業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 経営成績等の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの変異株流行の影響が継続するものの、行動制限の解除により社会経済活動の正常化に向けた動きが見られたことから回復基調となりました。しかしながら、円安の進行、原材料価格の上昇、中国の主要都市をはじめとした生産地のロックダウンやサプライチェーンの混乱などに加え、ロシア・ウクライナ情勢の長期化・悪化によるエネルギー価格や原材料価格の更なる上昇、輸送コストの上昇、米国を始めとする世界的な利上げによる急激な円安の進行などの影響により交易条件が急激に悪化し、先行きは不透明な状況で推移いたしました。

 このような環境のもと、当社グループは、当期の重要戦略として「SDGs推進から生れる製品需要」「With・Afterコロナに訪れるリベンジ需要」を掲げ、社会環境や消費動向の変化をタイムリーに捉え新製品開発を強化いたしました。また、eコマース事業において、新サービス「MARKLESS Connect」「MARKLESS Partner」の展開を進め、リアルとeコマースを融合したハイブリッド型の営業活動を強化、推進いたしました。

 

「エコプロダクツ」

 エコプロダクツにおいては、当期の重要戦略のひとつである「SDGs推進から生れる製品需要」に対応した新製品の開発、展示会出展や営業活動を強化いたしました。今期において開発・販売を開始した新製品として、フェアトレード認証コットンやオーガニックコットンを素材としたバッグ、合成樹脂使用率を減らしたバンブーファイバー入り樹脂を使用した雑貨等のラインナップを拡充し、新たにジェンダーレスカラーを加えカラーバリエーションも拡充いたしました。また、“フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2022”への参加、“J-クレジット制度を活用した(カーボン・オフセット)製品”の取り扱いを開始するなど、SDGs達成に向けた取り組みを強化いたしました。この結果、エコプロダクツ全体では、前第1四半期にレジ袋有料化に伴うリテール向けエコバッグの特需があった影響から、上半期は前年を下回る水準でしたが、4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」や展示会・イベントなどの再開が進んだことにより、セールスプロモーション向けの需要が復調し、前期比で1億19百万円、1.6%の増収となりました。

 エシカルブランド「MOTTERU」では、3年連続となる2021年度グッドデザイン賞の受賞や環境省主催の「選ぼう!3Rキャンペーン2021」の対象製品選出によりエシカルブランドとしての認知度が向上いたしました。また、SDGs推進として、4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」による需要に対応するため、使い捨てプラスチック製品の代替として、環境負荷が少ない素材を使用した繰り返し使えるカトラリー製品を開発し販売を開始いたしました。

 

「ライフスタイルプロダクツ」

 ライフスタイルプロダクツでは、長引くコロナ禍においても好調を維持する業種・業界に注力し営業活動を強化いたしました。ライフスタイルプロダクツ全体では、コロナ禍の影響を大きく受けた前年に比べ18億10百万円、26.1%の増収となりました。主力のエンタテイメント業界全体に対する売上は、エンタテイメント業界の動向・変化に柔軟に対応し、今後成長が期待できる顧客企業の開拓・関係強化に努めた結果、前年を大きく上回りました。好調なゲームやアニメ等の業界に対する売上が前年に対し伸長したことに加え、新たなメディアコンテンツ関連企業向けの売上が顕著に拡大いたしました。一方で、音楽や舞台等に関する業界に対する売上は、回復の鈍化傾向が継続いたしましたが、「With・Afterコロナに訪れるリベンジ需要」を見据えた営業活動に努めました。ペットウェア・関連製品も新製品の投入、販路拡大により好調に推移し、前年を大きく上回る売上となりました。トラベル関連製品においては、行動制限の解除によりゴールデンウィークから国内旅行は回復傾向となりましたが、渡航や入国については制限解除が限定的であったことから売上の低迷が続きました。しかしながら、With・Afterコロナにおける旅行需要に対応するため、第2四半期に販売を開始した「『BEAMS DESIGN』オリジナルスーツケース」の売上は好調に推移いたしました。

 

「ウェルネスプロダクツ」

 ウェルネスプロダクツでは、新型コロナウイルス感染症の影響が継続しましたが、行動制限の解除により社会活動が再開されたことから、感染対策製品に対する需要は一定に留まり、前期比で8億18百万円、33.9%の減収となりました。

 

 

■eコマース事業

 eコマース事業においては、新たなビジネスである「MARKLESS Connect」「MARKLESS Partner」の導入先の開拓と連携による売上の拡大を推進しました。導入を推進する専門部署を配置し、営業活動と導入サポートを強化するなど体制を構築、活動を強化したことにより、導入を決定した企業や連携の開発段階にある企業が増加いたしました。前期に試験的に連携を開始した企業に対する売上が拡大したことに加え、当下期に新たに連携を開始した企業からも成果が出た結果、前年に対し売上が大きく伸長いたしました。また、主力サイトの「販促STYLE」「MARKLESS STYLE」を始めとしたECサイトにおいても、登録製品の充実やユーザビリティの向上、メールマガジンの配信やSNSを活用した広告を強化したことで、引き続き会員数が増加、リピート率が向上いたしました。特に、エンドユーザー向けECサイトである「販促STYLE」においては、WEB広告を効果的に活用し、市況のニーズを捉えたことにより売上が大きく伸長いたしました。

 また、主力の「BtoB」サイトに加え、「DtoC」※サイトを強化するため7月に「オリジナルグッズプレス」をオープンさせました。

 その結果、eコマース事業の売上は前期比で5億91百万円、25.8%の増収となり、売上構成比は前期より拡大し15.8%となりました。

 

※「Direct to Consumer」の略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、卸売業者や店舗などの中間業者を介さず、直接消費者に販売するビジネスモデル

 

 生産面では、中国及びその他のアジア諸国における生産拠点の最適化、物流の最適化、国内在庫の積み増しを推進いたしました。特に、生産拠点のある国や地域での感染拡大によるロックダウンに備えた複数の生産拠点の確保、為替変動や原材料価格高騰に対応した機動的な生産地の切り替え、海上輸送の遅延、輸送コストの上昇に対応した物流経路の見直しや最適化を図り、継続した安定供給の実現と価格競争力の強化に努めました。3月下旬より中国の主要都市においてロックダウンとなりましたが、これまでの供給体制の構築と物流手段の確保が、製品の安定供給に寄与いたしました。また、印刷・加工等の最終工程を行う自社工場の取扱高の拡大及び生産設備の導入により、内製化率の向上、利益体質の強化に繋がりました。加えて、継続するコロナ禍における短納期のニーズや「With・Afterコロナに訪れるリベンジ需要」に対応するため、通常期より前倒しで実施したオリジナル雑貨製品の国内在庫の拡充を継続いたしました。これにより、中国の主要都市におけるロックダウンの影響で製品供給が滞るなか、当社グループにおいては製品供給を継続することができました。しかしながら、海外からの製品調達において、円安の加速、原材料価格や輸送コスト等の上昇による負担増が当社グループの自助努力で吸収できる範囲を超えたことから、主力ブランド「MARKLESS STYLE」の製品を対象に、4月中旬以降の納品分より6%から10%程度の値上げを実施いたしました。また、自社工場による内製化率を高めるため、作業スペースの増設に着手いたしました。

 

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、第1四半期が前年のエコバッグ特需による影響から減収となりましたが、第2四半期以降増収となった結果、182億73百万円(前連結会計年度比11億34百万円、6.6%の増加)、営業利益は、32億31百万円(前連結会計年度比4億11百万円、14.6%の増加)となり、経常利益は33億4百万円(前連結会計年度比4億27百万円、14.9%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億95百万円(前連結会計年度比1億35百万円、6.6%の増加)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前年同期比は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 

 

 

 当連結会計年度における販売経路別及び製品分類別の販売実績は、以下のとおりであります。

 

<販売経路別販売実績>

区分

売上高

増減

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

エンドユーザー企業向け

7,103

8,384

1,281

18.0

卸売事業者向け

7,744

7,005

△ 738

△ 9.5

eコマース

2,291

2,882

591

25.8

合計

17,139

18,273

1,134

6.6

(注) 「EC事業及び小売り事業」は、小売事業(店舗)の売上割合低下に伴い金額の重要性が低下したため当連結会計年度より「eコマース」へ名称を変更しております。

 

<製品分類別販売実績>

区分

売上高

増減

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

エコプロダクツ

7,525

7,645

119

1.6

ライフスタイルプロダクツ

6,941

8,752

1,810

26.1

ウェルネスプロダクツ

2,414

1,596

△ 818

△ 33.9

デザインその他

257

279

22

8.6

合計

17,139

18,273

1,134

6.6

(注)1 当連結会計年度より、従来の「エコ雑貨製品」を「エコプロダクツ」に、「一般雑貨製品」を「ライフスタイルプロダクツ」に、「ヘルスケア&ビューティ雑貨製品」を「ウェルネスプロダクツ」に名称を変更しております。なお、名称変更による製品分類別販売実績に影響はありません。

2 デザインその他は、グラフィック・プロダクト・WEBデザインの受託業務や印刷業務等の雑貨製

品に該当しないものであります。

 

(2)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ18億25百万円増加し、128億10百万円となりました。主な要因は、製品の増加16億44百万円によるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ4億1百万円増加し、38億39百万円となりました。主な要因は、投資その他の資産の増加4億26百万円、有形固定資産の減少15百万円、無形固定資産の減少8百万円によるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ4億円増加し、26億53百万円となりました。主な要因は、買掛金の増加2億32百万円、未払法人税等の増加1億17百万円によるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ2億2百万円減少し、6億42百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少1億91百万円によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ20億29百万円増加し、133億54百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加15億46百万円、繰延ヘッジ損益の増加1億72百万円、その他有価証券評価差額金の増加1億43百万円、為替換算調整勘定の増加1億18百万円によるものであります。

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、43億51百万円(前連結会計年度比7億31百万円、14.4%の減少)となりました。なお、当連結会計年度末における有利子負債は6億22百万円であります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、当連結会計年度に得られた資金は2億39百万円(前連結会計年度に得られた資金は23億6百万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益33億5百万円及び棚卸資産の増加額16億27百万円、法人税等の支払額11億8百万円による資金の減少であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、当連結会計年度に使用した資金は2億13百万円(前連結会計年度に使用した資金は4億65百万円)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出5億45百万円、有形固定資産の取得による支出49百万円、保険積立金の積立による支出48百万円による資金の減少並びに有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入4億49百万円による資金の増加であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、当連結会計年度に使用した資金は8億19百万円(前連結会計年度に使用した資金は7億9百万円)となりました。主な要因は、配当金の支払額6億39百万円、長期借入金の返済による支出3億79百万円による資金の減少及び長期借入れによる収入2億円による資金の増加であります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高及び総資産に占める有利子負債比率は、6億22百万円、3.7%であり、前連結会計年度と比べ、それぞれ1億79百万円の減少、1.8ポイントの下降となっております。

 当連結会計年度におきましては、長期借入金として2億円の借入を実施いたしました。また、金融機関4行と13億円の枠で当座貸越契約を締結しております。これらのことから緊急的な資金需要に耐えうるものと認識しており、資金の流動性については確保されているものと認識しております。

 なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用及び納税資金であります。

 

(5)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

 

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