から2023年3月期の通期連結業績見通しは、以下のように見込んでおります。

 

[2023年3月期連結業績予想]

 

2022年3月期

 

2023年3月期

 

前連結会計

年度比

増減額

 

 

億円

億円

億円

売上高

330.24

333.00

100.8

2.75

営業利益

14.51

14.50

99.9

△0.01

経常利益

15.19

15.50

102.0

0.30

親会社株主に帰属する当期純利益

7.65

8.00

104.5

0.34

1株当たり

当期純利益金額(円)

15.15

15.82

104.4

0.67

 

 また当社グループは、サブスクリプション型ビジネス企業として、顧客のライフタイムバリュー向上を中期目標に掲げ、企業価値向上を図ってまいります。

 

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