課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、持続的成長と企業価値の最大化に向けて、ビジネスモデルや景気感応度、営業地域等が異なる複数の事業を展開することでリスクを分散し、グループ全体の収益性・安定性・成長性を確保していくポートフォリオ経営を行っております。それぞれの事業が現状どのライフサイクルにあるかを見極め、成長性の高い領域へ経営資源を配分し、また、市場が衰退期にある事業から撤退することで競争力の高い事業ポートフォリオの維持に努めており、現在は、ライフケアと情報・通信という2つの大きな事業分野を柱に据えています。

 

(2)経営環境

 世界的な高齢化の進展や新興国の経済発展による中間所得者の増加等で長期的な市場成長が見込まれるライフケア事業と、情報化社会の進展により中長期的な市場成長が見込まれる情報・通信事業の半導体・HDD関連製品を成長ドライバーと捉えています。また、次の10年、20年の成長を担う新たな成長事業の開発・獲得を重要な経営課題と認識しています。新型コロナウイルスの世界的な流行は、これまでは緩やかに進んでいた市場構造変化を加速させつつあり、当社グループはこれらの変化に迅速に対応できるように市場や顧客の変化に注視しています。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、資本に対するコストを上回る利益を生んだとき、企業価値が増大し、すべてのステークホルダーにご満足いただけるものと考えております。その実現のための経営指標としてSVA( Shareholders Value Added )を導入し、効率的な経営に努めております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

中長期的な会社の経営戦略

 当社は継続的な企業価値の増大と最大化を経営方針としており、その実現のため、以下の4つの項目に注力してまいります。

 

① 市場の変化への迅速かつ柔軟な対応と経営資源の効率的な活用

 当社グループの事業領域は多岐にわたっておりますが、事業部門に大幅に権限を委譲することで意思決定のスピードを早め、競合に先んじて顧客のニーズに沿った戦略を立案してまいります。また、当社グループの経営資源を適切に配分し、設備投資、事業提携、M&A、事業の撤退・縮小といった判断をタイムリーに行ってまいります。

 

② 新たな事業、技術の創出

 当社グループは、収益を確保し成長し続けるために、従来とは異なる成長分野において、内部開発やМ&Aなどにより新たな事業や技術を獲得していくことが重要な課題と認識しております。今後も世界に通用する技術や競争優位性の高い事業の内部開発やМ&Aによる獲得、それらを担う人材の採用・育成にさらに力を注いでまいります。

 

③ 成長市場での事業拡大

 デジタルデバイスの長時間使用などによる若年層の視力低下や世界的な高齢化により視力矯正を必要とする人口が増え続けています。医療の現場では医師・患者双方の要求として身体への負担軽減・治療の短時間化が望まれるようになり、低侵襲医療が加速度的に普及しています。また、情報化社会の進展により高性能で省電力な半導体の開発やデータセンターへの投資が進められています。以上のような背景から、当社グループは人々の視力や健康、情報化社会の進展をサポートする製品を成長分野と位置づけ、経営資源を積極的に投入し事業の拡大を目指してまいります。

④ Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)への対応

 ESGに対するステークホルダーの関心の高まりや継続的な企業価値の増大のために、当社グループでは2019年8月に設けたESG委員会を中心とした活動を行ってまいりましたが、ESGに対する取り組みを加速させるため、2022年3月にChief Sustainability (ESG) Officer(CSO)を任命の上、CSOのもとESGの専門部署であるESG推進室を新設し、2022年5月にHOYAグループのサステナビリティ方針を定めました。ESG分野での活動を推進し、サステナブルな社会の構築への貢献と中長期的な企業価値の増大を目指してまいります。

 また、社内で議論、検討を進めてきた当社グループの中長期的な成長に資する項目(マテリアリティ)についても特定作業が完了し、2021年9月に取締役会にて承認を得ました。各マテリアリティのさらなる取り組みをグループ全体で積極的に進めてまいります。

〈HOYAグループ マテリアリティ〉

・温室効果ガス(CO2)削減

・製品品質・安全

・従業員エンゲージメント、ダイバーシティ・インクルージョン

・サプライチェーンマネジメント

 

 環境面では、製造拠点における生産性の向上やエネルギー効率の高い装置の導入によるCO2や廃棄物などの削減を推進しており、さらに再生可能エネルギー導入・活用の検討を進めております。また、2021年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。継続して環境負荷の低減を推進するとともに、TCFD提言に基づいた気候変動に関する情報開示の準備作業も進めてまいります。

 社会面では、人種や性別を問わず積極的に優秀な人材を採用し、価値観や多様性を確保するダイバーシティの推進を優先事項として取り組んでおります。また“会社は人なり”の考えのもと、2020年より従業員エンゲージメント調査を定期的に実施しており、多様な人材が活躍できる、より良い職場環境の実現に向けて取り組みを推進してまいります。

 ガバナンス面では、過半数を占める社外取締役や委員会制度といった仕組みを基盤とした客観性と透明性の高い経営を行っております。

 

 

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