(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるものの、各国の経済対策やワクチンの普及などにより、概ね回復基調で推移しました。一方、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクの高まりや原油など資源価格の高騰に加え、半導体をはじめとする部材の不足や価格上昇、物流の逼迫等による供給面の制約などから、先行きへの不透明感が強まりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、エレクトロニクス業界では、5G、AIの活用拡大を受けたIoT、DXの進展に加え、データセンター需要の拡大、リモートワークの定着などが追い風となり、半導体デバイス需要が高まりました。さらには、環境負荷の少ない技術への投資(GX)を意識した半導体の微細化や実装技術分野への投資、自動車のEV化や半導体不足を解消するための成熟ノードへの投資も重なり、半導体メーカーやプリント基板関連の設備投資が堅調に推移しました。印刷関連機器においても、GXやDXへの意識が高まり、北米や欧州など景気に持ち直しの動きが見られる地域を中心に、顧客のPOD装置への設備投資意欲に回復が見られました。
このような状況の中、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や棚卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、766億7千2百万円(20.0%)増加し4,593億5百万円となりました。
負債合計は、契約負債や仕入債務が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ、374億3千3百万円(21.5%)増加し2,115億1千6百万円となりました。
純資産合計は、その他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払いの一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ、392億3千9百万円(18.8%)増加し2,477億8千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、53.9%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は4,118億6千5百万円と前期に比べ、915億4千3百万円(28.6%)増加しました。利益面につきましては、売上の増加や採算性の改善などにより、前期に比べ、営業利益は367億8千万円(150.2%)増加の612億7千3百万円となりました。また、経常利益は367億1千8百万円(161.6%)増加の594億3千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は303億1千7百万円(199.9%)増加の454億8千1百万円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(半導体製造装置事業:SPE)
半導体製造装置事業では、前期に比べ、ファウンドリー向け、メモリー向け、ロジック向けの売上が大幅に増加しました。地域別では、台湾向けを中心に各地域で売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は3,193億9千8百万円(前期比35.6%増)となりました。営業利益は、売上の増加や採算性の改善などにより、628億3千万円(前期比141.7%増)となりました。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
グラフィックアーツ機器事業では、顧客の装置稼働状況、設備投資意欲の回復などを受け、装置売上やインクを中心とするリカーリングビジネスの売上が増加したことから、当セグメントの売上高は、433億1千7百万円(前期比15.8%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、16億3千6百万円(前期比205.5%増)となりました。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、OLED用中小型パネル向け製造装置の売上は増加したものの、大型液晶パネル向け製造装置の売上が減少したことから、当セグメントの売上高は332億8千6百万円(前期比4.1%減)となりました。営業利益は、採算性の改善などにより、5億8千7百万円(前期比35.0%増)となりました。
(プリント基板関連機器事業:PE)
プリント基板関連機器事業では、データセンター需要の拡大などを受け直接描画装置の売上が増加したことから、当セグメントの売上高は133億1千1百万円(前期比27.6%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、20億7千4百万円(前期比168.3%増)となりました。
(その他事業)
その他事業の外部顧客への売上高は28億4百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ702億6千6百万円増加し1,310億1千1百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、その他の流動負債の増加、減価償却費などの
収入項目が、法人税等の支払いや棚卸資産の増加などの支出項目を上回ったことから、817億5千2百万円の収入(前期は572億5百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、新工場建設着手に伴う支払いや研究開発設備等の有形固定資産を取得し
たことなどにより、99億5千2百万円の支出(前期は62億4千2百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、49億5千1百万円の支出(前期は270億7千1百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
SPE |
256,274 |
+42.0 |
GA |
15,804 |
+44.6 |
FT |
15,974 |
△40.8 |
PE |
6,873 |
+58.4 |
合計 |
294,926 |
+32.4 |
(注)金額は販売予定価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
SPE |
399,773 |
+50.0 |
195,411 |
+69.9 |
GA |
46,309 |
+16.3 |
10,795 |
+38.3 |
FT |
33,795 |
+207.7 |
25,953 |
+2.0 |
PE |
17,404 |
+44.2 |
7,095 |
+136.4 |
合計 |
497,282 |
+51.0 |
239,255 |
+58.1 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
SPE |
319,398 |
+35.6 |
GA |
43,317 |
+15.8 |
FT |
33,286 |
△4.1 |
PE |
13,311 |
+27.6 |
その他事業・調整額 |
2,550 |
+15.2 |
合計 |
411,865 |
+28.6 |
(注)1 各セグメントの金額には、セグメント間取引を含んでおります。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の
とおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd. |
47,815 |
14.9 |
72,307 |
17.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における当社グループの売上高は4,118億6千5百万円と前連結会計年度に比べ、915億4千3百万円(28.6%)増加しました。
(営業利益)
売上の増加や採算性の改善などにより、営業利益は前連結会計年度に比べ、367億8千万円(150.2%)増加の612億7千3百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、営業外費用において固定資産除却損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6千2百万円悪化しました。
以上の結果、経常利益は367億1千8百万円(161.6%)増加の594億3千8百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損益は、特別損失において減損損失が減少したものの、企業年金基金脱退損失や投資有価証券評価損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6億2千万円悪化しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は360億9千8百万円(174.6%)増加の567億7千1百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、税金等調整前当期純利益が増加したことなどから、前連結会計年度より58億4千7百万円増加し、113億8千9百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、303億1千7百万円(199.9%)増加の454億8千1百万円となりました。
セグメント別の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」および「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)セグメント別の取り組み」に記載のとおりであります。
b. 財政状態
財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年3月期~2024年3月期におきまして、中期経営計画「Value Up 2023」に取り組んでおります。なお、中期経営計画の進捗状況および指標の達成状況につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の所要資金は、自己資金で賄いました。なお、将来の資金安定確保を目的として、総額300億円のコミットメントライン契約を複数の金融機関との間で締結しております。
また、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクの高まりにより先行きが不透明な中、当面は厚めの手元流動性を維持する方針としており、未使用の上記コミットメントライン300億円に加え、影響の長期化に備えた追加の300億円のコミットメントライン契約を2022年6月13日に取引銀行と締結いたしました。
主な資金使途としまして、設備投資計画につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」、配当政策につきましては「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする項目については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a. 固定資産の減損について
減損会計の適用にあたり、当社グループは原則、各社を1グループ単位としてグルーピングを行っております。また、事業の用に供していない遊休資産については、個別物件単位でグルーピングを行っております。当資産グループの回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額などの前提条件に基づいて測定しておりますが、今後の地価の動向や事業の将来の業績によっては、翌年度以降に減損損失が発生する可能性があります。
b. 退職給付債務について
当社グループの退職給付費用および債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。この前提条件や年金資産の長期期待運用収益率が実際の結果と異なる場合、または変更された場合、翌年度以降において認識する退職給付費用および債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
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