(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の概要
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症、期末に起きたロシアのウクライナ侵攻、半導体等の部品供給不足、輸送費やエネルギー価格の高騰等の影響はあったものの、総じて回復傾向が見られました。但し、一部業種は部品不足による減産等の影響を大きく受けました。
こうした状況下、当社グループにおいては主要顧客である半導体・各種分析関連装置市場に加えて自動車、家電向け金型システム商品の需要が好調に推移し、受注高は19,989百万円(前年同期比6,343百万円、46.5%増)と大幅な増加となりました。売上高は駆動システムの増産や、金型システムの売上増が寄与し18,042百万円(前年同期比4,753百万円、35.8%増)と受注高の増加と同様に大幅な増加となりました。
利益面に関しては、増収効果や利益率の改善が寄与して、営業利益は1,334百万円(前年同期比972百万円、268.3%増)、経常利益は1,437百万円(前年同期比1,079百万円、301.8%増)と大幅な増益となりました。
一方、当社の連結子会社であるJenaer Gewindetechnik GmbH(ドイツ)は、コロナ禍の影響の中で社員の欠員や高齢化に伴う退職者の増加、その補充のための新規採用が困難な状況が続いたこと等から生産が低迷したために、2期連続の営業損失計上となりました。今後エネルギー価格の高騰や、工場移転に伴う賃料の上昇の影響等も顕在化してくることも踏まえ同社固定資産の将来の回収可能性を検討した結果、特別損失として固定資産の減損損失380百万円を計上することといたしました。
以上のことから、親会社株主に帰属する当期純利益は563百万円(前年同期比437百万円、345.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、この結果売上高は16百万円増加、営業利益は8百万円増加、経常利益は8百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は6百万円増加しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
セグメントの業績は以下のとおりです。
なお、下記セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて表示しております。
○ 駆動システム
当セグメントでは、主要市場である半導体製造装置・各種分析関連装置分野向けを中心に高水準な受注が継続し、受注高は10,004百万円(前年同期比4,207百万円、72.6%増)と大幅に増加しました。受注高の増加に伴い生産体制増強に努めた結果、売上高は8,370百万円(前年同期比2,843百万円、51.5%増)となり、営業利益は1,137百万円(前年同期は営業利益99百万円)と大幅な増収増益となりました。
○ 金型システム
当セグメントでは、車載用モーター向け金型および家電用モーターコア等の受注増加により、受注高は5,965百万円(前年同期比1,403百万円、30.8%増)と増加となりました。売上高は、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響を期前半は受けたものの、操業が正常化した第3四半期以降売上を大きく伸ばした結果5,985百万円(前年同期比1,570百万円、35.6%増)、営業利益は274百万円(前年同期比48百万円、21.3%増)と増収増益となりました。
○ 機工・計測システム
当セグメントでは、部品納期の長期化等の影響を受けましたが、需要の回復や懸命の調達努力により、受注高は4,032百万円(前年同期比732百万円、22.2%増)、売上高は3,699百万円(前年同期比338百万円、10.1%増)と前年同期を上回りました。収益面では、人件費をはじめとした固定費の増加及び自動車業界減産の影響を受けた連結子会社の業績不振の影響等の結果、営業損失52百万円(前年同期は営業利益64百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は22,047百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,388百万円増加しました。これは主に現金及び預金、棚卸資産の増加等により流動資産が2,600百万円増加した一方、建設仮勘定、投資有価証券の減少等により固定資産が211百万円減少したことによるものです。
負債合計額は12,241百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,888百万円増加しました。これは主に仕入債務の増加等により流動負債が1,542百万円増加し、リース債務の増加等により固定負債が346百万円増加したことによるものです。
また、当連結会計年度末の純資産は9,806百万円となり、前連結会計年度末と比較して499百万円増加しました。これは主に利益剰余金の増加等により株主資本合計が518百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等でその他包括利益累計合計額が36百万円減少したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に対し709百万円増の2,846百万円となりました。各キャッシュ・フロ-の状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は2,150百万円(前年同期は531百万円の増加)となりました。これは売上債権の増加647百万円、棚卸資産の増加783百万円等により資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益1,037百万円、仕入債務の増加1,533百万円等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は716百万円(前年同期は887百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産等の取得707百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は748百万円(前年同期は315百万円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,022百万円等により資金が増加した一方、短期借入金の減少1,106百万円等により資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
駆動システム(千円) |
8,782,843 |
60.2 |
金型システム(千円) |
7,068,474 |
45.9 |
機工・計測システム(千円) |
3,741,672 |
9.8 |
合計(千円) |
19,592,990 |
42.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
駆動システム |
10,004,028 |
72.6 |
3,872,967 |
72.9 |
金型システム |
5,965,138 |
30.8 |
1,731,137 |
△1.2 |
機工・計測システム |
4,032,887 |
22.2 |
1,097,912 |
43.6 |
調整額 |
△12,639 |
△0.6 |
- |
- |
合計 |
19,989,414 |
46.5 |
6,702,016 |
40.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
駆動システム(千円) |
8,370,976 |
51.5 |
金型システム(千円) |
5,985,285 |
35.6 |
機工・計測システム(千円) |
3,699,335 |
10.1 |
調整額(千円) |
△12,639 |
△0.6 |
合計(千円) |
18,042,958 |
35.8 |
(注)相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10を超えている相手先が無いため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりであります。
・売上高
主要顧客である半導体・各種分析関連装置分野向け駆動システム商品に加えて、自動車・家電向け金型システム商品の売上が好調に推移し、売上高は18,042百万円となり、前連結会計年度に比べ35.8%の増収となりました。
各セグメント別においては下記のとおりとなりました。
駆動システム8,370百万円(51.5%増)、金型システム5,985百万円(35.6%増)、機工・計測システム3,699百万円(10.1%増)と全事業において増収となりました。
・売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価については、全社を挙げて生産性向上と収益改善活動に取り組んだ結果、当連結会計年度の原価率は72.8%と前連結会計年度に比べ2.0ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費については、人件費の増加及び売上高増加に伴い運賃荷造費・輸出諸掛等が増加したことにより、3,572百万円と前連結会計年度に比べ588百万円増加いたしました。
・営業損益
以上の結果、機工・計測システムにおいては減益となったものの、駆動システムの大幅な増益と金型システムの増益により、営業利益は1,334百万円と前連結会計年度に比べ268.3%の増加となりました。
・営業外損益及び経常損益
営業外収益は「為替差益」「受取配当金」等により279百万円(前年同期比109百万円増)、営業外費用は「支払利息」等により177百万円(前年同期比2百万円増)の結果、経常利益は1,437百万円となり、前連結会計年度に比べ301.8%の増加となりました。
・特別損益
特別利益として雇用調整助成金等を26百万円(前年同期比238百万円減)、特別損失として連結子会社であるJenaer Gewindetechnik GmbH(ドイツ)が保有する固定資産の減損損失380百万円、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う海外子会社の操業停止費用や一時帰休に伴う費用等46百万円を含め、426百万円(前年同期比49百万円増)を計上しております。その結果、税金等調整前当期純利益は1,037百万円となり、前年連結会計年度に比べ321.5%の増加となりました。
・親会社株主に帰属する当期純損益
税金等調整前当期純利益から法人税等合計459百万円(前年同期比342百万円増)と非支配株主に帰属する当期純利益14百万円(前年同期比11百万円増)を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、563百万円となり、前連結会計年度に比べ345.0%の増加となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに財源及び資金の流動性についての分析
・キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにより増加した資金は2,150百万円(前年同期は531百万円の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローにより減少した資金は716百万円(前年同期は887百万円の減少)、財務活動によるキャッシュ・フローにより減少した資金は748百万円(前年同期は315百万円の増加)となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,846百万円となり前連結会計年度末に比較し709百万円の増加となりました。
・資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料・外注加工費の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
・資金の調達と流動性
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度末における借入及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,997百万円となり前連結会計年度末に比較し、540百万円の減少となりました。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
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