(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「 経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループが関連する自動車業界は、国内においては消費増税や自然災害等による消費マインド低迷、海外においては米中貿易摩擦の長期化などによる世界経済の先行き不透明感から販売台数は軟調に推移しておりましたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により景気の減速に拍車がかかり、各市場において販売台数は前年を大きく下回りました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度売上高は25,940百万円(前年同期比5.6%減)となりました。
損益につきましては、急激に拡大している安全運転支援部品の設備投資に伴う償却費負担の増加や生産拡大への必要人員確保費用および品質強化費用が嵩んだことなどにより、営業利益は16百万円(前年同期比97.4%減)となりました。経常利益は、固定資産売却益の計上等により124百万円(前年同期比81.8%減)となりました。また、子会社の清算に伴う関係会社清算益を特別利益に計上したものの、当面の業績見込みを踏まえ繰延税金資産を取崩したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は368百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益463百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(日本)
既存車種のモデルチェンジや客先生産台数の減少により自動車時計及びエアコンパネルなどの表示系製品は減少しましたが、センサ系製品である安全運転支援部品の販売量増加により、外部顧客に対する売上高は24,251百万円(前年同期比2.5%増)となりました。損益につきましては、安全運転支援部品の急激な増産対応のための先行投資による償却費増や、必要人員確保費用および品質強化費用が嵩んだことなどにより、セグメント損失は27百万円(前期はセグメント利益350百万円)となりました。
(アジア)
既存車種のモデルチェンジ等による自動車時計の販売量が大幅に減少し、外部顧客に対する売上高は1,688百万円(前年同期比55.6%減)となりました。また、セグメント利益は24百万円(前年同期比90.5%減)となりました。
財政状態につきましては、 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,406百万円減少し、19,518百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ89百万円増加し、6,256百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,496百万円減少し、13,261百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,154百万円減少し、3,544百万円となりました。
営業活動により得られた資金は、仕入債務の減少196百万円があったものの、税金等調整前当期純利益206百万円や減価償却費1,645百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ233百万円増加し、1,625百万円となりました。
投資活動により使用した資金は、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、関係会社の清算による収入を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ16百万円減少し、2,798百万円となりました。
財務活動により使用した資金は、自己株式の取得による支出798百万円や配当金の支払い133百万円などにより、前連結会計年度末に比べ753百万円増加し、966百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの内容 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本(千円) |
24,268,114 |
102.5 |
アジア(千円) |
1,651,888 |
43.5 |
合計(千円) |
25,920,002 |
94.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.当連結会計年度においてアジアにおける受注高および生産実績が著しく減少しております。これは、客先における既存車種のモデルチェンジによる減少等によるものです。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの内容 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
|||
受注高 |
受注残高 |
|||
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
22,668,024 |
92.9 |
4,603,473 |
74.4 |
アジア |
1,438,905 |
41.2 |
323,870 |
56.4 |
合計 |
24,106,929 |
86.4 |
4,927,343 |
72.9 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.当連結会計年度においてアジアにおける受注高および受注残高が著しく減少しております。これは、客先における既存車種のモデルチェンジによる減少等によるものです。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの内容 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
24,251,067 |
102.5 |
アジア |
1,688,937 |
44.4 |
合計 |
25,940,005 |
94.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
金 額(千円) |
割 合(%) |
金 額(千円) |
割 合(%) |
|
㈱デンソー |
18,657,033 |
67.9 |
20,051,343 |
77.3 |
トヨタ自動車㈱ |
4,172,701 |
15.2 |
3,507,121 |
13.5 |
(注)上記a.からc.の金額には消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度においてアジアにおける販売実績が著しく減少しております。これは、客先における既存車種のモデルチェンジによる減少等によるものです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度売上高は25,940百万円(前年同期比5.6%減)となりました。
損益につきましては、営業利益は16百万円(前年同期比97.4%減)となりました。経常利益は、固定資産売却益の計上等により、経常利益は124百万円(前年同期比81.8%減)となりました。また、子会社の清算に伴う関係会社清算益を特別利益に計上したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから当面の業績見込みを踏まえ繰延税金資産を取崩したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、368百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益463百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(日本)
自動車業界においてはCASE(未来の車の特性をConnected・Autonomous・Shared・Electricの頭文字で表したもの)に代表される大変革が起こっており、当社グループが展開してきた製品構成も大きく変化しております。従来からの主力製品である自動車時計やエアコンパネルなどの表示系製品の販売量が減少傾向にある一方で、 安全運転支援部品等のセンサ系製品の販売量が急激に増加しております。このような背景の中、生産ラインの増設・整備など顧客ニーズに対する迅速な対応と客先生産台数の堅調な推移により、外部顧客に対する売上高は24,251百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
損益につきましては、各製品における生産ラインの省人化や経費抑制等グループをあげた原価低減活動に取り組んでまいりましたが、 安全運転支援部品関連の設備投資に伴う償却費増や生産拡大への必要人員確保費用および品質強化費用が嵩んだことにより、セグメント損失は27百万円(前期はセグメント利益350百万円)となりました。
(アジア)
アジアにおける販売状況は、既存車種のモデルチェンジ等により自動車時計の販売量が大幅に減少しました。この結果、外部顧客に対する売上高は1,688百万円(前年同期比55.6%減)となりました。
損益につきましては、自動車時計の販売量減少により操業度が大きく低下したことが影響し、セグメント利益は24百万円(前年同期比90.5%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大により、2020年3月中旬にフィリピンでロックダウンが実施され、同国を拠点とする連結子会社において一部得意先へ製品の供給ができない状況が発生しましたが、それらが当連結会計年度の当社グループ業績に与える影響は限定的であります。しかしながら、2021年3月期に入ってからは、日本・アジアともに生産や販売の落ち込みが顕在化しており、会社業績への影響は必至であります。本感染症の広がり方や収束時期等を予想することは非常に困難であり、事業環境が回復するまでは、機動的な生産調整や固定費削減等を徹底し、当社グループ業績への影響を最小限に抑えるべく努めてまいります。
なお、その他当社グループの経営成績に重要な影響を与えると考えられる要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,406百万円減少し、19,518百万円となりました。これは流動資産が2,210百万円減少し、固定資産が803百万円増加したことによるものです。
流動資産減少の主な要因は、関係会社預け金が2,189百万円減少したことなどによるものです。固定資産増加の主な要因は、繰延税金資産が147百万円減少したものの、設備投資により有形固定資産が1,143百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債は、設備関係支払手形や仕入債務が減少したものの、繰延税金負債やリース債務が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ89百万円増加し、6,256百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、自己株式の取得や親会社株主に帰属する当期純損失の計上などにより前連結会計年度末に比べ1,496百万円減少し、13,261百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の70.5%から67.9%となりました。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等についての分析
当連結会計年度において、当社グループが重要な経営指標として位置付けております営業利益は16百万円、営業利益率は0.1%となりました。中期経営計画に掲げる活動指針の一つである「 事業体制の立て直しと競争力の確保」のもと、グ ループをあげた原価低減活動に取り組んでまいりました。 生産ラインの自動化や徹底的なムダ取り活動による省人化、部材費の低減活動等の原価価低減活動は一定の成果が表れたものの、 安全運転支援部品関連の設備投資に伴う償却費増や生産拡大への必要人員確保費用および品質強化費用が嵩んだことにより、営業利益は大幅な減益となりました。
今後も、引き続き採算改善への取り組みを強化し、更には製品構成の変化に対応すべく、新たな事業における採算確保に向けた足元固めを行い、稼ぐ力を強化してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金及び設備投資資金は、内部資金により充当しております。現時点において当社グループの財政状態は健全であり、営業活動により、将来必要な資金を調達することは可能であると考えております。また、当社グループは、今後、将来の事業継続および拡大のために、新製品切替や生産能力増強等を目的とした設備投資による資本的支出を実施する予定であり、その財源はいずれも内部資金により充当する予定でおります。
しかしながら、今後新型コロナウイルス感染症拡大の広がり方や収束時期によっては、販売活動および資金回収等に影響を及ぼしかねません。不測の事態にも対応できるよう、資金繰りには十分留意し、場合によっては外部からの資金調達も視野に入れ、機動的かつ効率的な資金活用のもと事業活動を継続してまいります。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」、当社グループの設備投資については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、 見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症に関しては、収束時期等を予測することは困難なことから、今後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定して、会計上の見積りを行っております。しかし、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
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