当社グループでは、「SCREENグループリスクマネジメント要綱」および関連規定にもとづいて、ビジネスリスクの洗い出しとその軽減に向けた取り組みを行うとともに、持株会社(HD)がグループ全体のリスクマネジメント状況を把握する仕組みを運用しております。
<リスクマネジメント推進体制>
SCREENグループの企業価値にマイナスの影響を及ぼす恐れのあるリスクを軽減するため、当社代表取締役社長を最高責任者とし、各グループ会社の社長等を各社のリスクマネジメント責任者とする全社横断的なリスクマネジメント体制を確立しています。
具体的には、「グループリスク委員会」を設置し、企業価値毀損の未然防止・最小化の視点から、SCREENグループ全体に内在するリスクとその状態を把握し、年度ごとの経営環境の変化に応じたグループ重要リスクの特定により、リスク管理の方向性を定め、顕在化の予防に取り組んでいます。3つのディフェンスライン(事業会社系グループ会社等を第1ディフェンスライン、HDの管理部門と機能会社を第2ディフェンスライン、内部監査部門を第3ディフェンスライン)の考え方で、個々のリスク管理の担当と役割を定め、現場と経営層がリスク情報を共有するガバナンス体制を構築しています。また、グループリスクリストの中から特に影響が大きい(または大きくなる可能性の高い)リスクをグループリスク委員会にて協議の上、当期のグループ重要リスクとして選定し、HDの取締役会の決議を得て決定します。
<事業等のリスク>
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部要因に関するリスク
①政治状況に関するリスク
当社グループは、現時点では米中貿易摩擦による業績への影響は大きくないものの、中国向け売上の比率が20%を超えることから、今後米中間の関係悪化が進み、中国への製品の出荷が困難になる場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、ロシア・ウクライナ情勢に起因した国際情勢における緊迫感の高まり、長期化による世界的な景気の後退およびそれに伴う需要の縮小が生じた場合には、当社グループによる当該地域向けの取引は僅少なものの、間接的な影響による当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
②為替・金利変動に関するリスク
当社グループは、海外売上高比率が高いため、輸出売上については為替リスクを回避するために積極的に円建て取引を行っておりますが、外貨建てによる取引も存在しております。当社グループは為替予約などによりリスクヘッジを行うことで、為替変動による業績への影響を小さくするよう努力しておりますが、急激な為替変動が起こった場合には、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、当連結会計年度末における有利子負債残高はすべて金利を固定しており、金利変動リスクに晒されておりませんが、新たな調達資金については、金利変動の影響を受け、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(2)業界動向に関するリスク
①半導体・FPD市場の動向に関するリスク
半導体・FPD市場は、急速な技術革新により大幅に成長する反面、需給バランスの悪化から市況が低迷するという好不況の波に晒されてきました。このような市場環境の中、当社グループは市況の下降局面においても確実に利益を生み出せるよう、ROIC経営を推進しており、その中で損益分岐点売上高比率の改善に取り組んでいますが、予想を上回って市況が悪化した場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
②技術・製品に関するリスク
当社グループは、各事業戦略に沿った開発テーマの絞り込みや保有技術のグループ内での共有化、外部の技術資源の効率的活用などにより、開発力の強化・活性化に取り組んでおり、最新の技術を取り入れた製品をタイムリーに市場投入しシェアの拡大を図ることで収益体制の強化を目指しております。しかしながら、開発期間が長期化することにより新製品のリリースに遅れが生じた場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
③特定顧客への取引集中に関するリスク
当社グループは、国内外の主要な半導体メーカーに製造装置を納入しておりますが、この業界では生産能力増強ならびに微細化対応に巨額の投資を必要とすることから一部の大手メーカーへの集約が進んできており、当社グループの売上も特定の顧客に集中する傾向にあります。したがって、これら特定顧客の設備投資動向や特定顧客からの受注動向によっては、当社グループの売上が減少し利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、次世代デバイスの生産プロセス確立に寄与する競争優位性のある装置を開発・製造し、進化を続ける半導体業界に最適なソリューションを提供し続けることを目指してまいります。
④サプライチェーンに関するリスク
当社グループは、大規模災害やサプライチェーンの障害事例から、国内・海外の生産拠点、部品の調達先を統括した生産補完体制を確立し、事業が大きなダメージを受けないためのシステム構築を推進しております。一方で、半導体製造装置事業における装置需要は急増しており、サプライヤーからの主要部材の調達等において、需給が逼迫し、適時に供給が得られなくなった場合や、部材、製造委託先の確保に障害が発生した場合には、当社グループの生産活動の中断や材料費の高騰などにより、当社グループの売上、利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(3)公正な取引順守に関するリスク
当社グループは、企業理念に基づく行動原則、グループの全役員・従業員が心掛けるべき行動規範を定めた「CSR憲章・行動規範」の下、各国の法令や社会規範を順守し、公明正大に良識ある企業活動を展開しています。また、コンプライアンス担当役員を任命し、全グループのコンプライアンス意識の向上や浸透に取り組むとともに、法務・コンプライアンス室が中心となり、国際的なルールや各国法令・規則の順守を推進、各種コンプライアンス教育に取り組んでいます。しかしながら、当社グループの事業活動に関連し、コンプライアンス違反や訴訟、権利侵害に伴う知財紛争等が発生した場合には、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(4)事業継続に関するリスク
①災害等に関するリスク
当社グループの国内生産拠点は京滋地区に集中しており、この地区において大規模な地震等が発生した場合、大きな被害を受ける可能性があります。当社グループでは損失を最小限にとどめ、事業の継続または早期再開を図るため、事業継続マネジメントシステム(BCMS)を推進しておりますが、災害等により生産拠点の操業が停止するなどの不測の事態が生じた場合、当社グループの事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。
②資金調達に関するリスク
当社グループの借入金に係る契約のうち一部の契約には、各年度の末日の連結純資産および各年度の連結経常損益に関する財務制限条項が付されております。現状、当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にあるものの、これに抵触し、借入先金融機関の請求があった場合、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。この場合、当社グループの社債およびその他の借入金についても連動して期限の利益を喪失する可能性があります。当社グループが借入金等について期限の利益を喪失し、一括返済の義務を負った場合には、当社グループの事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。
③パンデミックに関するリスク
当社グループは、日本国政府が指定感染症として定めた新型コロナウイルス感染症について、当社代表取締役社長を本部長とする災害対策本部を当社本社内に立ち上げ、また国内外拠点に現地対策本部を設置し、社員関係者の感染状況の確認をはじめとした情報収集に努め、現在も対応を進めております。
なお、当社グループの主力事業である半導体製造装置事業では、装置の据付、調整については可能な限り各国の現地要員で対応できていることから、現在のところ新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響は軽微であります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の今後の拡大や長期化の状況によっては、当社グループの業績や事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。中国では当リスクがすでに顕在化しており、コロナ禍における上海のロックダウン措置に伴う中国における顧客の工場の稼働停止や、物流停滞等が発生しています。現在、状況は改善に向かっておりますが、ロックダウン措置の再開等により製品の生産・出荷が困難になる場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
④情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業遂行に関連して、多数の個人情報や顧客情報、技術情報を有しております。当社グループでは、「SCREENグループIT管理規定」を定め、社内情報システムのセキュリティ強化を図るとともに、グループの全役員・従業員が心がけるべき行動規範を定めた「SCREENグループCSR憲章」を制定し情報管理体制を強化しております。しかしながら、昨今の頻発・巧妙化・高度化するサイバー攻撃を当社およびサプライチェーンが受けた際には、予期せぬ被害によって情報流出や関連する情報システムに大規模な障害等の発生と影響が想定されます。この場合、社会的信用の低下や長期の事業停止等により、当社グループの事業継続にも悪影響をもたらす可能性があります。
(5)製品の品質と安全に関するリスク
当社グループでは、品質マネジメントシステムの規格(ISO9001)に基づく品質管理体制を構築し、製品・サービスの品質および安全性の向上に取り組んでいますが、万一、大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥が発生し顧客に損失をもたらした場合、多額の追加費用の発生や信頼低下により、当社グループの売上、利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(6)環境負荷低減・気候変動への対応に関するリスク
当社グループは、低環境負荷製品へのニーズの高まりや国際的な化学物質規制、環境関連規制の強化などを受け、地球環境に配慮した製品を提供するために、「製品によるCO₂排出抑制の貢献」「環境適合認定製品の拡大」「製品法規制への対応」に取り組んでおります。また、気候変動対応に関しては、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言へ賛同するとともに、「Science Based Targets (SBT)イニシアチブ」の認定を取得し、事業活動を通して地球環境への負荷を軽減し、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の構築と持続的な発展に貢献すべく、活動を推進しています。しかしながら、取り組みに遅れが生じ、製品が環境規制等に対応できない場合、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。
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