(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、5G関連やDXの進展に伴い半導体の需要が高まったことから、主要顧客である半導体業界に設備投資の活発な動きがみられたこと、また、脱炭素社会への加速を背景に自動車関連や二次電池関連業界も堅調に推移したことから、373億6千3百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。
営業利益は、全社をあげてのコスト削減推進の結果、売上原価率が前連結会計年度52.2%から当連結会計年度50.7%に改善したこと等により、84億2百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。
営業外損益は、主として補助金収入1億円を新規に計上したこと等により、前連結会計年度3億2千5百万円の利益(純額)から当連結会計年度4億1千6百万円の利益(純額)となり、経常利益は88億1千9百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。
特別損益は、主として前連結会計年度発生の減損損失2億5千9百万円が当期は発生しなかったことから、前連結会計年度2億6千3百万円の損失(純額)から当連結会計年度7百万円の利益(純額)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は88億2千7百万円(前連結会計年度比32.5%増)となりました。
「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を合わせた税金費用は、前連結会計年度の18億8千5百万円から当連結会計年度は27億7千3百万円と、8億8千8百万円増加しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は59億6千3百万円(前連結会計年度比27.1%増)となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して72億8千万円増加し、716億6百万円(前連結会計年度末比11.3%増)となりました。
流動資産につきましては、有価証券が36億5千7百万円増加、現金及び預金が19億1千9百万円増加、仕掛品が14億3千8百万円増加、原材料及び貯蔵品が13億9千3百万円増加した一方、流動資産その他に含まれる未収入金が9億3千1百万円減少、受取手形及び売掛金が6億9千5百万円減少しております。
固定資産につきましては、投資有価証券が3億6千6百万円増加した一方、建物及び構築物が3億3千6百万円減少、リース資産が2億3千万円減少しております。
負債につきましては、支払手形及び買掛金が14億1千9百万円増加、未払法人税等が9億8百万円増加、流動負債その他に含まれる未払消費税等が4億9千8百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して30億3千7百万円増加し、147億4千7百万円(前連結会計年度末比25.9%増)となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して42億4千3百万円増加し、568億5千8百万円(前連結会計年度末比8.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、40億5千6百万円増加し、179億8千9百万円(前連結会計年度末比29.1%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益88億2千7百万円、減価償却費17億2百万円、仕入債務の増加13億1百万円があった一方で、棚卸資産の増加29億6千2百万円、法人税等の支払額18億7千7百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ収入が49億4千8百万円(121.1%)増加し、90億3千4百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入8億6千3百万円があった一方で、有価証券の取得による支出16億9千7百万円、定期預金の預入による支出9億3千6百万円、有形固定資産の取得による支出7億7千3百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が1億9千万円(△6.9%)減少し、△25億6千5百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出14億8千1百万円、配当金の支払額10億円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が4億8千万円(19.4%)増加し、△29億5千3百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
78.3 |
77.6 |
78.8 |
79.3 |
78.4 |
時価ベースの自己資本比率 (%) |
101.9 |
87.3 |
78.8 |
99.6 |
159.3 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.8 |
0.6 |
0.5 |
0.9 |
0.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
115.0 |
147.7 |
187.6 |
120.5 |
190.6 |
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
(注3)営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、機種別の情報を記載しております。
a.生産実績
機種別 |
生産高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
定置型ガス検知警報機器 |
16,216,644 |
117.9 |
可搬型ガス検知警報機器 |
6,317,199 |
98.4 |
その他測定機器 |
1,035,342 |
118.9 |
合計 |
23,569,187 |
112.0 |
(注)1.金額の表示は、販売価格換算で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
機種別 |
受注高 (千円) |
前連結会計年度比 (%) |
受注残高 (千円) |
前連結会計年度比 (%) |
定置型ガス検知警報機器 |
29,966,187 |
126.4 |
7,872,127 |
189.1 |
可搬型ガス検知警報機器 |
10,824,768 |
122.9 |
2,350,839 |
164.4 |
その他測定機器 |
1,323,320 |
142.6 |
356,565 |
151.5 |
合計 |
42,114,277 |
125.9 |
10,579,533 |
181.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
機種別 |
販売高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
定置型ガス検知警報機器 |
26,257,981 |
116.9 |
可搬型ガス検知警報機器 |
9,903,865 |
112.5 |
その他測定機器 |
1,202,105 |
127.6 |
合計 |
37,363,952 |
116.0 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
キオクシア株式会社 |
3,624,062 |
11.3 |
3,878,721 |
10.4 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における経済情勢は、各国の経済対策や新型コロナウイルスのワクチン接種率の上昇により、行動制限が徐々に緩和されると、経済対策も後押しし経済活動が再開され景気の回復が進みました。一方で、断続的な感染拡大によるサプライチェーンの混乱や半導体をはじめとする部材不足及び地政学的リスク等による供給面の制約により、持ち直しの動きに足踏みが見られるなど、先行きは不透明な状況が続いており、経済、物価、金融情勢への影響を注視する必要があります。
当社グループを取り巻く経営環境としては、主要顧客である半導体業界は5G関連やDXの進展に伴い半導体の需要が高まったことから設備投資に活発な動きがみられました。また、脱炭素社会への加速を背景に自動車関連や二次電池関連業界も堅調に推移しました。
このような情勢のなか、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に到来していることによる地域的な経済封鎖の影響並びに半導体不足等により生産及び販売活動の先行きに懸念はあったものの、人々が安心して働ける環境づくりを目指し、ガスという見えない危険を見える安心にすべく、新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底し、開発・生産・販売活動を進めてまいりました。
2020年7月に竣工した「生産センター」(埼玉県春日部市)は、2021年4月より本格稼働しました。函館工場から免振構造の生産センターへ設備の一部を移設し、安定したセンサーの供給体制の整備並びに製品の安定供給に努めてまいりました。また、中長期的な企業価値の向上の観点から、サスティナビリティを巡る課題にも積極的に取り組み、SDGs、脱炭素化を意識した開発、生産、販売、アフターメンテナンスサービス活動に努めてまいりました。
これらの諸施策の結果、当連結会計年度の売上高は373億6千3百万円(前連結会計年度比16.0%増)、営業利益は84億2百万円(前連結会計年度比27.4%増)、経常利益は88億1千9百万円(前連結会計年度比27.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億6千3百万円(前連結会計年度比27.1%増)となりました。
当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容に代えて、以下に機種別の売上の概況を記載いたします。
定置型ガス検知警報機器
「スマートタイプガス検知部 GD-70D」は、国内及び東アジア地域の半導体工場、並びに国内の半導体製造装置メーカー向けに売上を伸ばしました。
また、「炉内セフティモニター SD-2500」は、中国におけるリチウム電池製造設備投資の拡大により、国内のリチウム電池製造装置メーカー、及び中国の同生産工場向けに売上を伸ばし、「スマートタイプガス検知部SD-1」は、造船、石油化学・半導体業界向けの他、リチウム電池生産工場向けに売上を伸ばしました。
アフターメンテナンスサービスも好調に推移したことから、売上高は262億5千7百万円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。
可搬型ガス検知警報機器
主力ポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」は、欧米における経済活動が回復基調となったこと、及び国内において更新需要時期が到来したことにより、国内・海外の石油及び石油化学業界、官公庁向けを主体に売上を伸ばしました。
東南アジア地域の海外市場において新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより売上が減少しましたが、アフターメンテナンスサービスが好調に推移したことから、売上高は99億3百万円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。
その他測定機器
「防爆型熱量計OHC-800」は、「OHC-800」をキーデバイスとし他のガス検知器と組合せるソリューションが評価され、今年度は大幅に売上を伸ばしました。
また、各国の大学や研究機関に需要のある「大気中光電子分光装置ACシリーズ」は、新製品「AC-2S」の市場浸透までには至りませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響があったにも関わらず、昨年同等の売上を保つことができました。
この結果、売上高は12億2百万円(前連結会計年度比27.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であり、財源は主として自己資金(営業活動によるキャッシュ・フロー)または金融機関からの借入によっております。財務政策といたしましては、常に最適な財務比率と資金効率をバランスよく維持し、財務体質のより一層の健全化を図ることとしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
(b)固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
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