課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「気軽に楽しめる、時間と空間の提供、提案」をビジネスコンセプトのもと、日々の生活に欠かせないレジャーや健康の分野で、新しい文化創造の提案をすることを使命としており、その実現のため、社会における価値の変化に迅速に対応し、顧客満足度の最大化を目標として事業を展開しております。

当社は、当社グループ全体の企業価値を高めるための経営戦略の検討及び策定、将来を見据えた成長分野への積極投資の検討及び施策の決定、並びにM&Aの迅速な意思決定を、子会社は、競争力の向上のため、それぞれの事業運営への専念、迅速な意思決定、責任の明確化を、それぞれ経営の基本方針としております。

当社グループにおける人材育成は、組織力の強化を図るため、経営の中枢で活躍するマネジメント層を強化するとともに、各セクションにおけるスペシャリストを積極的に育成し、責任と権限の明確化を進めることを基本方針としております。

当社グループは、これらの基本方針に沿い、グループ全体の収益力アップと財務体質の強化を図りながら将来を見据えた投資をおこなうと同時に、常に既存事業の見直しや遊休資産の整理等、経営資源の選択と集中にも取り組むことにより、企業価値をバランスよく向上してまいります。

新型コロナウイルス感染症は、当社の事業に大きな影響を与えております。特に、密閉・密集・密接に比較的なりやすいとされるフィットネスジムやカラオケ施設は、当社が展開する事業分野であり、感染拡大防止策が必須となっております。そのため、施設が所在する地域の感染状況を分析し、顧客と従業員にとどまらず、事業に関連するすべてのステークホルダー並びに地域住民の安心安全の確保を最重要課題として取り組んでおります。

 

当社並びに主要な子会社の経営戦略は次のとおりです。

 

①株式会社音通

当社は、当社グループの統括会社としてグループ全体の経営効率を重視するため、管理部門を当社に集約し、経営情報と人事情報の集中管理を行っております。この体制により、グループ全体の最適組織を常に追求しながら、グループ全体の生産性を向上させ、企業価値を最大限に高めることを目指してまいります。また、現在は新型コロナウイルス感染症の対応にあたる司令塔としての役割も担っております。

IP事業部門におきましては、グループ全体の資産、店舗等の賃貸物件を一元的に集中管理し、顧客や店舗のニーズにあったテナント誘致や遊休スペースの有効活用の企画、提案を実施することにより、子会社の事業運営に利益貢献してまいります。

 

②株式会社音通エンタテイメント

事業展開しております関西・中部・関東の各地におきまして、お客様から厚い信頼のあるNo.1ディーラーを目指してまいります。

デイ市場におきましては、豊富な不動産情報と蓄積された物件開発ノウハウを武器に、カラオケボックス経営法人への提案営業を引き続き強化してまいります。また、公共施設、高齢者施設、カラオケ喫茶、個室居酒屋などの市場開拓にも積極的に取り込むとともに、WEBカメラ、監視カメラ、AV機器、演出効果照明などの商材の販売拡大にも積極的に取組んでまいります。

ナイト市場におきましては、ビル管理業者及び不動産業者に対する営業により、新店情報の早期把握に努めるとともに、遊休機器を有効利用することにより、リーズナブルな価格での提供を可能にするなど、お客様のニーズを幅広くカバーする提案営業を強化してまいります。また、バー・スナック・クラブ向けの店舗物件紹介サイトを運営する関連会社との連携を図ることにより、新規開業店舗における契約獲得を強化してまいります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、顧客であるカラオケ関係施設の運営事業を直撃しております。今後は、影響を受けているこれら顧客の営業支援にも積極的に取り組みを行ってまいります。

 

③株式会社ファイコム

急拡大中のフィットネスジムの新規出店を最優先に事業を展開しております。

新規店舗の出店におきましては、将来の競合他社の進出も視野に入れた店舗シミュレーションを多角的に実施するなど、厳しい条件をクリアした物件のみで新規出店を決定しており、長期的に安定した収益が見込める店舗網の拡大を目指しております。

店舗の運営面におきましては、既存会員の定着率向上に向けた取組みを特に重視しております。新規会員の初期定着率向上のためのオリエンテーションの充実、新プログラムの採用やクリンリネスの徹底、スタッフの接客教育の充実など、魅力ある施設作りをFC本部と連動しながら取り組んでおります。

また、会員から寄せられるさまざまな要望にも積極的に応えており、会員満足度の向上に寄与しております。

将来にわたる事業の拡大のためには積極的な新規出店が不可欠であると認識しており、新規出店に伴うイニシャルコストと会社全体の収益バランスを十分に考慮しながらも、中・長期的な視野に立ち、計画的に新規出店を進めつつ増収増益を目指してまいります。

なお、店舗における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策に対する社会的要請も踏まえ、顧客である会員の皆様や従業員並びに地域住民の安全を確保しつつ、安心してご利用いただくためにも、徹底した感染拡大防止対策を実施してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

①カラオケ関係事業
カラオケは、日本国内においては代表的な娯楽の一つとして幅広い世代に浸透すると同時に、産業としても成熟しつつあります。通信カラオケ機器を取り扱う事業者は、メーカー、メーカー系資本の事業者、独立系資本の事業者、また、小規模資本の事業者など、幅広い事業者が事業活動を展開しております。しかしながら、成熟期を迎えているカラオケ市場が今後急拡大する事は望めず、近年激しいシェア争いが続いております。さらに、コロナ禍によりディーラーの経営環境は厳しさを増しており、今後はディーラー同志による事業統合のスピードが増してくるものと思われます。今後も事業を成長させ続けるためには、これまで以上に事業統合の成否が重要な課題となります。

一方で、顧客であるカラオケボックスや飲食店等のカラオケ関係施設の運営事業者においても厳しい経営環境が続いております。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令下はもとより、社会的要請に応じる形で営業を自粛する事業者も多くありました。また、通常営業を再開した事業者であっても、来店客数の伸び悩みに直面するなど、引き続き厳しい経営環境が続いております。このような環境の中、ディーラーは、今まで以上に顧客である事業者との情報交換を密に行いながら事業者の経営改善に協力するとともに、並行して与信管理体制の強化を図ることが重要であると認識しております。

 

②スポーツ事業

フィットネス業界は、国民の健康志向の浸透による新規会員の増加とともに、他業態からの新規参入や、24時間営業の小型店舗の増加傾向が著しくなり、出店スペースを巡る競合が激しさを増しておりました。また、競争の激化や新業態の登場による施設利用料の低価格化が、フィットネス市場の拡大に拍車をかけることとなりました。今後も事業者各社の出店は高い水準で維持され、市場規模が拡大し続けるものと思われておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で環境は一変しております。

初めての緊急事態宣言が発令された際には、要請により施設の休業を実施したため、会員の退会や休会が急増するなど、ジム離れが進むこととなりました。その後、退会や休会は減少して落ち着きを取り戻しましたが、新規入会者数は低調に推移しております。会員の皆様が、これまで以上に安心・安全に施設を利用していただけるよう、感染防止対策を万全に行った上で施設の運営に取り組むとともに、大幅に減少した会員数の回復に取り組むことが喫緊の最重要課題であります。また、事業拡大に向けた新たな中長期的な計画を策定することが課題であると認識しております。

 

③IP事業

コインパーキング業界は、近年市場規模が拡大し続けており、新規事業者の参入も活発で競争は激化しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛の傾向により、市場規模の拡大は踊り場を迎えることとなりました。そのような環境の中、小規模な事業所を運営する当事業においては、戦略的な価格設定による対応により、業績の悪化を最小限に抑えてまいりました。

今後は、社会経済活動が再び活発化していく中で、既存施設の価格戦略の見直し、新たな事業所の開発など、事業の拡大に向けての中長期的な計画を策定することが課題であると認識しております。

 

④内部統制の推進

コーポレートガバナンスを経営上の最重要課題の一つとして位置づけております。そのため、経営企画室を主幹部門とし、管理部門、事業部門及び子会社が一丸となって取り組むとともに、顧問弁護士など外部専門家との意見交換を通じて、より有効な内部統制システムの構築に取り組んでまいります。

また、取組みにあたり、すべての役員・社員等が日々、誠実かつ適切な行動を通して、社会全体から成長、発展を望まれる企業となるため、経営のあらゆる視点から、「企業の社会に対する責任」(CSR)を果たすための共通の価値観・倫理観・普段の行動の拠り所となるものとして「行動規範」を定めております。

 

⑤御機動的な資金調達力の向上

当社グループは、スポーツ事業においては新規出店を、また、カラオケ関係事業においては通信カラオケ機器などの賃貸資産の導入を主な設備投資の対象としております。また、M&Aにおける事業規模の拡大についても積極的に取り組んでおります。

必要とする資金は、営業活動により発生するキャッシュ・フローを中心にしつつ、銀行借り入れや割賦販売契約などにより調達しております。

しかしながら、今後、設備投資規模の拡大や大規模のM&A案件に取り組むことを可能にするためには、機動的な資金調達力をさらに高めつつ最適な調達方法を採用することが、重要な課題であると認識しております。

 

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