課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは1947年の創業以来、医療・高齢者福祉分野におきまして療養環境の向上のみならず、医療・介護従事者の業務改善等に資する製品・サービスを提供してまいりました。近年は福祉用具レンタル卸事業やメンテナンスサービス事業に参入するなど、社会の変化に対応し、事業の多角化を推進しながら、業容の拡大を図っております。

 当社グループの関連する医療・高齢者福祉分野の事業環境につきましては、日本では2025年に団塊世代の全てが75歳以上となるなど高齢化は確実に進むものの、社会保障費の伸びが課題となっております。一方、医療施設・高齢者施設においては、看護・介護スタッフの負担を軽減するための製品・システムや、高度急性期分野等への投資が拡大するものと見込まれます。在宅介護市場においては、政府は「病院から在宅へ」という基本方針の下、在宅で医療・介護を受ける環境を整える方策を打ち出しており、今後の市場拡大が期待されます。

 海外においては、アジア地域を中心として経済成長と共に医療インフラの充実が見込まれ、中国等では将来的にはわが国よりも速いスピードで高齢化が進むと予想されます。他方、生産年齢人口の減少や働き方改革などを背景として企業や個人が一人一人の健康に配慮する傾向や、AI・ITやデータを活用したビジネスの増加など、今後も環境が大きく変化していくことが想定されます。

 このような事業環境のもとで、当社グループは2020年4月に10年後の2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」を公表いたしました。また同ビジョンに基づく中期経営計画では、2020年度から2023年度までを第Ⅰフェーズとし「現行ビジネスの拡大」「変革への基盤構築」「健康事業の本格化」を基本方針として、将来の企業価値向上に向けて取り組んでおります。中長期成長に向けた戦略投資期間と位置づけ、システム関連投資や新規ビジネス投資、設備投資を増加するなどして、数値目標は2023年度売上高890億円、営業利益120億円といたしました。当数値目標につきましては、当連結会計年度において超過したこともあり、新たな数値目標として、第Ⅱフェーズの最終年度2026年度の連結売上高1,200億円、営業利益170億円を公表いたしました。またESG等、環境問題や社会貢献への取組についてもさらに強化してまいります。

 このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療施設・高齢者施設では看護・介護スタッフの負担が増加したり、感染予防のため手術件数の減少などで医療施設の経営が影響を受けております。在宅介護の分野でも、要介護を判定するための家庭訪問が控えられるなどで要介護認定に遅れが出ております。一部の国においては医療用ベッドの需要が増加しておりますが、総じて業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。これらの課題に対しては、感染予防の観点から入院患者や高齢者施設の入居者の状態を非接触で把握できる製品・サービスの拡充や、オンラインを活用したプロモーションや販売方法の強化など、迅速な対応を進めてまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

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