業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

① 売上高

 前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症のまん延による経済の停滞の影響を受けましたが、当連結会計年度は第2四半期以降急速に回復し、売上高は、前連結会計年度比41.4%増加し、554億4千1百万円となりました。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、中国や米国の景気回復を受けた輸出の増加などで、製造業を中心に回復の動きが見られた一方で、新型コロナウイルス感染症は収束が見えない状況が継続し、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻等により、景気の先行きはより予測困難な状態となっております。

 当社グループ業績に影響が大きい半導体製造装置業界は、5G関連やデータセンター向けに需要拡大が続いており、設備投資は好調に推移しております。

 その他、工作機械業界は、半導体不足の影響が懸念されるものの輸出向けを中心に受注環境は回復傾向にあります。一方で、航空機業界の設備投資は、依然として低調な状況が継続しております。

 このような状況の中、当社グループは、政府等の要請やお客様の安全等を考慮し、在宅勤務・時差出勤の推進等による新型コロナウイルス感染予防策を継続的に実施しております。

 顧客往訪や対面営業が制約を受ける中で、以前より当社が注力してきた24時間365日お見積り・ご注文可能なWEBサイト「白銅ネットサービス」の利用促進および「リモート営業」ツールの活用により、顧客サービス低下への影響を一定範囲に抑えることができました。

 また、「白銅ネットサービス」の取扱商品数を2021年3月末の21,200品目サイズから2022年3月末には、32,700品目サイズへ大幅に拡充し、利便性の向上に努めました。

 その他、連結子会社3社(株式会社AQR、上海白銅精密材料有限公司、Hakudo(Thailand)Co., Ltd.)の売上高も前連結会計年度を上回っており、好調に推移しております。

 以上の顧客満足度の向上および事業規模拡大等の施策を着実に実行いたしました結果、売上高は、前連結会計年度比で大幅な増加となりました。

 

② 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度比114.7%増加し、42億5千6百万円となりました。

 営業利益の主な増加要因は、売上高の増加に加え、売上原価率の減少および原材料市況の影響によるもので、前連結会計年度の棚卸資産影響額の差益は4千3百万円でしたが、当連結会計年度の棚卸資産影響額の差益は6億1千万円と大幅に増加しました。

 棚卸資産影響額を除いた営業利益は、前連結会計年度比で88.1%増加し、36億4千5百万円となりました。

 

③ 経常利益

 経常利益は、営業利益の増加により前連結会計年度比109.9%増加し、43億7千3百万円となりました。

 

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比131.2%増加し、29億6千4百万円となりました。

 

 

セグメントごとの業績は次のとおりとなります。

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

セグメント

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する

当期純利益

日本

52,839百万円

4,104百万円

4,201百万円

2,829百万円

中国

1,719百万円

70百万円

93百万円

73百万円

その他

882百万円

81百万円

78百万円

61百万円

 

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、417億8千万円と、対前連結会計年度末比で86億6千5百万円増加しました。

 流動資産は、336億1千5百万円と、対前連結会計年度末比で87億6千4百万円増加しました。増加額内訳は、現金及び預金27億5千万円、受取手形及び売掛金24億7千5百万円、商品及び製品18億3千5百万円、電子記録債権16億8千4百万円等です。

 固定資産は、81億6千4百万円と、対前連結会計年度末比で9千9百万円減少しました。減少額内訳は、有形固定資産2億7千2百万円です。増加額内訳は、無形固定資産1億7百万円等です。

 

(負債)

 負債合計は、219億5千1百万円と、対前連結会計年度末比で67億5百万円増加しました。

 流動負債は、219億3百万円と、対前連結会計年度末比で67億1千3百万円増加しました。増加額内訳は、電子記録債務34億7千3百万円、支払手形及び買掛金20億4千7百万円、未払法人税等6億7千6百万円、未払費用2億3千7百万円、賞与引当金2億3千3百万円、役員賞与引当金1億6千5百万円です。減少額内訳は、その他1億1千9百万円です。

 固定負債は、4千8百万円と、対前連結会計年度末比で7百万円減少しました。減少額内訳は、退職給付に係る負債4百万円等です。

 

(純資産)

 純資産は、198億2千9百万円と、対前連結会計年度末比で19億5千9百万円増加しました。増加額内訳は、利益剰余金17億6千1百万円、為替換算調整勘定1億8千2百万円等です。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の54.0%から47.5%となりました。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ、27億5千万円増加し、86億7千4百万円となりました。その内訳は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、45億5千5百万円の資金の増加(前年同期は21億2千7百万円の資金の増加)となりました。

 増加額内訳は、仕入債務の増加54億9千5百万円、税金等調整前当期純利益43億7千3百万円、減価償却費8億3千9百万円、賞与引当金の増加2億3千1百万円、未払費用の増加2億3千1百万円、役員賞与引当金の増加1億6千5百万円等です。減少額内訳は、売上債権の増加40億9千7百万円、棚卸資産の増加17億9千万円、法人税等の支払額8億7百万円、その他の流動負債の減少1億4百万円等です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6億7千7百万円の資金の減少(前年同期は5億5千2百万円の資金の減少)となりました。

 減少額内訳は、有形固定資産の取得による支出4億5千9百万円、無形固定資産の取得による支出2億4百万円等です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、12億1百万円の資金の減少(前年同期は6億5千7百万円の資金の減少)となりました。

 減少額内訳は、配当金の支払12億1百万円等です。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

  ① 生産実績

 該当事項はありません。

  ② 商品仕入実績

 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

日本

中国

その他

合計

対前期増減率

(%)

アルミ(千円)

27,102,484

800,026

212,644

28,115,154

46.4

伸銅(千円)

5,532,696

2,293

112,262

5,647,252

69.2

ステンレス(千円)

4,387,964

18,872

32,368

4,439,205

54.1

特殊鋼(千円)

591,861

47,148

6,280

645,290

45.7

その他(千円)

1,087,013

186,210

1,647

1,274,871

31.9

合計(千円)

38,702,019

1,054,551

365,203

40,121,774

49.5

 

  ③ 受注実績

 該当事項はありません。

  ④ 販売実績

 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

日本

中国

その他

合計

対前期増減率

(%)

アルミ(千円)

34,833,688

1,147,892

383,889

36,365,469

41.8

伸銅(千円)

7,118,900

52,296

328,065

7,499,262

47.0

ステンレス(千円)

8,528,304

116,276

150,528

8,795,109

35.0

特殊鋼(千円)

694,342

234,451

7,838

936,632

44.9

その他(千円)

1,664,062

168,552

11,911

1,844,527

41.0

合計(千円)

52,839,298

1,719,469

882,233

55,441,001

41.4

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2. 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 売上高

 ダントツの品質、ダントツのスピード、ダントツのサービス、納得してご購入頂ける価格の実現を目指すことで顧客満足度の向上を図ってまいりました。この結果、売上高は、前連結会計年度比で41.4%増加し、554億4千1百万円となりました。

② 売上原価および売上総利益

 売上高の増加に伴う仕入高の増加、人件費及び業務委託費の増加により、売上原価は前連結会計年度比で38.7%増加し、451億3千1百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度比で54.6%増加し、103億9百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費および営業損益

 売上高の増加に伴う運賃の増加、人件費の増加により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比で29.1%増加し、60億5千3百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度比で114.7%増加し、42億5千6百万円となりました。

④ 営業外損益、経常損益および親会社株主に帰属する当期純損益

 不動産賃貸収入等の営業外収益は、前連結会計年度比22.8%増加し1億5千4百万円となりました。不動産賃貸費用等の営業外費用は、前連結会計年度比51.6%増加し、3千7百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比で109.9%増加し、43億7千3百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比で131.2%増加し、29億6千4百万円となりました。

⑤ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び・検討内容

 (日本)

 業績に影響が大きい半導体製造装置業界は、5G関連やデータセンター向けに需要が拡大しました。売上高は528億3千9百万円(対前期42.5%増)、営業利益は41億4百万円(対前期111.5%増)、セグメント資産は411億8千1百万円(対前期25.0%増)となりました。

 (中国)

 品質向上と原価低減に努め、また代理店開拓や加工品拡販に注力した結果、売上高は17億1千9百万円(対前期26.1%増)、営業利益は7千万円(対前期230.5%増)、セグメント資産は17億4千3百万円(対前期19.4%増)となりました。

 (その他)

 その他事業においても、業績向上に努め、売上高は8億8千2百万円(対前期72.6%増)、営業利益は8千1百万円(対前期315.7%増)、セグメント資産は5億円(対前期46.2%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係わる情報

① キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況については、第一部[企業情報] 第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](3)当期のキャッシュ・フローの概況をご参照ください。

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売および在庫のための商品購入ならびに商品の加工費用のほか、販売費及び一般管理費等であります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、運賃、業務委託費等であります。

③ 財務政策

 当社グループは現在、運転資金については短期借入金により、設備資金については内部留保により調達することを基本としております。また、当社においては、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を締結し、機動的な資金調達を行っております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際して、特に以下の項目が当社グループの財政状態及び経営成績にとって重要であり、かつ経営判断及び見積りに影響を及ぼすものと考えております。なお、当連結会計年度末において、新型コロナウイルス感染症の拡大により、短期的に一定の影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、連結財務諸表に与える影響の検証を行っております。新型コロナウイルス感染症の経済への影響規模や終息の時期等については不確実性が高いため、実際の結果は異なる可能性があります。

① 債権の回収可能性

 当社グループの債権のうち、損失が合理的に予想される債権に対しては、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒引当金の見積りをより適切に行うため、取引先について、財政状況、与信状況などを勘案して個々について検証することとしております。

② 有価証券および投資有価証券の評価

 投資有価証券(「その他有価証券」)は、市場価格のない株式等以外のものと市場価格のない株式等に分類し、市場価格のない株式等以外のものは当連結会計年度末の市場価格に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)により評価しております。また、市場価格のない株式等は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。

③ 在庫商品の評価

 当社グループの在庫商品は、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用し、グルーピングした商品毎に当連結会計年度末の再調達原価と取得原価を比較して評価損を計上しております。

 また、長期滞留の在庫商品に対しては販売可能性を判定して評価損を計上しております。

 

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは、非鉄金属素材の販売を中核の事業としていることから、非鉄金属の市況の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。電気銅建値、アルミニウム地金、ステンレス鋼板は、2021年3月末比、いずれも上昇しました。

 また、当社の主要販売分野が半導体製造装置業界および液晶製造装置業界、工作機械業界等であることから、各業界の設備投資の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻により世界経済の下振れ懸念がある等、先行き不透明な状況が続くと見込まれますが、差別化商品をはじめとする標準在庫品の品揃えを充実させるとともに、3Dプリンターによる金属製品の受託製造の技術力向上、24時間365日お見積り・ご注文可能な「白銅ネットサービス」の普及により、売上高の向上に努めてまいります。

 

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