有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)執行役への依存
当社グループは、経営の効率化、意思決定の迅速化を図るため、4名の執行役で、グループ全体の経営方針や経営戦略・事業戦略の策定・決定をはじめ、事業化及び事業推進に至るまで、当社グループの事業活動上重要な役割を果たしております。このため、当社グループでは過度に執行役に依存しないよう、経営体制を整備し、経営リスクの軽減を図ることに努めるとともに、後継者計画の作成を行っておりますが、執行役が何らかの理由により業務を遂行できなくなった場合、当社グループの経営成績及び今後の意思決定に影響を及ぼす可能性があります。
(2)国際情勢の影響
今後、為替の大幅な変動、ある地域でヒト・モノ・カネの動きが異常に抑制された場合、また、当社グループが事業を行っている国々で、政治・経済又は法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、事故、天災地変、感染症の流行など予期せぬ事象が起きた場合、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
為替変動については、USドル、ユーロなど主要な販売国および生産国の為替レートの変動により円ベースでの売上高と利益の減少をもたらす可能性があります。
このため、高付加価値製品の販売促進や生産性の向上、生産地の多様化に努めるとともに、継続的な営業活動から生じる債権債務の決済を、ユーロ、USドル、円の主要3通貨において、可能な限り同一通貨で行うことで為替変動リスクを抑えています。しかしながら大幅な為替影響が発生した場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2022年3月期においてそれぞれの通貨が1パーセント円高になった場合の当期利益に与える影響は次の通りでした。
USドル 463百万円減少、ユーロ 66百万円減少、タイバーツ 257百万円減少
新型コロナウイルスの影響については、2020年3月からの新型コロナウイルスの感染の世界的な拡大により、各国政府が人の移動を制限したことで経済活動が停滞し、当社グループの業績も大きく影響を受けました。その後、各国でのワクチン接種が進み、国・地域による差はあるものの経済活動の再開が進んだことで、当社グループの業績も回復が進んでおります。
当社グループにおいては従業員、関係者の安全を第一優先とし対応しております。CEOをリーダーとする危機管理対策チームにおいて、当社グループ施設の状況や感染者数のモニタリングを行うとともに、新型コロナウイルス対策ハンドブックを作成し、当社グループ施設での感染防止対策、従業員教育、感染者と濃厚接触者が発生した場合の対応などを定めています。2022年5月時点で当社グループ施設の営業に大きな影響は出ておりません。
ウクライナにおける紛争の影響については、当社グループはロシア・ウクライナ・ベラルーシにおいてヘルスケア・メディカル関連製品の販売を行っており、同地域の売上収益がグループ全体に占める割合は1パーセントとなっています。2022年5月時点で当社グループ業績への大きな影響は出ておりません。
当社は事業ポートフォリオ経営の考えに基づき、多様な事業を様々な国、地域で行うことでグループ全体業績の安定を図っており、2022年3月期の地域別の売上高はおおよそ日本25%、アジア太平洋39%、米州15%、欧州20%と分散しております。
しかしながら、外部環境の変化が当社グループの想定よりも早く進み、対応が遅れた場合、当社グループの業績悪化により財務状況が悪化する可能性があります。
(3)小売の規模拡大による価格低下
ライフケア事業において、量販店の規模拡大や共同購買組織の組成、オンライン事業者の台頭が散見され、これらを背景とした製品に対する価格圧力が強まっています。価格低下による影響をコスト削減や高付加価値戦略の推進により吸収を図っていますが、価格低下の進行速度によっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)生産能力
当社グループでは、各製品について、顧客の受注に応える十分な生産能力の確保に努めておりますが、なんらかの要因により、生産上の問題が発生したり新規設備の立ち上げが遅れるようなことがあれば、当社グループの業績への影響のみならず、得意先の生産・販売計画に影響を与え、競合他社のシェア拡大等の恐れがあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)新規事業の獲得
永続的な成長のために新規事業は重要であり、M&Aもしくは内部開発による獲得を図っています。
M&Aに関しては担当執行役、専任チーム及び事業部門の担当者などで構成される投資委員会において、内部開発については四半期毎の予算会議などにおいて適宜検討しております。
しかしながら、新規事業の獲得が進まない場合、長期的な当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報管理に関するリスク
当社グループでは、事業の遂行において多くの個人情報や顧客情報など様々な機密情報を保有しており、これらの管理については、適切なIT資産の管理や取扱者のトレーニングなど様々な対策を講じております。
しかしながら、万一、情報の流出が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下と損害賠償責任が発生する可能性があります。
(7)製品の品質に関するリスク
当社グループでは各事業部門の品質基準に基づき、多様な製品を製造しております。メディカル製品を取り扱うライフケア事業においては、各事業部門を統括する規制・品質・政府関連統括部を設置することで社内外の品質基準を厳格に順守しております。
しかしながら、万一、品質問題が発生し、リコールや製造物責任が問われる場合には、回収費用が発生するだけでなく、顧客の信頼を著しく損ない、製品によっては、損害賠償責任が発生する可能性があります。
(8)資材等の調達に関するリスク
当社グループの生産活動において、原材料・部品等の一部に、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の代替が困難なものがあります。契約や代替品への切り替えなどで安定調達を常に検討しておりますが、調達先の災害や事故、仕入価格の高騰等で、原材料・部品等の安定的調達が確保できない可能性があります。その場合は、製品の出荷遅延による機会損失等が発生し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)固定資産及びのれんの減損損失のリスク
当社グループは、生産能力や品質、生産性向上などのために設備投資を継続的に行っております。また成長加速のためにM&Aを継続的に行っております。
これらに伴い取得した有形固定資産、のれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末において、有形固定資産、のれん及び無形資産をそれぞれ、1,697億円、396億円及び358億円計上しております。
当社グループは、設備投資やM&A検討過程において執行役と事業部門マネジメントによる、客観的な数値に基づく、かつ早期の投資回収を目指した議論を徹底して行っています。また、重要な案件については社外取締役の承認を必要としているため、内輪の理論ではなく、一般的な観点からも合理的な案件だけが承認、実行される仕組みとなっています。
しかしながら各連結会計年度末もしくは減損の兆候がある場合に実施する減損テストの結果、想定を超えた市場環境の変化などで、有形固定資産、のれん及び無形資産の帳簿価額が回収可能価額よりも低下した場合は減損損失を認識する可能性があります。
(10)税務に関するリスク
当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
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