(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたこと等により持ち直しの動きがみられたものの、下期に入り新たな変異株の拡大が確認されたことで、経済活動が再度制限されることになりました。また、原材料価格および物流費の高騰、半導体をはじめとする部品供給不足、さらには国際情勢の緊迫化などにより厳しい環境が続きました。
当社グループの関連する医療・介護分野におきましては、同ウイルス感染症の拡大防止・収束に向けて最前線で活動する方々の負担の長期化が問題視されています。当社グループにおきましては、製品の提供のみならず医療施設内におけるさまざまなサービス業務等を継続していくことで医療・介護体制の維持に貢献したいと考えております。
当社グループは2020年4月1日付で、2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」を策定いたしました。「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」を掲げ、医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をもとに、健康の分野でも皆様に貢献することを目指しております。
当連結会計年度におきましては、医療事業では国内における製品販売、レンタル・リース、メンテナンスサービスが順調に推移いたしました。海外につきましては、中国、シンガポールを中心に売上を伸ばしました。介護事業では介護施設向けおよび在宅介護向けの製品販売、福祉用具レンタル卸が引き続き堅調に推移しております。健康事業ではテレビ・ラジオ・ソーシャルメディアでのプロモーション活動の強化のほか新製品の投入等の効果により他の事業と同様に前年を上回って推移いたしました。
製品開発におきましては2021年6月、医療施設向けベッドの主力製品「メーティスPROシリーズ」のモデルチェンジを行いました。また同年7月、在宅向け介護用ベッド「楽匠プラスシリーズ」に音声操作機能を追加。同年12月には使用される方の負担軽減と快適性を追求したベッド設置式介護リフト「エレベオ」を、2022年3月には抗ウイルス性、耐薬品性を併せ持つ医療・介護用マットレスをそれぞれ発売いたしました。健康事業では2021年9月、医療用ベッドの技術を応用し、ソファに座るようなリラックスした姿勢がとれる一般家庭向け電動ベッド「INTIME(インタイム)3000」を発売いたしました。さらに新サービスといたしまして同年10月、INTIMEシリーズ購入者に対して、居室内のベッド移動や介護の相談等、生活を多方面から支援する有料サービスプランを開始いたしました。
ヘルスケア分野における事業多角化の一環といたしましては2021年7月、パラマウントベッド株式会社が西日本電信電話株式会社と共同出資を行い、データを活用したオンラインヘルスケアサービスを提供する事業会社「NTT PARAVITA株式会社」を設立いたしました。両社の持つICT技術を活用し、未病状態の発見に資するデータの提供を行うことで、サービスを利用される方の健康で充実した生活の維持をサポートする事業を展開してまいります。
当社グループは創業以来、社業を通じての社会貢献を目指して活動してまいりました。ESG経営推進のためのマテリアリティ(重要課題)として「環境に配慮した事業活動」「すべての人が健康でいきいきと暮らせる環境づくり」等を掲げております。当連結会計年度の新たな取り組みといたしまして、当社グループが事業展開をするインドネシア共和国におけるマングローブの植林活動をスタートさせました。また、パラマウントケアサービス株式会社が取り扱うレンタル用品の梱包材の原料にバイオマスプラスチックを採用いたしました。今後も様々な取り組みを行い、循環型社会・脱炭素社会の実現への貢献を目指してまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ99億23百万円増加し、1,642億81百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ20億71百万円増加し、426億6百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ78億52百万円増加し、1,216億75百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における主要な品目別売上高は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
品目 |
当連結会計年度 |
前年度増減 (%) |
ベッド |
28,785 |
- |
マットレス |
5,601 |
- |
病室・居室用家具 |
6,546 |
- |
医療用器具備品 |
7,540 |
- |
レンタル |
25,124 |
- |
部品等 |
4,340 |
- |
その他 |
12,413 |
- |
合計 |
90,352 |
- |
以上の結果、当連結会計年度の売上高は903億52百万円となりました。営業利益は前期比7億57百万円増(6.5%増)の123億40百万円、経常利益は同81百万円増(0.6%増)の135億43百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同4億81百万円増(5.6%増)の90億92百万円となりました。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日) 等を適用しております。これにより、顧客への財又はサービスの提供における当社グループの役割が代理人に該当する取引について、従来顧客から受け取る対価の総額を収益として計上していましたが、当該対価の総額から第三者に対する支払額を差し引いた純額で収益を認識する方法に変更しています。この結果、当該基準適用前と比較して売上高は減少し、売上総利益率等は増加しております。そのため、当連結会計年度における当期の経営成績の状況に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 会計方針の変更」に記載のとおりであります。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、454億62百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は78億22百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益134億37百万円、減価償却費78億98百万円等の増加と、法人税等の支払額41億87百万円、賃貸資産の増加額84億42百万円等の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は2億20百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得額77億52百万円、有形固定資産の取得額10億47百万円等による減少と、有価証券及び投資有価証券の売却額79億40百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は33億65百万円となりました。これは主に、配当金の支払額30億54百万円等の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
a. 生産実績
(単位:百万円) |
品目 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
ベッド |
38,697 |
13.5 |
マットレス |
7,906 |
20.2 |
病室・居室用家具 |
4,638 |
18.6 |
医療用器具備品 |
3,477 |
17.0 |
その他 |
6,402 |
10.1 |
合計 |
61,123 |
14.5 |
(注)1.金額は販売価格によって表示しております。
2.当社グループはベッド関連事業の単一セグメントであるため、品目別の生産実績を記載しております。
b. 商品仕入実績
(単位:百万円) |
品目 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
病室用家具他 |
10,206 |
△19.3 |
合計 |
10,206 |
△19.3 |
c. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、医療事業においては、新型コロナウィルス感染症の影響で前連結会計年度では病床確保のためのベッド等の需要が発生した海外においてその反動減があったものの、国内ではベッド等の販売、レンタル・リース、メンテナンスサービスが順調に推移しました。介護事業においては、主に介護施設において見守り支援システムとして利用されているセンサー「眠りSCAN」の安定した需要と、在宅介護分野で2020年8月に発売した「楽匠プラスシリーズ」の販売が引き続き好調であったことに加え、福祉用具レンタル卸事業の拡大等により売上を伸ばしました。健康事業においては、テレビ・ラジオ・ソーシャルメディアでのプロモーション活動や、医療用ベッドの技術を応用して2021年9月に発売した「INTIME3000」等の効果により売上が増加しました。製品開発においては、「INTIME3000」のほか、医療施設向けベッドの主力製品「メーティスPROシリーズ」のモデルチェンジ等が売上増に貢献しました。その結果、売上高は903億52百万円となりました。なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、前連結会計年度との正確な比較はできませんが、単純比較では前連結会計年度比31億81百万円増(3.7%増)、実質的には約55億円増(約6%増)となっております。
売上総利益は、当連結会計年度後半にかけて資材高騰や円安の影響で売上原価が増加したものの、売上増とベッド等自社製品売上割合の増加等により、前連結会計年度比25億95百万円増(6.4%増)の430億31百万円、売上総利益率は同1.2ポイント増の47.6%となりました。なお、上記「収益認識に関する会計基準」等の影響で売上総利益率が上昇している側面もありますが、自社製品売上割合の増加等により実質的にも上昇しております。
営業利益は、前連結会計年度比7億57百万円増(6.5%増)の123億40百万円となりました。これは主に、売上総利益が前連結会計年度と比べて25億95百万円増加したことに対し、販売費及び一般管理費が人件費や売上増に伴う運送費等の増加と中長期的成長に向けた戦略投資を強化したものの、前連結会計年度と比べて18億37百万円増(6.4%増)と売上総利益の増加以内に収まったことによるものです。
経常利益は、投資事業組合運用益が減少したものの、営業利益及び為替差益の増加等により、前連結会計年度比81百万円増(0.6%増)の135億43百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同4億81百万円増(5.6%増)の90億92百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源については、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、急激な事業環境の変化への備えとして充実した自己資本を維持し、利益処分は、株主還元と将来の事業拡大に向けた投資および内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、454億62百万円となりました。この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(253億87百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。これは、本来の事業活動により得た利益や事業成長の結果が反映されやすく、かつ配当金など株主還元の原資でもあり、株主の皆様にとって理解しやすい指標であると認識しております。
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