有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のう ち、 経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況
当社グループの製品の需要は、自動車関連メーカーの販売動向に影響を受けます。自動車関連メーカーは製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより主要な市場である北米、欧州、アジア、中国における景気及びそれに伴う需要の変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)特定の取引先への依存
当社グループは、特定の取引先への依存度が高くなっております(㈱デンソー及びトヨタ自動車㈱に対する売上高は全体の90.8%を占めております)。そのため、主要得意先の販売動向または何らかの理由により受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、このようなリスクは世界経済や国内外の消費動向など、市場を取り巻く環境に影響を受けることから、顕在化する可能性の程度や時期については現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応策として、新規事業の立ち上げおよび新製品の販路拡大を推進しております。また、主要得意先より販売計画に基づく中期的な内示情報を入手し、常にアップデートすることで、リスクが拡大する前に対策を講じるよう努めております。
当社グループの売上高上位2社の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載しております。
また、当社グループの売上高上位2社との取引については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載しております。
(3)製品の品質リスク
当社グループの製品には、自動車の重要部品が含まれており、その品質における問題が生じた場合、品質問題の内容により多額の損失が生じるとともに、顧客からの信用をも失墜させることとなります。生産ラインの自動化を図ることにより安定品質・安定供給を目指しておりますが、手作業による組立やチェックが不可避な工程もあることから、人的ミスによる納入不良などの潜在的リスクは常に存在していると認識しております。品質問題を発生させないための対応策としては、製品開発から量産に至るまで各々のステップで全社をあげた品質向上活動を進め工程保証度を向上させるとともに、製品出荷前の検査工程の精度を高めることで不良品の流出防止に努めてまいります。なお、品質問題が発生した時の費用に備えるために製品保証引当金を計上しております。
(4)価格競争リスク
自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっております。競争がグローバル化する中、特に新興国においては当社よりも低コストで製品を提供しうる競合先も出現しており、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、これらのリスクに対応すべく、生産ラインの自動化による省人化や管間部門の業務効率化により更なる原価低減を推進し、製品の高付加価値化に努めてまいります。
(5)為替レートの変動
当社グループの事業には、アジア地域における製品の生産と販売、部品・原材料の輸出入等の取引が含まれております。これらの取引については、円貨のほかに米ドルやユーロ及びその他の現地通貨建てにより行われており、他国の通貨に対する日本円の為替レートの変動によっては、円換算後の価格が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、連結財務諸表作成に用いる海外子会社の財務諸表は、決算時の為替レートにより円換算しているため、同様に換算後の価格が当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。海外への輸出は主にドルを機能通貨としておりますが、その為替変動リスクに対しては、社内の基本方針に基づき実需のおよそ50%を目安に為替予約を実施しております。
(6)自然災害等に関するリスク
当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの国内工場は関東信越地区に、取引先の一部が東北地区に所在しております。2011年3月の東日本大震災では当社グループの得意先および仕入先が被災し、大幅な生産調整を余儀なくされました。また、2016年4月の熊本地震では当社グループの得意先が操業を中断し、少なからぬ影響を受けております。今後、大規模な災害、その他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、当社グループが拠点としている国内およびアジア地域でのサプライチェーンや生産活動において混乱をきたしております。具体的には、海外子会社が拠点を置くフィリピンにおいてロックダウンが実施されたことにより、工場の操業が一時停止し、得意先へ製品の供給ができない状況が発生しました。一方、国内においては得意先の生産工場の停止により本社工場の操業度が低下するなどのリスクが顕在化しております。このような状況における対策として、第一にお客様への製品供給を可能な限り維持するため、海外と国内の両方での生産体制を整備するなどグループをあげてバックアップ体制を講じるとともに、出張の禁止、時差出勤の敢行、全社員のマスク着用等、社員の感染防止と操業維持のための対策を講じております。ただし、今後も感染が拡大し、収束の見通しが立たない状況が続く場合、当社グループの業績に更なる悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対する対応策として、前提条件との大幅な乖離を回避するために、過去の運用実績等を鑑み比較的安定的な運用が期待できる商品で年金資産を形成・運用しております。
お知らせ