業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済を概観しますと、世界各国でワクチン接種が進み、経済活動は徐々に回復に向かいましたが、新型コロナウイルスの感染の再拡大、世界的な半導体不足影響の深刻化等、いまだ不透明感が拭えない状況が継続しました。米国経済はサービス消費や個人消費の伸び悩みが見られましたが、失業率の低下を背景として個人消費が改善傾向を維持したことや、設備投資が堅調に推移したことにより回復基調で推移しました。欧州経済は資源価格の上昇やサプライチェーンの混乱による物価上昇等がありましたが、コロナ禍前の水準への回復が視野に入る等、回復が進みました。中国経済は世界に先駆けてコロナ禍からの回復が進んだことで年前半は高成長となりましたが、年後半には半導体不足や電力の使用制限、不動産市況の悪化が見られ、年後半に入り成長率が鈍化しました。日本経済は輸出や設備投資に持ち直しの動きが見られましたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の度重なる再発出の影響もあり、個人消費が低迷し、景気の回復は弱含みで推移いたしました。

当社グループ関連市場であるデジタルカメラ市場は、前期のコロナ禍による大幅な需要減からの反動増もあり、ミラーレスカメラが前期に対して数量ベースで6%増、金額ベースでは31%増となりました。また、一眼レフカメラも前期比で数量ベース、金額ベースともに6%減となったものの、前期の約半減からは減少幅が小幅にとどまったことにより、レンズ交換式カメラ全体では前期に対して数量ベースで1%増、金額ベースで21%増となりました。なお、レンズ交換式カメラ市場の改善に伴い、交換レンズ市場も前期に対して数量ベースで6%増、金額ベースで35%増とプラス成長となりました。

平均為替レートにつきましては、米ドルは約3円の円安、ユーロは約8円の円安となりました。

このような状況の下、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、市場の回復や新製品投入効果に伴い全セグメントで増収を達成し、売上高は575億39百万円(前期比18.9%増)と大幅増収となりました。また、大幅増収及び売上総利益率が過去最高の40%にまで改善したことによる売上総利益の大幅増益により、営業利益は74億8百万円(前期比107.2%増)、経常利益は75億31百万円(前期比100.8%増)と約倍増となり、コロナ禍前の2019年12月期の各利益も上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は51億73百万円(前期比164.2%増)と大幅な増益となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

(写真関連事業)

自社ブランド製品は、交換レンズ市場が回復したことや、市場回復を牽引しているミラーレス用の新製品投入に注力してきたことによる新製品寄与等により、各地域で売上高を伸ばし、前期比で約2割の大幅増収となりました。

なお、2021年には、当社としては初のAPS-Cサイズミラーレス一眼カメラ対応の交換レンズとして、1月に大口径標準ズームレンズ 17-70mm F/2.8 VC RXD (B070)、6月に大口径超広角ズームレンズ 11-20mm F/2.8 RXD (B060)を発売いたしました。さらに9月に高倍率ズームレンズ 18-300mm F/3.5-6.3 VC VXD (B061)を発売し、同製品については10月には当社としては初の富士フィルムXマウント用も発売する等、ミラーレス用のラインナップ拡充及び顧客層拡大を図りました。フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の交換レンズにおいても6月に超望遠ズームレンズ 150-500mm VC VXD (A057)、10月には大口径望遠ズームレンズ 35-150mm F/2-2.8 VXD (A058)、大口径標準ズームレンズ28-75mm F/2.8 VXD G2 (A063)を発売いたしました。

また、OEMも、市場の回復や新機種受注の影響等による販売数量の増加により、前期比で約3割の増収となりました。

このような結果、写真関連事業の売上高は419億99百万円(前期比25.1%増)、営業利益は85億55百万円(前期比60.8%増)と、2桁の増収増益を達成し、利益率20%へと高収益化が図られました。

(監視&FA関連事業)

監視やFA/マシンビジョン用レンズは、従来からのセキュリティ需要に加えて顔認証・モニタリング・検査等の用途の広がりにより市場が成長し、主に中国・米州・欧州のカメラメーカーへの販売が好調に推移し増収となりました。一方で、TV会議用レンズはコロナ禍におけるパソコン上でのWEB会議の普及等により需要低迷が継続し、減収となりました。

このような結果、監視&FA関連事業の売上高は93億60百万円(前期比3.2%増)となりましたが、監視やFA/マシンビジョン市場におけるニーズの多様化や今後の市場成長を見据えて先行的に要素技術開発や各種新製品の開発に注力していることもあり、営業利益は4億78百万円(前期比17.2%減)となりました。

(モビリティ&ヘルスケア、その他事業)

車載カメラ用レンズは、当社注力分野のセンシング用途での高画素化等への技術対応面や高品質な製品の量産化を実現する品質保証体制面の強化を図ってきた成果により、車載カメラの搭載義務化等の法制度の整備や将来的な自動運転化に向けた市場成長に伴い、約2割の大幅な増収となりました。コンパクトデジタルカメラ用やビデオカメラ用レンズは市場が減少したものの前期並みの売上を確保いたしましたが、ドローン用レンズは既存製品の伸び悩み等の影響により減収となりました。

また、医療分野では、医療機器における品質マネジメントシステムの国際規格ISO13485の取得や極小径レンズや薄膜技術等の開発、協業パートナーの開拓及び関係強化等、今後の事業拡大に向けた取り組みを推進いたしました。

このような結果、モビリティ&ヘルスケア、その他事業の売上高は61億78百万円(前期比7.7%増)、営業利益は8億12百万円(前期比125.9%増)と増収かつ倍増以上となる大幅増益となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ44億15百万円増加し、258億32百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が74億18百万円、減価償却費が30億24百万円、売上債権の減少額が16億94百万円となったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは86億60百万円の収入(前連結会計年度は75億54百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の取得による支出が20億42百万円、有形固定資産の取得による支出が19億78百万円となったこと等により、投資活動によるキャッシュ・フローは37億80百万円の支出(前連結会計年度は123億34百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払額が10億50百万円、長期借入金の返済による支出が2億53百万円であったこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは12億50百万円の支出(前連結会計年度は21億12百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

写真関連事業

43,334

131.8

監視&FA関連事業

9,735

101.6

モビリティ&ヘルスケア、その他事業

7,098

138.4

60,168

126.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額に消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

写真関連事業

監視&FA関連事業

モビリティ&ヘルスケア、その他事業

805

60.9

81

55.3

805

60.9

81

55.3

 (注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

写真関連事業

41,999

125.1

監視&FA関連事業

9,360

103.2

モビリティ&ヘルスケア、その他事業

6,178

107.7

57,539

118.9

 (注)1.上記の金額に消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先への販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

Sony Electronics Operations (China) Limited

7,909

13.7

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(株)

8,068

16.7

3,141

5.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ①重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
 当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産・負債及び収益・費用の計上等に関連しての種々の見積りを行っております。この見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいて行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、連結財務諸表に重要な影響を及ぼすことがあります。

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、485億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ71億26百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が43億80百万円増加し、仕掛品が15億22百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、184億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億48百万円増加いたしました。これは主に、投資その他の資産が23億22百万円増加したことによるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、124億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億52百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が15億67百万円増加し、買掛金が5億44百万円増加したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、20億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億36百万円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が2億56百万円減少したことによるものであります。

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は525億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億58百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が51億73百万円、円安が進み為替換算調整勘定が19億91百万円増加したことによるものであります。

2)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、主に写真関連事業が増益となったことにより、前連結会計年度に比べ91億64百万円増加し、575億39百万円(前期比18.9%増)となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は、過去最高の40%にまで売上総利益率が改善したことにより、前連結会計年度に比べ48億36百万円増加し、232億7百万円(前期比26.3%増)となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ38億33百万円増加し、74億8百万円(前期比107.2%増)となりました。

(営業外収益及び費用)

 当連結会計年度の営業外収益は、補助金収入を1億10百万円計上したこと等により、前連結会計年度に比べ4億35百万円減少し、4億1百万円となりました。

 当連結会計年度の営業外費用は、為替差損を92百万円計上したこと及び固定資産除却損を67百万円計上したこと等により、前連結会計年度に比べ3億83百万円減少し、2億78百万円となりました。

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、経常利益が37億81百万円増加したこと及び減損損失1億12百万円計上したことにより、前連結会計年度に比べ45億33百万円増加し、74億18百万円(前期比157.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ32億14百万円増加し、51億73百万円(前期比164.2%増)となりました。

セグメントごとの経営成績等の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2023年12月期を最終年度とする中期経営計画「Vision23」として、売上高は2020年12月期比で約25%増の610億円を目指し、営業利益はここ10年間で最も高い2019年12月期を上回り、再びコロナ影響前の高収益体質へとV字回復を図る70億円を目指し、2021年から新たにスタートいたしました。

 2021年12月期は各セグメントで増収を達成し、売上総利益率を過去最高の40%へと高める等、期初の計画を売上高・利益ともに大きく上回る成果となったことから、1年目で利益面は中期計画を達成し、コロナ影響前の高収益体質へと早期にV字回復を果たすことができました。

 この成果をベースに、2022年12月期は更に高みを目指し、2021年12月期で実現した高収益体質も維持しつつ、成長/育成分野の監視&FA、モビリティ&ヘルスケアでの売上高拡大を図り、売上高においても中期計画の1年前倒しでの達成を目指してまいります。

4)経営成績に重要な影響を与える要因について
 「2〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。

5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
 当社グループは、営業活動により安定したキャッシュ・フローを得ておりますが、必要な営業活動や設備投資に備えるために、自己資金の他に金融機関からの借入により資金調達を実施しております。借入金のうち、短期借入金は主に営業取引に係る資金調達、長期借入金は主に設備投資に係る資金調達であり短期借入金、長期借入金とも安定的な資金調達ができております。また、今後の設備投資については、量産金型、レンズ生産設備等への設備投資を実施する予定ですがこれら投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入により調達する予定であります。

6)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

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