(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、前期の新型コロナウイルス感染症の急拡大による大幅な落込みに対し回復基調で始まったものの、相次ぐ変異株による感染再拡大や半導体及びその他部品の供給不足が顕在化し、様々な製造業において生産調整の動きが本格化しました。また経済再開に伴う原材料価格の値上がりや海上輸送費の高騰等が、企業業績改善の大きな足かせとなり、その影響は現在も継続しております。世界経済の見通しは、より感染力の強い新型コロナウイルス変異株の拡大やウクライナをめぐる国際情勢の緊迫化も加わって、依然として不透明で予断を許さない状況にあります。
当社グループの事業分野であります自動車業界におきましては、半導体不足を主因とした部品供給不足による生産調整が断続的に継続され、日系自動車メーカーのグローバル生産台数はコロナ禍前の状態まで回復せず、結果として前年とほぼ同水準の実績となりました。
このような状況下、当社グループでは事業基盤の強化と経費削減等による経営効率化に取り組んでまいりました結果、連結売上高は前年同期比では各拠点における新規受注品の寄与等により増収となりました。連結営業利益についても、特に下半期において原材料費や海外物流費の高騰等の影響を大きく受けたものの、前年同期比増益となりました。
当連結会計年度の売上高は32,545百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益は2,272百万円(同7.9%増)、経常利益は2,536百万円(同11.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,791百万円(同16.3%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高及び売上原価が同額の100百万円減少しております。これによる各利益金額への影響はございません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント利益は、当期連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
〔日本〕
半導体不足と東南アジアからの部品供給の停滞による生産調整の影響で乗用車メーカーの生産台数は減少に転ずるも、主要得意先である商用車メーカーの生産回復と新規受注品の寄与により、売上高は17,827百万円(前年同期比9.9%増)となりました。セグメント利益は、売上増加及び製造原価の改善により、1,313百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は100百万円減少しております。これによるセグメント利益額への影響はございません。
〔米州〕
世界的な半導体の供給不足や海上物流の停滞が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により、売上高は6,618百万円(前年同期比6.1%増)となりました。セグメント利益は、海上物流の混乱による輸送費の高騰や代替輸送手段の利用により、302百万円(前年同期比29.5%減)となりました。
〔中国〕
世界的な半導体の供給不足が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により、売上高は4,807百万円(前年同期比7.4%増)となりました。セグメント利益は、前年の各種企業支援策の解消や大型設備の償却費負担により、554百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
〔アセアン〕
前年の新型コロナウイルス感染症拡大による主要得意先メーカーの生産落込みからの回復と新規受注品の寄与により、売上高は2,420百万円(前年同期比20.8%増)となりました。セグメント利益は、売上増加及び製造原価の改善により、398百万円(前年同期比119.9%増)となりました。
〔欧州〕
世界的な半導体の供給不足が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、新規受注品の寄与により 、 売上高は872百万円(前年同期比3.1%増)となりました。セグメント損失は、海上物流費用と原材料高騰による売上原価の上昇により、120百万円(前年同期はセグメント損失82百万円)となりました。なお、半導体の供給不足に伴う先行きの販売回復の遅れ及び海上物流費用と原材料高騰の更なる顕在化を見込んだことにより、事業用資産の回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、当連結会計年度において有形固定資産の減損損失(特別損失)を56百万円認識しております。
〔台湾〕
台灣大橋精密股份有限公司は、グループ間取引のみのため、外部顧客への売上高はありません。
グループ会社向けの輸出は増加しましたが、セグメント損失は、海上物流費用の大幅上昇により42百万円(前年同期はセグメント利益20百万円)となりました。
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末比1,214百万円増加し、43,352百万円となりました。これは主として、商品及び製品、有形固定資産が増加したことによるものであります。
負債の残高は、前連結会計年度末比561百万円減少し、9,903百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少及び米国での新型コロナウイルス感染症対策に係わる雇用保護目的の借入金が返済不要と認定され、減少したことによるものであります。
純資産の残高は、前連結会計年度末比1,776百万円増加し、33,448百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加及び自己株式の減少によるものであります。なお、自己株式は、既存保有分の消却により890百万円減少しましたが、新たな取得により646百万円増加し、567百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,152百万円減少し、20,209百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、567百万円の資金の増加(前連結会計年度は2,122百万円の増加)となりました。
これは主に、棚卸資産の増加1,975百万円や法人税等の支払額が759百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益を2,589百万円計上したことや、売上債権の減少766百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、992百万円の資金の減少(前連結会計年度は794百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得974百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、1,664百万円の資金の減少(前連結会計年度は1,469百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払824百万円及び自己株式の取得645百万円によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は実際原価によっております。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
(c) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(d) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は32,545百万円(前連結会計年度比9.3%増)となりました。国内では、半導体不足や部品供給の停滞による生産調整により乗用車メーカーの生産台数は減少したものの、主要得意先である商用車メーカーの生産回復と新規受注品の寄与により、売上高は17,827百万円(同9.9%増)となりました。海外では、半導体の供給不足や海上物流の停滞が主要得意先メーカーの生産に影響を与えてはいるものの、アセアンでの生産回復と各拠点における新規受注品の寄与及び為替換算の影響により、米州は6,618百万円(同6.1%増)、中国は4,807百万円(同7.4%増)、アセアンは2,420百万円(同20.8%増)、欧州は872百万円(同3.1%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、主に国内、海外における売上高の増加と製造原価の改善により、7,678百万円(同10.1%増)、売上総利益率は23.6%(同0.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は主に人件費と物流費等で増加し、5,406百万円(同11.0%増)となりました。また、売上高販管費比率は売上高の増加に伴い16.6%(同0.3%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、主に国内、海外における売上高の増加と製造原価の改善により、 2,272百万円(前連結会計年度比7.9%増)、営業利益率は7.0%(同0.1%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、主に営業利益の増加及び雇用調整助成金等の補助金収入により2,536百万円(同11.2%増)、経常利益率は7.8%(同0.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における当期純利益は1,807百万円(同16.7%増)となりました。主な増加要因は営業利益の増加によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は1,791百万円(同16.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益率は5.5%(同0.3%増)となりました。
なお、報告セグメント別の業績は「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
・財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比1,214百万円増加し、43,352百万円となりました。これは主に半導体不足を主因とした部品供給不足による日系自動車メーカーの生産調整による商品及び製品の増加、設備投資により有形固定資産が増加したことによるものです。
セグメント別では、国内では商品及び製品が増加した一方、現金及び預金の減少により、前連結会計年度末比693百万円減少し、32,308百万円となりました。海外では、米州で前連結会計年度末比889百万円増加し8,818百万円、中国で前連結会計年度末比845百万円増加し6,782百万円、アセアンで前連結会計年度末比288百万円増加し3,707百万円、欧州で前連結会計年度末比281百万円増加し1,249百万円、台湾で前連結会計年度末比104百万円増加し、476百万円となりました。
(負債)
負債は、前連結会計年度末比561百万円減少し、9,903百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少及び米国での新型コロナウイルス感染症対策に係わる雇用保護目的の借入金が返済不要と認定され、減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末比1,776百万円増加し、33,448百万円となりました。これは主に、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加及び自己株式の減少によるものであります。なお、自己株式は、既存保有分の消却により890百万円減少しましたが、新たな取得により646百万円増加し、567百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
当社グループの主要な資金需要は、販売のための商品仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備、改修等に係る投資であります。
当社グループの持続的な成長・企業価値の向上を図るためには、グローバル事業体制の拡充、強みのある製造基盤の構築を実現するための資本投下、製造設備の強化、M&Aを含めた投資等の検討が不可欠と考えております。
中長期的な経営戦略に沿った開発・製造機能の強化、特にグループ製造拠点の生産能力拡大のための設備投資と主要調達先との戦略的資本提携に資金の投入を行う方針です。また、安定的な還元と積極的な資本政策についても引続き取り組んでまいります。
これらの資金需要につきましては、自己資金を中心に対応していくこととしております。
③ 新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への今後の影響
翌連結会計年度における新型コロナウイルス感染症は、地域によってその影響や程度は異なるものの、引き続き売上高と収益に影響を与える可能性があると考えております。
このような状況下、今後の対処方針は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。当社グループとしましては、早期に業績を回復し、拡大基調に戻すべく、対処すべき課題に記載した基本戦略を強力に推進してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直され、会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」、個別財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは「第5 経理の状況 2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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