業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における平山グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、2022年7月1日発表の全国企業短期経済観測調査(短観)にみられるとおり、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となり、2四半期連続で悪化いたしました。原材料コストの高止まりと中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約の強まりが景況感を押し下げております。大企業非製造業は新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを背景に、2期ぶりに改善しプラス13となりました。

一方、2022年5月の失業率は、前月から0.1ポイント悪化の2.6%となりました。コロナ禍で自らのキャリアを見直す人が増えており、失業者のうち、「自発的な離職(自己都合)」が増える一方、リストラなど「非自発的な離職」は減少しております。また、同月の有効求人倍率は、前月から0.01ポイント改善の1.24倍となり、5カ月連続で前月を上回り、2020年4月以来およそ2年ぶりの高い水準が続きました。サービス業の一部や製造業で求人数が回復いたしました。

このような環境下において、平山グループは、半導体等の部品供給制約と第3四半期において発生した宮城・福島での大地震や大雪によるサプライチェーンの混乱により一部生産が先送りされたものの、コロナ禍後の生産回復需要を取り込み、インソーシング・派遣事業を中心に海外事業及びその他事業セグメントにおいて増収増益を確保いたしました。営業利益面では、本年3月より入国制限が緩和され外国籍エンジニアの受入及び配属のため、一時的に費用が膨らんだものの、請負職場での現場改善及び受注単価の高い案件を獲得したこと、販売費及び一般管理費においてRPAを活用するなど効率的に使用したことから、計画を上回る結果を出すことができました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高27,978,465千円(前期比21.4%増)、営業利益692,075千円(前期比30.0%増)、経常利益は助成金収入40,157千円、為替差益15,929千円等を計上したことから776,161千円(前期比20.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は顧客関連資産の減損損失54,144千円及び法人税等311,593千円等を計上した結果、409,360千円(前期比1.0%減)となりました。

 

セグメント別の業績の概況は、次のとおりです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの利益又は損失の算定方法及び報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については前期の数値を変更後の数値で比較しております。

 

(インソーシング・派遣事業)

インソーシング・派遣事業につきましては、自動車・建機・電子部品関連分野において、半導体等の部品供給制約と第3四半期において発生した宮城・福島での大地震や大雪によるサプライチェーンの混乱により一部生産が先送りされたものの、3月及び6月においてリカバリー生産により旺盛な需要があったこと、医療機器分野の増産による増員に加え新規取引先を順調に獲得できたこと、住設関連部材、農業用機械及び物流等が好調だったことから、概ね計画どおりの売上高となりました。また、利益面では、半導体等の部品供給制約等による顧客生産の稼働停止による収益の圧迫があったものの、現場改善を継続して行い収益改善に努めるとともに、上記の新規・既存受注が好調であったことから積極的に人材採用を進め、人材教育に資源を投入することで、増益を確保いたしました。

採用面では、新卒採用者が定着して生産の安定に寄与する一方、中途採用においては経済回復とともに、徐々に採用環境が厳しくなり始めておりますが、採用ルートの多様化により、増員することができました。

この結果、売上高は22,808,336千円(前期比19.8%増)、セグメント利益は1,371,846千円(前期比9.4%増)となりました。

 

(技術者派遣事業)

技術者派遣事業につきましては、主要顧客の大手製造業の一部では中長期を見据えた技術開発投資の持ち直しもみられ、プラント設計、半導体関連やIT関連の技術者を中心に、平山グループの受注は回復基調となりました。

一方、人材採用面では中長期の成長を見据え採用活動を強化しており、業界の人手不足感が継続し経験者、未経験者を問わず技術者確保において厳しい状況にはありますが、中途、新卒ともに前期を上回る技術者を採用いたしました。

また、平山グループ内の研修センターでの経験者へのステップアップ研修や未経験者の教育・育成プログラムの構築など、顧客ニーズの対応に向けて、技術者育成、確保の仕組み強化を継続しております。

利益面では、前期より黒字化したITエンジニア派遣部門の貢献がありましたが、コロナ禍のため実施されていた入国制限が本年3月以降緩和され、外国籍エンジニアが急遽入社したことにより、紹介料、教育費、配属費用等が計画外に発生したことから、収益を圧迫いたしました。

この結果、売上高は2,197,124千円(前期比23.4%増)、セグメント利益は6,490千円(前期比49.2%減)となりました。

 

(海外事業)

海外事業におきましては、主力のタイにおいて、製造業生産指数が、2021年7~9月期前年同四半期比0.3%減、2021年10~12月期前年同四半期比4.7%増、2022年1~3月期前年同四半期比1.6%増となり、コロナ禍及び半導体の供給不足の影響はありましたが、回復基調となっております。

このような環境の下、タイにおける平山グループの派遣従業員数は、顧客ニーズを捉え、2022年3月時点で前年同月比11.6%増となりました。

利益面では、前期からの受注単価の引き上げと高利益率の案件獲得に注力するとともに、効率的な運営体制を構築したことが功を奏し、黒字転換を果たしました。

この結果、売上高は2,223,806千円(前期比39.9%増)、セグメント利益は49,807千円(前期はセグメント損失44,729千円)となりました。

(注) 海外事業につきましては、2021年4月~2022年3月期実績を3ヶ月遅れで当連結会計年度に計上しております。

 

(その他事業)

その他事業につきましては、現場改善コンサルティング事業及び海外からの研修ツアーが、依然としてコロナ禍の影響により海外との往来が制限されている状況にあるものの、WEBセミナー及びリモート指導事業の取組みを積み重ねた結果、昨年9月以降は国内外からの引き合い、問合せが増え続け、安定した売上が期待できる状況になりました。現場改善コンサルティング事業については国内製造関連に加え、これまで開拓があまり進んでいなかった中近東、アフリカと東南アジアを中心に顧客開拓が進み、着実に売上高に寄与し始めております。さらには、新規工場設置ニーズを捉え、工場立上げの支援コンサルティングを展開しております。

利益面では、技術・技能関係外国人について入国制限が緩和されたことによりエンジニア及び技能実習生の配置が進んだことから外国人雇用管理サポート事業の収益を押し上げたこと、昨夏まで低迷していた収益率の高い訪問型現場改善コンサルティング事業の売上高が9月以降に回復したこと等により、当連結会計年度において黒字を確保しました。

この結果、売上高は749,198千円(前期比16.9%増)、セグメント利益は112,225千円(前期比369.5%増)となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態の概況は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ539,770千円増加し、8,714,559千円となりました。

当連結会計年度末の流動資産は、受取手形及び売掛金が561,381千円、その他流動資産が150,286千円増加した一方で、現金及び預金が468,863千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ234,270千円増加し、7,388,528千円となりました。

当連結会計年度末の固定資産合計は、有形固定資産が132,831千円増加、投資その他の資産が254,891千円増加した一方で、無形固定資産が82,221千円減少したことにより、前連結会計年度末に比べ305,500千円増加し、1,326,030千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ145,863千円増加し、5,130,302千円となりました。

当連結会計年度末の流動負債は、未払金が433,027千円、未払法人税等が236,803千円増加した一方で、未払消費税等が348,434千円、1年内返済予定の長期借入金が195,021千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ166,541千円増加し、3,931,036千円となりました。当連結会計年度末の固定負債は、退職給付に係る負債が134,084千円増加した一方で、長期借入金が153,003千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ20,677千円減少し、1,199,266千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ77,342千円増加、利益剰余金が278,264千円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ393,907千円増加し、3,584,256千円となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ468,863千円減少し、3,379,194千円となりました。

営業活動による資金の増加は、244,947千円となりました(前期は893,327千円の増加)。これは主として、税金等調整前当期純利益720,895千円の計上、未払金の増加428,153千円等の資金の増加があった一方で、売上債権の増加551,446千円、未払消費税等の減少349,691千円等の資金の減少があったことによります。

投資活動による資金の減少は、350,487千円となりました(前期は70,673千円の増加)。これは主として、有形固定資産の取得による支出166,901千円、投資有価証券の取得による支出135,000千円等の資金の減少があったことによります。

財務活動による資金の減少は、371,241千円となりました(前期は393,291千円の減少)。これは主として、新株予約権の行使による株式の発行による収入154,026千円の資金の増加があった一方で、長期借入金の返済による支出348,024千円、配当金の支払額129,912千円等の資金の減少があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、生産実績については記載を省略しております。

 

b.受注実績

平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、受注実績については記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

インソーシング・派遣事業

22,808,336

19.8

技術者派遣事業

2,197,124

23.4

海外事業

2,223,806

39.9

その他

749,198

16.9

合計

27,978,465

21.4

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

テルモ株式会社

4,077,228

17.7

3,934,267

14.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による平山グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 平山グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績等の分析は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 平山グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動における運転資金需要は、主として給与等の人件費及び人材確保のための社員募集費であります。また、設備資金需要としては、教育施設投資に加え、社内基幹システム、製造スタッフ管理システム及び採用サイト等の無形固定資産投資等であります。業容拡大を図るために事業買収(M&A)等の投資を行う場合、それに伴う資金需要の発生が見込まれます。必要な資金については自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。

 資金の流動性については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は2.5%となっており、中期的な目標としている4.0%に対しては改善途上であります。このギャップにつきましては、平山グループが主力事業としている国内製造業向けインソーシング・派遣事業において、インソーシングでは請負現場の改善による省人化により、派遣では大型派遣事業所との単価交渉を進めることにより、売上高営業利益率の改善に努めて参ります。

 

 

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