業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当期における経済環境は、各国により状況が異なるものの、全体としてはコロナ禍からの回復基調が鮮明となった欧米を中心に旺盛な需要が継続した一方で、サプライチェーンの混乱により部材不足や物流逼迫による影響が拡大しました。また、期後半は、ウクライナ情勢の悪化に加え、中国におけるオミクロン株感染拡大の影響等、様々な要因により経済環境は不確実性が増し、不安定な状況が続きました。

 

このような経済環境にあって当社グループは、『「医・食・住」に関する社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献します。』を経営理念に掲げ、「尖ったDXで、世界を丸く。」をスローガンに、持続可能な社会の実現に向け、医・食・住の諸課題をDXソリューションで解決するグローバル企業として、企業価値の向上に取り組んでまいりました。

 

こうした中で、当期の当社グループの[連結]業績は、次のようになりました。

 

売上高は、サプライチェーン混乱による影響はあったものの、エッセンシャル・ビジネスとしての旺盛な需要を着実に捉え、また調達・設計・製造面での各種施策が奏功の結果増加し、 176,421 百万円(前年度と比べ 28.5 %の増加)となりました。利益面では、主にこの売上高増加の影響により、営業利益は 15,914 百万円(前年度と比べ 141.4 %の増加)となり、経常利益は 14,820 百万円(前年度と比べ 165.2 %の増加)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は 10,699 百万円(前年度と比べ 350.3 %の増加)となりました。

 

セグメント毎の業績は、次のとおりであります。

 

スマートインフラ事業は、部材不足の影響を受けながらも、堅調な国内販売に加え、欧米向け測量・レーザー機器の販売が引き続き好調に推移したこと、及びアジア地域での販売が復調したこと等により、売上高は39,040百万円(前年度と比べ14.9%の増加)となりました。営業利益は、価格高騰の影響が出ているものの、売上高の増加による利益増により、5,821百万円(前年度と比べ17.1%の増加)となりました。

 

ポジショニング・カンパニーは、部材不足の影響を受けながらも、主力の北米・欧州において建設・農業市場の旺盛な需要を取込み、ICT自動化施工、IT農業システム及び測量・レーザー製品の販売が増加したことにより、売上高は96,692百万円(前年度と比べ35.4%の増加)となりました。営業利益は、部材価格や物流費の高騰の影響が出ているものの、売上高の増加による利益増により、11,548百万円(前年度と比べ90.5%の増加)となりました。

 

アイケア事業では、主に欧州・米国・中国でのスクリーニング機器の販売拡大や、欧米大手眼鏡チェーン店向けデジタル検眼システムの堅調な販売等により、売上高は57,352百万円(前年度と比べ29.6%の増加)となりました。営業利益は、部材価格や物流費の高騰の影響が出ているものの、売上高の増加による利益増により、3,203百万円(前年度と比べ3,081百万円の増加)となりました。

 

    生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

  ①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年度比(%)

スマートインフラ事業

33,234

+39.8

ポジショニング・カンパニー

80,058

+60.3

アイケア事業

55,772

+28.7

その他

1,190

+60.1

合計

170,255

+44.5

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

  ②受注実績

当社は見込生産を主体としているため、受注実績の記載を省略しております。

 

  ③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年度比(%)

スマートインフラ事業

39,040

+14.9

ポジショニング・カンパニー

96,692

+35.4

アイケア事業

57,352

+29.6

その他

1,184

+1.6

内部取引消去

△17,848

合計

176,421

+28.5

 

(注) セグメント間の取引については、内部売上高を含めて表示しております。

 

  (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社は2019年度から開始した第三次中期経営計画のもと、重要指標であるROEの改善を目指し(中計期間最終年度のROE 13~15%を目標)、成長戦略の加速に取り組んでおります。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、世界的な部材不足問題や物流費高騰問題などといった新たな課題が発生し、当社グループの事業活動も影響を受け始めました。これに対処すべく、当社は調達・設計・製造面での各種施策を実行し、エッセンシャル・ビジネスとしての旺盛な需要を捉えたことにより、連結売上高は過去最高を記録するほどにまで挽回することが出来ました。この結果、ROEは前年度末と比べ10.4%増加の14.0%となりました。

現在遂行中の第三次中期経営計画は、新型コロナウイルス感染症拡大の時間軸への影響は不可避と判断し、期間を1年延長し2022年度までとしたものの、第三次中期経営計画で掲げた経営ビジョン「医・食・住の成長市場において社会的課題を解決し事業を拡大する」については変更することなく、「尖ったDXで、世界を丸く。」のスローガンのもと、持続可能な社会の実現という社会的課題解決と成長シナリオを遂行し、企業価値向上に引き続き取り組んで参ります。

 

(3) 財政状態

資産

当年度末の資産は、前年度末に比べ16,772百万円増加し、184,983百万円となりました。

a.流動資産

主に、「売上債権」や「棚卸資産」の増加等により、前年度末に比べ12,099百万円増加し、114,041百万円となりました。

b.固定資産

主に、「有形固定資産」や「無形固定資産」の増加等により、前年度末に比べ4,673百万円増加し、70,942百万円となりました。

負債

当年度末の負債は、前年度末に比べ2,310百万円増加し、99,833百万円となりました。

a.流動負債

主に、「短期借入金」の減少等はあったものの、「買入債務」や「1年内償還予定の社債」の増加等により、前年度末に比べ12,332百万円増加し、61,394百万円となりました。

b.固定負債

主に、「社債」や「長期借入金」の減少等により、前年度末に比べ10,021百万円減少し、38,438百万円となりました。

純資産

当年度末の純資産合計は、「利益剰余金」や「為替換算調整勘定」の増加等により、前年度末に比べ14,462百万円増加し、85,150百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

当年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の増加等による「資金」の増加はあったものの、固定資産取得や短期借入金の返済等による「資金」の減少により、前年度末に比べ、1,437百万円減少し、19,009百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当年度における営業活動による「資金」の増加は、20,527百万円(前年度は19,439百万円の増加)となりました。これは主に、棚卸資産の増加等による「資金」の減少はあったものの、税金等調整前当期純利益の増加等による「資金」の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当年度における投資活動による「資金」の減少は、9,779百万円(前年度は9,226百万円の減少)となりました。これは主に、固定資産の取得及び子会社株式の取得等による「資金」の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当年度における財務活動による「資金」の減少は、13,606百万円(前年度は6,195百万円の減少)となりました。これは主に、借入金の返済や配当金の支払い等による「資金」の減少によるものであります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を財源に、M&A投資、設備投資、開発投資等をしていくことを基本方針としております。また、(株)格付投資情報センターによる格付「A-」を取得しており、資金調達が必要な場合は、社債や銀行借入等の最適な資金調達手段を選択して対応してまいります。当連結会計年度におきましては、M&A投資については、眼科用医療機器の設計開発・製造企業「VISIA Imaging S.r.l」を買収するなど、事業領域拡大のために投資を行いました。設備投資については、生産体制の整備、成長戦略推進、経営効率改善等に必要な投資を行いました。開発投資については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により支出抑制を行いながらも、IoTビジネスの創出、新製品開発や次世代技術や新規事業領域に参入するための開発投資を引続き積極的に行いました。これらの投資活動の財源としては、営業活動によるキャッシュ・フローで生成された資金により賄うことが出来ました。今後も成長分野におけるシェア拡大のために、新技術・新事業領域等への投資を継続してまいります。

資金の流動性につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュマネジメント・サービス)を活用することにより、資金効率の向上を図っております。また、資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しているほか、コマーシャルペーパー発行に備えて(株)格付投資情報センターの格付「a-1」を取得しており、流動性リスクに備えております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要につきましては、前項「(4)キャッシュ・フロー」を参照ください。また、当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、一部の資産の評価等に会計上の見積りを用いて算定しているものがあり、特に下記に掲げる資産については、今後の前提条件の変化によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる将来減算一時差異について回収可能性があると判断し計上を行っております。その前提条件に、当社グループの納税主体毎の将来の課税所得の見積り等を用いていますが、経済条件の変動等により当該仮定に見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産及び税金費用の金額に影響を与える可能性があります。

 

固定資産

当社グループは、固定資産については資産グループ毎に減損の兆候の有無を判定し、兆候がある場合は事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローを見積もったうえで、減損損失の認識の要否を判断しております。減損損失の認識が必要と判断した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額の測定に際しては、資産グループ毎の将来の事業計画を用いて検討しておりますが、事業計画や市場環境の変動、また投資計画の変更等の要因により、当該見積もりに見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

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