研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、グループ事業戦略に基づき、“市民に愛され市民に貢献する”という企業理念実現のため、将来を見据え、新たな顧客価値創出を担う研究開発体制を構築しております。

研究開発体制としては、研究開発センターが中央開発機能を持ち、経営方針に沿ってグループを俯瞰した研究開発を行っております。また、それぞれの事業に関わる製品開発、生産技術開発等は、時計事業の製品開発部門と技術開発部門、および各事業会社が担っております。 

なお、研究開発費につきましては、各事業に配分できない基礎研究費用890百万円が含まれており、当連結会計年度中に投下した研究開発費は、5,542百万円であります。

 

主な研究開発活動

① 研究開発センターにおける研究開発活動

研究開発センターにおいては、当社のもつ基盤技術をより深化させるとともに、マーケティング活動にも力を入れ、新たな顧客を創造し続けることができる新技術・新製品の開発を行っております。また、グループ各社から、材料解析依頼や各種技術相談に応じることで、グループ研究開発活動の支援も行っております

 

② 時計事業

シチズン時計㈱では、要素部品の小型化、高性能化により、小型化・薄型のムーブメントを実現し、シチズンブランドの主力商品であるエコ・ドライブのラインアップの強化を推し進めると共に、高精度な機械式ムーブメントの開発にも注力しています。

『シチズン エル』は2022年にブランド誕生から10周年を迎えます。サステナブルなものづくりを体現する『シチズン エル』のシグネチャーライン「アンビリュナ」から「私たちは自然とひとつである」というメッセージを込めた4モデルを2022年7月に発売します。本ラインナップでは生物学者・福岡伸一氏監修のもと、生物の仕組みや自然の美しさに学び、時計としての審美性や身に着けた時の心地良さにバイオミミクリーの考え方を取り入れました。心地よい着用感のために海綿動物の多孔構造に着目し汗を発散しやすい軽量なニットバンドは、回収されたペットボトルや衣料品からリサイクルしたポリエステル繊維「ECOPET®(以下エコペット)」を一部に使用した素材をホールガーメント®で編みこまれ、多孔構造により伸縮性や耐久性に優れ手洗いも可能です。

また、富士フイルム㈱が開発した構造色インクを時計業界で初採用し、光を受けることで色彩が現れる特殊な文字板を共同開発しました。モルフォ蝶や玉虫などの美しい色で知られる「構造色」は、光の反射によって現れるため、光によってシチズン独自の光発電技術で時を刻みながら、美しい自然界の色彩を映し出します。さらには、全モデルにラボグロウン・ダイヤモンドを採用し、サステナブルなウオッチブランドとして10周年の節目で発売する、自然に学び、その驚くべき仕組みや美しさをデザインに取り入れたモデルです。

今後も、腕時計としての美しさと精度を追求し、グローバル展開を目指した環境に優しい「エコ・ドライブ」、「エコ・ドライブ電波腕時計」と、マニュファクチュール(自社一貫生産)としての実力を発揮した機械式時計の拡販に向け、表面処理・外装技術、精密加工技術、低消費電力技術、高感度受信技術、高密度実装技術、エネルギー源、通信技術の開発を継続し、「技術と美の融合」を実現していきます。

当事業に係わる研究開発費は1,426百万円であります。

 

③ 工作機械事業

シチズンマシナリー㈱では、グローバル化と情報化の進展による顧客ニーズの多様化に対応する革新的なモノづくり『個の量産』を提唱し、事業を推進しています。

メインとなる製品ブランドとして、主軸台移動形自動旋盤の「Cincom」、主軸台固定形自動旋盤の「Miyano」、3台もしくは4台分の単軸旋盤を1台に集約した「MC20」の3つの工作機械商品群と、ロボットをはじめとする工作機械の周辺装置「FAフレンドリー」を展開しています。また、切削加工において切りくずの絡みつきを解消するLFV(低周波振動切削)技術、摩擦接合技術を用いた残材削減機能は、生産性向上、環境負荷低減など国内外より高い評価をいただいています。

IoT分野においては、当社が蓄積した多彩なソリューションを提供するalkapplysolution(アルカプリソリューション)を展開し、またセンシング技術やAIを活用した故障予測についても研究開発を推進しています。

今後も革新的なモノづくりの実現を通して、お客さまの安心と成長、そして世界中の製造業の発展及び環境負荷低減に貢献することを目指し、シチズンマシナリーは挑戦を続けます。

当事業に係わる研究開発費は932百万円であります。

 

④ デバイス事業

シチズン電子ではLEDを中心としたオプトデバイス事業と、精密加工技術を生かしたスイッチ事業を中心に、開発提案型企業として新鮮で驚きのある製品づくりに挑戦しています。

照明用LEDは、「COB Series Version9」と「High Intensity COB Series Version4」を2021年9月に発表。「COB Series Version9」では、10年前に発表した製品と比較し、発光効率が約2倍になっております。その上、発光効率向上による省エネ効果だけでなく、長期間使用しても明るさを維持する長期信頼性、耐ガス特性も改善しておりLED光源や照明器具の交換や修繕間隔を長く取れることから、環境負荷低減にも寄与する製品となっています。照明用LED以外では、拡大する3Dセンシング市場向けに独自のパッケージ構造により高出力高速化を実現したVCSEL製品を開発、また新型コロナウィルス対策として関心が高い殺菌用深紫外LEDアセンブリ製品の開発や、今後AR市場等で需要が見込まれる小型レーザーパッケージ開発も進めております。

スイッチ事業では小型・薄型、防塵・防水という特長を生かし、急速に発展しているウェアラブル市場向けに製品開発を行っております。加えて、押すといった従来のスイッチの動作だけでなく、新たな付加価値創出に向け多機能な入力デバイスの開発にも取り組んでいます。

シチズンファインデバイス㈱では、長年築き上げてきた独自の技術を活かし、各事業部門の技術の融合を図り、新技術開発、新製品開発を積極的に行うとともに、マーケティング活動も盛んに行い、新たな研究開発テーマ創出につなげています。

自動車部品を中心とする金属部品加工の分野では、セラミックス加工技術の1つであるワイヤー研削を高精度穴加工に活用して、エンジン部品の製品化に結びつけました。セラミックス事業で培った素材・材料技術の分野では、高硬度特性を持つ新材料のサイアロンを用いた各種部品、小型軸受部品、LD素子実装用の薄膜サブマウントなどを開発しています。新たに創設したマイクロデバイス事業の分野では、セラミックスと水晶の加工、応用技術を融合させた高付加価値製品の創出に取り組んでいます。

表示デバイスの分野では、表示ディスプレイ以外の用途として、光の位相制御を行う光変調素子を開発しています。また、耐光性のあるLCOSパネルの開発も行っています。

センサの分野では、高温耐久性の高いランガテイト結晶を用いて、燃費改善に貢献する車載向け燃焼圧センサを開発しました。継続した製品開発を行い、二輪も含めた車載の更なる拡大と、自動車以外の分野への市場拡大を目指しています。

また、精機事業の分野では、画像処理を活用した装置への要求の高まりに向けて、新たな開発体制を構築し、AIを活用した画像処理技術の開発に取り組んでいます。

当事業に係わる研究開発費は1,598百万円であります。

 

⑤ 電子機器他事業

シチズン・システムズ㈱では、業務用プリンター製品及びヘルスケア製品を中心に開発を行っております。

プリンター関連のうち、POSプリンターは、現状POS製品の特長を生かしたソリューションビジネスへ向けての決済端末を一体化したシステムや受付端末などの多様化する使用環境への対応を進めております。バーコードプリンターは、特定市場に対応した製品の開発を進めております。フォトプリンターは、市場要求に対応した新製品の開発に取り組んでおります。健康機器関連のうち、主力の体温計、血圧計は基本的機能の向上と操作性改善への取組みを進めております。また自社アプリやPHRに繋がる商品ラインナップ拡充に向けた開発を進めております。

当事業に係わる研究開発費は693百万円であります。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得