課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念として「新たな価値を創造し、世界のお客様に信頼される会社を実現する」ことを掲げ、真に市場から必要とされ、お客様にとって無くてはならないサプライヤーになることを目指し、以下の経営方針を定めて事業活動を進めてまいりました。

① グローバル企業としてさらなる発展をめざす

② ファクトリー&ファブレス機能を強化し卓越した強みを創造する

③ 企業の成長を通し、社員の幸福と社会貢献を実現する

 

2021年4月に創業70周年を迎え、これを機に当社は、お客様に対して果たすべき使命を改めて定義し、当社グループの目指すべき姿を「ミッション・ステートメント」として以下のとおり制定しました。

 

もっといい車を作ろうとしている人に

 もっといい部品をお届けします

車づくりに欠かせない会社を目指して

 

当社グループはこのミッション・ステートメントを追求する事業活動を推進するため、今般、4か年の「中期経営計画~Mission2025~」(2022年度から2025年度まで)を策定しました。この中期経営計画では、自動車業界の発展と当社の業績拡大に資する「経済的価値の追求」と、社会や環境課題への積極的な取組みによる「社会的価値の創造」を両立することにより、「ミッション・ステートメント」の実現を目指すことを基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標及びその推移

当社グループが目標とする経営指標(連結)につきましては、以下を掲げております。

① 売上高、売上高総利益率、営業利益、営業利益率

② ROE(自己資本当期純利益率)について8%以上を目標としております。

③ ROA(総資産経常利益率)について10%以上を目標としております。

④ DOE(純資産配当率)について2.5%以上を目標としております。

⑤ 配当性向について35%以上を目標としております。

 

なお、各経営指標の達成状況は以下のとおりです。

 

 

68期
2020年3月)(注)1

69期
2021年3月)(注)2

70期
2022年3月)(注)3

 

 

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

目標
(期首予想)

実績

売上高

(百万円)

40,000

35,905

27,000

29,782

36,000

32,545

売上高総利益率

(%)

25.0

24.1

23.4

23.4

23.7

23.6

営業利益

(百万円)

4,100

3,265

1,300

2,105

2,700

2,272

営業利益率

(%)

10.3

9.1

4.8

7.1

7.5

7.0

ROE
(自己資本当期純利益率)

(%)

8.0

8.0

8.0

4.9

6.4

5.6

ROA
(総資産経常利益率)

(%)

10.0

8.1

10.0

5.4

6.9

5.9

DOE
(純資産配当率)

(%)

2.3

2.5

2.3

2.4

2.6

2.5

配当性向

(%)

30.0

31.2

30.0

49.0

40.4

44.8

 

(注)1.68期(2020年3月)の目標(期首予想)は、2019年5月に公表した数値を記載(2019年11月に売上高36,000百万円、営業利益3,300百万円に下方修正)

2.69期(2021年3月)の目標(期首予想)は、2020年8月に公表した数値を記載(2021年2月に売上高29,000百万円、営業利益1,900百万円に上方修正)

3.70期(2022年3月)の目標(期首予想)は、2021年5月に公表した数値を記載(2022年2月に売上高32,500百万円、営業利益2,150百万円に下方修正)

 

(3) 経営環境

当社グループの事業分野であります自動車業界におきましては、電動化・情報化・自動化といった技術革新を伴う大変革期を迎えており、ユーザーニーズの変化や業界再編等、事業環境の変化が急速に進んでいます。特に、CO2排出削減(カーボンニュートラル)等に向けた取り組みは世界各国で加速しており、これまで以上に環境への対応が重要視されています。一方、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなど収束の兆しが見られず、世界的な半導体不足による得意先自動車メーカーの減産、原材料費の値上がり、海上物流の混乱による物流費の高騰等が長期化しており、更に、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化に起因する資源価格の急騰や世界情勢の不安定化も加わり、自動車業界を取り巻く環境は益々不透明感を増しています。

このような経営環境の中、当社グループは、市場の変化を的確に捕捉し、お客様にとって無くてはならないサプライヤーとして新たな時代への飛躍を遂げるため、2022年4月より「中期経営計画~Mission 2025~」をスタートしました。

 

(4) 中長期的な経営戦略

当社グループは、今後4年間の事業活動を、2022年3月に公表した「中期経営計画~Mission 2025~」に基づいて推進してまいります。そして、その最終年度には目標であるグループ連結売上高450億円、連結営業利益41億5千万円の達成を目指します。併せて環境問題、社会的課題、ガバナンス強化に積極的に取り組むESG経営を推進し、社会に貢献する事業活動を実行してまいります。


 

また、これらの戦略を遂行するための投資については、4年間で設備投資60億円、研究開発費10億円、ESG関連投資10億円を計画しています。

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 経済的価値の追求のため、当社の「四つの基本機能」を強化し、更なる事業拡大を図る

(a) 開発機能の強化

幅広いマーケティング活動に基づき、新たな加工技術を開発し、市場創造型ビジネスを展開することと共に、既存の当社独自技術の進化により、市場地位の向上を図ることを目指します。

そのための専門部署として、2022年4月に「開発企画部」を新設し、減速機ユニット、モーターユニット、HV用エンジンユニット等、次世代自動車への採用が見込まれる部品を中心に、精密塑性加工技術や接合技術等の高度化を目指します。これらの取組みは当社の強みを増していくだけではなく、各自動車メーカーがCO2削減目標を掲げて開発・投入を進めているHVやEV等に、当社の独自加工技術を用いた部品が採用されることにより、結果的に環境問題への対応として貢献できると考えており、今後、更に加速してまいります。

また、当社独自の加工技術である「圧入プロジェクション接合技術」は、「高強度化・大口径対応」「高精度化」「軽量・コンパクト化」を実現するものであり、今後の拡大が期待される自動運転関連部品や電動化部品として既に大手自動車メーカー数社に採用されております。今後は、本接合技術を幅広い部品の製造に活用する等の開発活動に更に注力してまいります。

(b) 製造機能の強化

積極的な設備投資による生産対応力の拡大により競争力の強化を図ると共に、技術力の向上を図り、高い生産性の実現を目指します。

長期的には世界の自動車生産台数の増加が見込まれており、お客様が求めるニーズも更に多様化、高度化していくものと考えています。こうした需要をカバーし、多種多様な品揃えで差別化を図っていくため、各製造拠点の生産対応能力を拡大し、当社グループ内製率拡大のための設備投資計画を推進するとともに、調達先の生産能力拡大にも協業して生産体制の強化を図ります。

また、競争力強化のための生産技術の向上と自動化・省人化を追求すること、さらに生産体制整備のための人的資産への積極的な投資を実行してまいります。

具体的な施策の一例としては、当社国内製造子会社のオーハシ技研工業株式会社の鈴鹿工場の第2工場建設計画等があり、これらを積極的に推進し、中期的な目処として、売上高に占めるグループ製造部門の比率を現状の25%から40%に引き上げることを目指します。

(c) 調達機能の強化

主要調達先との関係強化により、新たなファブレス機能を創造することと共に、戦略的な関係を構築できる新たな調達先の開拓も推進してまいります。

お客様のニーズは多様化しており、そのニーズに対応するためには、自社の開発・製造機能の強化と併せ、高い技術力を有する調達先企業との連携を更に強化し、事業活動を行うことが不可欠と考えております。具体的には、新たな資本提携・M&Aの検討とその実現に向けた協議・条件整備を進めるとともに、主要調達先との設備投資の協業、共同特許出願を念頭に置いた独自加工技術の共同開発を目指します。また、新たな強みの構築と弱みの補完に資する調達先の発掘活動にも取り組んでまいります。

(d) グローバル機能の強化

グローバルファクトリー機能を強化することと、当社グループのネットワーク(14拠点)を活かしたグローバル部品供給活動を推進するものです。具体的には、日本、北米、中国、タイの4極において、圧造・プレス・切削の3つの加工技術に対応できる生産体制を確立すること、及びお客様のグローバル生産に対応した世界ベストQCD(品質・コスト・納期)体制を確立することを目指します。

 

② 社会的価値創造のため、ESG経営を推進し、企業価値向上とサステナブル社会の実現に貢献する

当社グループが持続的成長を遂げるためには、経済的価値を追求すると共に、企業としての社会的責任を積極的に果たし、事業を通じた社会課題の解決に取組み、社会に利益を還元していくことが不可欠であると考えております。この考えのもと、多様な角度から社内外の課題を改めて整理し、ステークホルダーにとって、また当社グループにとっての重要性の2軸で優先順位を付け、地球環境課題・社会的課題・ガバナンス強化の3つの側面から社会と共に持続的な成長を遂げるための重要課題(マテリアリティ)を特定しました。また、ステークホルダーへの皆様への還元についても、重要な経営課題の一つとして更に積極的に検討してまいります。

 

当社グループは、ESG経営を推進し、これらの課題解決に向けた取り組みを実践してまいります。そしてSDGsの達成、すなわち持続可能な社会の実現に貢献し、すべてのステークホルダーの皆さまから信頼され、評価される企業グループの実現を目指してまいります。




 

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